35 / 41
35 あの子は手が大きかった
「追伸、家名は捨てました。ただヴァルターとだけお呼びください。…………おにいさん、大丈夫?」
「んー……」
中身の詰まった、ふっくらとしたクッションに包まれたヘッドボードや枕にノエルくんが背中を預けている。その腰にしがみつくようにして顔を埋め、僕は彼に身を預けている。
まるで泣き疲れた子供のよう。ジャスパーにも見せられやしないこの姿。しかし事実、泣いたあとである僕の頭は霧がかかりぼんやりとしていて、何もできないし考えられなかった。
僕の様子がおかしいと気がついたのは帰ってすぐ、出迎えのために顔を合わせたときだったそうだ。料理人さんを急かして手早く夕食を食べ、湯を使ったあとは僕の部屋へと一直線に訪ねてきた。
開口一番、『何があったの』。そのあったことを話そうとした矢先、ぼたぼた涙が出てきてしまった。話したいことは山程あるんだから、勝手にそれを無視して出しゃばらないでほしい。
一通の手紙を差し出すだけの、足元のおぼつかない僕を見かねて彼はベッドの方へ手を引いて連れて行ってくれた。今はそんな気分じゃないなあ、と思ってしまったのは今考えてもどうかと思う。
彼はそんな空気の読めないことはしなかった。身体で慰めるという名の、欲望の発露という罪は犯さなかった。
「正直に言うと、おにいさんが助かってほんとに良かった。計画が杜撰だから、もし捕まっても必ずどこかで隙が生じて逃げ出せる可能性はあっただろうけど。でも焦ってる犯人は何をするかわからないから、治療魔術師でもどうにもならない怪我をしてたかもしれない」
「……どーだろ、怪我をしたってことは戦ったってことだから。僕は刃物なんか向けられたら、大人しくついていっちゃうかも。ああでも、逃げる勇気も出せないかもなあ……」
「出さなくていいんだよ。そもそも計画自体がおかしいし、ちゃんと周りが気づいて助けてくれる。おにいさんには気にかけてくれる家族が何人もいるから」
「それがこの子にはなかったんだって思うと、なんだか責める気になれないんだよ。お母様たちがすごく悲しんでるのを見てきたし、あの人が身代わりになってくれてたって聞いて今更後悔したりしてたのに」
「気持ちの持って行きどころがないからだよ。犯人憎しの気持ちが膨れ上がったのに、大本の原因であるはずの教唆犯に同情しちゃったから。おにいさんは優しいからね。でもその気持ちの湖にずっと浸かってたら身体に悪いよ。どうしても出てこれないなら無理しなくていいけど、俺の手の届くところまでにして」
「それは結構浅瀬になるだろうね。潜水するのはできないな」
「潜りたいなら縄をつけようか。危ないと思ったときは引っ張るから」
そのとき僕の脳裏には、水面に薄曇りの空が映り込んでいる湖と、そこでバシャバシャ泳ぐ僕、僕の胴体につけた縄を握って見守るノエルくん、というなんだか飛行魔術訓練を水泳版にしたような画が浮かんできた。
どうしても泳ぎたい犬と、仕方なく見守っている飼い主のようでもあるな、と勝手に愉快な妄想を膨らませてクスクスとひとりで笑ってしまった。
大きな手が僕の額をすっぽり覆い、髪を撫でながら頭の後ろへゆっくりゆっくり流してゆく。そうやって乱した髪を丁寧に指先で整えて、また流して。規則的に繰り返されるその動作と温かな手のひらから伝わる体温に、僕の頭はバターのように溶かされ角がなくなっていった。うっとりするほど気持ちが良かった。
この手があれば大丈夫だ。安心だ。ふと、なんの気無しにそう思った。僕につけた縄を掴んでいてくれる手。飛馬を二頭も飛ばすことのできる手。僕を抱く手でもあるし、僕から繋いであげるとなぜか湿ってくる面白い手でもある。
そういえばノエルくんがまだ小さかったとき。あの頃からもう手だけは大きかったなあ。膝に乗せた手に目が行ったとき、指が長くて全体的に大きいな、と確かに思ったのだ。足は見てなかったけど、足も大きかったんじゃないかなあ。
足が太い犬は成犬になると必ず大きくなる、って話は人間にも共通していることなのだろうか。違うかな。どうだろな。
「今は潜らない。せっかく旦那様がいるのにそんなのもったいない。僕は旦那様と遊びたいの」
「何して遊ぶの? もう夜だから、カードくらいしかできないかも。うるさくしたらメイドさんたちに叱られちゃう」
「ちがうよー。こっちだよ。メイドさんが邪魔してこない方の」
僕は気にはしていたが自分の心の動きを見つめるのに精一杯で、構ってあげられなかったところを布の上から触ってみた。驚いたらしく膝が直角になってビクンと上がり、それもまた面白い光景だった。
「……ごめんね」
「ん? なにが?」
「絶対そんな気分じゃないのはわかってるんだけど、べ、ベッドに上ってくっついてると、反射的にこうなっちゃって」
「ふーん。下半身は別の生き物だっていうけどさ、上下で別々のことを考えられるって器用だね。僕にはないからできないなー」
「……ないのもいいかも。だって、たまに誤作動とかするんだよ。朝も勝手に頑張り出してさ、トイレ行ってもやり辛くって仕方ないよ」
「うーん、なるほど? そうなのか。そんな困り事がねえ……」
夜着の紐をするすると解き、前に口をつけてあげると『うわあ……』という初々しい声が降ってきた。前夫に仕込まれた技ではあるが、口が裂けてもそうとは言わない。何か察しているかもしれないが、知らない振りをするに限る。夜のお作法である。
目は期待しているのに眉を不安そうに下げた、ちぐはぐな顔をしたノエルくんが僕を凝視している。だんだん息が上ってきているのを感じると、僕の心臓もそれに合わせたようにドキドキと早まり始めた。
明日の出勤は朝、いつも通りの時間。寝不足になってはいけないのでこれだけで終わらせてあげようと思っていたが、ゆっくりなのに性急、という動きでその遊びは中断させられた。僕を撫でてくれた手は今僕の横にあり、ベッドを微かに鳴らしている。
「きょ、今日はできないと思った。心配なのは本当だけど、一割くらいは残念に思ってた。……ごめんね」
「なんで謝るのさ。やりたいと思ってくれるのは嬉しいんだよ。あっ、でもっ……、程々にしよう。明日はお仕事でしょ。僕から誘ったのにっ……、悪いけど……」
『魔術薬があるから』と、いつもより低くなった声でそう言われた。こういうときに耳元で聞くと、誘惑されているような気分になる。だからもっと脚を開け、と言われているようだし、見せろ、と言われたようでもある。
泣いてぼんやりしていた頭に、彼の声が染みわたり身体があちこち痺れてゆく。やや伸びすぎた黒い髪で脇の下や鼠径なんかをふいにくすぐられ、ちょっと我慢できなくて笑ってしまう。
そうすると今度はこっちを向け、と注意を促すように深いところを突かれるため、まるで遊びを変えただけのようだった。
彼といると、こうやって少しずつ楽しいことがある。派手な笑い話なんかを話してくれたことはない。でもこの地道に努力できる真面目な人には、人の関心を惹くための下心がない。
その無欲さが何か小さな面白いことを引き寄せる。そんな気がしている。僕の関心は大いに惹きたいようだが。それはそれで嬉しいことだ。
彼は面白いこと自体は好きなようだ。僕のお話の時間というのはその後もなくならなかった。というより、僕の方がそれに乗り気だった。彼が笑うと僕の方が楽しくて仕方ないもんだから。
「んー……」
中身の詰まった、ふっくらとしたクッションに包まれたヘッドボードや枕にノエルくんが背中を預けている。その腰にしがみつくようにして顔を埋め、僕は彼に身を預けている。
まるで泣き疲れた子供のよう。ジャスパーにも見せられやしないこの姿。しかし事実、泣いたあとである僕の頭は霧がかかりぼんやりとしていて、何もできないし考えられなかった。
僕の様子がおかしいと気がついたのは帰ってすぐ、出迎えのために顔を合わせたときだったそうだ。料理人さんを急かして手早く夕食を食べ、湯を使ったあとは僕の部屋へと一直線に訪ねてきた。
開口一番、『何があったの』。そのあったことを話そうとした矢先、ぼたぼた涙が出てきてしまった。話したいことは山程あるんだから、勝手にそれを無視して出しゃばらないでほしい。
一通の手紙を差し出すだけの、足元のおぼつかない僕を見かねて彼はベッドの方へ手を引いて連れて行ってくれた。今はそんな気分じゃないなあ、と思ってしまったのは今考えてもどうかと思う。
彼はそんな空気の読めないことはしなかった。身体で慰めるという名の、欲望の発露という罪は犯さなかった。
「正直に言うと、おにいさんが助かってほんとに良かった。計画が杜撰だから、もし捕まっても必ずどこかで隙が生じて逃げ出せる可能性はあっただろうけど。でも焦ってる犯人は何をするかわからないから、治療魔術師でもどうにもならない怪我をしてたかもしれない」
「……どーだろ、怪我をしたってことは戦ったってことだから。僕は刃物なんか向けられたら、大人しくついていっちゃうかも。ああでも、逃げる勇気も出せないかもなあ……」
「出さなくていいんだよ。そもそも計画自体がおかしいし、ちゃんと周りが気づいて助けてくれる。おにいさんには気にかけてくれる家族が何人もいるから」
「それがこの子にはなかったんだって思うと、なんだか責める気になれないんだよ。お母様たちがすごく悲しんでるのを見てきたし、あの人が身代わりになってくれてたって聞いて今更後悔したりしてたのに」
「気持ちの持って行きどころがないからだよ。犯人憎しの気持ちが膨れ上がったのに、大本の原因であるはずの教唆犯に同情しちゃったから。おにいさんは優しいからね。でもその気持ちの湖にずっと浸かってたら身体に悪いよ。どうしても出てこれないなら無理しなくていいけど、俺の手の届くところまでにして」
「それは結構浅瀬になるだろうね。潜水するのはできないな」
「潜りたいなら縄をつけようか。危ないと思ったときは引っ張るから」
そのとき僕の脳裏には、水面に薄曇りの空が映り込んでいる湖と、そこでバシャバシャ泳ぐ僕、僕の胴体につけた縄を握って見守るノエルくん、というなんだか飛行魔術訓練を水泳版にしたような画が浮かんできた。
どうしても泳ぎたい犬と、仕方なく見守っている飼い主のようでもあるな、と勝手に愉快な妄想を膨らませてクスクスとひとりで笑ってしまった。
大きな手が僕の額をすっぽり覆い、髪を撫でながら頭の後ろへゆっくりゆっくり流してゆく。そうやって乱した髪を丁寧に指先で整えて、また流して。規則的に繰り返されるその動作と温かな手のひらから伝わる体温に、僕の頭はバターのように溶かされ角がなくなっていった。うっとりするほど気持ちが良かった。
この手があれば大丈夫だ。安心だ。ふと、なんの気無しにそう思った。僕につけた縄を掴んでいてくれる手。飛馬を二頭も飛ばすことのできる手。僕を抱く手でもあるし、僕から繋いであげるとなぜか湿ってくる面白い手でもある。
そういえばノエルくんがまだ小さかったとき。あの頃からもう手だけは大きかったなあ。膝に乗せた手に目が行ったとき、指が長くて全体的に大きいな、と確かに思ったのだ。足は見てなかったけど、足も大きかったんじゃないかなあ。
足が太い犬は成犬になると必ず大きくなる、って話は人間にも共通していることなのだろうか。違うかな。どうだろな。
「今は潜らない。せっかく旦那様がいるのにそんなのもったいない。僕は旦那様と遊びたいの」
「何して遊ぶの? もう夜だから、カードくらいしかできないかも。うるさくしたらメイドさんたちに叱られちゃう」
「ちがうよー。こっちだよ。メイドさんが邪魔してこない方の」
僕は気にはしていたが自分の心の動きを見つめるのに精一杯で、構ってあげられなかったところを布の上から触ってみた。驚いたらしく膝が直角になってビクンと上がり、それもまた面白い光景だった。
「……ごめんね」
「ん? なにが?」
「絶対そんな気分じゃないのはわかってるんだけど、べ、ベッドに上ってくっついてると、反射的にこうなっちゃって」
「ふーん。下半身は別の生き物だっていうけどさ、上下で別々のことを考えられるって器用だね。僕にはないからできないなー」
「……ないのもいいかも。だって、たまに誤作動とかするんだよ。朝も勝手に頑張り出してさ、トイレ行ってもやり辛くって仕方ないよ」
「うーん、なるほど? そうなのか。そんな困り事がねえ……」
夜着の紐をするすると解き、前に口をつけてあげると『うわあ……』という初々しい声が降ってきた。前夫に仕込まれた技ではあるが、口が裂けてもそうとは言わない。何か察しているかもしれないが、知らない振りをするに限る。夜のお作法である。
目は期待しているのに眉を不安そうに下げた、ちぐはぐな顔をしたノエルくんが僕を凝視している。だんだん息が上ってきているのを感じると、僕の心臓もそれに合わせたようにドキドキと早まり始めた。
明日の出勤は朝、いつも通りの時間。寝不足になってはいけないのでこれだけで終わらせてあげようと思っていたが、ゆっくりなのに性急、という動きでその遊びは中断させられた。僕を撫でてくれた手は今僕の横にあり、ベッドを微かに鳴らしている。
「きょ、今日はできないと思った。心配なのは本当だけど、一割くらいは残念に思ってた。……ごめんね」
「なんで謝るのさ。やりたいと思ってくれるのは嬉しいんだよ。あっ、でもっ……、程々にしよう。明日はお仕事でしょ。僕から誘ったのにっ……、悪いけど……」
『魔術薬があるから』と、いつもより低くなった声でそう言われた。こういうときに耳元で聞くと、誘惑されているような気分になる。だからもっと脚を開け、と言われているようだし、見せろ、と言われたようでもある。
泣いてぼんやりしていた頭に、彼の声が染みわたり身体があちこち痺れてゆく。やや伸びすぎた黒い髪で脇の下や鼠径なんかをふいにくすぐられ、ちょっと我慢できなくて笑ってしまう。
そうすると今度はこっちを向け、と注意を促すように深いところを突かれるため、まるで遊びを変えただけのようだった。
彼といると、こうやって少しずつ楽しいことがある。派手な笑い話なんかを話してくれたことはない。でもこの地道に努力できる真面目な人には、人の関心を惹くための下心がない。
その無欲さが何か小さな面白いことを引き寄せる。そんな気がしている。僕の関心は大いに惹きたいようだが。それはそれで嬉しいことだ。
彼は面白いこと自体は好きなようだ。僕のお話の時間というのはその後もなくならなかった。というより、僕の方がそれに乗り気だった。彼が笑うと僕の方が楽しくて仕方ないもんだから。
あなたにおすすめの小説
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。
めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。
その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。
⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる
⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない
※全四話、予約投稿済み。
本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。
※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい
歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、
裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会
ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った
全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。
辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。