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7巻
7-2
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「そなたの言葉が真実かは、視察をすれば分かるだろう」
ティアはつんと顎をあげ、アルボニ卿を見下ろすように言った。あえて居丈高な態度を取って牽制しているのだろう。
「では、近隣にある町村の状況を把握しているか」
「は、地図をお持ちします」
アルボニ卿は地図を広げ、各地の被害について報告を始めた。色をつけた石を印として置いていくと、山側から来ている瘴気とレナッソー周辺の瘴気がピパカノを挟み撃ちにしていたことが良く分かった。レナッソーの穢れは対策したから、少しはマシになるだろう。
「ところで、私には各方面の納税に関する報告が届くが、先程の話は初耳だ。なぜ窮状を訴えなかった」
「そんな! 私はピエトロ様に詳細を記した報告書を送り、国王陛下に税を軽減してもらえるように訴えてほしいと嘆願書を出しました」
彼は前のめりになって、自分の職務怠慢ではないとティアに訴える。
前年度と同じ額では全納が厳しいので、今季は減税を検討してほしい旨の嘆願書をピエトロに送ったそうだ。領主は領主で国に納税することになるので、国王に決裁してもらう必要がある。でも、納税額の見直しはされていない。
「なるほど。ピエトロが対処を怠ったか、宰相は領地の弱体化を隠したいのかもしれぬな」
「もしかして、悪事がバレたくないから黙ってるとか?」
宰相も最初は本当に被害者だったかもしれないが、現在はそれを逆手にとって利用している。瘴気が一番濃いということは、元凶がある場所と知られてしまう。水を穢す狂信者の企てに領主が加担していると疑われるかもしれない。断罪されることを恐れていたら、ほんの少しでも疑念を持たれたくないだろう。
経緯を思い返すと、王都自体には瘴気がなく、最初に浄化した泉の周辺だけが穢れていた。一味が暮らしている場所だから呪を置かなかったのだろうか。
トーラント領と接するもう一つの領地、ベルパル領は川の恩恵を受けているが、水源が異なるせいか瘴気がほとんどないらしい。領地に入る際の所持品検査も、かなり厳重にしているそうだ。だから、怪しい持ち物は持ち込めなかったのかもしれない。
「それもあるが、国益を損なう策謀に加担したとあれば極刑に値する。領内の弱体化も、自身の権力を維持するには知られたくないはずだ。あくまで被害者として、支援が欲しかったというところだろう」
アルボニ卿はとんでもない話を聞かされ、青い顔でティアから視線を逸らした。だけど、ティアは彼を逃がさなかった。
「アルボニ卿、真実から目を逸らしてはならぬ」
アルボニ卿は顔を上げ、ティアを見つめる。
「民を救うために正しいことをしろ。ピエトロはジュンヤへの拉致と暴行を図ったかどで捕らえた。現在の領主代行はロドリゴだと、通達が来ているはずだ」
「――はい」
「そなたは愚かな真似をしないと信じて良いのか?」
アルボニ卿は弾かれたように立ち上がり、ティアの足元に移動し跪いた。差し出されたティアの手を取り、恭順の意を示す。
「殿下に逆心などないと誓います。私の一族は代々この地に根づき、民に奉仕して参りました。この地域に住む人々は家族同然です。力及ばず不甲斐ないことでございますが、どうぞ私どもに力をお貸しください」
真摯な態度を示した彼を、俺は信じられると思った。ティアも信じた……のかな? 今後の浄化計画について話し始めた。みんなで地図を囲んで計画を立てる。
「降雨が少なく井戸の水量が減り、用水路の水を使う機会が増えました。それを機に問題が大きくなった気がします。ヤーリは特に水をたくさん飲む動物なのですが、目に見えて毛艶が悪くなり痩せてきました」
普段は人間も家畜も井戸水を飲んでいるそうだ。ティアは瘴気の原因と思われる、ミハ・ジアン砦がある場所に白い石を置き、腕組みした。
しばらくして、砦の石を外す。
「被害の分布図から判断して、ミハ・ジアン方面が原因らしい。だが、大規模な浄化をしても、すぐに穢れに見舞われる。ジュンヤの負担を減らすため、ここは浄化の魔石で対応しよう」
「土地の完全浄化は無理でも、町民の浄化はやらせてほしい」
また穢れに襲われるとしても、浄化すれば命を救うことができる。
「やってくれるか。では、ジュンヤに任せよう」
「ジュンヤ様、ありがとうございます」
アルボニ卿は俺に深々と頭を下げて礼を言ってくれた。
「今夜、ささやかながら皆様を晩餐にご招待いたします」
食事の約束をして、話は一旦終わりを迎えた。護衛騎士以外は解散することになった。
「では、皆様のお泊まりになる部屋にご案内します」
アルボニ家の使用人に案内され、居室に向かう。
「ティア、ダリウス、話があるんだけど、時間を作ってくれないか」
マテリオを恋人にする了解を得ていたとはいえ、その後フォローができなかったから、二人と話したい。
「じゃあ、ジュンヤの部屋に集まろうぜ」
ダリウスは真っ先に同意すると、もう任務中じゃないと考えているのか俺の肩を抱いて歩く。ティアは先を越されたせいかムッとした表情で、エルビスは後ろから睨みつけているが、本人はケロッとしている。
案内された部屋は、窓から庭が見える日当たりのいい部屋だ。椅子は四脚あり、全員集まれるようにという配慮を感じた。
「ここに座って」
丸テーブルだったので、ティアと向かい合い、ダリウスが俺の右に、エルビスは左に座ってもらう。
自分でもてなしたくて、案内してくれた使用人に茶器を出してもらうと、お茶を淹れて三人の前に置く。
「エルビスには馬車の中で話したんだけど、マテリオのことを了承してくれてありがとう。というより、背中を押してくれたよね」
「だってよ。お前にあんな顔されたら仕方ねーだろ? あのままじゃ、ずっとお前の頭ん中はマテリオでいっぱいだったろうが」
ダリウスが足を組み、口を尖らせ拗ねている。こんなことを言うなんて、いったい俺はどんな顔をしていたんだろう。
でも、俺がマテリオのことばかり考えるのが嫌なんて、ダリウスも可愛いじゃないか。
「元々、あの堅物にとってジュンヤは特別だった。自覚するのが遅くなっただけだ」
ティアは背筋をぴんと伸ばし、優雅にお茶を飲んでいる。
――堅物か。概ね合っているけどね、エッチの時以外はな!
エルビスはもう口出ししないと示すように、ニコニコしてお茶の香りを楽しんでいた。
「みんなが反対するかもと心配してたんだ」
「そりゃあ、独り占めする時間が減るからな。そこら辺の馬の骨なら断固拒否してたぜ?」
ダリウスが手を組んで指をゴリゴリと鳴らす。
「最初は冷酷で嫌な奴だと思っていたが、鉄面皮の裏にジュンヤへの執着を覗かせたのでな。それに命を捨てる覚悟を見せられたら、認めざるを得ない」
ティアは感情を押し殺しているマテリオに共感しているんだろうか。こんなふうに大人の対応をするなんて拍子抜けだ。これが複数婚のある世界の感覚なのかな。
「怒ってはいないが、礼は期待している」
「俺達、心が広~いだろ? 良い奴だろぉ?」
ティアは自分の唇に指を当て、ダリウスは両手を広げハグをねだっている。
やっぱり、ただでは終わらないよね。ティアの隣に移動しキスをする。ダリウスはあからさまに尻を撫でる。ティアのキスが深くなり、腰を抱き寄せられた。二人の手が大胆に動き始め、またすぐに致すのかと焦った。
「ちょっと待った!」
慌てて二人の手から逃れると、二人とも不満げに眉を寄せている。
「私は十分我慢した。まだ待てと言うのか?」
「なんだよぉ? 早くイチャイチャしようぜ」
ああ、正当な要求だと分かっている。でも、この二人に同時に攻められたら動けなくなってしまう。
「嫌じゃないよ。でも、町民の浄化をする前に動けなくなったら困る。それに、スるなら一対一が良い。ちゃんとお願いも聞いてあげるよ」
歩夢君の可愛いお願いを真似し、小首を傾げて二人を見上げる。精一杯のあざと可愛い攻撃、効いてくれ。
「……確かに私も二人きりで愛し合いたい。お願いも聞いてくれるのだな?」
「そうだな、二人きりでたっぷりと可愛がってやる。新しい玩具使って良いか?」
「殿下、エロ団長。いい加減、程々という言葉を覚えてください」
エルビスの鋭いツッコミが入る。ツッコミ役がすっかり板についたよな。
エルビスのおかげでこの場で許可しなくて済んだが、後でディープなエッチをされそうな予感……
「「約束だぞ」」
まぁ、言ってしまったんだから受けて立とう!
「お手柔らかに」
ダリウスは椅子から立ち上がって「おっしゃ~!」と雄叫びを上げ、ティアは俺の腰に回した手に力を込めた。
「では、今夜は私の部屋で過ごしてくれ」
そう言って舌なめずりしたティアにどきりとした。たまに特殊なエッチをするから、ちょっと心配だ。でも、他人に絶対に見せない表情を見せられると、ついなんでも許してしまう。今すぐ拘束されて抱かれたい、この男に征服されたいという浅ましい欲望に襲われる。
とはいえ、まずは晩餐会に参加しなくちゃいけない。ほんの少し疼く体を宥める。ティアは残った仕事をすると言い、ダリウスやエルビスもたまにはプライベートな時間が必要だし、それぞれの部屋に向かった。
一人になった俺は、全てを受け入れてくれた恋人達に感謝を伝える方法はなんだろうと頭を悩ませた。
ひとしきり一人の時間を楽しんだ後、気がかりなことがあったのでエルビスを呼んだ。到着時に聞いた状況から、この屋敷も瘴気の影響を受けていると思ったんだ。そこで、晩餐会のための調理が始まる前に厨房を訪れ、水や食材を浄化した。予想通り食材に瘴気が混ざっていたので、これで安心して食事ができるだろう。
大広間に行くと、長テーブルと椅子が二列並んでいる。全員が悠々と座れるくらい立派な会場だった。巡行メンバー全員も同席し、アットホームな雰囲気だ。みんな日頃のプレッシャーから解放され、満面の笑みを浮かべている。
俺はティアやダリウスと一緒にアルボニ卿の近くに座り、巡行で経験したことや元の世界の話をした。やたらと持ち上げられてくすぐったかったが、和やかな雰囲気のまま食事は終わり、解散して休む時間になった。
今夜はティアの部屋に泊まるのだが、入浴は自分の部屋で済まそうと思っていた。でも、この地域全体が瘴気に侵されているらしく、屋敷の水にも瘴気が混じっていた。当然入浴用の水も穢れているので、一緒に入って浄化の魔石を節約したほうが良いとティアに提案され、同意したって訳。
今夜は応急処置で魔石を設置したが、山に近づくにつれ、瘴気の影響が強くなっていることをひしひしと感じている。
「殿下、お着替えをご用意しましたが、本当にお手伝いしなくても良いのですか?」
ティアの部屋なので、お抱えの侍従長ソウガさんが場を仕切っている。だが、落ち着かない様子でティアにお伺いを立てている。衣服住全て世話している侍従にとって、このまま退室するのは気が引けるのだろう。
「俺がやりますから安心してください」
「分かりました。失礼いたします」
ソウガさんは一礼して下がっていった。
「もしや、入浴後にまた服を着る気か?」
素で驚いているが、さてはそのままエッチに傾れ込む気だったな? ずっと全裸はお断りですよ!
「……着たほうが良いと思うな」
普段から自分で服を着脱することがないティアの世話は、俺がするつもりだ。
「確かにジュンヤに世話を焼かれる楽しみは捨てがたいな。では、久しぶりにゆっくり湯に浸かろう」
神殿に避難してからは清拭だけだったので、ティアもお湯に入りたかったらしい。レナッソーでは領主館に戻ることも考えたが、神殿のほうが俺を警護しやすかったみたいだ。
浴室全体は世話をする使用人が入れるようにそこそこの広さがあるが、湯船は二人で入るには少し窮屈だ。でも、入れるだけありがたい。俺は心の中で異世界ファンタジーな世界に感謝した。ゲームのご都合主義万歳!
「お風呂に入れる贅沢に感謝しよう。ティア、流してあげるから座って」
薄絹を手にし、風呂用の椅子にティアを座らせ後ろに回る。お湯に魔石を入れ浄化すると、瘴気が混ざっていてキラッと光った。手桶で湯をかけ、石鹸で泡立てた薄絹で擦ろうとティアの肩に触れた時、違和感を覚えた。
「――もしかして、痩せた?」
心なしか、以前と比べてティアの体が薄くなった気がする。自分のことばかりに気を取られ、ティアに気が回っていなかったと激しく後悔した。それなのに、当の本人は背を向けたままクスッと笑い、肩に乗った俺の手に触れた。
「少々忙しかっただけだから心配ない。一段落したし、すぐに元に戻るだろう」
「ん……ご飯、しっかり食べような」
肉の薄くなった背中をそっと擦る。俺に痩せたのを気づかせないようにしていたのかな。それでエッチしなかったのかも。それなのに、こんな時でも背筋をぴんと伸ばして座っている姿を見て、なんだか切なくなった。
「ティア。いつもありがとう」
俺は背後からティアを抱きしめた。
「急にどうした?」
突然抱きしめられ、驚いたのかティアは目を丸くしている。
「見えないところでサポートしてくれてるから気づかなくて、なかなかお礼を言えないからさ」
「愛する者を守るためなら当然だ。常に傍にいられないのがもどかしい」
抱きしめた俺の腕を、ティアは宥めるようにとんとんと優しく叩く。
「ティアが駆けつけてくれたおかげで無事だったよ。狂信者は無害に見えることが多いし、対応が難しいよな」
ピエトロみたいに、目に見えて怪しければもっと警戒できるのに。
「今後は狂信者にしっかりと思い知らせるつもりだ」
「うん。俺も手伝う」
体を離して背中を洗う。少し恥ずかしいが、正面に回って脚の間に入れてもらう。屈むと、ティアの体臭が鼻腔をくすぐる。ムラムラするのを我慢し、黙々と脚を洗う。その間、ティアはずっと頭を撫でたり肩を撫でたりしてきて、お互いに欲望が沸々と湧き上がっているのを感じる。
「はい、終わり」
続けて自分の体を洗おうとしたら、ティアが薄絹を奪って投げ捨てた。
「私も洗ってやりたい。ここにおいで」
「ん……」
石鹸を手に取ったティアが、直に俺の肌を擦る。お互い、理由をつけて触れたくて仕方ないんだ。空いた左手で背中や腰を愛撫され、堪らなくなって俺からキスした。何度も唇を啄み合う優しいキスに、温かい気持ちでいっぱいになる。
「随分と積極的だな」
「貞操は無事だったけど、ウルスにベタベタ触られて気持ち悪かったんだ。だから、全員に抱かれたい。こんなことを頼む俺はおかしいのかな」
「いや、大歓迎だ」
口の端だけ上げた悪そうな笑顔で俺を見上げている。こんな顔、俺しか知らないはずだ。
「お風呂を出てから、シよ」
椅子に座ったティアに向き合う。
「確かに、この街を離れたら、当分こんな時間は作れないな」
ティアが左の脇腹を撫で、そのまま乳首を摘んだ。
「あ……んっ……まだ、だめ」
「先に仕掛けたのはジュンヤだろう?」
「そうだけど、あ……はぁ……湯船にも、入りたい……」
「そうだな。ベッドでじっくり可愛がるとしよう」
やっとお湯に浸かったが、ティアはピッタリくっついて離れない。口ではベッドでと言いながらも、俺の体を触る手つきがエロい。楽しそうだし、まぁ良いか。
「だね。のぼせたら嫌だろ」
「そういえば、ケローガでのぼせてしまったのを思い出すな」
「あー、そんなことあったな!」
ケローガで、初めてティア、ダリウス、エルビスと一緒にお風呂に入った時は、三人がかりで全身を愛撫されてのぼせてしまった。懐かしい思い出に、二人で声を出して笑った。
「あと少しで旅も終わりかな」
「だが、山中の呪を浄化したら、次は王都の瘴気が待ち受けている」
気が抜けないと言いつつ、ティアは俺の首筋に唇を這わせる。言葉と行動が違うんですけど。
王都で投獄されているナトルが、呪詛返しのせいで瘴気を生み出しているらしい。
王都の人達と接したのは、ダリウスに案内されて城外に出た日だけだ。それでも、あの時に会った人々がどうなっているか心配で仕方ない。
「俺、あの人達を助けたい。いや、助ける」
「嫌な目にあった回数のほうが多いのに、そう言えるジュンヤは尊敬に値する」
「悪人にはそれなりの対処をするよ~」
「ハハハッ!」
ティアは大声で笑い、俺を強く抱きしめた。
「ああ、こんな風に笑ったのはいつ以来だろう」
「ティアはずっと我慢してるもんな」
「当然のことをしているだけだ」
そう言うけれど、ティアは自分の気持ちを抑えて、ひたすら国益や民を守る教育をされてきた。それが王族の宿命なのだろうけど……
「とりあえず、今、何がしたい?」
「ジュンヤに触れたい。口づけたい。抱きたい」
「ぶはっ! 何その口調!」
箇条書きの文章を読み上げたような言い方が面白くて吹き出すと、ティアは不満そうに口を尖らせた。
「何が可笑しいんだ?」
「ごめんごめん! 可愛かったんだよ」
「可愛い? ジュンヤは奇特な男だな」
「政治の場では切れ者なのに、恋愛ではちょっと子供っぽいところが可愛い」
振り向いて頬にキスをする。
「――もう出ないか?」
「うん」
湯船から出てティアの体を拭いてやると、すでにお互いに臨戦態勢だった。それでもティアにローブを羽織らせる。
「どうせ脱ぐのに」
「……でも、脱がせるほうが興奮しない?」
俺もローブを羽織りながらそう答えると、ティアはニヤッとして俺の手を引き、ベッドに直行する。サイドテーブルには、もう香油と交玉が用意されていた。
「やっと独り占めできる」
ベッドに押し倒され、ティアが覆いかぶさってきた。
「そんなに慌てなくても逃げないよ?」
「気が変わるかもしれないだろう?」
「じゃあ……逃げないように縛っても良いよ」
俺がそれを許すのは一人だけ。
「拘束されるのは嫌だろう?」
「ティアだけはしても良いんだ。ううん、縛って、抱いて」
これまで狂信者達に二度捕らえられて拘束され、恐ろしい思いをした。でも、ティアに拘束される時だけは全く違う感情が込み上げてくる。自分から望んで縛られ、全てを委ねる。これは、ティアだけに与える権利だ。
自分が着ていたローブの紐を解いてティアに渡す。
「ふふ……自分で自分を縛る準備をするなんて、変な感じ」
「私は安心する。ジュンヤが本気で縛られたいのだと確信できるから……」
ティアにローブを脱がせてもらい、ベッドの下に投げ捨てた。
「ならば」
ティアもローブを脱ぎ捨てると紐を両手に持ち、ぴんと伸ばす。その仕草に思わずぞくぞくする。
「膝を曲げて、両手を前に出すんだ」
指示に従って両手を差し出すと、右手と右足首、左手と左足首を縛られた。足を閉じられない姿勢にされ、恥ずかしい場所が丸見えだ。背徳感が興奮を生み、淫靡な空気が濃くなる。
「良い格好だな。こうされるのが好きか?」
「ティアだから、好き」
「そんな誘惑の仕方をどこで覚えた」
片眉を上げ、顔を覗き込んだティアの瞳が欲望でぎらりと光る。そして、俺の足の間に滑り込むと、覆い被さってキスをする。口内に唾液を流し込まれ、甘い痺れが全身に流れ始める。
「んっ、んん、はぁ、もっと、飲ませて……」
恥ずかしい格好のままキスを繰り返す。
「ティアの味、好き……」
「ジュンヤも美味だ。それに、もうこんなになって」
「あぁっ」
陰茎の鈴口を指先で刺激され、先走りでドロドロになっているのを思い知らされる。先端だけを執拗に攻められ、もじもじと腰を揺らす。
「うぅ……もっと、ちゃんと触って」
「ジュンヤは虐められるのが好きだろう」
窄まりに潤滑液を塗られ、瓶から取り出した交玉を挿入された。じわじわと内部が濡れていき、甘く疼き始める。
「ここも虐めてほしそうだな」
「あぅ!」
右の乳首を強めに摘み擦られ、体が勝手にピクビクと跳ねる。マテリオに散々愛撫されたそこは、以前よりずっと敏感になっていた。
「あ、ん、あぁ、やぁ」
「こんなに薔薇色に色付いて、マテリオにどれだけ愛されたんだ?」
甘噛みし、舌で押し潰しながら舐められた。
「ひゃ、あっ、や、噛んじゃダメっ」
ティアは動きを止めず、上目遣いで俺の表情を見て反応を楽しんでいる。
「嫌には見えないぞ? こんなに悦んでいるではないか」
「あっ、そこで、話すなって」
乳首に軽く歯を立てられ、痛みと快感が同時に襲う。
「で? 本当は?」
体を密着させ、俺の陰茎にティアの腹筋を擦りつけられた。乳首にふっと息を吹きかけられ、もっと強い刺激が欲しくて仕方なくなる。
「気持ち良い……」
「どうされたいか教えてくれ」
「もっと、噛んで、舐めて」
ティアは答えず、不敵に笑うだけだ。噛んでは吸い、舌で転がす執拗な攻めを繰り返され、乳首がジンジンと熱い。
「頼むから、焦らさないで」
愛撫を止めたティアは首筋から下に向かって丹念に舐め始めた。体の奥が疼いて仕方ないのに、肝心な場所にはなかなか触れてくれない。
同時にティアは左手で陰茎を攻め立ててくる。上下からの刺激に耐え切れず腰が揺れる。でも、縛られているから思うように動けず、もどかしさでもっと強い刺激を求め、自ら体を揺する。
「なぁ、もっと、他も触ってぐちゃぐちゃにして……お願いだから、挿れてくれ」
恥も外聞も捨てて懇願する。
「たったこれだけで我慢ができないなんて、蕾を弄られるのがそんなに好きか?」
「ティア達にされるなら、好きだ」
「可愛いことを」
指が窄まりに触れ、浅い場所を抜き差ししてグチュグチュと滑った音を聞かされる。
「いやらしい液が溢れて、すっかり準備万端だな」
恥ずかしい言葉に耳を塞ぎたくても、両手は拘束されている。ティアは俺の右脚を肩に担ぎ、脚を大きく開かせた。やっと指が一本挿入って来て、無意識に締め付けてしまう。俺の腹に口づけながら、深く抉ってくる。
でも、足りない……
「こんなに締め付けて。何度愛されても初めての時と変わらないな」
「変わったこともあるよ」
「なんだ?」
「挿れてもらうのが上手くなった。だから、早く」
「煽るのも上手くなったな」
ティアは指を二本増やし、すました顔で隘路を掻き回してくる。そんな余裕そうな表情をして……煽られたんじゃないのかよ。
ティアの顎から汗が滴り、俺の腹の上に落ちた。見た目よりずっと興奮しているらしく、性急に左足も担がれ熱い高ぶりが窄まりに触れた。
圧倒的な質量が肉壁を割って侵入を始める。ティアは理性を保とうとしているのか、動きを止め深呼吸している。乱暴にしたくないと思ってくれるのは嬉しいけど、もっと思いっきりきてほしい。足でティアを挟むと、「もっと来い」と言わんばかりに引き寄せる。
「苦しくても、やめてやれない……」
「望むところだ」
俺が答えると、ティアは顔を歪ませて笑い、力強く陰茎を突き入れてきた。
「ん、ふ、んんっ」
小刻みな抽送を繰り返し、やっと根元まで収まった。ティアは馴染ませるようにゆさゆさと揺すっていたが、徐々に激しい動きに変わっていく。縛られて自由に動けないまま体を揺さぶられ、身悶える。
手足を拘束されているのはウルスに襲われた時と同じはずなのに、ティアに嬲られているとスパイスになり、酷く犯されたいと望んでしまう。
両足首を掴んで体を丸められ、真上から何度も突かれる。
「ティア、それ、いい、あっ、あっ」
「なんて、いやらしい……私の手でもっと乱れるところを見せろ」
「あうっ、なんで」
あと一息で射精するというところで唐突に抜かれた。
「まだ、イくのは許さない」
脚を下ろし体を右に回転させられた。腰を抱かれそのまま持ち上げられると、両手足を縛られているせいで膝立ちになり、尻を高く掲げた恥ずかしい格好になった。しかも、交玉の潤滑液が太腿を伝って落ちていくのを感じる。
「これはちょっと恥ずかしい……」
「恥ずかしいから良いんだ」
覆い被さってきたティアに挿入され、右手で乳首を攻められる。痛いくらい摘まれたうえ、体重をかけられて苦しいはずなのに、それよりも二箇所同時に与えられる快感のほうが優っていた。
こんな背徳的な快楽なんて知らなかった。俺にそれを教え込んだのはティアだ。
ナカも外も、ティアの動きに敏感に反応している。背中に何度もキスをされ、体中をぞくぞくとしたものが走る。
「はぅう……ティア……ごめ、もう、イく」
「許す」
「あっ、あっ――!」
支配者の許可を得て、安心した俺は白濁を迸らせながら達した。それでもティアは突き上げをやめなかった。
「まだイッてる! 待って、休ませて」
とめどない快楽から逃れようと身を捩る。断続的に襲う絶頂に膝立ちを続けることが難しく、生理的な涙が溢れる。ティアは涙を舐めると、ゆっくり中から出ていった。
「ティア……?」
するりと紐が解かれ、俺はベッドに倒れ込んだ。拘束は終わりかと思ったが、ティアは俺の横に手をつき、手首を取って痕がついた部分にキスした。
「ジュンヤの待っては逆の意味だと知っているぞ」
「そんなことない……」
うつ伏せのまま訴える。少なくとも休みたい気持ちは本当だ。ティアは本気にせず、首を横に振って後ろ手に手首を縛り上げた。それからヘッドボードに枕を積み上げ、俺の頭の上に移動する。一度仰向けにされてから抱き起こされ、ティアの脚を跨ぐよう指示される。俺達の欲望が触れ合って、思わず腰を揺らしてしまった。
「いいぞ。自分で挿れられるか?」
「うん……でも、支えてて」
ティアにもっと感じてほしい。腰を浮かすとふらふらするが、骨盤を掴んで支えられているから不安はない。聳り立つ屹立がすぐそこに待ち受けていると思うと興奮して堪らない気持ちになった。
目を閉じ、ゆっくりと腰を落とす。先端を飲み込むと、俺だけのものではない滑りを感じ、自分の体内に塗りたくりたい気分になった。
突然俺を支える指の力が体に食い込みそうなくらい強くなったので、薄目を開けてティアの様子を盗み見る。頬が紅潮し、眉を顰めて荒い息を吐いている。俺に見られていることに気付かず、顔を上げ大きく息を吐いた。
我慢してるの可愛い……
「ティア、好きだよ」
もっと俺の知らないティアを見たい。一気に根元まで飲み込み、ティアを強く締め付けた。
「くぅ……ジュンヤ……」
無意識に俺を呼ぶ姿が愛おしく、体を上下に動かしてナカにいるティアを愛でる。でも、ふらついて大きく動けない。
「ティア、凭れてもいい?」
「ああ」
ティアの胸に体を預けて密着する。動きを再開すると、乳首と陰茎が擦られ、まるで自慰をしているみたいだった。汗ばむ肌はティアも感じてくれている証拠だ。
ティアはつんと顎をあげ、アルボニ卿を見下ろすように言った。あえて居丈高な態度を取って牽制しているのだろう。
「では、近隣にある町村の状況を把握しているか」
「は、地図をお持ちします」
アルボニ卿は地図を広げ、各地の被害について報告を始めた。色をつけた石を印として置いていくと、山側から来ている瘴気とレナッソー周辺の瘴気がピパカノを挟み撃ちにしていたことが良く分かった。レナッソーの穢れは対策したから、少しはマシになるだろう。
「ところで、私には各方面の納税に関する報告が届くが、先程の話は初耳だ。なぜ窮状を訴えなかった」
「そんな! 私はピエトロ様に詳細を記した報告書を送り、国王陛下に税を軽減してもらえるように訴えてほしいと嘆願書を出しました」
彼は前のめりになって、自分の職務怠慢ではないとティアに訴える。
前年度と同じ額では全納が厳しいので、今季は減税を検討してほしい旨の嘆願書をピエトロに送ったそうだ。領主は領主で国に納税することになるので、国王に決裁してもらう必要がある。でも、納税額の見直しはされていない。
「なるほど。ピエトロが対処を怠ったか、宰相は領地の弱体化を隠したいのかもしれぬな」
「もしかして、悪事がバレたくないから黙ってるとか?」
宰相も最初は本当に被害者だったかもしれないが、現在はそれを逆手にとって利用している。瘴気が一番濃いということは、元凶がある場所と知られてしまう。水を穢す狂信者の企てに領主が加担していると疑われるかもしれない。断罪されることを恐れていたら、ほんの少しでも疑念を持たれたくないだろう。
経緯を思い返すと、王都自体には瘴気がなく、最初に浄化した泉の周辺だけが穢れていた。一味が暮らしている場所だから呪を置かなかったのだろうか。
トーラント領と接するもう一つの領地、ベルパル領は川の恩恵を受けているが、水源が異なるせいか瘴気がほとんどないらしい。領地に入る際の所持品検査も、かなり厳重にしているそうだ。だから、怪しい持ち物は持ち込めなかったのかもしれない。
「それもあるが、国益を損なう策謀に加担したとあれば極刑に値する。領内の弱体化も、自身の権力を維持するには知られたくないはずだ。あくまで被害者として、支援が欲しかったというところだろう」
アルボニ卿はとんでもない話を聞かされ、青い顔でティアから視線を逸らした。だけど、ティアは彼を逃がさなかった。
「アルボニ卿、真実から目を逸らしてはならぬ」
アルボニ卿は顔を上げ、ティアを見つめる。
「民を救うために正しいことをしろ。ピエトロはジュンヤへの拉致と暴行を図ったかどで捕らえた。現在の領主代行はロドリゴだと、通達が来ているはずだ」
「――はい」
「そなたは愚かな真似をしないと信じて良いのか?」
アルボニ卿は弾かれたように立ち上がり、ティアの足元に移動し跪いた。差し出されたティアの手を取り、恭順の意を示す。
「殿下に逆心などないと誓います。私の一族は代々この地に根づき、民に奉仕して参りました。この地域に住む人々は家族同然です。力及ばず不甲斐ないことでございますが、どうぞ私どもに力をお貸しください」
真摯な態度を示した彼を、俺は信じられると思った。ティアも信じた……のかな? 今後の浄化計画について話し始めた。みんなで地図を囲んで計画を立てる。
「降雨が少なく井戸の水量が減り、用水路の水を使う機会が増えました。それを機に問題が大きくなった気がします。ヤーリは特に水をたくさん飲む動物なのですが、目に見えて毛艶が悪くなり痩せてきました」
普段は人間も家畜も井戸水を飲んでいるそうだ。ティアは瘴気の原因と思われる、ミハ・ジアン砦がある場所に白い石を置き、腕組みした。
しばらくして、砦の石を外す。
「被害の分布図から判断して、ミハ・ジアン方面が原因らしい。だが、大規模な浄化をしても、すぐに穢れに見舞われる。ジュンヤの負担を減らすため、ここは浄化の魔石で対応しよう」
「土地の完全浄化は無理でも、町民の浄化はやらせてほしい」
また穢れに襲われるとしても、浄化すれば命を救うことができる。
「やってくれるか。では、ジュンヤに任せよう」
「ジュンヤ様、ありがとうございます」
アルボニ卿は俺に深々と頭を下げて礼を言ってくれた。
「今夜、ささやかながら皆様を晩餐にご招待いたします」
食事の約束をして、話は一旦終わりを迎えた。護衛騎士以外は解散することになった。
「では、皆様のお泊まりになる部屋にご案内します」
アルボニ家の使用人に案内され、居室に向かう。
「ティア、ダリウス、話があるんだけど、時間を作ってくれないか」
マテリオを恋人にする了解を得ていたとはいえ、その後フォローができなかったから、二人と話したい。
「じゃあ、ジュンヤの部屋に集まろうぜ」
ダリウスは真っ先に同意すると、もう任務中じゃないと考えているのか俺の肩を抱いて歩く。ティアは先を越されたせいかムッとした表情で、エルビスは後ろから睨みつけているが、本人はケロッとしている。
案内された部屋は、窓から庭が見える日当たりのいい部屋だ。椅子は四脚あり、全員集まれるようにという配慮を感じた。
「ここに座って」
丸テーブルだったので、ティアと向かい合い、ダリウスが俺の右に、エルビスは左に座ってもらう。
自分でもてなしたくて、案内してくれた使用人に茶器を出してもらうと、お茶を淹れて三人の前に置く。
「エルビスには馬車の中で話したんだけど、マテリオのことを了承してくれてありがとう。というより、背中を押してくれたよね」
「だってよ。お前にあんな顔されたら仕方ねーだろ? あのままじゃ、ずっとお前の頭ん中はマテリオでいっぱいだったろうが」
ダリウスが足を組み、口を尖らせ拗ねている。こんなことを言うなんて、いったい俺はどんな顔をしていたんだろう。
でも、俺がマテリオのことばかり考えるのが嫌なんて、ダリウスも可愛いじゃないか。
「元々、あの堅物にとってジュンヤは特別だった。自覚するのが遅くなっただけだ」
ティアは背筋をぴんと伸ばし、優雅にお茶を飲んでいる。
――堅物か。概ね合っているけどね、エッチの時以外はな!
エルビスはもう口出ししないと示すように、ニコニコしてお茶の香りを楽しんでいた。
「みんなが反対するかもと心配してたんだ」
「そりゃあ、独り占めする時間が減るからな。そこら辺の馬の骨なら断固拒否してたぜ?」
ダリウスが手を組んで指をゴリゴリと鳴らす。
「最初は冷酷で嫌な奴だと思っていたが、鉄面皮の裏にジュンヤへの執着を覗かせたのでな。それに命を捨てる覚悟を見せられたら、認めざるを得ない」
ティアは感情を押し殺しているマテリオに共感しているんだろうか。こんなふうに大人の対応をするなんて拍子抜けだ。これが複数婚のある世界の感覚なのかな。
「怒ってはいないが、礼は期待している」
「俺達、心が広~いだろ? 良い奴だろぉ?」
ティアは自分の唇に指を当て、ダリウスは両手を広げハグをねだっている。
やっぱり、ただでは終わらないよね。ティアの隣に移動しキスをする。ダリウスはあからさまに尻を撫でる。ティアのキスが深くなり、腰を抱き寄せられた。二人の手が大胆に動き始め、またすぐに致すのかと焦った。
「ちょっと待った!」
慌てて二人の手から逃れると、二人とも不満げに眉を寄せている。
「私は十分我慢した。まだ待てと言うのか?」
「なんだよぉ? 早くイチャイチャしようぜ」
ああ、正当な要求だと分かっている。でも、この二人に同時に攻められたら動けなくなってしまう。
「嫌じゃないよ。でも、町民の浄化をする前に動けなくなったら困る。それに、スるなら一対一が良い。ちゃんとお願いも聞いてあげるよ」
歩夢君の可愛いお願いを真似し、小首を傾げて二人を見上げる。精一杯のあざと可愛い攻撃、効いてくれ。
「……確かに私も二人きりで愛し合いたい。お願いも聞いてくれるのだな?」
「そうだな、二人きりでたっぷりと可愛がってやる。新しい玩具使って良いか?」
「殿下、エロ団長。いい加減、程々という言葉を覚えてください」
エルビスの鋭いツッコミが入る。ツッコミ役がすっかり板についたよな。
エルビスのおかげでこの場で許可しなくて済んだが、後でディープなエッチをされそうな予感……
「「約束だぞ」」
まぁ、言ってしまったんだから受けて立とう!
「お手柔らかに」
ダリウスは椅子から立ち上がって「おっしゃ~!」と雄叫びを上げ、ティアは俺の腰に回した手に力を込めた。
「では、今夜は私の部屋で過ごしてくれ」
そう言って舌なめずりしたティアにどきりとした。たまに特殊なエッチをするから、ちょっと心配だ。でも、他人に絶対に見せない表情を見せられると、ついなんでも許してしまう。今すぐ拘束されて抱かれたい、この男に征服されたいという浅ましい欲望に襲われる。
とはいえ、まずは晩餐会に参加しなくちゃいけない。ほんの少し疼く体を宥める。ティアは残った仕事をすると言い、ダリウスやエルビスもたまにはプライベートな時間が必要だし、それぞれの部屋に向かった。
一人になった俺は、全てを受け入れてくれた恋人達に感謝を伝える方法はなんだろうと頭を悩ませた。
ひとしきり一人の時間を楽しんだ後、気がかりなことがあったのでエルビスを呼んだ。到着時に聞いた状況から、この屋敷も瘴気の影響を受けていると思ったんだ。そこで、晩餐会のための調理が始まる前に厨房を訪れ、水や食材を浄化した。予想通り食材に瘴気が混ざっていたので、これで安心して食事ができるだろう。
大広間に行くと、長テーブルと椅子が二列並んでいる。全員が悠々と座れるくらい立派な会場だった。巡行メンバー全員も同席し、アットホームな雰囲気だ。みんな日頃のプレッシャーから解放され、満面の笑みを浮かべている。
俺はティアやダリウスと一緒にアルボニ卿の近くに座り、巡行で経験したことや元の世界の話をした。やたらと持ち上げられてくすぐったかったが、和やかな雰囲気のまま食事は終わり、解散して休む時間になった。
今夜はティアの部屋に泊まるのだが、入浴は自分の部屋で済まそうと思っていた。でも、この地域全体が瘴気に侵されているらしく、屋敷の水にも瘴気が混じっていた。当然入浴用の水も穢れているので、一緒に入って浄化の魔石を節約したほうが良いとティアに提案され、同意したって訳。
今夜は応急処置で魔石を設置したが、山に近づくにつれ、瘴気の影響が強くなっていることをひしひしと感じている。
「殿下、お着替えをご用意しましたが、本当にお手伝いしなくても良いのですか?」
ティアの部屋なので、お抱えの侍従長ソウガさんが場を仕切っている。だが、落ち着かない様子でティアにお伺いを立てている。衣服住全て世話している侍従にとって、このまま退室するのは気が引けるのだろう。
「俺がやりますから安心してください」
「分かりました。失礼いたします」
ソウガさんは一礼して下がっていった。
「もしや、入浴後にまた服を着る気か?」
素で驚いているが、さてはそのままエッチに傾れ込む気だったな? ずっと全裸はお断りですよ!
「……着たほうが良いと思うな」
普段から自分で服を着脱することがないティアの世話は、俺がするつもりだ。
「確かにジュンヤに世話を焼かれる楽しみは捨てがたいな。では、久しぶりにゆっくり湯に浸かろう」
神殿に避難してからは清拭だけだったので、ティアもお湯に入りたかったらしい。レナッソーでは領主館に戻ることも考えたが、神殿のほうが俺を警護しやすかったみたいだ。
浴室全体は世話をする使用人が入れるようにそこそこの広さがあるが、湯船は二人で入るには少し窮屈だ。でも、入れるだけありがたい。俺は心の中で異世界ファンタジーな世界に感謝した。ゲームのご都合主義万歳!
「お風呂に入れる贅沢に感謝しよう。ティア、流してあげるから座って」
薄絹を手にし、風呂用の椅子にティアを座らせ後ろに回る。お湯に魔石を入れ浄化すると、瘴気が混ざっていてキラッと光った。手桶で湯をかけ、石鹸で泡立てた薄絹で擦ろうとティアの肩に触れた時、違和感を覚えた。
「――もしかして、痩せた?」
心なしか、以前と比べてティアの体が薄くなった気がする。自分のことばかりに気を取られ、ティアに気が回っていなかったと激しく後悔した。それなのに、当の本人は背を向けたままクスッと笑い、肩に乗った俺の手に触れた。
「少々忙しかっただけだから心配ない。一段落したし、すぐに元に戻るだろう」
「ん……ご飯、しっかり食べような」
肉の薄くなった背中をそっと擦る。俺に痩せたのを気づかせないようにしていたのかな。それでエッチしなかったのかも。それなのに、こんな時でも背筋をぴんと伸ばして座っている姿を見て、なんだか切なくなった。
「ティア。いつもありがとう」
俺は背後からティアを抱きしめた。
「急にどうした?」
突然抱きしめられ、驚いたのかティアは目を丸くしている。
「見えないところでサポートしてくれてるから気づかなくて、なかなかお礼を言えないからさ」
「愛する者を守るためなら当然だ。常に傍にいられないのがもどかしい」
抱きしめた俺の腕を、ティアは宥めるようにとんとんと優しく叩く。
「ティアが駆けつけてくれたおかげで無事だったよ。狂信者は無害に見えることが多いし、対応が難しいよな」
ピエトロみたいに、目に見えて怪しければもっと警戒できるのに。
「今後は狂信者にしっかりと思い知らせるつもりだ」
「うん。俺も手伝う」
体を離して背中を洗う。少し恥ずかしいが、正面に回って脚の間に入れてもらう。屈むと、ティアの体臭が鼻腔をくすぐる。ムラムラするのを我慢し、黙々と脚を洗う。その間、ティアはずっと頭を撫でたり肩を撫でたりしてきて、お互いに欲望が沸々と湧き上がっているのを感じる。
「はい、終わり」
続けて自分の体を洗おうとしたら、ティアが薄絹を奪って投げ捨てた。
「私も洗ってやりたい。ここにおいで」
「ん……」
石鹸を手に取ったティアが、直に俺の肌を擦る。お互い、理由をつけて触れたくて仕方ないんだ。空いた左手で背中や腰を愛撫され、堪らなくなって俺からキスした。何度も唇を啄み合う優しいキスに、温かい気持ちでいっぱいになる。
「随分と積極的だな」
「貞操は無事だったけど、ウルスにベタベタ触られて気持ち悪かったんだ。だから、全員に抱かれたい。こんなことを頼む俺はおかしいのかな」
「いや、大歓迎だ」
口の端だけ上げた悪そうな笑顔で俺を見上げている。こんな顔、俺しか知らないはずだ。
「お風呂を出てから、シよ」
椅子に座ったティアに向き合う。
「確かに、この街を離れたら、当分こんな時間は作れないな」
ティアが左の脇腹を撫で、そのまま乳首を摘んだ。
「あ……んっ……まだ、だめ」
「先に仕掛けたのはジュンヤだろう?」
「そうだけど、あ……はぁ……湯船にも、入りたい……」
「そうだな。ベッドでじっくり可愛がるとしよう」
やっとお湯に浸かったが、ティアはピッタリくっついて離れない。口ではベッドでと言いながらも、俺の体を触る手つきがエロい。楽しそうだし、まぁ良いか。
「だね。のぼせたら嫌だろ」
「そういえば、ケローガでのぼせてしまったのを思い出すな」
「あー、そんなことあったな!」
ケローガで、初めてティア、ダリウス、エルビスと一緒にお風呂に入った時は、三人がかりで全身を愛撫されてのぼせてしまった。懐かしい思い出に、二人で声を出して笑った。
「あと少しで旅も終わりかな」
「だが、山中の呪を浄化したら、次は王都の瘴気が待ち受けている」
気が抜けないと言いつつ、ティアは俺の首筋に唇を這わせる。言葉と行動が違うんですけど。
王都で投獄されているナトルが、呪詛返しのせいで瘴気を生み出しているらしい。
王都の人達と接したのは、ダリウスに案内されて城外に出た日だけだ。それでも、あの時に会った人々がどうなっているか心配で仕方ない。
「俺、あの人達を助けたい。いや、助ける」
「嫌な目にあった回数のほうが多いのに、そう言えるジュンヤは尊敬に値する」
「悪人にはそれなりの対処をするよ~」
「ハハハッ!」
ティアは大声で笑い、俺を強く抱きしめた。
「ああ、こんな風に笑ったのはいつ以来だろう」
「ティアはずっと我慢してるもんな」
「当然のことをしているだけだ」
そう言うけれど、ティアは自分の気持ちを抑えて、ひたすら国益や民を守る教育をされてきた。それが王族の宿命なのだろうけど……
「とりあえず、今、何がしたい?」
「ジュンヤに触れたい。口づけたい。抱きたい」
「ぶはっ! 何その口調!」
箇条書きの文章を読み上げたような言い方が面白くて吹き出すと、ティアは不満そうに口を尖らせた。
「何が可笑しいんだ?」
「ごめんごめん! 可愛かったんだよ」
「可愛い? ジュンヤは奇特な男だな」
「政治の場では切れ者なのに、恋愛ではちょっと子供っぽいところが可愛い」
振り向いて頬にキスをする。
「――もう出ないか?」
「うん」
湯船から出てティアの体を拭いてやると、すでにお互いに臨戦態勢だった。それでもティアにローブを羽織らせる。
「どうせ脱ぐのに」
「……でも、脱がせるほうが興奮しない?」
俺もローブを羽織りながらそう答えると、ティアはニヤッとして俺の手を引き、ベッドに直行する。サイドテーブルには、もう香油と交玉が用意されていた。
「やっと独り占めできる」
ベッドに押し倒され、ティアが覆いかぶさってきた。
「そんなに慌てなくても逃げないよ?」
「気が変わるかもしれないだろう?」
「じゃあ……逃げないように縛っても良いよ」
俺がそれを許すのは一人だけ。
「拘束されるのは嫌だろう?」
「ティアだけはしても良いんだ。ううん、縛って、抱いて」
これまで狂信者達に二度捕らえられて拘束され、恐ろしい思いをした。でも、ティアに拘束される時だけは全く違う感情が込み上げてくる。自分から望んで縛られ、全てを委ねる。これは、ティアだけに与える権利だ。
自分が着ていたローブの紐を解いてティアに渡す。
「ふふ……自分で自分を縛る準備をするなんて、変な感じ」
「私は安心する。ジュンヤが本気で縛られたいのだと確信できるから……」
ティアにローブを脱がせてもらい、ベッドの下に投げ捨てた。
「ならば」
ティアもローブを脱ぎ捨てると紐を両手に持ち、ぴんと伸ばす。その仕草に思わずぞくぞくする。
「膝を曲げて、両手を前に出すんだ」
指示に従って両手を差し出すと、右手と右足首、左手と左足首を縛られた。足を閉じられない姿勢にされ、恥ずかしい場所が丸見えだ。背徳感が興奮を生み、淫靡な空気が濃くなる。
「良い格好だな。こうされるのが好きか?」
「ティアだから、好き」
「そんな誘惑の仕方をどこで覚えた」
片眉を上げ、顔を覗き込んだティアの瞳が欲望でぎらりと光る。そして、俺の足の間に滑り込むと、覆い被さってキスをする。口内に唾液を流し込まれ、甘い痺れが全身に流れ始める。
「んっ、んん、はぁ、もっと、飲ませて……」
恥ずかしい格好のままキスを繰り返す。
「ティアの味、好き……」
「ジュンヤも美味だ。それに、もうこんなになって」
「あぁっ」
陰茎の鈴口を指先で刺激され、先走りでドロドロになっているのを思い知らされる。先端だけを執拗に攻められ、もじもじと腰を揺らす。
「うぅ……もっと、ちゃんと触って」
「ジュンヤは虐められるのが好きだろう」
窄まりに潤滑液を塗られ、瓶から取り出した交玉を挿入された。じわじわと内部が濡れていき、甘く疼き始める。
「ここも虐めてほしそうだな」
「あぅ!」
右の乳首を強めに摘み擦られ、体が勝手にピクビクと跳ねる。マテリオに散々愛撫されたそこは、以前よりずっと敏感になっていた。
「あ、ん、あぁ、やぁ」
「こんなに薔薇色に色付いて、マテリオにどれだけ愛されたんだ?」
甘噛みし、舌で押し潰しながら舐められた。
「ひゃ、あっ、や、噛んじゃダメっ」
ティアは動きを止めず、上目遣いで俺の表情を見て反応を楽しんでいる。
「嫌には見えないぞ? こんなに悦んでいるではないか」
「あっ、そこで、話すなって」
乳首に軽く歯を立てられ、痛みと快感が同時に襲う。
「で? 本当は?」
体を密着させ、俺の陰茎にティアの腹筋を擦りつけられた。乳首にふっと息を吹きかけられ、もっと強い刺激が欲しくて仕方なくなる。
「気持ち良い……」
「どうされたいか教えてくれ」
「もっと、噛んで、舐めて」
ティアは答えず、不敵に笑うだけだ。噛んでは吸い、舌で転がす執拗な攻めを繰り返され、乳首がジンジンと熱い。
「頼むから、焦らさないで」
愛撫を止めたティアは首筋から下に向かって丹念に舐め始めた。体の奥が疼いて仕方ないのに、肝心な場所にはなかなか触れてくれない。
同時にティアは左手で陰茎を攻め立ててくる。上下からの刺激に耐え切れず腰が揺れる。でも、縛られているから思うように動けず、もどかしさでもっと強い刺激を求め、自ら体を揺する。
「なぁ、もっと、他も触ってぐちゃぐちゃにして……お願いだから、挿れてくれ」
恥も外聞も捨てて懇願する。
「たったこれだけで我慢ができないなんて、蕾を弄られるのがそんなに好きか?」
「ティア達にされるなら、好きだ」
「可愛いことを」
指が窄まりに触れ、浅い場所を抜き差ししてグチュグチュと滑った音を聞かされる。
「いやらしい液が溢れて、すっかり準備万端だな」
恥ずかしい言葉に耳を塞ぎたくても、両手は拘束されている。ティアは俺の右脚を肩に担ぎ、脚を大きく開かせた。やっと指が一本挿入って来て、無意識に締め付けてしまう。俺の腹に口づけながら、深く抉ってくる。
でも、足りない……
「こんなに締め付けて。何度愛されても初めての時と変わらないな」
「変わったこともあるよ」
「なんだ?」
「挿れてもらうのが上手くなった。だから、早く」
「煽るのも上手くなったな」
ティアは指を二本増やし、すました顔で隘路を掻き回してくる。そんな余裕そうな表情をして……煽られたんじゃないのかよ。
ティアの顎から汗が滴り、俺の腹の上に落ちた。見た目よりずっと興奮しているらしく、性急に左足も担がれ熱い高ぶりが窄まりに触れた。
圧倒的な質量が肉壁を割って侵入を始める。ティアは理性を保とうとしているのか、動きを止め深呼吸している。乱暴にしたくないと思ってくれるのは嬉しいけど、もっと思いっきりきてほしい。足でティアを挟むと、「もっと来い」と言わんばかりに引き寄せる。
「苦しくても、やめてやれない……」
「望むところだ」
俺が答えると、ティアは顔を歪ませて笑い、力強く陰茎を突き入れてきた。
「ん、ふ、んんっ」
小刻みな抽送を繰り返し、やっと根元まで収まった。ティアは馴染ませるようにゆさゆさと揺すっていたが、徐々に激しい動きに変わっていく。縛られて自由に動けないまま体を揺さぶられ、身悶える。
手足を拘束されているのはウルスに襲われた時と同じはずなのに、ティアに嬲られているとスパイスになり、酷く犯されたいと望んでしまう。
両足首を掴んで体を丸められ、真上から何度も突かれる。
「ティア、それ、いい、あっ、あっ」
「なんて、いやらしい……私の手でもっと乱れるところを見せろ」
「あうっ、なんで」
あと一息で射精するというところで唐突に抜かれた。
「まだ、イくのは許さない」
脚を下ろし体を右に回転させられた。腰を抱かれそのまま持ち上げられると、両手足を縛られているせいで膝立ちになり、尻を高く掲げた恥ずかしい格好になった。しかも、交玉の潤滑液が太腿を伝って落ちていくのを感じる。
「これはちょっと恥ずかしい……」
「恥ずかしいから良いんだ」
覆い被さってきたティアに挿入され、右手で乳首を攻められる。痛いくらい摘まれたうえ、体重をかけられて苦しいはずなのに、それよりも二箇所同時に与えられる快感のほうが優っていた。
こんな背徳的な快楽なんて知らなかった。俺にそれを教え込んだのはティアだ。
ナカも外も、ティアの動きに敏感に反応している。背中に何度もキスをされ、体中をぞくぞくとしたものが走る。
「はぅう……ティア……ごめ、もう、イく」
「許す」
「あっ、あっ――!」
支配者の許可を得て、安心した俺は白濁を迸らせながら達した。それでもティアは突き上げをやめなかった。
「まだイッてる! 待って、休ませて」
とめどない快楽から逃れようと身を捩る。断続的に襲う絶頂に膝立ちを続けることが難しく、生理的な涙が溢れる。ティアは涙を舐めると、ゆっくり中から出ていった。
「ティア……?」
するりと紐が解かれ、俺はベッドに倒れ込んだ。拘束は終わりかと思ったが、ティアは俺の横に手をつき、手首を取って痕がついた部分にキスした。
「ジュンヤの待っては逆の意味だと知っているぞ」
「そんなことない……」
うつ伏せのまま訴える。少なくとも休みたい気持ちは本当だ。ティアは本気にせず、首を横に振って後ろ手に手首を縛り上げた。それからヘッドボードに枕を積み上げ、俺の頭の上に移動する。一度仰向けにされてから抱き起こされ、ティアの脚を跨ぐよう指示される。俺達の欲望が触れ合って、思わず腰を揺らしてしまった。
「いいぞ。自分で挿れられるか?」
「うん……でも、支えてて」
ティアにもっと感じてほしい。腰を浮かすとふらふらするが、骨盤を掴んで支えられているから不安はない。聳り立つ屹立がすぐそこに待ち受けていると思うと興奮して堪らない気持ちになった。
目を閉じ、ゆっくりと腰を落とす。先端を飲み込むと、俺だけのものではない滑りを感じ、自分の体内に塗りたくりたい気分になった。
突然俺を支える指の力が体に食い込みそうなくらい強くなったので、薄目を開けてティアの様子を盗み見る。頬が紅潮し、眉を顰めて荒い息を吐いている。俺に見られていることに気付かず、顔を上げ大きく息を吐いた。
我慢してるの可愛い……
「ティア、好きだよ」
もっと俺の知らないティアを見たい。一気に根元まで飲み込み、ティアを強く締め付けた。
「くぅ……ジュンヤ……」
無意識に俺を呼ぶ姿が愛おしく、体を上下に動かしてナカにいるティアを愛でる。でも、ふらついて大きく動けない。
「ティア、凭れてもいい?」
「ああ」
ティアの胸に体を預けて密着する。動きを再開すると、乳首と陰茎が擦られ、まるで自慰をしているみたいだった。汗ばむ肌はティアも感じてくれている証拠だ。
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