次元ハンター: 白い部屋で目覚め、異世界に召喚された英雄を狩る使命を帯びる

RexxsA

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ロスト・アーケイン・オーブとして転生

第4章: 幻の宴

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アレックスは王城へと歩みを進めた。石と大理石で造られた壮麗な建造物が、エルドリアの街並みにそびえ立っていた。武装した衛兵が入り口を警備し、窓からは宴の華やかな雰囲気が漂っていた。

「宴会か…侵入にはもってこいだな。」
そう呟きながらも、緊張を隠そうとする。

貴族や冒険者たちが豪華な衣装に身を包み、次々と城へ入っていく。自分の服装を改めて確認すると、あの部屋で設定した姿がそのまま反映されているのを見て、少しだけ安心した。

深く息を吸い込み、人々の流れに紛れ込む。


---



城の入り口にたどり着くと、一人の衛兵が手を挙げて制止した。

「招待状は持っているか?」

アレックスは即座に考えを巡らせ、堂々と答えた。

「もちろん、ここにある。」

彼は自信に満ちた表情を作り、まるで当然のように振る舞った。

衛兵はじっとアレックスを見つめたが、数秒後、頷いた。

「よし、通れ。」

心臓が高鳴るのを感じながら、アレックスは堂々と門をくぐった。


---

城の大広間は見事な装飾で彩られていた。豪華なシャンデリアが輝き、贅を尽くした料理が並ぶ長いテーブルが目を引く。優雅な音楽が響き渡り、貴族たちは楽しげに笑い、冒険者たちは武勇談を語り合っていた。

アレックスは人々の間をすり抜けながら、辺りを観察した。しかし、目当ての《失われし魔導の宝珠》は見当たらない。もしリュウがそれほど有名なら、彼がいればすぐに分かるはずだった。

探し続けるうちに、アレックスの視線はある人物へと吸い寄せられた。

煌びやかなドレスをまとい、長く艶やかな髪を持つ女性。貴族の華やかさを体現したような姿だった。

彼女はリュウのパーティーの一員、《炎の魔導士》ライラだった。

彼女の透き通るような笑い声が宴の喧騒の中でも際立ち、指先にはかすかに魔力の光が揺れていた。

そして、リュウが彼女を見る目。それに応えるライラの微笑み。

アレックスは胃の奥がひりつくような感覚を覚えた。

「なるほど…英雄のハーレムか。」

思わずそう呟くと、彼は人混みに紛れ、ゆっくりとライラのそばへと歩み寄った。


---



「こんばんは、麗しきご令嬢。」

アレックスはできるだけ飄々とした口調で話しかけた。

「リュウの武勇伝はよく耳にします。彼は偉大な英雄のようですね。」

ライラはアレックスの方を向き、その鮮やかな瞳でじっと彼を見つめた。

「あなた、リュウの知り合い?」

興味深そうに微笑む。

「まあ…彼の噂を聞いたことがある程度です。」

アレックスは軽い調子を装う。

「彼の仲間たちも強いと聞いています。」

ライラは誇らしげに頷いた。

「もちろん。リュウが何度も私たちを救ってくれたわ。彼がいなければ、こうして宴を楽しむこともできなかったかもしれない。」

その言葉に、アレックスの胸に小さな嫉妬が芽生える。

英雄として称えられ、人々に慕われるリュウ。しかし同時に、アレックスはどこか彼に対して哀れみのような感情も抱いていた。

彼は、リュウをこの世界から引き離さねばならない。彼の仲間、そしてライラからも——。

「仲間に恵まれるのは素晴らしいことですね。」

そう言いながらも、心の奥に複雑な想いを抱く。

「…とはいえ、どんな強者にも試練は訪れるものですが。」

ライラの表情がわずかに曇る。

「ええ、それは確かに。でも、私たちが一緒なら、どんな困難も乗り越えられる。」

リュウの仲間たちの絆を誇らしげに語るライラ。その言葉を聞きながら、アレックスは静かに思考を巡らせる。

リュウにとって、"最大の試練" となるのは、自分自身かもしれない。

「……彼が、乗り越えられないほどの試練に直面しなければいいのですが。」

アレックスはわずかに寂しげに微笑んだ。

ライラは不思議そうな表情を浮かべたが、何かを言おうとした瞬間——

大広間の向こう側で突如、歓声が湧き起こった。


---

人々の視線が一斉に集まる。

そこに現れたのは、まばゆい光を背負った一人の青年。

リュウ——英雄が、ついに姿を現した。

その胸元には、確かに《失われし魔導の宝珠》が存在していた。浮かび上がるように輝き、次第に実体化していく。

ライラの顔がぱっと明るくなる。

「リュウ!」

アレックスは無言のまま彼を見つめた。

この瞬間が、彼の運命を決める。

鼓動が速くなるのを感じながら、一歩を踏み出した。

その背後から、ライラの視線が注がれているのが分かった。

疑問と、戸惑いを孕んだ視線が。

「さて……この《宝珠》、どれほどの力を秘めているのか——。」

アレックスは低く呟くと、決意を胸に英雄へと向かって歩き出した。

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