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ベルム闘争戦
第18話本部突撃、⑧/紅き刀身のクレイモア
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___アメリナ突きは右半身を引くようにマイクに躱され、下からマイクのツーハンドソードの一撃が顔に向かう。アメリナ即座にクレイモアから右手を離しマイクの左顔面にフックを見舞う。マイクは剣を止めた後ろへ飛ぶ。
両者は構えて睨み合う。
「そのギフトは使わないのか?腰が引けている。」
マイクは言った。挑発できるほど余裕そうに見えるがその顔には冷や汗が出ている。
対してアメリナは汗もかかず、そっと見つめながら口を開いた。
「それは痩せ我慢がすぎる言葉だろう。それに言う割には汗をかいているじゃないか。」
アメリナも同じようなニュアンスで返すが、内心はかなりの焦りを見せていた。
動きのすべ全てを見切られている。大きく踏み込んでからの突きも、回避の難しい突きからのパンチも全て。
(この男のギフトは恐らく攻撃を予測する類いのモノ。どう足掻いても剣は回避されるか…
ならば___)
アメリナは胸の前で縦にクレイモアを持ち、その刀身を左手に触れる。それは東の壁でも行った芸当。アメリナの周囲には火花が散っていた。その火花は徐々にクレイモアの刀身に収束していき、刀身が赤く光り始める。
「…なんだ、それは……」
マイクの驚きの問いにアメリナは答えることなくそれを続ける。やがてその刀身は紅葉色に染まった。アメリナはクレイモアを右腰の横で、柄頭を前に剣先を後ろに、左足を前に右足を後ろに腰を落とすように構える。
マイクは顔の横でバスターソードを水平に剣先を前に構える。
(なんだ、この熱気は…熱い、熱すぎる……)
マイクはそれを感じ取った。
構えたアメリナのクレイモアからは熱気が放たれていた。その熱気は凄まじく、マイクは身体中から汗が出て、顔の汗は地面に垂れ落ちていた。
アメリナが迫る。
「早いッ!」
最初の突き出しよりも素早く、アメリナは剣を右から左へ薙ぐ。躱しきれないと判断したマイクは剣を逆さにし、左手で刀身を押さえながら受ける。アメリナのクレイモアはマイクに直撃するもバスターソードに受けられる。
___瞬間、炎が爆ぜる。
アメリナのクレイモアは爆炎が渦を上げながら
マイクを斬らんとバスターソードを押す。
「化け物がァァァァァァァア!」
マイクは叫びながら受け続けるが、アメリナはそのまま剣を振り切る。マイクに届く事はなかったが、クレイモアに纏いつく爆炎に押し勝てる筈もなく、クレイモアの振り切った剣の先。
テント群にマイクは吹き飛ばされ、土埃を上げながらテント群に巻き込まれ、倒れる。
吹き飛ばされたマイクは、その剣を杖に立ち上がり呟いた。
「なるほど、コレで壁を突破したわけだ__」
~~~
東壁テント群治療所。
デイビッドは今度こそ幻から目を覚ました。
空が見える。夕日が空を半分燃やいていて、夜の影がそのもう半分を覆っていた。
左には座るヨーストと、ヨーストにもたれかかり、涎を垂らしながら寝る左目を眼帯でおおうハイミルナンがデイビッドの目に映った。
「2人、とも?」
デイビッドは言った。
体が重い、視界は未だ霞んでいて、起き上がることもままならない。ヨーストは驚いた顔をした。
「おいおいおいおい!ハイミルナン、デイビッドが目ぇ覚ましたぞ!」
起こそうとヨーストに揺らされるハイミルナン
は…
「あうあうあうあうあうあう___」
無抵抗にただ揺らされて嫌そうに声を上げるだけだった。ハイミルナンは目を擦ってあくびをするとこちらを見て驚いたように言った。
「で、デイビッドが生き返った!生き返っちゃった!」
「デイビッドは別に死んでねーよ…死にかけたけど」
デイビッドは2人の言葉を聞いて苦笑いを浮かべた。デイビッドは再度起きあがろうと試みるが、やはり失敗に終わった。今度は左うち太ももからその反対側までに及ぶ強烈な痛みがあった。恐らくあの王国兵…ジョシュアードのジャベリンが貫通した時のものなのは明白だった。
ともかく、こうして話せると言う事はここは安全である証。
一先ずは体を休める事ができる。
そう考えていると、そこへ一つ足音がゆっくり近づいて来た。
「ははは、怪我人同士でちょっかいをかけあう
なんて元気なことだ。」
そう言ったのはレイジェナードでお世話になった医者さんだった。
「ああ、あの時のお医者さん。」
デイビッドはそう言い会釈かわりに頷いた。
医者はそのデイビッドの様子を見てニコニコとしながら笑って言った。
「いやぁ、無事でよかったよかった。
治してる時に一回失血死しちゃったからさ。___」
「「え"ぇ"っ!」」
ヨーストとハイミルナンは驚いたように固まっていた。
そして動けず満足に大声もあげれないデイビッドはただ口を開き、かくかくと小さく動かすだけだった。
医者は続けて言う。
「___それで外傷はなんとかなったし生きていられる分の血の量までは戻せたけど、それ以上はちょっときついかな。」
ハイミルナンは驚いた顔のままで言った。
「し、死んだって…じゃぁこの目を開けて打ち上げられた魚みたいに口を動かしてる男は…」
「生きてるよ。」
医者の即答にさらに驚いたハイミルナン頭を抱えて黙り込んだ。
ヨーストも医者に問う。
「い、生き返ったって…なんか後遺症とか残らないんすか?…あっもしかして、この打ち上げられた魚みたいな状態がもしかして後遺症なんじゃ…」
そう言ったヨーストをデイビッドは睨みつける様子を気にもせず医者はその問いにも答えた。
「いや、なぜか後遺症は残ってない。多分それはショックなんじゃ無いかな?
いやぁ、初めて見たね。蘇生して後遺症が残ってないヤツ。」
医者は興奮気味に言う。
その様子を見て3人は即座に理解した。
"頭がおかしい、デイビッドに近づけてはならない"と。するとハイミルナンはデイビッドの前に、ヨーストはデイビッドの顔の横に立ち2人は身構えた。
医者はその様子を鼻で笑ってまた口を開いた。
「別にまた殺して蘇生させて後遺症の有無の実験をしようなんて考えてないよ、多分。」
最後の言葉が少し不安だが、満面の笑みで喋る様子を見るに本当にそんな事はしないだろう。
と思った。2人は再度元の位置に戻り、座る。
医者はデイビッドの横に座りデイビッドの胸に触れて目を瞑った。
「うん、ちゃんと生きてるし異常も無い。血が少し少ないだけだから、あと20分もすれば元通りさ、それまでは動けないけどね。」
医者は立ち上がり後ろを振り向き、別の患者の場所へ行こうとする。
デイビッドは彼に問う。
「あの、お名前、は?」
医者はこちらをゆっくりと振り返り、冷たい目で言った。
「名乗るほど、僕は腕が立つわけでは無いのでね、遠慮しておく。___」
そう言い歩き始め、続けざまにもう一言デイビッドに返す。
「___それに、次に死体で僕と出会っても別に話しあったりできるわけじゃ無いでもないし。」
医者はそれだけ言うとまっすぐによそ見をすることもなく歩いて行った。
デイビッド達はそれを唖然とした顔で見送っていた。そして、暫くの沈黙を破ったヨーストは空を見上げながら口を開いた。
「まぁ、それで情が湧いたら悲しいもんなぁ。」
デイビッドその言葉を聞くと、ただ黙って目を瞑った。
~~~
マイクが吹き飛ばされたのは南テント群らしい。アメリナは立ち上がったマイクに追撃を加えるためにクレイモアを振り上げる。
「赤々と燃えろ!」
マイクはアメリナの振り下ろした紅き刃のクレイモアの一撃を左に身を逸らし躱した。
クレイモアは振り切られ、地面に金属音を立てながら地面に当たる。これは躱しきった。
___瞬間、炎が爆ぜる。
マイクはさらに大きく飛んでそれを回避する。
そしてバスターソードを好きだらけのアメリナのうなじへ叩き込もうと飛び込む。アメリナは手首を使い剣先をもう一度地面に剣先を当てる。爆ぜる炎を纏ったクレイモアをマイクに叩きつけようと左下からマイクに振るう。
マイクは腹部に強烈な悪寒を感じ、うなじに叩き込む筈の一撃をクレイモアへ標的を移し、刃同士でそれを受ける。
アメリナはあの時のように振りきるとマイクはまた吹き飛ばされた。
吹き飛ばされたマイクはテント群を抜けて壁を突き破り地面に打ち捨てられ、辺りには土埃が舞った。マイクは血を吐いて片膝をつきながら立ち上がった。
「なるほど、物に当たると爆ぜるのか。だんだんわかってきたぞ。」
マイクはアメリナの紅き刃のクレイモアの力を完全に理解した口ぶりで呟く。
アメリナ土埃の中から現れ壁を乗り越えてマイクに近づく。アメリナは笑みを浮かべなら近づき、口を開く。
「私もだんだんと貴様がわかってきた。貴様のギフトは攻撃を予測する類のものだろう?
出なければあんな受け方はできない。」
アメリナはそういうと上段に構える。
恐らくは上段から下段にかけての"全力の振り下ろし"、とても受け流せるものでも無い。
受けたとしてもあの爆炎と膂力で地面に叩き潰され"折りたたみ式マイク"になるのがオチ。
そして、追撃の時や初めて吹き飛ばされた時あまりにもこちらに近づくのが素早すぎる。
相当な脚力だろう、必殺の一撃となればギフトの予測があったとしても回避は難しいだろう。
さぁ、どうする___
角笛の音がなる、退却の合図だった。
マイクのもとへ壁の中から複数の足音が迫ってきた。アメリナは構えを解き、後ろを振り向いた。足音の正体は6人ほどの王国兵のようで、王国兵の1人は喋る。
「作戦本部長殿、お逃げください!前線は崩壊、全軍南のロズウェルに後退中です!」
マイクはその言葉を聞くと特に驚く様子もなく、「そうか」と残念そうに呟いた。
指揮系統を叩かれた軍は、数に限らず策にはほぼ無力。なのにこの数時間、しかも一切の援護もなく現場の指揮のみでよく持ったものだった。そしてマイクは頭を回す。
(さて、引き付けてくれるようだがどうするか。
走って逃げようにもこの女だったら10数秒で片付け、追いかけて来るだろう。
それにあの脚力、逃げるには徒歩じゃ無理だ。)
すると右から馬のかける音が迫っていた。
そこでマイクは気づく。
前線は崩壊し敗走しているなら必ず、"奴"がこちらに向かっているはず。
「マァァァァァァァァァァァァァイク!」
帝国兵の甲冑を着た馬に乗る兵士がこちらに左手を伸ばした。マイクはそれに従い手を取り男がマイクを引っ張り上げ、それにマイクはしたがって勢いのまま馬に飛び乗る。
アメリナは驚き後ろを振り向く。
「クソ、逃げられた!」
アメリナは正面に向きを戻し、地面に剣を叩きつけ、横に薙ぎ払う。
爆炎が舞い、6人の王国兵は爆炎によって肺に変わる。アメリナは地面に右片膝をつきながら言った。
クレイモアの紅の刀身は湯気を上げながら鉄の鉛色に戻って行く。
「全く、これは使うもんじゃないな。」
そう言い、再び立ち上がると壁の奥へ消えて行った。
両者は構えて睨み合う。
「そのギフトは使わないのか?腰が引けている。」
マイクは言った。挑発できるほど余裕そうに見えるがその顔には冷や汗が出ている。
対してアメリナは汗もかかず、そっと見つめながら口を開いた。
「それは痩せ我慢がすぎる言葉だろう。それに言う割には汗をかいているじゃないか。」
アメリナも同じようなニュアンスで返すが、内心はかなりの焦りを見せていた。
動きのすべ全てを見切られている。大きく踏み込んでからの突きも、回避の難しい突きからのパンチも全て。
(この男のギフトは恐らく攻撃を予測する類いのモノ。どう足掻いても剣は回避されるか…
ならば___)
アメリナは胸の前で縦にクレイモアを持ち、その刀身を左手に触れる。それは東の壁でも行った芸当。アメリナの周囲には火花が散っていた。その火花は徐々にクレイモアの刀身に収束していき、刀身が赤く光り始める。
「…なんだ、それは……」
マイクの驚きの問いにアメリナは答えることなくそれを続ける。やがてその刀身は紅葉色に染まった。アメリナはクレイモアを右腰の横で、柄頭を前に剣先を後ろに、左足を前に右足を後ろに腰を落とすように構える。
マイクは顔の横でバスターソードを水平に剣先を前に構える。
(なんだ、この熱気は…熱い、熱すぎる……)
マイクはそれを感じ取った。
構えたアメリナのクレイモアからは熱気が放たれていた。その熱気は凄まじく、マイクは身体中から汗が出て、顔の汗は地面に垂れ落ちていた。
アメリナが迫る。
「早いッ!」
最初の突き出しよりも素早く、アメリナは剣を右から左へ薙ぐ。躱しきれないと判断したマイクは剣を逆さにし、左手で刀身を押さえながら受ける。アメリナのクレイモアはマイクに直撃するもバスターソードに受けられる。
___瞬間、炎が爆ぜる。
アメリナのクレイモアは爆炎が渦を上げながら
マイクを斬らんとバスターソードを押す。
「化け物がァァァァァァァア!」
マイクは叫びながら受け続けるが、アメリナはそのまま剣を振り切る。マイクに届く事はなかったが、クレイモアに纏いつく爆炎に押し勝てる筈もなく、クレイモアの振り切った剣の先。
テント群にマイクは吹き飛ばされ、土埃を上げながらテント群に巻き込まれ、倒れる。
吹き飛ばされたマイクは、その剣を杖に立ち上がり呟いた。
「なるほど、コレで壁を突破したわけだ__」
~~~
東壁テント群治療所。
デイビッドは今度こそ幻から目を覚ました。
空が見える。夕日が空を半分燃やいていて、夜の影がそのもう半分を覆っていた。
左には座るヨーストと、ヨーストにもたれかかり、涎を垂らしながら寝る左目を眼帯でおおうハイミルナンがデイビッドの目に映った。
「2人、とも?」
デイビッドは言った。
体が重い、視界は未だ霞んでいて、起き上がることもままならない。ヨーストは驚いた顔をした。
「おいおいおいおい!ハイミルナン、デイビッドが目ぇ覚ましたぞ!」
起こそうとヨーストに揺らされるハイミルナン
は…
「あうあうあうあうあうあう___」
無抵抗にただ揺らされて嫌そうに声を上げるだけだった。ハイミルナンは目を擦ってあくびをするとこちらを見て驚いたように言った。
「で、デイビッドが生き返った!生き返っちゃった!」
「デイビッドは別に死んでねーよ…死にかけたけど」
デイビッドは2人の言葉を聞いて苦笑いを浮かべた。デイビッドは再度起きあがろうと試みるが、やはり失敗に終わった。今度は左うち太ももからその反対側までに及ぶ強烈な痛みがあった。恐らくあの王国兵…ジョシュアードのジャベリンが貫通した時のものなのは明白だった。
ともかく、こうして話せると言う事はここは安全である証。
一先ずは体を休める事ができる。
そう考えていると、そこへ一つ足音がゆっくり近づいて来た。
「ははは、怪我人同士でちょっかいをかけあう
なんて元気なことだ。」
そう言ったのはレイジェナードでお世話になった医者さんだった。
「ああ、あの時のお医者さん。」
デイビッドはそう言い会釈かわりに頷いた。
医者はそのデイビッドの様子を見てニコニコとしながら笑って言った。
「いやぁ、無事でよかったよかった。
治してる時に一回失血死しちゃったからさ。___」
「「え"ぇ"っ!」」
ヨーストとハイミルナンは驚いたように固まっていた。
そして動けず満足に大声もあげれないデイビッドはただ口を開き、かくかくと小さく動かすだけだった。
医者は続けて言う。
「___それで外傷はなんとかなったし生きていられる分の血の量までは戻せたけど、それ以上はちょっときついかな。」
ハイミルナンは驚いた顔のままで言った。
「し、死んだって…じゃぁこの目を開けて打ち上げられた魚みたいに口を動かしてる男は…」
「生きてるよ。」
医者の即答にさらに驚いたハイミルナン頭を抱えて黙り込んだ。
ヨーストも医者に問う。
「い、生き返ったって…なんか後遺症とか残らないんすか?…あっもしかして、この打ち上げられた魚みたいな状態がもしかして後遺症なんじゃ…」
そう言ったヨーストをデイビッドは睨みつける様子を気にもせず医者はその問いにも答えた。
「いや、なぜか後遺症は残ってない。多分それはショックなんじゃ無いかな?
いやぁ、初めて見たね。蘇生して後遺症が残ってないヤツ。」
医者は興奮気味に言う。
その様子を見て3人は即座に理解した。
"頭がおかしい、デイビッドに近づけてはならない"と。するとハイミルナンはデイビッドの前に、ヨーストはデイビッドの顔の横に立ち2人は身構えた。
医者はその様子を鼻で笑ってまた口を開いた。
「別にまた殺して蘇生させて後遺症の有無の実験をしようなんて考えてないよ、多分。」
最後の言葉が少し不安だが、満面の笑みで喋る様子を見るに本当にそんな事はしないだろう。
と思った。2人は再度元の位置に戻り、座る。
医者はデイビッドの横に座りデイビッドの胸に触れて目を瞑った。
「うん、ちゃんと生きてるし異常も無い。血が少し少ないだけだから、あと20分もすれば元通りさ、それまでは動けないけどね。」
医者は立ち上がり後ろを振り向き、別の患者の場所へ行こうとする。
デイビッドは彼に問う。
「あの、お名前、は?」
医者はこちらをゆっくりと振り返り、冷たい目で言った。
「名乗るほど、僕は腕が立つわけでは無いのでね、遠慮しておく。___」
そう言い歩き始め、続けざまにもう一言デイビッドに返す。
「___それに、次に死体で僕と出会っても別に話しあったりできるわけじゃ無いでもないし。」
医者はそれだけ言うとまっすぐによそ見をすることもなく歩いて行った。
デイビッド達はそれを唖然とした顔で見送っていた。そして、暫くの沈黙を破ったヨーストは空を見上げながら口を開いた。
「まぁ、それで情が湧いたら悲しいもんなぁ。」
デイビッドその言葉を聞くと、ただ黙って目を瞑った。
~~~
マイクが吹き飛ばされたのは南テント群らしい。アメリナは立ち上がったマイクに追撃を加えるためにクレイモアを振り上げる。
「赤々と燃えろ!」
マイクはアメリナの振り下ろした紅き刃のクレイモアの一撃を左に身を逸らし躱した。
クレイモアは振り切られ、地面に金属音を立てながら地面に当たる。これは躱しきった。
___瞬間、炎が爆ぜる。
マイクはさらに大きく飛んでそれを回避する。
そしてバスターソードを好きだらけのアメリナのうなじへ叩き込もうと飛び込む。アメリナは手首を使い剣先をもう一度地面に剣先を当てる。爆ぜる炎を纏ったクレイモアをマイクに叩きつけようと左下からマイクに振るう。
マイクは腹部に強烈な悪寒を感じ、うなじに叩き込む筈の一撃をクレイモアへ標的を移し、刃同士でそれを受ける。
アメリナはあの時のように振りきるとマイクはまた吹き飛ばされた。
吹き飛ばされたマイクはテント群を抜けて壁を突き破り地面に打ち捨てられ、辺りには土埃が舞った。マイクは血を吐いて片膝をつきながら立ち上がった。
「なるほど、物に当たると爆ぜるのか。だんだんわかってきたぞ。」
マイクはアメリナの紅き刃のクレイモアの力を完全に理解した口ぶりで呟く。
アメリナ土埃の中から現れ壁を乗り越えてマイクに近づく。アメリナは笑みを浮かべなら近づき、口を開く。
「私もだんだんと貴様がわかってきた。貴様のギフトは攻撃を予測する類のものだろう?
出なければあんな受け方はできない。」
アメリナはそういうと上段に構える。
恐らくは上段から下段にかけての"全力の振り下ろし"、とても受け流せるものでも無い。
受けたとしてもあの爆炎と膂力で地面に叩き潰され"折りたたみ式マイク"になるのがオチ。
そして、追撃の時や初めて吹き飛ばされた時あまりにもこちらに近づくのが素早すぎる。
相当な脚力だろう、必殺の一撃となればギフトの予測があったとしても回避は難しいだろう。
さぁ、どうする___
角笛の音がなる、退却の合図だった。
マイクのもとへ壁の中から複数の足音が迫ってきた。アメリナは構えを解き、後ろを振り向いた。足音の正体は6人ほどの王国兵のようで、王国兵の1人は喋る。
「作戦本部長殿、お逃げください!前線は崩壊、全軍南のロズウェルに後退中です!」
マイクはその言葉を聞くと特に驚く様子もなく、「そうか」と残念そうに呟いた。
指揮系統を叩かれた軍は、数に限らず策にはほぼ無力。なのにこの数時間、しかも一切の援護もなく現場の指揮のみでよく持ったものだった。そしてマイクは頭を回す。
(さて、引き付けてくれるようだがどうするか。
走って逃げようにもこの女だったら10数秒で片付け、追いかけて来るだろう。
それにあの脚力、逃げるには徒歩じゃ無理だ。)
すると右から馬のかける音が迫っていた。
そこでマイクは気づく。
前線は崩壊し敗走しているなら必ず、"奴"がこちらに向かっているはず。
「マァァァァァァァァァァァァァイク!」
帝国兵の甲冑を着た馬に乗る兵士がこちらに左手を伸ばした。マイクはそれに従い手を取り男がマイクを引っ張り上げ、それにマイクはしたがって勢いのまま馬に飛び乗る。
アメリナは驚き後ろを振り向く。
「クソ、逃げられた!」
アメリナは正面に向きを戻し、地面に剣を叩きつけ、横に薙ぎ払う。
爆炎が舞い、6人の王国兵は爆炎によって肺に変わる。アメリナは地面に右片膝をつきながら言った。
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