笑わない風紀委員長

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　あれから乾に癒された俺は名残惜しくも別れ、今は中庭から出て生徒に見つからないように歩いている。




　この鬼ごっこでは、鬼も逃げる側も腕輪をつけて行動する。鬼が逃げる側の人間を捕まえると、腕輪に内蔵されたセンサーが反応して互いの腕輪の色が合致する。これで捕獲完了というわけだ。


　あ、ちなみに乾は鬼だからセンサーは反応しなかった。



　また追いかけられるというのは憂鬱だが……幸い俺は今気分が良い。






　乾と友人関係になるに当たり、連絡先の交換と名前呼びをすることになった。




　


　なんというか、連絡先で友人の項目に響以外の名前があるのが新鮮で嬉しい。名前呼びに関しては、乾が友人としては初めてだ。




　ということで、少し慣れないが乾改め稀吏きり、と呼ぶことにする。









　…ふふ、何だか友人、という感じがするな。










　嬉しくなって顔に出す寸前、我に返る。




　おっと、危ない。また亘に怒られるところだった。






　自然と緩みそうになる頬を引き締め、俺は鬼ごっこに専念した。