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コーラス遺跡都市防略
第45話コーラル防略、24/ポイントアヴァロン/帰還/勝算
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ここはどこだろう。
目の前に広がる草原。
ここに一つ、畑があった。
私はその上に立っている。
何故か、農服を来て。
両手を見る。
右手に握られていたのは一振りの農業用の鎌。
左手には沢山の血豆と、土のような汚れ。
血豆の痛さも、鎌の手触りも、どこか懐かしいような手に馴染むような感覚がした。
私はどこに行くでもなく、ただ歩き出す。
地面に広がる畑を踏み締める感覚にも、草原の草の煌めきにも、私は何故か懐かしさというか、郷愁を感じとった。
燦々と太陽と光る太陽と草原を波打つ微風、心地が良い。
私は振り返る。
そこにあった筈の畑のは無かった。
もうそんなに歩いたんだ。
体を正面に戻すとそこに広がっていたのは焼け野原だった。私のつま先からすぐ先を境界線に、地平線の向こうまで続く焼け野原。
その焼け野原の真ん中には見覚えのある鎧姿の二人の男が焼け野原のずっと先を見つめていた。
紺色のやや長髪の長身の男とストロベリーブロンドの髪色の男。私は唐突に現れた二人に驚くわけでもなく、焼け野原の上に鎧で立つその姿に慄くわけでもなく、ただ安心した。
この二人ならこの場所を知っているのかもしれない。
私は焼け野原の中へ足を踏み入れようとしたその時___
「ハイミルナン。そっちは危ないから、戻りなさい。」
___背後から声が掛かった。
私をハイミルナンと呼んだその男。
私と同じ赤黒い毛をしたその男。
私と同じ農服を着た、その男。
その穏やかな顔は、どこか父性を感じ___
___父さん!
なんでここにいるの?
あぁずっと会いたかった!
「私ね、私ね、お友達ができたんだ!」
ずっとそれが言いたかった!
あの時、私のせいで父さんは死ん___
___私は、死んだ…の?
私は狼狽し後ろに、数歩下がる。
「ハイミルナン、こっちにおいで。もう、終わりにしよう。」
父とよく似たそれは、再びそう言った。
"もう、終わりにしよう"
父さんは、そんなことは絶対言わない。
絶対に辛いからと言って途中で辞めたり、止まったり、それに誰かを巻き込んだりするような、そんな"飽き性"な性格じゃない。
どんな事があっても、どんなに辛くても、最後までやり遂げるし貫き通す。
ハイミルナンは言った。
「生きなきゃ。みんなが、待ってる。」
父によく似たそれはその言葉聞くとなぜかほくそ笑みながら口を開いた。
「その"みんな"が奪われて、死んでいても?」
ハイミルナンは父に背を向け、草原を見渡しながらその質問に答えた。
「なら私が、その奪われた分だけ奪って生きて生きて生きてやる。いつまでも!」
ハイミルナンは焼け野原に足を踏み入れる。
~~~
一つの影が、デイビッドの前に飛び出した。
デイビッドに向かって飛翔する4本の灰の長槍は依然その素早さを落とす事なくその影に突き刺さる。
長槍は右鎖骨、左二の腕、ベルト部の腹、右内太腿に痛々しく突き刺さり貫通している。
だが、その人は平然としていて、ただジンを見つめていた。
赤黒い毛、右手に持つのはパルチザン。
「間に合ったわね」
舌足らずな物言いが、その正体をデイビッドに察させた。
「…ハイミルナン?」
彼女に突き刺さる灰の長槍は崩れ落ち、風に攫われていく。その灰の長槍によって開けられた体の風穴は、何故か少しずつ再生して言った。
「気づくのが遅い。」
「いてっ」
ハイミルナンはそう言いながら振り返りデイビッドの頭をパルチザンの柄の中腹で軽く小突く。
ハイミルナンの左顔部には下の睫毛から左顎まで続くクニシヘビの痣があった。
~~~
「いてっ」
ジンは狼狽えた。
目の前に立つパルチザンを持った女帝国兵___ハイミルナンの姿と、そのギフトに。
(男の方は問題ないとして、あの女は回復系のギフト持ちか、相性が極端に悪いな…
俺のギフトの反動を抑制する薬も残り1瓶。
…3時間が限界か。)
ジンはそう心の中で思案し、例の灰刀の翼と灰の長槍を6本作り上げた。そして続け様にジンはそのうちの一つを左手に取り、二人に構える。
二人はジンの殺気を感じ取り武器を構える。
ハイミルナンはパルチザンを下段に。
デイビッドは太腿裏に突き刺さる灰のダガーを地面に抜き捨て、立ち上がり左半身を引きながらバルディッシュを胸の前で斜めに中段で構える。
「一撃で、殺す…ッ!」
ジンはそう叫びながら二人へ5本を射出すした。
目の前に広がる草原。
ここに一つ、畑があった。
私はその上に立っている。
何故か、農服を来て。
両手を見る。
右手に握られていたのは一振りの農業用の鎌。
左手には沢山の血豆と、土のような汚れ。
血豆の痛さも、鎌の手触りも、どこか懐かしいような手に馴染むような感覚がした。
私はどこに行くでもなく、ただ歩き出す。
地面に広がる畑を踏み締める感覚にも、草原の草の煌めきにも、私は何故か懐かしさというか、郷愁を感じとった。
燦々と太陽と光る太陽と草原を波打つ微風、心地が良い。
私は振り返る。
そこにあった筈の畑のは無かった。
もうそんなに歩いたんだ。
体を正面に戻すとそこに広がっていたのは焼け野原だった。私のつま先からすぐ先を境界線に、地平線の向こうまで続く焼け野原。
その焼け野原の真ん中には見覚えのある鎧姿の二人の男が焼け野原のずっと先を見つめていた。
紺色のやや長髪の長身の男とストロベリーブロンドの髪色の男。私は唐突に現れた二人に驚くわけでもなく、焼け野原の上に鎧で立つその姿に慄くわけでもなく、ただ安心した。
この二人ならこの場所を知っているのかもしれない。
私は焼け野原の中へ足を踏み入れようとしたその時___
「ハイミルナン。そっちは危ないから、戻りなさい。」
___背後から声が掛かった。
私をハイミルナンと呼んだその男。
私と同じ赤黒い毛をしたその男。
私と同じ農服を着た、その男。
その穏やかな顔は、どこか父性を感じ___
___父さん!
なんでここにいるの?
あぁずっと会いたかった!
「私ね、私ね、お友達ができたんだ!」
ずっとそれが言いたかった!
あの時、私のせいで父さんは死ん___
___私は、死んだ…の?
私は狼狽し後ろに、数歩下がる。
「ハイミルナン、こっちにおいで。もう、終わりにしよう。」
父とよく似たそれは、再びそう言った。
"もう、終わりにしよう"
父さんは、そんなことは絶対言わない。
絶対に辛いからと言って途中で辞めたり、止まったり、それに誰かを巻き込んだりするような、そんな"飽き性"な性格じゃない。
どんな事があっても、どんなに辛くても、最後までやり遂げるし貫き通す。
ハイミルナンは言った。
「生きなきゃ。みんなが、待ってる。」
父によく似たそれはその言葉聞くとなぜかほくそ笑みながら口を開いた。
「その"みんな"が奪われて、死んでいても?」
ハイミルナンは父に背を向け、草原を見渡しながらその質問に答えた。
「なら私が、その奪われた分だけ奪って生きて生きて生きてやる。いつまでも!」
ハイミルナンは焼け野原に足を踏み入れる。
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一つの影が、デイビッドの前に飛び出した。
デイビッドに向かって飛翔する4本の灰の長槍は依然その素早さを落とす事なくその影に突き刺さる。
長槍は右鎖骨、左二の腕、ベルト部の腹、右内太腿に痛々しく突き刺さり貫通している。
だが、その人は平然としていて、ただジンを見つめていた。
赤黒い毛、右手に持つのはパルチザン。
「間に合ったわね」
舌足らずな物言いが、その正体をデイビッドに察させた。
「…ハイミルナン?」
彼女に突き刺さる灰の長槍は崩れ落ち、風に攫われていく。その灰の長槍によって開けられた体の風穴は、何故か少しずつ再生して言った。
「気づくのが遅い。」
「いてっ」
ハイミルナンはそう言いながら振り返りデイビッドの頭をパルチザンの柄の中腹で軽く小突く。
ハイミルナンの左顔部には下の睫毛から左顎まで続くクニシヘビの痣があった。
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「いてっ」
ジンは狼狽えた。
目の前に立つパルチザンを持った女帝国兵___ハイミルナンの姿と、そのギフトに。
(男の方は問題ないとして、あの女は回復系のギフト持ちか、相性が極端に悪いな…
俺のギフトの反動を抑制する薬も残り1瓶。
…3時間が限界か。)
ジンはそう心の中で思案し、例の灰刀の翼と灰の長槍を6本作り上げた。そして続け様にジンはそのうちの一つを左手に取り、二人に構える。
二人はジンの殺気を感じ取り武器を構える。
ハイミルナンはパルチザンを下段に。
デイビッドは太腿裏に突き刺さる灰のダガーを地面に抜き捨て、立ち上がり左半身を引きながらバルディッシュを胸の前で斜めに中段で構える。
「一撃で、殺す…ッ!」
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