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三上さんとメモ帳
スイーツを食べに行こう
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スイーツを食べに行こう
――甘いものは良い。
食べることで糖分によって頭は回るし、何より幸せな気分になる。
季節ごとに出る新作の飲み物なんて、名前を聞いただけでわくわくしてしまう。
もはや甘い物のない日常なんて考えられない。
蛇口から出てくるのがチョコレートだったらいいのに、俺は常にそう考えている。
そんな甘党にとって、スイーツバイキングというのは遊園地以上のテーマパークだ。
一列に並べられた色とりどりのケーキ、自分で好きなだけカスタマイズできるアイスやワッフル。
なんて幸せな、何の不満も生まれない世界なんだろうか。
……男一人では入りにくいという点以外は。
「というわけで、スイーツバイキングに付き合ってくれないか?」
俺の言葉を聞いて、小さな口が「へぇ」と横に引き伸ばされる。
「なんだか可愛いですね。いいですよ~」
「本当か! ありがとう!!!」
普段の俺なら可愛いという言葉に照れているところだ。
しかし今の俺は、初めて人里に降りてきて人間を目撃した野生動物レベルの超興奮状態にある。
ある意味パワーアップしているこの状態なら、照れる時を夜寝る前まで先延ばしにする事ができるのだ。
もうお分かりだと思うが、一応説明しておこう。
毎日、毎週のように続く講義を陰鬱とした気持ちでやり過ごしていたものの、ついに我慢の限界に達した俺は、ダメ元で三上をスイーツバイキングに誘ってみたのだ。
するとこの女神は、申し出を快く承諾してくれたのだ。
それも、「可愛い」という言葉付きで。三上の方が可愛いぞ。
そんなこんなで本日の講義も終了し、はやる気持ちを胸に俺たちは店に向かうのだった。
「ふ、ふふ……。ついにたどり着いたな……」
「長年探し求めてきた秘境を発見した人みたいですね」
「ある意味そう言えるな。ここは俺にとって、財宝が眠ってる城みたいなものだし」
「すごいスケールです」
永遠にも感じる時を乗り越えて、なんとか無事に店に到着することができた。
扉を開けて中に入ると、やはり店内には女子、女子、女子。
まるでこの世界には男子などいなかったかのような、年頃の男子にとっては夢のような光景である。
男子にも甘いものが好きな人は多いだろうが、わざわざバイキングに来る勇者はそうはいない。
それは女子も同じように考えているみたいで、以前俺が一人でスイーツバイキングに行った時に隣から、
「見て隣の人、一人でこのお店来る男の人初めて見た~」
「うわほんとだ、可愛い~」
というヒソヒソ声が聞こえてきたのを覚えている。
流石に居辛くなった俺は、食べたいものを一通り食べたらすぐに店を後にしたのだ。
まぁ、制限時間切れになったからなんだけど。
だが、今日は違う。
俺の隣には、見目麗しい三上大天使様が降臨なさっているのだ。
傍から見たら、「仕方なく着いてきた男子」だろう。
もうあんな恥ずかしい思いはしなくて済む。
「三上様、ありがとうございます」
「黒木くん……?」
「いえ、なんでもありません」
「……大丈夫ですか?」
思わず心の底から漏れてしまった感謝。
若干引かれている気がしなくもないが、目の前のスイーツに意識が持っていかれて気にならない。
食い入るように甘味を見つめている俺が視界に入ったのか、不審者への進化を止めようとしてくれているのか、店員さんが声をかけてくれる。
「いらっしゃいませ。お客様、何名――」
「二人です!!!」
「は、はい。お席はカップルシートでよろ――」
「もちろんです!!!」
「黒木くん!?」
早く席に案内して欲しいと食い気味に返答したが、どうしたことか三上が驚いている。
何か変なことをしてしまっただろうか。
俺のほとばしる熱意が伝わったのだろう、店員さんがテキパキと俺たち二人を席に案内してくれる。
「それでは、今から九十分が制限時間となっております。七十分の時点でラストオーダーとなっておりますので、よろしくお願い致します」
「は、はい。わかりました……」
「……? 何か気になる点がございますか?」
「い、いえ! 大丈夫です!」
それでは、と店員さんが去っていくのだが、何故俺たちは隣に座らされているんだ?
「三上? なんで隣同士の席なんだろうな?」
「……黒木くんがその席で良いって言ったんですよ」
「え!? いつのまに!?」
そんな質問をされた覚えはないぞ?
だが、目を細めてこちらを見ている三上の反応からするに本当の事なのだろう。
「しかし……これは困ったな……」
「どうかしたんですか?」
「い、いや。なんでもない!」
講義の時も並んで座っているが、食事となると意識してしまう。
3大欲求のうちのひとつを満たしているからだろうか。
今の俺たちは、周りの客からするとスイーツよりも甘ったるい、完全にバカップルである。
この状況は、エクレアやクレープへの想いを持ってしても流石に恥ずかしい。
――甘いものは良い。
食べることで糖分によって頭は回るし、何より幸せな気分になる。
季節ごとに出る新作の飲み物なんて、名前を聞いただけでわくわくしてしまう。
もはや甘い物のない日常なんて考えられない。
蛇口から出てくるのがチョコレートだったらいいのに、俺は常にそう考えている。
そんな甘党にとって、スイーツバイキングというのは遊園地以上のテーマパークだ。
一列に並べられた色とりどりのケーキ、自分で好きなだけカスタマイズできるアイスやワッフル。
なんて幸せな、何の不満も生まれない世界なんだろうか。
……男一人では入りにくいという点以外は。
「というわけで、スイーツバイキングに付き合ってくれないか?」
俺の言葉を聞いて、小さな口が「へぇ」と横に引き伸ばされる。
「なんだか可愛いですね。いいですよ~」
「本当か! ありがとう!!!」
普段の俺なら可愛いという言葉に照れているところだ。
しかし今の俺は、初めて人里に降りてきて人間を目撃した野生動物レベルの超興奮状態にある。
ある意味パワーアップしているこの状態なら、照れる時を夜寝る前まで先延ばしにする事ができるのだ。
もうお分かりだと思うが、一応説明しておこう。
毎日、毎週のように続く講義を陰鬱とした気持ちでやり過ごしていたものの、ついに我慢の限界に達した俺は、ダメ元で三上をスイーツバイキングに誘ってみたのだ。
するとこの女神は、申し出を快く承諾してくれたのだ。
それも、「可愛い」という言葉付きで。三上の方が可愛いぞ。
そんなこんなで本日の講義も終了し、はやる気持ちを胸に俺たちは店に向かうのだった。
「ふ、ふふ……。ついにたどり着いたな……」
「長年探し求めてきた秘境を発見した人みたいですね」
「ある意味そう言えるな。ここは俺にとって、財宝が眠ってる城みたいなものだし」
「すごいスケールです」
永遠にも感じる時を乗り越えて、なんとか無事に店に到着することができた。
扉を開けて中に入ると、やはり店内には女子、女子、女子。
まるでこの世界には男子などいなかったかのような、年頃の男子にとっては夢のような光景である。
男子にも甘いものが好きな人は多いだろうが、わざわざバイキングに来る勇者はそうはいない。
それは女子も同じように考えているみたいで、以前俺が一人でスイーツバイキングに行った時に隣から、
「見て隣の人、一人でこのお店来る男の人初めて見た~」
「うわほんとだ、可愛い~」
というヒソヒソ声が聞こえてきたのを覚えている。
流石に居辛くなった俺は、食べたいものを一通り食べたらすぐに店を後にしたのだ。
まぁ、制限時間切れになったからなんだけど。
だが、今日は違う。
俺の隣には、見目麗しい三上大天使様が降臨なさっているのだ。
傍から見たら、「仕方なく着いてきた男子」だろう。
もうあんな恥ずかしい思いはしなくて済む。
「三上様、ありがとうございます」
「黒木くん……?」
「いえ、なんでもありません」
「……大丈夫ですか?」
思わず心の底から漏れてしまった感謝。
若干引かれている気がしなくもないが、目の前のスイーツに意識が持っていかれて気にならない。
食い入るように甘味を見つめている俺が視界に入ったのか、不審者への進化を止めようとしてくれているのか、店員さんが声をかけてくれる。
「いらっしゃいませ。お客様、何名――」
「二人です!!!」
「は、はい。お席はカップルシートでよろ――」
「もちろんです!!!」
「黒木くん!?」
早く席に案内して欲しいと食い気味に返答したが、どうしたことか三上が驚いている。
何か変なことをしてしまっただろうか。
俺のほとばしる熱意が伝わったのだろう、店員さんがテキパキと俺たち二人を席に案内してくれる。
「それでは、今から九十分が制限時間となっております。七十分の時点でラストオーダーとなっておりますので、よろしくお願い致します」
「は、はい。わかりました……」
「……? 何か気になる点がございますか?」
「い、いえ! 大丈夫です!」
それでは、と店員さんが去っていくのだが、何故俺たちは隣に座らされているんだ?
「三上? なんで隣同士の席なんだろうな?」
「……黒木くんがその席で良いって言ったんですよ」
「え!? いつのまに!?」
そんな質問をされた覚えはないぞ?
だが、目を細めてこちらを見ている三上の反応からするに本当の事なのだろう。
「しかし……これは困ったな……」
「どうかしたんですか?」
「い、いや。なんでもない!」
講義の時も並んで座っているが、食事となると意識してしまう。
3大欲求のうちのひとつを満たしているからだろうか。
今の俺たちは、周りの客からするとスイーツよりも甘ったるい、完全にバカップルである。
この状況は、エクレアやクレープへの想いを持ってしても流石に恥ずかしい。
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