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アルヴァン・ホークレイド
しおりを挟む魔法学が終わった後、アイン達は食堂に移動していた。
お昼時の食堂は学生達で賑わっており、その中で何とか席を確保したアイン達はゆっくりと腰かける。
「やっと昼飯の時間だぜ」
「初めての授業だったもんね。私もお腹ペコペコだよ~」
「ベネットは疲れました。──もう動けません」
「午後は魔法武器実習だから、しっかり食べておかないとね。と言うかソフィア......」
「ん? どうしたのアイン」
アインはソフィアの前に置かれた山盛りの料理を見る。
確かに今の時期は魔力器官の成長期であり、お腹が空くのは仕方がないが、余りの量に唖然としてしまう。
こちらを向きながら黙々と食べ進める彼女。
あの小さな身体の何処にこの食べ物達が消えていくのか。
何だか魔法使いの神秘に触れたような気がする。
「いや......何でもない。ただ美味しそうに食べるなと」
「うん! このグラタンすっごく美味しいよ? アインも食べてみなよ」
「ありがたく貰うとするよ......」
自分の皿をソフィアに差し出すアイン。
そんなアインをニヤニヤと見つめるシルバ。
「アインはな、ソフィアが尋常じゃねぇほど食うからびっくりしてんだよな?」
「そうなの!?」
「いやいや、食べないよりはいっぱい食べてくれた方が安心だ! ソフィアは魔力が人一倍多そうだし、それくらい食べても変ではない──うん」
「って言ってるよシルバ」
「アインは優しいねぇ」
皿に盛られたグラタンを受けとるアイン。
シルバが余計な事を言うので何故か特盛にされてしまった。
こんなに食べて午後の授業に支障はでないだろうか......
その時、後ろから声を掛けられる。
「食事中悪いな。今時間は大丈夫だろうか」
振り返るアイン。
そこにはオレンジ色の髪を無造作に整えた端正な顔立ち。
スラッとした長身の美丈夫。
先ほど魔法学の授業で発表していたホークレイドの名を冠する青年が立っていた。
「君は......」
「名乗り遅れた。俺はアルヴァン・ホークレイド。好きなように呼んでくれて大丈夫だ」
「僕はアイン・フォーデン。何か用でも?」
「いや、用って程のものじゃないんだ。魔物学の時間から少し気になっていてね。姿が見えたもんで、声を掛けさせて貰った」
「もしかして、魔法学の時間目が合ったのは......」
「偶然じゃないぜ?」
こちらを真っ直ぐに捉えるアルヴァン。
笑みを浮かべながら砕けた話し方をする彼を見るに、最初の印象と幾分か違うように感じる。
思っていたよりも気さくで話しやすい生徒なのかもしれない。
「アルヴァンも昼食を取りに来たのかい?」
「いや、俺はもう済ませてある。たまたま通り掛かって声を掛けた感じだ。これ以上長居すると迷惑になりそうなんで、今日はこの変で失礼させて貰おうかね」
「分かった。また時間がある時に話をしよう」
「あぁ、これからも仲良くしようぜアイン」
爽やかな笑顔を見せるアルヴァン。
彼は手を振りながら学生寮の方へと消えて行った。
「なんだアイン。オレンジ髪と知り合いだったのか?」
「いや、今日初めて話したよ。たまたま通りかかって声を掛けてくれたらしい」
「ホークレイドってかなり有名な魔法貴族だよね。やっぱり魔物学の時間でアインに興味を持ったのかな? もしかして、お抱えの騎士候補とか?」
「アイン大貴族の騎士になるのか!? すげぇじゃねぇか!」
「ベネットも大貴族に養って貰いたいです!」
「いやいや、話が飛躍しすぎだよ。アルヴァンは多分友達として仲良くしようって事で、声を掛けてくれただけだと思うよ」
このコンタクトに他意はないはずだ。
純粋に仲良くしよう。そんな感じの雰囲気がみて取れたからだ。
しかし、彼は大魔法貴族の血筋。
この声かけにも何か裏があったのだろうか?
そんな事を考えていては友好の和が広がらないと考えたアインは頭を切り替える。
「それよりも午後は身体を動かす実習がある。少し早めに準備をした方が良いかもしれないね」
そう言いながら、目の前のグラタンを掻き込み、食堂を後にするのだった。
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