濡れた瞳を復讐の色に変えて ~紅き魔眼の魔剣使いは魔術学院にて全てを蹂躙する~

岡田リメイ

文字の大きさ
15 / 19

アルヴァン・ホークレイド

しおりを挟む

 魔法学が終わった後、アイン達は食堂に移動していた。
 お昼時の食堂は学生達で賑わっており、その中で何とか席を確保したアイン達はゆっくりと腰かける。

「やっと昼飯の時間だぜ」

「初めての授業だったもんね。私もお腹ペコペコだよ~」

「ベネットは疲れました。──もう動けません」

「午後は魔法武器実習だから、しっかり食べておかないとね。と言うかソフィア......」

「ん?   どうしたのアイン」

 アインはソフィアの前に置かれた山盛りの料理を見る。
 確かに今の時期は魔力器官の成長期であり、お腹が空くのは仕方がないが、余りの量に唖然としてしまう。

 こちらを向きながら黙々と食べ進める彼女。
 あの小さな身体の何処にこの食べ物達が消えていくのか。
 何だか魔法使いの神秘に触れたような気がする。

「いや......何でもない。ただ美味しそうに食べるなと」

「うん!   このグラタンすっごく美味しいよ?   アインも食べてみなよ」

「ありがたく貰うとするよ......」

 自分の皿をソフィアに差し出すアイン。
 そんなアインをニヤニヤと見つめるシルバ。

「アインはな、ソフィアが尋常じゃねぇほど食うからびっくりしてんだよな?」

「そうなの!?」

「いやいや、食べないよりはいっぱい食べてくれた方が安心だ!   ソフィアは魔力が人一倍多そうだし、それくらい食べても変ではない──うん」

「って言ってるよシルバ」

「アインは優しいねぇ」

 皿に盛られたグラタンを受けとるアイン。
 シルバが余計な事を言うので何故か特盛にされてしまった。
 こんなに食べて午後の授業に支障はでないだろうか......

 その時、後ろから声を掛けられる。

「食事中悪いな。今時間は大丈夫だろうか」

 振り返るアイン。
 そこにはオレンジ色の髪を無造作に整えた端正な顔立ち。
 スラッとした長身の美丈夫。
 先ほど魔法学の授業で発表していたホークレイドの名を冠する青年が立っていた。

「君は......」

「名乗り遅れた。俺はアルヴァン・ホークレイド。好きなように呼んでくれて大丈夫だ」

「僕はアイン・フォーデン。何か用でも?」

「いや、用って程のものじゃないんだ。魔物学の時間から少し気になっていてね。姿が見えたもんで、声を掛けさせて貰った」

「もしかして、魔法学の時間目が合ったのは......」

「偶然じゃないぜ?」

 こちらを真っ直ぐに捉えるアルヴァン。
 笑みを浮かべながら砕けた話し方をする彼を見るに、最初の印象と幾分か違うように感じる。
 思っていたよりも気さくで話しやすい生徒なのかもしれない。

「アルヴァンも昼食を取りに来たのかい?」

「いや、俺はもう済ませてある。たまたま通り掛かって声を掛けた感じだ。これ以上長居すると迷惑になりそうなんで、今日はこの変で失礼させて貰おうかね」

「分かった。また時間がある時に話をしよう」

「あぁ、これからも仲良くしようぜアイン」

 爽やかな笑顔を見せるアルヴァン。
 彼は手を振りながら学生寮の方へと消えて行った。

「なんだアイン。オレンジ髪と知り合いだったのか?」

「いや、今日初めて話したよ。たまたま通りかかって声を掛けてくれたらしい」

「ホークレイドってかなり有名な魔法貴族だよね。やっぱり魔物学の時間でアインに興味を持ったのかな?   もしかして、お抱えの騎士候補とか?」

「アイン大貴族の騎士になるのか!?  すげぇじゃねぇか!」

「ベネットも大貴族に養って貰いたいです!」

「いやいや、話が飛躍しすぎだよ。アルヴァンは多分友達として仲良くしようって事で、声を掛けてくれただけだと思うよ」

 このコンタクトに他意はないはずだ。
 純粋に仲良くしよう。そんな感じの雰囲気がみて取れたからだ。

 しかし、彼は大魔法貴族の血筋。
 この声かけにも何か裏があったのだろうか?
 そんな事を考えていては友好の和が広がらないと考えたアインは頭を切り替える。

「それよりも午後は身体を動かす実習がある。少し早めに準備をした方が良いかもしれないね」

 そう言いながら、目の前のグラタンを掻き込み、食堂を後にするのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!

川井田ナツナ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。 だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。 だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。 馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。 俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...