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第3話/ダンジョンの暴君
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「そういや私はお前のこと、なんて呼んだらいいんだ?」
「エド、とでも呼んでくれ。」
「わかったエド!!!」
そんな言葉と共に冒険者ギルドを後にした。
僕の腰には『魔剣/トリガー』がぶら下がっている。
この剣の事は何もわからないまま貰っちゃったけど、使い方は普通のと同じだよな…
今日は、初めてのクエストを受けてみることにした。
クエスト
内容:迷宮にて、魔物、邪丑の討伐。
報酬:30アーロ(1アーロ=¥10000)
場所:迷宮の入口は、南区/南門近くの洞窟。
概要:ミノタウロスは、冒険者や採掘者など、迷宮に迷い込んだ人間を捕食している。安全に探索できるよう、討伐して欲しい。
迷宮はまだ入ったことがなかった。新しい冒険の予感がする。
「初めてのクエストだ!私めっっちゃ楽しみだよ!エド!」
「僕もだよ!もしかしたら宝物とかいっぱいあるかもしれないし!」
迷宮には、ミノタウロスが隠している財宝があるという話もあるらしい。ついでにそっちも探そう。
ヴァイアナ/南区/南門付近/ゼヨーテ洞窟
大きな穴だ。反り立った崖に空いた穴が、僕達をその穴の奥へと誘っている。元々崖の上にはお城があって、その地下が牢屋として使われていた。その地下牢が、今では魔物の住処である迷宮になっているのだ。
「思ったよりデカイね。」
シェルも冷や汗をかいている。
「すごい威圧感だけど、結構わくわくしてるよ、僕。」
そう言って僕達は洞窟の闇に吸い込まれるように中に入った。
洞窟は、中に行くほど狭くなっている。ところどころ道が分かれているが、僕達は全てまっすぐの道を選んだ。
「はぐれないように、そばにいて。」
洞窟に灯された松明の明かりを頼りに進んでいると、下に続く階段が現れた。階段を下りると、少し広い部屋にでた。
「ちょっと広いね、ここ。」
「待って、何か音がしない?」
辺りは薄暗かったが、急に明るくなり、音の正体が明らかになった。
「…ガルムだ。」
番犬
地獄の番犬。胸に殺した者たちの血を滴らせている。地下牢に放たれたこの狂犬は、かつて囚人達を引きずり回し、恐れられた。やつの住処は常に血の匂いが立ち込める。
ヴァイアナ童話より『とある囚人の手記』著:不明
ガルムはBクラスの魔物だが、集団で行動し、凶暴性もある。Bクラスでも危険な部類だ。最初に動いたのはシェルだった。
「こんなヤツら"一瞬"だよ!!!」
時が止まったような感覚を覚えた。気付けばガルムは全部倒れていた。
「終わり!いこう。」
シェルがSクラスなのもちょっとわかった気がする。
またしばらく歩くと、今度は天井の高い広い部屋にでた。大きな足音が聞こえる。どうやらまっすぐ進んで来たのが正解だったみたいだ。ここはミノタウロスの縄張りらしい。開けてはいるが、まだ入り組んでいる。僕達は足音が聞こえる方へ歩いていった。
「ズゥン…ズゥン…」
足音が大きくなっている。近いみたいだ。
「近いね。私が飛んでみてこようか?」
壁は途中で途切れていたから、上からは全体を見渡せるらしい。
「頼んだ。」
シェルはあっという間に天井近いところまで着くと、急いで戻ってきた。
「まずい、ミノタウロスは1体じゃない。」
1体じゃない、?
「私たちより少し大きいくらいのミノタウロスが5体いる。」
5体もいるのか。でも、僕達なら…
「そして、特大の、この天井に頭がつきそうなのが2体。」
…この天井に、?そしたら、ヴァイアナのお城の塔くらいの身長はある。大きすぎる。しかも2体。僕がバーメントで倒したドラゴンの2倍はある。考えていても、クエストを完了するためには先に進まなければどうにもならない。
「とりあえず、5体を倒そう。」
「うん、私は上から場所を教えながら戦う。」
そう言うと、さっきよりも低い位置まで飛んで行った。
「そこ、まっすぐ言って右」
右に曲がると、ミノタウロスがいた。大きい。
なるべくオドを使わないように…
_オド3000使用、炎属性/爆裂魔法『エクリプス・ソレイユ』
人差し指と薬指、そして親指の3本の指を立ててミノタウロスに向ける
ユニーク:クリティカルをパッシブとして使用
「ばーん」
1体目、体は木っ端微塵だ
「次左曲がってまっすぐ」
_オド3000使用、炎属性/爆裂魔法…
「ばーん」
2体目…
3体目…
4体目…
最後の1体。その後ろには巨大な影があった。
邪丑
牛の頭を持つ魔物。かつて破壊の限りを尽くした獣人族の若者は、村を追われた。食わず寝ず歩き続けた若者は、ドワーフの暮らす町を訪れた。町の人は優しくしてくれたが、若者は人々を喰い、町を壊した。しかし戦いに優れたドワーフは若者を城の地下にある迷宮に閉じ込め、二度と出られなくしてしまった。
ヴァイアナ童話より『とある囚人の手記』著:不明
あと2体、特大のミノタウロス。オドの消費が激しいから、2体目まで持たないかもしれない。
_オド15000使用、炎属性/滅却魔法『ゾーク・イラプション』
手のひらを上に向け、人差し指を残して握る
「どーん!」
人差し指をミノタウロスの足元から頭まで引き上げる
まるで火山に放り込まれたように、ミノタウロスは炎に包まれた
ユニークのクリティカルもあるし、これで倒せるはず…
しかし、ミノタウロスは生きていた。
「タフなやつだな!!」
「私に任せろ!」
_オド10000使用、雷属性/放電魔法 『サンダー・ボルト』
ユニーク:ヒットアンドアウェイ、発動
シェルの攻撃はミノタウロスに十分効いている。
しかし、ミノタウロスが反撃してきた。
素早く、重い一撃…
「当たらないね。」
シェルはまったく反対の場所にいた。
「私のユニークは自分の攻撃は必ず当たって、相手の攻撃は全て避けられるってスキルだ!」
ミノタウロスの反撃も虚しく、シェルのユニークによって完封された。無事巨大ミノタウロスの"1体目"を倒した。
もう、僕達にはオドが残っていない。
シェルのユニークもクールタイムがある。
2体目を倒すのは、無理だ。
「帰ろう」
そう思った次の瞬間、腰の剣、トリガーが動き出した。
第3話/トリガーの適合者 I
「エド、とでも呼んでくれ。」
「わかったエド!!!」
そんな言葉と共に冒険者ギルドを後にした。
僕の腰には『魔剣/トリガー』がぶら下がっている。
この剣の事は何もわからないまま貰っちゃったけど、使い方は普通のと同じだよな…
今日は、初めてのクエストを受けてみることにした。
クエスト
内容:迷宮にて、魔物、邪丑の討伐。
報酬:30アーロ(1アーロ=¥10000)
場所:迷宮の入口は、南区/南門近くの洞窟。
概要:ミノタウロスは、冒険者や採掘者など、迷宮に迷い込んだ人間を捕食している。安全に探索できるよう、討伐して欲しい。
迷宮はまだ入ったことがなかった。新しい冒険の予感がする。
「初めてのクエストだ!私めっっちゃ楽しみだよ!エド!」
「僕もだよ!もしかしたら宝物とかいっぱいあるかもしれないし!」
迷宮には、ミノタウロスが隠している財宝があるという話もあるらしい。ついでにそっちも探そう。
ヴァイアナ/南区/南門付近/ゼヨーテ洞窟
大きな穴だ。反り立った崖に空いた穴が、僕達をその穴の奥へと誘っている。元々崖の上にはお城があって、その地下が牢屋として使われていた。その地下牢が、今では魔物の住処である迷宮になっているのだ。
「思ったよりデカイね。」
シェルも冷や汗をかいている。
「すごい威圧感だけど、結構わくわくしてるよ、僕。」
そう言って僕達は洞窟の闇に吸い込まれるように中に入った。
洞窟は、中に行くほど狭くなっている。ところどころ道が分かれているが、僕達は全てまっすぐの道を選んだ。
「はぐれないように、そばにいて。」
洞窟に灯された松明の明かりを頼りに進んでいると、下に続く階段が現れた。階段を下りると、少し広い部屋にでた。
「ちょっと広いね、ここ。」
「待って、何か音がしない?」
辺りは薄暗かったが、急に明るくなり、音の正体が明らかになった。
「…ガルムだ。」
番犬
地獄の番犬。胸に殺した者たちの血を滴らせている。地下牢に放たれたこの狂犬は、かつて囚人達を引きずり回し、恐れられた。やつの住処は常に血の匂いが立ち込める。
ヴァイアナ童話より『とある囚人の手記』著:不明
ガルムはBクラスの魔物だが、集団で行動し、凶暴性もある。Bクラスでも危険な部類だ。最初に動いたのはシェルだった。
「こんなヤツら"一瞬"だよ!!!」
時が止まったような感覚を覚えた。気付けばガルムは全部倒れていた。
「終わり!いこう。」
シェルがSクラスなのもちょっとわかった気がする。
またしばらく歩くと、今度は天井の高い広い部屋にでた。大きな足音が聞こえる。どうやらまっすぐ進んで来たのが正解だったみたいだ。ここはミノタウロスの縄張りらしい。開けてはいるが、まだ入り組んでいる。僕達は足音が聞こえる方へ歩いていった。
「ズゥン…ズゥン…」
足音が大きくなっている。近いみたいだ。
「近いね。私が飛んでみてこようか?」
壁は途中で途切れていたから、上からは全体を見渡せるらしい。
「頼んだ。」
シェルはあっという間に天井近いところまで着くと、急いで戻ってきた。
「まずい、ミノタウロスは1体じゃない。」
1体じゃない、?
「私たちより少し大きいくらいのミノタウロスが5体いる。」
5体もいるのか。でも、僕達なら…
「そして、特大の、この天井に頭がつきそうなのが2体。」
…この天井に、?そしたら、ヴァイアナのお城の塔くらいの身長はある。大きすぎる。しかも2体。僕がバーメントで倒したドラゴンの2倍はある。考えていても、クエストを完了するためには先に進まなければどうにもならない。
「とりあえず、5体を倒そう。」
「うん、私は上から場所を教えながら戦う。」
そう言うと、さっきよりも低い位置まで飛んで行った。
「そこ、まっすぐ言って右」
右に曲がると、ミノタウロスがいた。大きい。
なるべくオドを使わないように…
_オド3000使用、炎属性/爆裂魔法『エクリプス・ソレイユ』
人差し指と薬指、そして親指の3本の指を立ててミノタウロスに向ける
ユニーク:クリティカルをパッシブとして使用
「ばーん」
1体目、体は木っ端微塵だ
「次左曲がってまっすぐ」
_オド3000使用、炎属性/爆裂魔法…
「ばーん」
2体目…
3体目…
4体目…
最後の1体。その後ろには巨大な影があった。
邪丑
牛の頭を持つ魔物。かつて破壊の限りを尽くした獣人族の若者は、村を追われた。食わず寝ず歩き続けた若者は、ドワーフの暮らす町を訪れた。町の人は優しくしてくれたが、若者は人々を喰い、町を壊した。しかし戦いに優れたドワーフは若者を城の地下にある迷宮に閉じ込め、二度と出られなくしてしまった。
ヴァイアナ童話より『とある囚人の手記』著:不明
あと2体、特大のミノタウロス。オドの消費が激しいから、2体目まで持たないかもしれない。
_オド15000使用、炎属性/滅却魔法『ゾーク・イラプション』
手のひらを上に向け、人差し指を残して握る
「どーん!」
人差し指をミノタウロスの足元から頭まで引き上げる
まるで火山に放り込まれたように、ミノタウロスは炎に包まれた
ユニークのクリティカルもあるし、これで倒せるはず…
しかし、ミノタウロスは生きていた。
「タフなやつだな!!」
「私に任せろ!」
_オド10000使用、雷属性/放電魔法 『サンダー・ボルト』
ユニーク:ヒットアンドアウェイ、発動
シェルの攻撃はミノタウロスに十分効いている。
しかし、ミノタウロスが反撃してきた。
素早く、重い一撃…
「当たらないね。」
シェルはまったく反対の場所にいた。
「私のユニークは自分の攻撃は必ず当たって、相手の攻撃は全て避けられるってスキルだ!」
ミノタウロスの反撃も虚しく、シェルのユニークによって完封された。無事巨大ミノタウロスの"1体目"を倒した。
もう、僕達にはオドが残っていない。
シェルのユニークもクールタイムがある。
2体目を倒すのは、無理だ。
「帰ろう」
そう思った次の瞬間、腰の剣、トリガーが動き出した。
第3話/トリガーの適合者 I
応援ありがとうございます!
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