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30 蔓を捕らえる
街に戻ったトーカは、神殿の水場で身体を洗った。
ヒメサマはずっとただの猫のふりをしている。
水場の見張りと称してカフィラムが見ようとしてきたのには、神様ぶって出ていけと命令した。
「気持ち悪いのを洗えたのはありがたいけど、どうしようか。デズグルはみんな殺しちゃったみたいだし……いや、街に出たやつがもし、デズグルなら?」
「にゃ」
「カフィラムたちを使うしかないのか。なんかあいつ気持ちわるいんだよな」
トーカは繊細な外見に似合わない乱雑な仕草で身体をゴシゴシと拭き、置いてあった服を着る。銀糸で刺繍の入った豪奢な神官服にげんなりしたが、意外にも着心地は悪くなかった。
「顔と一緒で着てる本人にはほとんど見えないから、なんでもいいや」
「にゃー」
「でも銀髪に白い服じゃ、白強調しすぎじゃん」
ヒメサマは少しでも力を使えば神だと騒がれるため、猫らしい小さな声しか上げていないのだが、トーカは言いたいことを理解した。
「ヒメサマはおれの外見が好きなんだもんな」
「にゃにゃ」
「ふ、外見だけじゃないって?」
「にゃーん」
完全に猫として頭を手にすりすりと擦りつけてくる姿は、村で二人の時間を過ごしていた頃と似ていた。
「おれはばかじゃない……でも、経験が足りない。うまくいってるのはただ運がいいからだ」
「にゃん」
「生まれつき運がいいわけでもなさそうだし、ヒメサマに嫁入りしたあたりから?」
「にゃ」
「とっとと神殿から出てしっかり話そう」
「にゃーん」
濡れた髪が鬱陶しかったが、伸びた髪がすっかり乾くまで待つのも面倒で、湿り気を帯びたまま沐浴場を出た。
「おお、神よ」
「カフィラム、ずっといたのか……」
「もちろんです。デズグルの巣があれほど街の近くにできていたことは、非常に危険な状況でした。私を含め、神官が総出で対処しても壊滅させることができたかどうかわかりません。かといって、あの地域を封鎖したところで、デズグルが溢れたらおしまいでした」
「ふーん」
溢れるまで待っていたらあんなに気持ち悪い思いをしなくても良かったのだろうかと、遠い目をするトーカ。
「現に、いくらかのデズグルが街に入ってしまっています。いえ、街に入った分に関しては神官総出で処理いたします。すべてを神にお願いするようなことには」
「おれがやる。その代わり、おれの存在については、カフィラム、お前の責任で秘匿せよ」
「おお……神よ。神官たちのためにお力を振るってくださるのですね」
「いいや、おれはこの街の者に縁ができた。お前たちもそのうちの一つだが、すべてではない」
最初に両替をした店の老女、宿屋のエゴール、その娘、モニとロニの姉妹、ユノヒとダイル、たった数日で呪いにかかってほしくないと思える人たちがいる。
関わったのにあまり助けたいと思えないカフィラムについては微妙な気持ちだけど、彼に恩を売ることでモニとロニにはいい影響があるはずだろうと諦めた。実際は神殿に朝食を食べに来たり、沐浴場と服を貸してもらったり世話になっているのに不思議だった。
「私たちこそが神のご意志を遂行できますのに」
「そういうところだ。神が人間に望むことはないのだから」
少なくとも、トーカの知るリナサナヒメトという神はありのままの人間を愛していた。権力欲に溺れようとも、色欲に溺れようとも……きっと、残虐だったとしても、全てを見て愛している。
猫のヒメサマを見つめると、あくびをしてから、尻尾をふわりとゆらして身体に巻き付けていた。
「顔を隠せるようなものはないのか? このままじゃ目立ちすぎる」
「頭を覆うものはございません。面布なら目より下を隠せますが」
「じゃあ、それを」
ないよりはましだろうとカフィラムに用意させると、衣装と同じ刺繍がびっしりとほどこされたものを渡された。色は白と銀だけだが、この上なく派手である。トーカの銀髪と白い衣装、琥珀色の瞳が非常に協調される。
姿見の前で、こんな目立つ姿でデズグル狩りをする羽目になるのか……と絶句するトーカと、周囲で神々しさに感激する神官たちの温度差が激しかった。
諦めてさっさと済ませるために神殿を出ると、神官ではない者たちまで平伏して祈りを捧げるポーズになっていた。
「あれ、あのねこちゃん、トーカさまのじゃない?」
「ロニ、しーっ!」
トーカの横でふさふさの尻尾をピンと立てているヒメサマを見た、ロニの声が聞こえる。カフィラムに関りがあると知られるのはよくないだろうと知らないふりをしたが、トーカは気付いてもらえたことが嬉しかった。
「この騎馬専用道路の端に排水桝があるのですが、その中にデズグルがあるようです。中に入ることもできず、桝から漏れる呪いの風を散らすことしかできていません。動物を入れて寄生させて引き出すことも試しましたが、怯えて入らず」
「わかった」
覗き込むと、デズグルの端が見えた。手を突っ込めば取れそうだった。
麻袋では粘液が浸潤しそうだったので、持ってきた壷を排水桝のすぐそこへ置いた。デズグルが棲みついたことがわかってからは格子をかけて出てこれないような処置をされていた。
危険度は高いが基本的には移動をしない大人しい魔物だから、退治をする必要もなく倒すための手段が確立されていないという。人間が直接触れると触れる範囲によって呪いの強さが変わるから、掴んで引き出すようなことはできない。呪いを受けない人間はいないからだ、トーカ以外は。
「あいつ、歯は立ったから、掴むより爪を立てる感じの方がいいのかな」
「にゃ」
「傷をつけると死ぬか……スピード勝負だな」
小声でヒメサマと作戦の相談をしたトーカは、ふと、カフィラムに尋ねた。
「デズグルが棲みついた桝はどれだけある?」
「三か所です」
「そうか」
二回までは失敗できることがわかり、安心したトーカは排水桝掃除に取り掛かった。
一回目はぬるぬる逃げるデズグルを掴むのに苦労して、掴みすぎて千切ってしまい失敗。
二回目は逃げるデズグルをうまく壷に誘導して成功。
三回目は念のため予備として別の壷に入れようとしたが、トーカの身体に触手を伸ばしてきたから反射的に踏みつぶして殺してしまった。
「……ひとつは確保できてよかった」
「ああ、神よ、ありがとうございます。これで苦しむ者が新たに生まれることはないでしょう」
「それは良かった。今までに呪いにかかった者は無償で治してやれよ」
「……かしこまり、ました」
カフィラムの歯切れの悪い返事を鼻で笑って、トーカは神殿に泊まることにした。デズグル入りの壷を預けて殺されても困るし、宿に持ち込むのも憚られたからだ。何より、格好がきらきらしすぎていて宿に戻ったら嫌がられそうだった。
◇
トーカは街を歩いても目立たない格好に戻した。頭に被れる地味な布も用意してもらった。
神を讃える儀式をしたいと食い下がるカフィラムを蹴り飛ばし壷を持って神殿をでると、モニとロニが駆け寄ってきた。
「トーカさま! 昨日の白い人、トーカさまでしょ!」
「きれーだった!」
「しーっ! 二人とも、内緒だよ」
「はぁい!」
案内を頼んでいないはずなのに、ついてくる二人に困惑していると、ロニが足に抱きついてきた。
「わっ、おれには愛するだんな様がいるんだ」
「そうなの? ロニ、べつにトーカさまのおよめさんになりたいんじゃないよ?」
「そっか。ごめん勘違いして」
自分の顔が他人に与える影響がわかってるつもりで、つい勘違いしたトーカは恥ずかしくなった。ヒメサマがニンマリ笑っているのが憎らしい。
ロニはトーカから手を離し、祈りの形に手を組んで言った。
「ううん。あのね、呪いのやつ、やっつけてくれてありがとう」
「ロニが自分でお礼言いたいって。呪いを受けたひとも神殿にいけばただで治してくれるって昨日からみんな喜んでて、あたしからも、ありがと」
ロニは自分のせいで呪いが街に出てしまったと悲しんでいたようだった。
一度呪いにかかると神殿に多額のお布施をしなければ治してもらえないということも、貧しい地域に住む者たちにとっては大きな問題だった。
トーカのおかげで全てが解決したから、二人の感謝の気持ちは大きかった。
「みんな偶然だ。運が悪くて、良かったんだよ」
「そうなのかなぁ。猫の神様も、ありがとうね?」
「にゃ」
街の門で姉妹に見送られて、トーカは晴れやかな気分で最後の旅に出た。
「季馬、待ってろよー!」
ヒメサマはずっとただの猫のふりをしている。
水場の見張りと称してカフィラムが見ようとしてきたのには、神様ぶって出ていけと命令した。
「気持ち悪いのを洗えたのはありがたいけど、どうしようか。デズグルはみんな殺しちゃったみたいだし……いや、街に出たやつがもし、デズグルなら?」
「にゃ」
「カフィラムたちを使うしかないのか。なんかあいつ気持ちわるいんだよな」
トーカは繊細な外見に似合わない乱雑な仕草で身体をゴシゴシと拭き、置いてあった服を着る。銀糸で刺繍の入った豪奢な神官服にげんなりしたが、意外にも着心地は悪くなかった。
「顔と一緒で着てる本人にはほとんど見えないから、なんでもいいや」
「にゃー」
「でも銀髪に白い服じゃ、白強調しすぎじゃん」
ヒメサマは少しでも力を使えば神だと騒がれるため、猫らしい小さな声しか上げていないのだが、トーカは言いたいことを理解した。
「ヒメサマはおれの外見が好きなんだもんな」
「にゃにゃ」
「ふ、外見だけじゃないって?」
「にゃーん」
完全に猫として頭を手にすりすりと擦りつけてくる姿は、村で二人の時間を過ごしていた頃と似ていた。
「おれはばかじゃない……でも、経験が足りない。うまくいってるのはただ運がいいからだ」
「にゃん」
「生まれつき運がいいわけでもなさそうだし、ヒメサマに嫁入りしたあたりから?」
「にゃ」
「とっとと神殿から出てしっかり話そう」
「にゃーん」
濡れた髪が鬱陶しかったが、伸びた髪がすっかり乾くまで待つのも面倒で、湿り気を帯びたまま沐浴場を出た。
「おお、神よ」
「カフィラム、ずっといたのか……」
「もちろんです。デズグルの巣があれほど街の近くにできていたことは、非常に危険な状況でした。私を含め、神官が総出で対処しても壊滅させることができたかどうかわかりません。かといって、あの地域を封鎖したところで、デズグルが溢れたらおしまいでした」
「ふーん」
溢れるまで待っていたらあんなに気持ち悪い思いをしなくても良かったのだろうかと、遠い目をするトーカ。
「現に、いくらかのデズグルが街に入ってしまっています。いえ、街に入った分に関しては神官総出で処理いたします。すべてを神にお願いするようなことには」
「おれがやる。その代わり、おれの存在については、カフィラム、お前の責任で秘匿せよ」
「おお……神よ。神官たちのためにお力を振るってくださるのですね」
「いいや、おれはこの街の者に縁ができた。お前たちもそのうちの一つだが、すべてではない」
最初に両替をした店の老女、宿屋のエゴール、その娘、モニとロニの姉妹、ユノヒとダイル、たった数日で呪いにかかってほしくないと思える人たちがいる。
関わったのにあまり助けたいと思えないカフィラムについては微妙な気持ちだけど、彼に恩を売ることでモニとロニにはいい影響があるはずだろうと諦めた。実際は神殿に朝食を食べに来たり、沐浴場と服を貸してもらったり世話になっているのに不思議だった。
「私たちこそが神のご意志を遂行できますのに」
「そういうところだ。神が人間に望むことはないのだから」
少なくとも、トーカの知るリナサナヒメトという神はありのままの人間を愛していた。権力欲に溺れようとも、色欲に溺れようとも……きっと、残虐だったとしても、全てを見て愛している。
猫のヒメサマを見つめると、あくびをしてから、尻尾をふわりとゆらして身体に巻き付けていた。
「顔を隠せるようなものはないのか? このままじゃ目立ちすぎる」
「頭を覆うものはございません。面布なら目より下を隠せますが」
「じゃあ、それを」
ないよりはましだろうとカフィラムに用意させると、衣装と同じ刺繍がびっしりとほどこされたものを渡された。色は白と銀だけだが、この上なく派手である。トーカの銀髪と白い衣装、琥珀色の瞳が非常に協調される。
姿見の前で、こんな目立つ姿でデズグル狩りをする羽目になるのか……と絶句するトーカと、周囲で神々しさに感激する神官たちの温度差が激しかった。
諦めてさっさと済ませるために神殿を出ると、神官ではない者たちまで平伏して祈りを捧げるポーズになっていた。
「あれ、あのねこちゃん、トーカさまのじゃない?」
「ロニ、しーっ!」
トーカの横でふさふさの尻尾をピンと立てているヒメサマを見た、ロニの声が聞こえる。カフィラムに関りがあると知られるのはよくないだろうと知らないふりをしたが、トーカは気付いてもらえたことが嬉しかった。
「この騎馬専用道路の端に排水桝があるのですが、その中にデズグルがあるようです。中に入ることもできず、桝から漏れる呪いの風を散らすことしかできていません。動物を入れて寄生させて引き出すことも試しましたが、怯えて入らず」
「わかった」
覗き込むと、デズグルの端が見えた。手を突っ込めば取れそうだった。
麻袋では粘液が浸潤しそうだったので、持ってきた壷を排水桝のすぐそこへ置いた。デズグルが棲みついたことがわかってからは格子をかけて出てこれないような処置をされていた。
危険度は高いが基本的には移動をしない大人しい魔物だから、退治をする必要もなく倒すための手段が確立されていないという。人間が直接触れると触れる範囲によって呪いの強さが変わるから、掴んで引き出すようなことはできない。呪いを受けない人間はいないからだ、トーカ以外は。
「あいつ、歯は立ったから、掴むより爪を立てる感じの方がいいのかな」
「にゃ」
「傷をつけると死ぬか……スピード勝負だな」
小声でヒメサマと作戦の相談をしたトーカは、ふと、カフィラムに尋ねた。
「デズグルが棲みついた桝はどれだけある?」
「三か所です」
「そうか」
二回までは失敗できることがわかり、安心したトーカは排水桝掃除に取り掛かった。
一回目はぬるぬる逃げるデズグルを掴むのに苦労して、掴みすぎて千切ってしまい失敗。
二回目は逃げるデズグルをうまく壷に誘導して成功。
三回目は念のため予備として別の壷に入れようとしたが、トーカの身体に触手を伸ばしてきたから反射的に踏みつぶして殺してしまった。
「……ひとつは確保できてよかった」
「ああ、神よ、ありがとうございます。これで苦しむ者が新たに生まれることはないでしょう」
「それは良かった。今までに呪いにかかった者は無償で治してやれよ」
「……かしこまり、ました」
カフィラムの歯切れの悪い返事を鼻で笑って、トーカは神殿に泊まることにした。デズグル入りの壷を預けて殺されても困るし、宿に持ち込むのも憚られたからだ。何より、格好がきらきらしすぎていて宿に戻ったら嫌がられそうだった。
◇
トーカは街を歩いても目立たない格好に戻した。頭に被れる地味な布も用意してもらった。
神を讃える儀式をしたいと食い下がるカフィラムを蹴り飛ばし壷を持って神殿をでると、モニとロニが駆け寄ってきた。
「トーカさま! 昨日の白い人、トーカさまでしょ!」
「きれーだった!」
「しーっ! 二人とも、内緒だよ」
「はぁい!」
案内を頼んでいないはずなのに、ついてくる二人に困惑していると、ロニが足に抱きついてきた。
「わっ、おれには愛するだんな様がいるんだ」
「そうなの? ロニ、べつにトーカさまのおよめさんになりたいんじゃないよ?」
「そっか。ごめん勘違いして」
自分の顔が他人に与える影響がわかってるつもりで、つい勘違いしたトーカは恥ずかしくなった。ヒメサマがニンマリ笑っているのが憎らしい。
ロニはトーカから手を離し、祈りの形に手を組んで言った。
「ううん。あのね、呪いのやつ、やっつけてくれてありがとう」
「ロニが自分でお礼言いたいって。呪いを受けたひとも神殿にいけばただで治してくれるって昨日からみんな喜んでて、あたしからも、ありがと」
ロニは自分のせいで呪いが街に出てしまったと悲しんでいたようだった。
一度呪いにかかると神殿に多額のお布施をしなければ治してもらえないということも、貧しい地域に住む者たちにとっては大きな問題だった。
トーカのおかげで全てが解決したから、二人の感謝の気持ちは大きかった。
「みんな偶然だ。運が悪くて、良かったんだよ」
「そうなのかなぁ。猫の神様も、ありがとうね?」
「にゃ」
街の門で姉妹に見送られて、トーカは晴れやかな気分で最後の旅に出た。
「季馬、待ってろよー!」
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