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トージロー
犯人は
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「あいつらが言ってることが本当なら、この辺りに・・・」
グルド達から事件の手がかりについて詳しく説明されたカレンは、それが示している次の犯行現場へと急いでいた。
「あいつらの話じゃ、犯人は何かの計画のために犯行を繰り返してるって話で、前回派手な事件を起こしたから今度は人気のない所を狙う筈だって事だったけど・・・」
グルド達は集めた手掛かりから、この事件の犯人は何か大きなことを計画しており、そのために犯行を繰り返している推測していた。
そして前回、食料を輸送する馬車を襲うという派手な事件を起こしたことから、今回はそれほど目立たない場所で犯行を行うという話であった。
そのパターンに当て嵌まる路地の奥の鍛冶屋へと向かうカレンは、辿り着いたその場所に慌てて身を隠そうとしていた。
「っとと!ここだ、ここだ。どれどれ・・・何よ、何も起きてないじゃない」
考え事をしたまま目的地へと向かっていたため、思わず飛び出してしまいそうになってしまった身体を何とか路地の角へと押し留めたカレンは、そこから顔を覗かせてその先の景色を窺っている。
しかしその先にあったのは、至って平和な路地裏の景色であった。
外観だけは中の様子は分からない建物も、そこに響き渡るハンマーの音を聞けば、その鍛冶屋が至って平常に運転されているのは容易に想像出来る。
当ての外れたその景色に、カレンは拍子抜けしたと気の抜けた表情を浮かべていた。
「はぁ、期待して損した・・・そうよね、所詮はグルド達が寄越した情報だし、当てにする方が・・・ん?あれってもしかしてトージロー?何でこんな所に・・・?」
これで一気に事件解決に近づいたかと期待した結果、こんな何でもない平和な景色を目の当たりすることになった。
そんな状況に、やはりグルド達が寄越した情報など信用するじゃなかったと落ち込むカレンの視界に、見慣れた人影が横切っていた。
それはレティシアにプレゼントされたものだろうか、青いニットのセーターに真っ赤なマフラーという、この季節のわりには暖かすぎる格好をしたトージローであった。
「おーい、トージロー!あ、行っちゃった・・・こんな所に何の用だろう?ルイス達も一緒じゃないし、レティシアがこんな所に来るわけ・・・」
腕を振りトージローに声を掛けるカレンも、彼はその声に気づく様子もなく立ち去っていく。
そんな彼の姿に、こんな所に何の用があるのかとカレンは首を捻っていた。
「あっ。向こうって、襲われるかもしれない武器屋があるって方向だ・・・ま、まさかね」
そして、彼女は気づく。
トージローが向かった先が、グルド達に言われたもう一つの候補地であると。
「こ、これは一応だから!一応ね!!ほ、ほら!トージローが事件に巻き込まれた困るからね!いや、トージローなら心配ないかな?まぁ、その時は逆に犯人を捕まえられるかもしれないし!い、一石二鳥って奴ね!!あははは!」
背中に奔った悪い予感に、冷や汗が頬を伝う。
カレンはそんな悪い予感を払拭するように、努めて明るく振舞うとそんな訳はないと大声て口にしだしていた。
そうして散々言い訳を口にしたカレンはしかし、全力の忍び足でトージローの後を追う。
その目立つ格好に、彼の姿を再び見つける事は容易だった。
「はっ、はっ、はっ・・・急にどうしたのよ、あいつ!いきなり走り出して」
慎重な足取りでトージローの後を追っていた筈のカレンの姿は、今はない。
それは彼女が追っていたトージローが、急に走り出してしまったからであった。
よぼよぼの老人という見た目とは裏腹に、圧倒的な身体能力を秘めるトージローに、その後ろを追いかけるのは難しい。
路地という、最大速度を出し辛い立地のお陰で何とかそれを追いかけることが出来ていたカレンも、それは限界との戦いになっていた。
「きゃあ!?」
そしてそれは、いきなり破綻してしまう。
角を曲がった所に急に現れた男に、カレンは避けることが出来ずに思いっきり突っ込んでしまう。
「どこ見てんだ!気をつけろ!!」
「す、すみません!!」
突っ込んできたカレンに、男は僅かに身を躱すと正面衝突を避けている。
彼の身体を僅かに掠めたカレンは、衝突こそは回避したものの大きくバランスを崩してしまっていた。
そのバランスを取り戻すには、一度足を止めて壁に寄り掛かるしかない。
その状況で男へと謝罪の言葉を告げ頭を下げてカレンが再び顔を上げると、そこにトージローの姿はどこにもなかった。
「そ、そんな・・・見失っちゃた。早く、早く見つけないと!!」
寄りかかった壁に、強く打ちつけた腕は赤く腫れている。
それでもカレンは足を止める訳にはいかないと、慌てて再び駆け出している。
「きゃああああ!!!?」
そんな彼女の下に、絹を裂くような悲鳴が響いていた。
それは彼女が向かおうとしていた、その武器屋の方角からであった。
「そんな、嘘でしょ・・・トージロー、トージロー!!」
その悲鳴に信じられないと首を横に振っているカレンは、その場から駆け出すとその名前を叫んでいる。
彼女が今飛び込んだ角を曲がれば、そこはもう目的地だ。
狭い路地から開けた空間へと踏み出した足に、眩しい日差しが飛び込んできて目が眩む。
カレンはそれを避けるように、手の平を掲げていた。
「あ、あぁ・・・そんな、本当に・・・」
手の平の隙間から漏れてきた日差しに目が慣れて、それを下ろしたカレンが目にしたのは、既に全てが終わってしまっている光景であった。
血を吸いつくされてしまったのか、干からびて倒れてしまっている死体は、その武器屋の店主のものだろうか。
荒らされた店内には様々なものが散乱しており、それはその店頭に置かれていた武器の類いだけではなく、人体の一部も含まれていた。
「・・・何だカレン、向こうに行ってたんじゃなかったのか?」
そんな光景を目にしてはがっくりと項垂れ、その場に膝をついては蹲ってしまっているカレンに、彼女よりも先に現場についた様子のグルドが声を掛けてくる。
「っ!?グルド!!な、何か見なかった!?ねぇ、犯人を見たんじゃないの!?見たなら教えなさい、教えなさいよグルド!?」
完全にトージローが犯人としか思えないタイミングに、カレンは絶望に膝をついてしまっている。
そんなカレンへと声を掛けてきたグルドに彼女は飛び掛かると、彼に犯人を目撃したのかと激しく問い詰めていた。
「お、おい!?何なんだよ、一体!?俺らがついた時にはもう、犯人はいなかったっての!!」
「・・・そう、分かった。ごめんなさい、突っかかったりして・・・」
カレンの激しい詰問に、グルドは自分達がついた時には犯人はもういなかったと叫んでいる。
その彼の言葉にカレンは目を見開くと、グルドから手を放しふらふらと後ずさってしまっていた。
「でも、犯人の逃げていく姿なら見た。そうだろ、グルド?」
そんなカレンの姿に、グルドの仲間であるタックスが声を掛けてくる。
彼は犯人の姿ははっきりとは見なかったが、逃げていく姿ならば見たと話していた。
「っ!?本当なの、グルド!?」
「あ、あぁ・・・そういや、そうだった。つっても、後姿をちらっと見ただけで・・・」
「それでもいい!何か、何か憶えてることはない!?」
その言葉にカレンは食いつくと、またしてもグルドに飛びついていく。
グルドもまたタックスの言葉に思い出したと頭を掻いていたが、大したことは見ていないと呟いていた。
「んなこと言われてもなぁ・・・憶えてるっていやぁ、あれぐらいだぞ?この季節だってのに、暑苦しい青いマフラーをしてたことと・・・ほら、あれだ。何て言うんだ、こう赤いもこもこの奴・・・」
「ニット」
「あぁ、そうだ!赤いニットのセーターを着てたな!こんな季節だってのに、変な奴だと・・・ん、どうしたんだカレン?顔色が悪ぃぞ?」
縋りつくようなカレンの表情に何とか記憶を引っ張り出しているグルドは、その目撃した特徴的な格好について証言していく。
「それ、さっき見たトージローの格好だ・・・」
そしてその証言された服装は、まさにカレンが目撃したトージローの格好そのものであった。
グルド達から事件の手がかりについて詳しく説明されたカレンは、それが示している次の犯行現場へと急いでいた。
「あいつらの話じゃ、犯人は何かの計画のために犯行を繰り返してるって話で、前回派手な事件を起こしたから今度は人気のない所を狙う筈だって事だったけど・・・」
グルド達は集めた手掛かりから、この事件の犯人は何か大きなことを計画しており、そのために犯行を繰り返している推測していた。
そして前回、食料を輸送する馬車を襲うという派手な事件を起こしたことから、今回はそれほど目立たない場所で犯行を行うという話であった。
そのパターンに当て嵌まる路地の奥の鍛冶屋へと向かうカレンは、辿り着いたその場所に慌てて身を隠そうとしていた。
「っとと!ここだ、ここだ。どれどれ・・・何よ、何も起きてないじゃない」
考え事をしたまま目的地へと向かっていたため、思わず飛び出してしまいそうになってしまった身体を何とか路地の角へと押し留めたカレンは、そこから顔を覗かせてその先の景色を窺っている。
しかしその先にあったのは、至って平和な路地裏の景色であった。
外観だけは中の様子は分からない建物も、そこに響き渡るハンマーの音を聞けば、その鍛冶屋が至って平常に運転されているのは容易に想像出来る。
当ての外れたその景色に、カレンは拍子抜けしたと気の抜けた表情を浮かべていた。
「はぁ、期待して損した・・・そうよね、所詮はグルド達が寄越した情報だし、当てにする方が・・・ん?あれってもしかしてトージロー?何でこんな所に・・・?」
これで一気に事件解決に近づいたかと期待した結果、こんな何でもない平和な景色を目の当たりすることになった。
そんな状況に、やはりグルド達が寄越した情報など信用するじゃなかったと落ち込むカレンの視界に、見慣れた人影が横切っていた。
それはレティシアにプレゼントされたものだろうか、青いニットのセーターに真っ赤なマフラーという、この季節のわりには暖かすぎる格好をしたトージローであった。
「おーい、トージロー!あ、行っちゃった・・・こんな所に何の用だろう?ルイス達も一緒じゃないし、レティシアがこんな所に来るわけ・・・」
腕を振りトージローに声を掛けるカレンも、彼はその声に気づく様子もなく立ち去っていく。
そんな彼の姿に、こんな所に何の用があるのかとカレンは首を捻っていた。
「あっ。向こうって、襲われるかもしれない武器屋があるって方向だ・・・ま、まさかね」
そして、彼女は気づく。
トージローが向かった先が、グルド達に言われたもう一つの候補地であると。
「こ、これは一応だから!一応ね!!ほ、ほら!トージローが事件に巻き込まれた困るからね!いや、トージローなら心配ないかな?まぁ、その時は逆に犯人を捕まえられるかもしれないし!い、一石二鳥って奴ね!!あははは!」
背中に奔った悪い予感に、冷や汗が頬を伝う。
カレンはそんな悪い予感を払拭するように、努めて明るく振舞うとそんな訳はないと大声て口にしだしていた。
そうして散々言い訳を口にしたカレンはしかし、全力の忍び足でトージローの後を追う。
その目立つ格好に、彼の姿を再び見つける事は容易だった。
「はっ、はっ、はっ・・・急にどうしたのよ、あいつ!いきなり走り出して」
慎重な足取りでトージローの後を追っていた筈のカレンの姿は、今はない。
それは彼女が追っていたトージローが、急に走り出してしまったからであった。
よぼよぼの老人という見た目とは裏腹に、圧倒的な身体能力を秘めるトージローに、その後ろを追いかけるのは難しい。
路地という、最大速度を出し辛い立地のお陰で何とかそれを追いかけることが出来ていたカレンも、それは限界との戦いになっていた。
「きゃあ!?」
そしてそれは、いきなり破綻してしまう。
角を曲がった所に急に現れた男に、カレンは避けることが出来ずに思いっきり突っ込んでしまう。
「どこ見てんだ!気をつけろ!!」
「す、すみません!!」
突っ込んできたカレンに、男は僅かに身を躱すと正面衝突を避けている。
彼の身体を僅かに掠めたカレンは、衝突こそは回避したものの大きくバランスを崩してしまっていた。
そのバランスを取り戻すには、一度足を止めて壁に寄り掛かるしかない。
その状況で男へと謝罪の言葉を告げ頭を下げてカレンが再び顔を上げると、そこにトージローの姿はどこにもなかった。
「そ、そんな・・・見失っちゃた。早く、早く見つけないと!!」
寄りかかった壁に、強く打ちつけた腕は赤く腫れている。
それでもカレンは足を止める訳にはいかないと、慌てて再び駆け出している。
「きゃああああ!!!?」
そんな彼女の下に、絹を裂くような悲鳴が響いていた。
それは彼女が向かおうとしていた、その武器屋の方角からであった。
「そんな、嘘でしょ・・・トージロー、トージロー!!」
その悲鳴に信じられないと首を横に振っているカレンは、その場から駆け出すとその名前を叫んでいる。
彼女が今飛び込んだ角を曲がれば、そこはもう目的地だ。
狭い路地から開けた空間へと踏み出した足に、眩しい日差しが飛び込んできて目が眩む。
カレンはそれを避けるように、手の平を掲げていた。
「あ、あぁ・・・そんな、本当に・・・」
手の平の隙間から漏れてきた日差しに目が慣れて、それを下ろしたカレンが目にしたのは、既に全てが終わってしまっている光景であった。
血を吸いつくされてしまったのか、干からびて倒れてしまっている死体は、その武器屋の店主のものだろうか。
荒らされた店内には様々なものが散乱しており、それはその店頭に置かれていた武器の類いだけではなく、人体の一部も含まれていた。
「・・・何だカレン、向こうに行ってたんじゃなかったのか?」
そんな光景を目にしてはがっくりと項垂れ、その場に膝をついては蹲ってしまっているカレンに、彼女よりも先に現場についた様子のグルドが声を掛けてくる。
「っ!?グルド!!な、何か見なかった!?ねぇ、犯人を見たんじゃないの!?見たなら教えなさい、教えなさいよグルド!?」
完全にトージローが犯人としか思えないタイミングに、カレンは絶望に膝をついてしまっている。
そんなカレンへと声を掛けてきたグルドに彼女は飛び掛かると、彼に犯人を目撃したのかと激しく問い詰めていた。
「お、おい!?何なんだよ、一体!?俺らがついた時にはもう、犯人はいなかったっての!!」
「・・・そう、分かった。ごめんなさい、突っかかったりして・・・」
カレンの激しい詰問に、グルドは自分達がついた時には犯人はもういなかったと叫んでいる。
その彼の言葉にカレンは目を見開くと、グルドから手を放しふらふらと後ずさってしまっていた。
「でも、犯人の逃げていく姿なら見た。そうだろ、グルド?」
そんなカレンの姿に、グルドの仲間であるタックスが声を掛けてくる。
彼は犯人の姿ははっきりとは見なかったが、逃げていく姿ならば見たと話していた。
「っ!?本当なの、グルド!?」
「あ、あぁ・・・そういや、そうだった。つっても、後姿をちらっと見ただけで・・・」
「それでもいい!何か、何か憶えてることはない!?」
その言葉にカレンは食いつくと、またしてもグルドに飛びついていく。
グルドもまたタックスの言葉に思い出したと頭を掻いていたが、大したことは見ていないと呟いていた。
「んなこと言われてもなぁ・・・憶えてるっていやぁ、あれぐらいだぞ?この季節だってのに、暑苦しい青いマフラーをしてたことと・・・ほら、あれだ。何て言うんだ、こう赤いもこもこの奴・・・」
「ニット」
「あぁ、そうだ!赤いニットのセーターを着てたな!こんな季節だってのに、変な奴だと・・・ん、どうしたんだカレン?顔色が悪ぃぞ?」
縋りつくようなカレンの表情に何とか記憶を引っ張り出しているグルドは、その目撃した特徴的な格好について証言していく。
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