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6つの刺客 ~Six game~
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「ランティス、早く!」
「待って、イリア……」
躊躇う彼の手を半ば強引に掴みながら神殿から抜け出す二人。夜も深まった頃の出来事。今はパンドラも眠りの中。外にいる天使達もいない。
「本当に大丈夫なの?」
「大丈夫!あとはミスタシア達に任せましょ」
【癒しの丘】を越えて二人は【神流の森】へと入っていった。闇が一層深まり、風の音も拒むような静けさを放っていた。
注連縄のある深くまで行き、イリアは丈夫そうな木に寄りかかった。
「明朝、夜魅が来るの。だから、その前に起こして欲しい」
「解りました」
「ごめんね、ランティス。睡眠時間割いて。夜魅と話してる時に寝てていいから」
「はい……」
「そんな心配しないで。大丈夫だよ」
「……解ってます……」
「また悪者にされた事、怒ってる?」
「いえ……。イリア様の提案なら文句はありません」
「そう?」
「よく、思いつきましたね」
「我ながら妙案だと思うわ。強さを高めてるならいい機会だよ」
「はい」
イリアは眠くなったのか、ランティスの肩に寄りかかった。
「お休みなさい」
「ん……」
ランティスの温かさに包まれながらイリアは夢の中へと誘われた――。
朝。
天使達にはある御触れが届いていた。
『階級に関わらず、神殿に集まるように』と。
天使達は何が行われるのか良く解らないまま、神殿へと集った。広い【王座の間】があっという間に埋まり、ガヤガヤとした声達が響き渡っていた。
「何するんだろうな」
ナギとユゥの姿もあり、その表情は不安と戸惑いに満ちていた。
暫くして、神官のパンドラが現れた。天使達は彼の言葉に耳を傾け、静けさを作った。
「今日は集まって頂き、ありがとうございます。実は、先日、イリア様がランティスに連れ去られました」
その言葉に先程よりも大きなざわめきが起こった。式典以来、天使達はイリアの可憐さと強さに魅され、慕う者達が多くなっていった。もう、女神の代理である事が当然のように思っている。そんな彼女がランティスに連れ去られたとあっては気丈ではいられない。
「あいつ、また……」
「何処に行ったんですか!?」
「恐らく、【神流の森】でしょう。イリア様は、自分を助けてくれた者にミスタシアの称号を与えると仰っていました。ですから、貴方達に救って頂きたいのです」
パンドラはスラスラと述べた。
「階級は問いません。イリア様を連れ戻してきて下さい」
其が合図だった。天使達は我先にとその場から飛び出していきそうな勢いでドアへと向かった。
バンっ――
開かれたドアの先に立っていたのは、イラだった。天使達は何故彼が此処にいるのか解らず、一歩身を引いてしまった。
「い……イラ様?」
「ギャハハハ!なにその格好!ウケるー」
他の天使達が遠慮している中で、ユゥが声を上げながらイラの格好を指差して笑った。いつもの威圧感があるイラからは想像も出来ないような姿――それは、猫耳にしっぽを付けているという事。そのギャップにユゥは耐えられず腹を抱えて笑っている。
「……これは必要なものだ」
「いやぁ、珍しいもん見たわぁ。結構似合ってんじゃん」
「……どうも」
「――で?それの意味は?」
笑い終えた後、ユゥは真面目な質問をした。
「今からゲームをする。この中で、誰か一人でもこの耳やしっぽに触れさえすればお前達の勝ちだ。能力を使っても構わない」
「それが此処を出る条件? 」
「そうだ」
「そんなの簡単じゃん……」
ユゥが普通に手を伸ばして触れようとした瞬間、イラはスッと避け、大羽根を広げた。
「ちょっと!飛ぶのアリかよ……」
「当然だ」
「ちっ……!」
「ほら。お前達も動かなければ候補にすら上がれないぞ」
嘲笑混じりに煽られた天使達もやる気になり、イラを追いかける。しかし、宙を回れては手は届かない。
「――ねぇ、イラ様。その羽根、無しにしない?」
一通りイラを追いかけ回した後、一人の天使がイラに提案した。
「お手上げか?能力を使っても構わないのだぞ」
「うーん……でも、イラ様の事傷付けたくないし」
「…………」
「其に、このままだと時間切れになっちゃいそうだから。オレらの能力なんてたかが知れてるでしょ?イラ様を落とそうなんて無理に近い」
「……解った。では、羽根はしまおう」
「ありがとうございます」
天使――エフレアは可愛らしく笑いながらお礼を言った。イラは素直に頷き、地に足を付きながら羽根はしまった。
「頂き!」
「っ……!?」
急に背後に感じた気配にイラは気づくのが遅れ、しっぽを掴まれそうになった。しかし、持ち前の反射神経で身体を翻し、難を逃れた。
「ちっ……!」
隙を狙ったのはティア。中級天使だが、その容姿はミスタシア達に劣らずともない。幼さを垣間見せるその悪戯っ子な表情はとても愛らしかった。
「もーらい!」
不意を突かれたイラはまた反応に遅れ、間一髪でその手を避けた。だが、次から次へと手を伸ばそうとしてくる天使達に戸惑い、イラは闇を放った。
「うわっ……!」
「何も見えねぇよ……」
突然の暗闇に天使達も下手に動けない。【王座の間】は黒い霧に包まれ、右も左も解らない。イラはその隙を狙って彼らから離れようとした。
「……っ!?」
いきなり足がガクッと体勢を崩し、身体に痺れを感じた。立っている事がやっとな位、痺れは強くなっていく。
「――つーかまーえた!」
ぎゅっとしっぽを掴まれ、イラは振り返る。だが、霧が邪魔で誰だか解らない。パチンッと指を鳴らし、イラは闇を解いた。解放された天使達は視界が戻った事に安堵する。
「……エフレア……」
「僕らの勝ちだね、イラ様」
エフレアはにこっとしながら言った。あの闇の中で取り乱さずに冷静にイラを見つけた。その行動力にイラは感心していた。
「実は、ゲームが始まった時から能力使ってたんだ。僕の能力は、狙った標的を弱らせること。イラ様、反応鈍くなってたでしょ?僕の能力の所為だよ」
「……そうか」
「ほら、見てイラ様。しっぽ掴んだよ。此処から通してくれるよね?」
エフレアは笑みを絶やさずに聞いた。彼も中級天使で其なりの美は持ってはいるが、その微笑は時に少年っぽく、時に青年の様にも見える。不思議な雰囲気を持った子だった。
「――そうだ。私の負けだよ」
イラは両手を上げながら降参した。天使達はワッと喜び、エフレアを誉め称えた。
「あーあ。あたしが捕まえたかったのに」
しっぽと耳を外したイラの側で残念そうにユゥが呟いた。
「こんなに早く終わるとは思わなかったよ」
「エフレアを侮っちゃいけないよ?あたしは苦手だけど。ってか、それ取っちゃうの?」
「そうだな。甘く見すぎていた……。お前が付けるか?」
「見くびっちゃダメよ。付けないし」
「次は【癒しの丘】へ行け」
「わかった。ナギ、行くよ」
「うん……」
ユゥを筆頭に他の天使達も【王座の間】から出ていった。
「……どうした?ナギ」
「……あの、イラ様……これ……」
一人残っていたナギは辺りに誰の気配もない事を確認しながら、手を差し出した。
「なんだ?」
「この間作ったスイートポテト。ミスタシア様にあげようと思って……」
イラの掌に置かれたのは可愛らしい包みのお菓子。
「ありがとう、ナギ。貰っておくよ」
「あ、ありがとうございます‼」
ナギは嬉しそうな笑みを向けながらお辞儀した。そして姉の後を追い掛けていった。
「スイートポテトか。また上手に作ったな」
一仕事終えたイラはナギから頂いたお菓子を眺めながら呟いた――。
「待って、イリア……」
躊躇う彼の手を半ば強引に掴みながら神殿から抜け出す二人。夜も深まった頃の出来事。今はパンドラも眠りの中。外にいる天使達もいない。
「本当に大丈夫なの?」
「大丈夫!あとはミスタシア達に任せましょ」
【癒しの丘】を越えて二人は【神流の森】へと入っていった。闇が一層深まり、風の音も拒むような静けさを放っていた。
注連縄のある深くまで行き、イリアは丈夫そうな木に寄りかかった。
「明朝、夜魅が来るの。だから、その前に起こして欲しい」
「解りました」
「ごめんね、ランティス。睡眠時間割いて。夜魅と話してる時に寝てていいから」
「はい……」
「そんな心配しないで。大丈夫だよ」
「……解ってます……」
「また悪者にされた事、怒ってる?」
「いえ……。イリア様の提案なら文句はありません」
「そう?」
「よく、思いつきましたね」
「我ながら妙案だと思うわ。強さを高めてるならいい機会だよ」
「はい」
イリアは眠くなったのか、ランティスの肩に寄りかかった。
「お休みなさい」
「ん……」
ランティスの温かさに包まれながらイリアは夢の中へと誘われた――。
朝。
天使達にはある御触れが届いていた。
『階級に関わらず、神殿に集まるように』と。
天使達は何が行われるのか良く解らないまま、神殿へと集った。広い【王座の間】があっという間に埋まり、ガヤガヤとした声達が響き渡っていた。
「何するんだろうな」
ナギとユゥの姿もあり、その表情は不安と戸惑いに満ちていた。
暫くして、神官のパンドラが現れた。天使達は彼の言葉に耳を傾け、静けさを作った。
「今日は集まって頂き、ありがとうございます。実は、先日、イリア様がランティスに連れ去られました」
その言葉に先程よりも大きなざわめきが起こった。式典以来、天使達はイリアの可憐さと強さに魅され、慕う者達が多くなっていった。もう、女神の代理である事が当然のように思っている。そんな彼女がランティスに連れ去られたとあっては気丈ではいられない。
「あいつ、また……」
「何処に行ったんですか!?」
「恐らく、【神流の森】でしょう。イリア様は、自分を助けてくれた者にミスタシアの称号を与えると仰っていました。ですから、貴方達に救って頂きたいのです」
パンドラはスラスラと述べた。
「階級は問いません。イリア様を連れ戻してきて下さい」
其が合図だった。天使達は我先にとその場から飛び出していきそうな勢いでドアへと向かった。
バンっ――
開かれたドアの先に立っていたのは、イラだった。天使達は何故彼が此処にいるのか解らず、一歩身を引いてしまった。
「い……イラ様?」
「ギャハハハ!なにその格好!ウケるー」
他の天使達が遠慮している中で、ユゥが声を上げながらイラの格好を指差して笑った。いつもの威圧感があるイラからは想像も出来ないような姿――それは、猫耳にしっぽを付けているという事。そのギャップにユゥは耐えられず腹を抱えて笑っている。
「……これは必要なものだ」
「いやぁ、珍しいもん見たわぁ。結構似合ってんじゃん」
「……どうも」
「――で?それの意味は?」
笑い終えた後、ユゥは真面目な質問をした。
「今からゲームをする。この中で、誰か一人でもこの耳やしっぽに触れさえすればお前達の勝ちだ。能力を使っても構わない」
「それが此処を出る条件? 」
「そうだ」
「そんなの簡単じゃん……」
ユゥが普通に手を伸ばして触れようとした瞬間、イラはスッと避け、大羽根を広げた。
「ちょっと!飛ぶのアリかよ……」
「当然だ」
「ちっ……!」
「ほら。お前達も動かなければ候補にすら上がれないぞ」
嘲笑混じりに煽られた天使達もやる気になり、イラを追いかける。しかし、宙を回れては手は届かない。
「――ねぇ、イラ様。その羽根、無しにしない?」
一通りイラを追いかけ回した後、一人の天使がイラに提案した。
「お手上げか?能力を使っても構わないのだぞ」
「うーん……でも、イラ様の事傷付けたくないし」
「…………」
「其に、このままだと時間切れになっちゃいそうだから。オレらの能力なんてたかが知れてるでしょ?イラ様を落とそうなんて無理に近い」
「……解った。では、羽根はしまおう」
「ありがとうございます」
天使――エフレアは可愛らしく笑いながらお礼を言った。イラは素直に頷き、地に足を付きながら羽根はしまった。
「頂き!」
「っ……!?」
急に背後に感じた気配にイラは気づくのが遅れ、しっぽを掴まれそうになった。しかし、持ち前の反射神経で身体を翻し、難を逃れた。
「ちっ……!」
隙を狙ったのはティア。中級天使だが、その容姿はミスタシア達に劣らずともない。幼さを垣間見せるその悪戯っ子な表情はとても愛らしかった。
「もーらい!」
不意を突かれたイラはまた反応に遅れ、間一髪でその手を避けた。だが、次から次へと手を伸ばそうとしてくる天使達に戸惑い、イラは闇を放った。
「うわっ……!」
「何も見えねぇよ……」
突然の暗闇に天使達も下手に動けない。【王座の間】は黒い霧に包まれ、右も左も解らない。イラはその隙を狙って彼らから離れようとした。
「……っ!?」
いきなり足がガクッと体勢を崩し、身体に痺れを感じた。立っている事がやっとな位、痺れは強くなっていく。
「――つーかまーえた!」
ぎゅっとしっぽを掴まれ、イラは振り返る。だが、霧が邪魔で誰だか解らない。パチンッと指を鳴らし、イラは闇を解いた。解放された天使達は視界が戻った事に安堵する。
「……エフレア……」
「僕らの勝ちだね、イラ様」
エフレアはにこっとしながら言った。あの闇の中で取り乱さずに冷静にイラを見つけた。その行動力にイラは感心していた。
「実は、ゲームが始まった時から能力使ってたんだ。僕の能力は、狙った標的を弱らせること。イラ様、反応鈍くなってたでしょ?僕の能力の所為だよ」
「……そうか」
「ほら、見てイラ様。しっぽ掴んだよ。此処から通してくれるよね?」
エフレアは笑みを絶やさずに聞いた。彼も中級天使で其なりの美は持ってはいるが、その微笑は時に少年っぽく、時に青年の様にも見える。不思議な雰囲気を持った子だった。
「――そうだ。私の負けだよ」
イラは両手を上げながら降参した。天使達はワッと喜び、エフレアを誉め称えた。
「あーあ。あたしが捕まえたかったのに」
しっぽと耳を外したイラの側で残念そうにユゥが呟いた。
「こんなに早く終わるとは思わなかったよ」
「エフレアを侮っちゃいけないよ?あたしは苦手だけど。ってか、それ取っちゃうの?」
「そうだな。甘く見すぎていた……。お前が付けるか?」
「見くびっちゃダメよ。付けないし」
「次は【癒しの丘】へ行け」
「わかった。ナギ、行くよ」
「うん……」
ユゥを筆頭に他の天使達も【王座の間】から出ていった。
「……どうした?ナギ」
「……あの、イラ様……これ……」
一人残っていたナギは辺りに誰の気配もない事を確認しながら、手を差し出した。
「なんだ?」
「この間作ったスイートポテト。ミスタシア様にあげようと思って……」
イラの掌に置かれたのは可愛らしい包みのお菓子。
「ありがとう、ナギ。貰っておくよ」
「あ、ありがとうございます‼」
ナギは嬉しそうな笑みを向けながらお辞儀した。そして姉の後を追い掛けていった。
「スイートポテトか。また上手に作ったな」
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