笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア

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「てかこれ、セコムに見られたら終わりじゃない?」



 「……せこむ?」




 不意に閃いたような顔でこちらを見る響。単語が聞きなれないものだったので聞き返すと、慌てて首を振った。


 
「おっとと、違うわ。風紀の人らってことね。副委員長とかさ」


 
「亘がか……?」






  少し想像する。



『……ああ、こんにちは委員長。少しお聞きしたいことがあるのですが説明していただけますか?(黒笑)』

 
『は?………意味がわかりませんただただ不快です』


『そもそも委員長は前から言っているように自覚が足りません。あとなんでよりによって会長となんですか?まさかあの人が今まで何をしたかお忘れではないですよね?私情で仕事を放棄して我々の仕事がどれだけ増えたことか……今そうでなくても、過去そうだったんですよ!!!』

 
『こうなったら新聞部を廃部にするか最低でも一年間活動休止にするしかなさそうですね……ついでに腹の立つ会長のこともしばらくボイコットしましょう』





 一瞬で悟った。

 

「説得は難関だな………」

 
「まあアレを説得するのはまず諦めた方がいいだろうな。あいつは滉と似たもんを感じる」

 
「人の仲間をアレ呼ばわりするな」



 いつの間にか西連寺も会話に加わり、面白そうにニヤついた顔を向けてくる。まだ許したわけではないので少し冷遇しておいた。



 ふと、響が思いついたように言った。


 

「でもさ、俺たちもう3年な訳じゃん?そうなるとさ、役職持ってる俺らはそろそろ引き継ぎ考えないといけないよね」

 
「俺ら?………ああそうか。お前、保健委員長だったな」

 
「会長ひど、忘れてんじゃん俺のこと……次の定例会議で反抗しようかな」


 

 がっくりと項垂れ勝手に次の会議を荒らそうとしている響に苦笑する。響はあまり仕事について大変だとか言わないから、ひっそりと役職を持っているというイメージが強いな。確かあの倫理観ゼロの保健医、真島先生に手を出されていない二人の保健委員うち一人が響だったはずだ。



 恨みがましい目で自身を睨む響に、西連寺はしれっと言ってのけた。



 
「喜べ、俺は全校生徒の顔と名前は頭に入ってるが役職持ちの奴を忘れたのはお前が初めてだ」

 
「わー光栄ですぅ会長様ぁ!飛鳥、嬉しぃ~」

 
「やめろゾッとする。……そういう女、昔家の使用人にいたな」


 「………うん、俺も我ながらキモいと思ったよ。あとそれは勤務態度大丈夫なの?」
 

 

 何気に二人が普通に話しているのを意外に思いつつ、脱線した話を戻そうと会話に入り込む。


 
「それで、響はもう引き継ぐ後輩を決めているのか?」

 
「んや、それはまだ。でもまあ、肉食真島んに食べられない強い人が良いから必然的に決まるような気もするけどね」


 


 なるほど、優秀な人材が下にいるわけか。



 納得して頷く俺の傍らで、西連寺は勝ち誇ったように笑う。


 
「俺は後のことなんざ気にしてねぇがな」



 

 生徒会は投票でメンバーが決まる。一応前代から簡単な承認が必要ではあるが、大体は生徒が校内で投票して得票数が多い生徒から役職に当てはめられ、本人の意思のもと認証されるというのが一連の流れだ。ちなみに、風紀は投票ではなく前代からの選抜で決まる。


 
「あ、そっか、人気投票かー…来年も何様俺様会長様みたいな王道が会長になるのかなうわ王道くそぉ………じゃなくて、それじゃ瑚珀は?やっぱ副委員長が継ぐの?」

 


 もちろん、俺も引き継ぎについては考えている。まだはっきりとはしていないがやはり俺としては…。

 

「そうだな、有力な候補ではある。亘本人の気持ちも尊重するので、確実ではないが……」




 そっか、と気の抜けた返答を響が返した。こういう話をしていると、急に卒業が近く感じるな。
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