The war of searching

黒縁めがね

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コーラス遺跡都市防略

第47話コーラル防略、26/木こりの構え/今は遠き過去の世界/夢

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ヨーストの戦斧を刃で受け、ジャックのシミターと長槍を灰の盾で受けるジン。
それぞれの武具は拮抗しあい、激しい火花を三つ咲かせる。
「このタイミングと言う事は、やはり不意打ちを狙っていたのか。」
ジンはそう呟き、ヨーストの戦斧をそのまま上に弾き飛ばした。
「うぉぅッ」
だがヨーストはその戦斧を手から離さず、弾かれた斧に引っ張られるがままに姿勢を崩しそんな情けない声を上げながら後ろに尻餅を着く。
ジンはそんなヨーストに追撃を加える事なくそのまま身を翻し、左手に握る灰の盾にシミターと長槍の切先を擦りつけるジャックの右内大腿へ左下から右上へ袈裟斬りを逆さにしたかのように薙ぎ払った。
「くそッ」
ジャックは悪態を吐きながらそれを躱すべく背後へ大きく飛んだ。それに続きヨーストは「おっかねぇ」と呟きながら背後へ大きく飛びながら立ち上がる。ジンはロッホバーアックスをヨーストへ、灰の大盾をジャックへ突きつけながら口を開く。
「気配を消していたつもりか?
全く、さっきからそこのギフターと言い邪魔しか入らないじゃぁないか。」
うんざりした様子のジン。
ヨーストは、これはまずいと思ったのかデイビッド達の方へ向いて一言、
「コーラルまで団長を連れて行ってくれ!」
と言った。
ただ二人の登場に唖然としていたデイビッド達は数秒間を置いてからそれに二つ返事をし、アメリナ団長を担ぎ上げようとする。
ヨーストの指示にジャックは"賢明な判断じゃ"と感心する。ほぼ壊滅状態とは言え、大将がやられればそれでおしまい。ヨーストはそれはわかりきっていたが、半ばデイビッドとハイミルナンの身を案じてもいた。
(ハイミルナン、あの灰の翼から俺を庇ったってのに、なんでピンピンしてやがる…)
それと同時に、ハイミルナンへの疑問が浮かぶ。
ヨーストの記憶では灰刀の翼によって体を蜂の巣にされようとした時、確かにハイミルナンはヨーストを庇い無数の灰のダガーに串刺しにされた。
それを証拠に、ハイミルナンの鎧には無数の穴が各所に見受けられていた。
(っと、こんな事考えてる場合じゃぁねえな。)
ヨーストはジンへ右半身を引きながら両手で上段に、木こりが斧を木へ思いっきり振るうような構えを取った。
一見、隙だらけの様にも見えるがミレス製の鎧と言うものは案外、横からの攻撃にも強いのだ。
第一、それが単騎で数万を弑する執行騎士相手に通ずるのかは、甚だ疑問であるが。

~~~

茶色の毛に黒い瞳の男、ハセガワは目を開ける。
視界に映るのは白いキーボードとマウスのある白いデスクの上で蒼くピカピカと光るPCに繋がれたモニター。ハセガワの目にはそれがひどく眩しく写り、思わず目を細めた。そこでやっとハセガワは自身が寝ていた事に気づき、デスクに両手を叩きつけながら立ち上がる。ハセガワはマウスを握り、左クリックを2回ほどするとモニターはゲームのキャラクターが一杯に映るホーム画面へ切り替わる。アプリ群の左上には、小さく23:10と書かれていた。
「不味い…寝ちまったぁ…!」
ハセガワは顔を顰めながらそう呟く。
急ぎ、ハセガワはマウスカーソルを画面左側の資料制作アプリに合わせ、クリックボタンを2回押し画面を切り替えた。
切り替わった画面には"日中英合同研究所コールドスリープ・プロジェクト"と書かれていて、続き画面を下へスクロールし資料に軽く目を通して行く。そこには、"擬似冬眠の方法"や"氷の箱"など訳の分からない単語が犇めいている。
最後までスクロールし終わると、ハセガワは先ほどの引き攣った顔から一変、安堵した顔で
(あっぶねぇ、資料完成してたわぁ!)
と叫んだ。
ハセガワは上へ、体操で言う"後ろブロック"のように体を伸ばしながら欠伸をした。すると、後ろから風を切るような音と共に機械音がハセガワの耳に入った。
ハセガワは振り返り、その正体を目に映す。
背後には大量の銅線に繋がれた鉄の箱があり 機械音の正体と言うのは、その鉄の箱のすぐ先にあるスライド式の機械のドアによる物だった。開けられたスライド式ドアの先には一人の金髪で碧眼の少女が立っていた。
女はハセガワに近づきながら口を開く。
「ハセガワ先輩、まだ居たんですねー」
ハセガワは体を少女の方へ体を向ける。
「イェァラン、こんな夜遅くに何しにここに来たんだ?」
その女の正体はイェァラン。ハセガワとは大学からの仲、中系英国人。イェァランは目を系のように細めながらはにかみ、鉄の箱に近づき口を開いた。
「いやぁ、完成したコールドスリープ装置を見に来たんで、す、よ!やっとこっちの研究がひと段落ついたんで!」
ハセガワはそう嬉々としてそう語るイェァランの微笑ましい様子に思わず鼻で笑った。
そして、イェァランに1つ問う
「そう言えば、お前は何のプロジェクトだっけか。」
「ん、あぁ、強化人間のプロジェクトですね。」
イェァランはハセガワの問いにそう答えると途端に大きくため息を吐き、顔を退屈の二文字で歪めると地団駄を踏みながらひたすらに叫ぶ。
「もう聞いてくださいよっ!耐久実験で瀕死にした個体がいてぇ、なんか試験後いきなり"草原が見えた"だとか"焼け野原に脚を踏み入れたら帰ってきた"だの訳の分からないことを叫んだんですよ。なぁんか周りはそれを強化人間しか見れない第二の世界だとか、ポイントアヴァロンだとか言うんですよ?どうせ走馬灯とかなのに、意味わかんない!大体、アヴァロンって神話に出てくる島の事ですよ?島要素ないじゃないですかッ!?」
そう半狂乱になりながら不満をぶちまけたイェァラン。
そんなイェァランに両手の平を向けるように宥める。

~~


ハセガワは、またも目を覚ました。
「おや、起きましたか。」
目の前にいるのはイェァランではなく、アルドラだった。
青痣と傷だらけの顔。そこから染み渡るような痛み。薄暗い部屋に1つだけ灯された蝋燭。
この光景こそが、夢だと願う。

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