監獄にて〜断罪されて投獄された先で運命の出会い!?

爺誤

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19 混乱中にダール帰宅

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 俺は自分でも意識しないうちに、悲観的な思考に陥っていた。幼い頃から家族と引き離され、己を律することを強制され続けていた、ヒューゴとしての記憶が戻ったことが原因だった。ヒューゴ以前の記憶も名前すら思い出せないのだが、物事を深く考えない性格だったのだけは理解している。

 家に戻って、久しぶりに手足を覆う服を着てみて、落ち着くけれど落ち着かない。こんな服では俺の魅力が表せない、でも肌をあらわにするなんて恥ずかしい。
 恥ずかしい? この俺のどこに恥ずかしく思わねばならないポイントがあるのか。
 俺より美しいと言える者など、せいぜい妹のアイリーンぐらいだ。記憶が戻ってもそう思うのだから、間違いない。

 俺の希望で置かれた大きな鏡の前に立つ。

 汚く刈られて断面がばらばらになっていた髪は、整えていまは肩につく程度になった。スャイハーラは温暖であることと、髪飾りの種類も豊富で飾るのが楽しいことから、耳の上あたりから少し編み込んだり飾りをつけて束ねていることが多い。もちろん装飾品はダールに買わせている。
 顔立ちはまるで人形かと思うほどの完璧美人だったアイリーンによく似ている。アイリーンの男版と言えるだろう。両親の遺伝子が特別優秀だったというわけではなく、思い出した弟や両親の顔立ちから、両親のいいところが出たのが俺とアイリーンだったのだろう。
 アイリーン、弟、両親、顔を思い出してわかることは、ヒューゴとして愛情を向けていたのは家族だけだった。同僚はたくさんいたけれど、俺の突出した魔力と美貌のために、遠巻きにされるか下心を持って近づいてくるか、どちらかしかなかったのだ。

「いまさら、服を着てなんになる。いままでさんざん……」

 薄い服の胸元を掴んで、苦悩する俺も美しいなんて鏡を見て思う。二つのちょっとずれた感情をすり合わせるのが難しい。ダールはこんな俺をなんというだろうか。
 らしくない? 似合わない? 好みじゃ……ない?

「帰ったぞ」
「ダール」

 似合わない感傷に浸るか、服と一緒に投げ捨てるか悩んでいるうちに、ダールが帰ってきてしまった。

「枷が外れたと聞いたが、相変わらず自分の容姿にうっとりしているのか」
「……っ、そ、それは、私は、美しい、から」
「んー?」

 まっすぐに鏡の前に立つ俺のもとにダールが近付いてきて、わざとらしく腰をかがめて下から顔を覗き込まれる。スャイハーラ人らしく、上半身は首飾りしかつけていないダールの胸筋がわざとらしく寄せられて、発達した筋肉に少し嫉妬する。魔法を封じられている間に多少筋肉がついたものの、魔法に頼り切っていたヒューゴの身体は贅肉はないが細いだけだ。

「なんで服着てるんだ? 今更恥ずかしいのか?」
「ちょっと、故郷の習慣を思い出しただけだ……」
「お前は帝国に捨てられてスャイハーラ人になるんだろ? こんな身体で国には戻れないって」
「あっ」

 服の上から乳首を抓られて、身体にじん、と痺れが走った。抓られていないほうの乳首も、ツンと尖って服に擦れてムズムズしてしまう。

「触ってほしいなら手前で脱いでみろ」
「やっ」

 いつもならノリノリで脱ぐのに、ダールの目の前で脱ぐという行為が恥ずかしくてたまらない。だが、身体はもう期待に満ちているからダールのものを挿れなければ落ち着かないだろう。

「や、だって。おい、ヒューゴ、ずいぶんと可愛くなったな。恥ずかしいなら魔法で脱いだらどうだ。偉大な魔法使いなんだろ。俺に傷一つつけずに服を千々にするなんてわけないって」

 言葉で辱めながらも、ダールの手は乳首をぐりぐりと弄ったままだし、俺の顔から視線を外さない。ダールの瞳の中に、羞恥を隠し切れない俺が映っている。
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