求めていた俺 sequel

メズタッキン

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第5部 「東西学園闘争編」

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27話 乱入



「オラオラオラーッ!お邪魔するでぇ!!」

聖川東学園2年♢組の教室に見知らぬ関西風の学生集団がぞろぞろと乱入して来た。この急展開についていけず、クラス全員が呆然と口を開けている。

数えてみるとその数は12人か。

「こら、君たち!!どこから入ってきた!?」

担任が慌てて学生集団を追い出そうとする。

「正門や」

学生集団の先頭の男子生徒が平然と答えた。その生徒は橙色の髪で前髪はM字分け、上下ギザギザの歯が目立つ。

「誰なんだ君達は!?」

「紹介が遅れてすまんノォ。ワイの名前は朝霧雄馬。関西では名の知れた大阪府 ”火天焔学園 “ の生徒会長にして、”朝霧財閥” の御曹司や」

ギザギザの歯が特徴の男子生徒、朝霧雄馬は丁寧に身分を明かした。

”朝霧財閥“ 。大阪に拠点を置く、主に学校経営に力を入れている財閥である。 総帥の朝霧大雲は雄馬の実の父であり、現・火天焔学園理事長も兼任している。


「大阪? なんでそんな遠いトコからわざわざウチの学校に来たワケ?」


クラスで一番後ろの席に座っていた学級委員香月あずさがガタッと音を立てて、ズカズカと雄馬の元に近づき彼の胸ぐらを掴む。

しかし雄馬は全く動じる様子も見せず、

「ヒュー。さすが関東の私立高校。美少女がわんさかおるっちゅう噂はマジやったんやなぁ」

「質問に答えなさいよ。殴るわよ」

香月は雄馬の胸ぐらを掴む手に力を加える。

「香月さん! 暴力だけはいけませんよ」

「うっさいわね!」

「はい・・」

香月の勢いに負けて萎縮してしまう担任。

「ハッハハッ。関東では初対面の男に暴力を振るうおなごが主流やんか?」

「あんたねぇ・・!」

胸ぐらを掴まれながらも顎を高く上げて香月を見下すように挑発する雄馬。

それに対し、『挑発に乗ったらクラスをまとめる学級委員の沽券に関わる』と判断した香月は、しぶしぶ雄馬の胸ぐらから手を離して引き下がる。

「チッ」

舌打ちした後に横目で雄馬を睨みつけながら席に戻る香月。

「ほな、気を取り直して・・」

雄馬はシワクチャになった胸ぐらを適当に直すと、教壇の上に乗って改めて2年♢組クラスメイト全員に向き合った。

「今日はオマエらと“交渉”するためにやって来たんや」

「交渉だと?」

担任が不審な顔をする。

すると雄馬が両手を広げて堂々と告げた。

「この聖川東学園の校舎と土地を買収したいんや」

ガタッ!

ついに我慢の限界を迎えた香月が再び席を立ち上がる。

「やっぱ一発ぶん殴っておくべきだったわ!!」

「ぶん殴るのは結構やけど、後日おたくに損害賠償請求書を送らせてもらうで」

「くっ・・」

香月が歯を食いしばる。

「さて、どうする?この要求を受け入れるつもりがあるヤツは・・」


ガラガラガラガラ!!

突如扉が開く音が教室中に響いた。 黒板から離れた教室の後ろの方の扉だ。40人弱のクラスメイトと担任、そして雄馬含む12人の火天焔学園生が一斉に扉に注目する。 扉を開けたヤツはおそらく余程空気が読めない人間なんだろうなと、この場にいる全員が思った。

「いやぁ、寝坊しちゃったぜ。 ん? どうしたのみんな。何事?」


「き、桐生ゥ!!?なんちゅータイミングで登校してんのよ!」

香月が指をさして突っ込んだ。

クラス中がどよめく。

だがもっと驚いていたのは火天焔学園の生徒達であった。

「桐生・・!?あの皇楼祭を制覇したちゅう桐生やと!!?」

しかしそんな中でやけに冷静な男が約一名いた。朝霧雄馬だ。

「ほーん。オマエがウワサの桐生か。こんな所であいまみえるなんて光栄やで」

「誰だお前?」

桐生が雄馬に向かって訊ねた。

「火天焔学園生徒会長、朝霧雄馬や。フフ、その肝っ玉。やはりモノホンみたいやな。・・・オマエか?神無月師走を一撃で倒したっちゅう男は」

ここで少し意外な名前が挙がった。

「神無月師走だと。お前あいつと知り合いなのか?」

「せやで。神無月は元々ワイたち火天焔学園の生徒だったんやが、去年の6月に親の転勤の関係で聖川東学園に越して来たんや。それにしても驚いたで。あの『浪速のペガサス』の二つ名を持つ神無月を敗ったとはノォ・・」

「ふっ、なかなか強かったぜあいつは」

桐生はちょっぴり天狗になる。

「そんなことよりもワイからオマエに頼みがあんねん」

「なんだ?」

「このクラスのヤツらには既に話したが、単刀直入に言う。この学園を丸ごと朝霧財閥に売ってくれへんか」

「うーん・・それを俺に言われても困るんだが、質問に応えるなら“ダメに決まってんだろバ~カ” しか思いつかないんだよなぁ」

「そか、まぁそう返してくる事は想定の範囲内やったで」

朝霧はニヤリと笑う。

「ほんなら取り引きの条件を変更しよう。 今週の日曜日、ワイ達の地元の大阪府にある日本最大のアミューズメントパーク “パティキュラー・スタジオ・ジャポーネ “ を舞台に、
大阪名物イベント、『浪速のドッチボール大会』が開催される。そこにお前たちが出場し、ワイ達・火天焔学園選手団と戦って見事に勝利を収めるコトが出来たら今回の交渉は取り止めにする。 どや?」


雄馬が提示した取り引き内容にクラスがざわつく。

「それ、のった」

「桐生!?」

香月の瞳孔が大きく見開く。

「俺たちの学園の命運がかかってるんだ。それに、お前らもコイツの挑発に乗せられたままじゃ悔しいだろ?」

「分かっとるやないか、桐生。」

雄馬が感心したように指をパチンと鳴らす。

「で?そのなんちゃら大会の選手ってのは1チームあたり何人出れるんだよ?」

「12人ジャストや。ちなみに今日ここにいる12人の生徒達こそが、日曜日お前らと戦う対戦相手や。ワイも含めてな!」

「なっ、なんだと?」

「改めて紹介するで。オルァッ!全員横一列に並べ!!名前を呼ばれたら返事をしーや!!」


「「「「へい!!!」」」」

雄馬の鶴の一声で火天焔学園の生徒11名が教壇の上に並ぶ。雄馬はその側から一人一人名前を呼んだ。

「火天焔学園副生徒会長、“天城風雅” ァ!」

「おォーーーッス!!」

まるで体育祭の応援団長のように両手を腰に当てて大きく仰け反って返事をした。突然の大声に隣のクラスは今頃パニックに陥ってることだろう。
同じく、残りの10人も次々と雄馬に指名されていく。

「火天焔学園生徒会書記、“小牧蓮” ッ!」

「ウィーーーーーっス!!」

「火天焔学園生徒会会計、“世良嘉助” ェエ!!」

「おっす」

「 “ 熊野プサーン ” !!」

「おーっすぅ」

「 “ 水澤ヌー ” ッッ!」

「ちょりーーーっす!!」

「 “ 畑嶋みのり ” ィイイイイヤァ!!」

「オッスオッス!!」

「 “ スカイラー区 ” !」

「オッスッス!!」

「 “池田ジョウ”ーーーーッ」

「オススのス!!」

「 “ キイロイセンノ・ウッチガーワ ” 」

「オススの鬼太郎」

「 “ 田口如月 “ ッッッ」

「トイレ行ってきていいっすか?」

「 ”藻郷やゆり“ ィイイ!!」

「帰りてぇ・・」

「そして最後にこのワイ、“朝霧雄馬” !!以上、火天焔学園選手団ここに見参やーーッ」



火天焔学園の確固たる団結力が、はっきりわかんだね。
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