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初めてのお客様
意外な結末に三人は修正を急ぐ 2
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「おっと、そんな事よりも・・・その先の展開をどうするか考えないとな」
部下からの賞賛に上機嫌となっていたカイは、それ所ではない状況を思い出すと急に表情を引き締め直す。
最初の戦いこそ何とか切り抜けたクリス達だが、その被害は甚大だ。
しかも彼らの戦力は、予想を大きく下回っている。
それを考えれば、この先のダンジョンの構成を一刻も早く変更しなければならないだろう。
短い時間でそれを考える自信のないカイは、優秀な部下達にそれを手伝ってもらおうと、そっと話題を振ってみる。
しかしそれに返ってきたのは、ダミアンの渋い表情であった。
「それは・・・先ほどの戦いを考えて、この先の難易度を下げるという事じゃろうか?それには賛成しますが・・・しかし、彼らはこの先も進んでくれますかの?」
「彼らがこのまま帰ってしまうと?それは・・・困るな」
カイの言葉の意図をすぐさま理解したダミアンが口にしたのは、クリス達がこのままダンジョンを後にしてしまう可能性であった。
初めての冒険の高揚感も、命の危険の前では霞んでしまう。
彼らが直面した危険は、その探索意欲を失わせるには十分のものであろう。
ダミアンに言われて初めてその可能性に思い至ったカイは心底困り果て、それをそのまま口にすることしか出来ずにいた。
「今の内に、ダンジョンの入り口を塞いでしまいましょうか?魔物を配置するのもいいかもしれません、強力な魔物であれば彼らもそこを通ろうとは思わないでしょう」
カイの困った表情を目にしたヴェロニカは、すぐさまクリス達を帰さないような方策を考え出す。
それは物理的に彼らを閉じ込めてしまう方法であり、カイが求めるものとは方向性が違ってしまっていた。
「いや、それは確か出来ない筈だ。外の者がダンジョンにいる場合、幾つかの操作が出来なくなるとマニュアルに・・・魔物を配置するのは可能だったか?」
ヴェロニカの発言にそれは不可能だと答えたカイは、入力端末をあれこれと弄ってはマニュアルを探している。
彼が以前読んだダンジョンのルールでは、外から来た人間が内部にいる場合はダンジョンの構成を弄れなかった筈だ。
それは外から来た魔物達によっても実証されている。
彼らがダンジョンに来て間もない頃、ダンジョンの構成を弄ろうとしてうまくいかず、永遠と頭を捻っていた記憶がカイにはあった。
それは彼らをダンジョンに所属する魔物として登録することで事なきを得たが、クリス達がダンジョン内にいる今は、それが不可能な事には変わりはない。
「まぁいい。それよりもヴェロニカ、私はあまりそういう事はしたくないんだ。彼らにはこのダンジョンを楽しんで帰って欲しい。閉じ込めるというのはあまり、な・・・」
ダンジョンの構造を弄るのは不可能でも、クリス達がいないエリアに魔物を配置するのは可能だった筈。
それを確認するためにマニュアルを探していたカイは、中々見つからないそれに諦めを口にすると、ヴェロニカに語り掛ける。
カイの目的はあくまで、クリス達にこのダンジョン探索を楽しんでもらう事だ。
それを考えれば、ヴェロニカの案は彼の意図に完全に反したものであろう。
それでもその案が自らの事を思ってのものだと分かっている彼は、優しい口調で彼女に苦言を呈していた。
部下からの賞賛に上機嫌となっていたカイは、それ所ではない状況を思い出すと急に表情を引き締め直す。
最初の戦いこそ何とか切り抜けたクリス達だが、その被害は甚大だ。
しかも彼らの戦力は、予想を大きく下回っている。
それを考えれば、この先のダンジョンの構成を一刻も早く変更しなければならないだろう。
短い時間でそれを考える自信のないカイは、優秀な部下達にそれを手伝ってもらおうと、そっと話題を振ってみる。
しかしそれに返ってきたのは、ダミアンの渋い表情であった。
「それは・・・先ほどの戦いを考えて、この先の難易度を下げるという事じゃろうか?それには賛成しますが・・・しかし、彼らはこの先も進んでくれますかの?」
「彼らがこのまま帰ってしまうと?それは・・・困るな」
カイの言葉の意図をすぐさま理解したダミアンが口にしたのは、クリス達がこのままダンジョンを後にしてしまう可能性であった。
初めての冒険の高揚感も、命の危険の前では霞んでしまう。
彼らが直面した危険は、その探索意欲を失わせるには十分のものであろう。
ダミアンに言われて初めてその可能性に思い至ったカイは心底困り果て、それをそのまま口にすることしか出来ずにいた。
「今の内に、ダンジョンの入り口を塞いでしまいましょうか?魔物を配置するのもいいかもしれません、強力な魔物であれば彼らもそこを通ろうとは思わないでしょう」
カイの困った表情を目にしたヴェロニカは、すぐさまクリス達を帰さないような方策を考え出す。
それは物理的に彼らを閉じ込めてしまう方法であり、カイが求めるものとは方向性が違ってしまっていた。
「いや、それは確か出来ない筈だ。外の者がダンジョンにいる場合、幾つかの操作が出来なくなるとマニュアルに・・・魔物を配置するのは可能だったか?」
ヴェロニカの発言にそれは不可能だと答えたカイは、入力端末をあれこれと弄ってはマニュアルを探している。
彼が以前読んだダンジョンのルールでは、外から来た人間が内部にいる場合はダンジョンの構成を弄れなかった筈だ。
それは外から来た魔物達によっても実証されている。
彼らがダンジョンに来て間もない頃、ダンジョンの構成を弄ろうとしてうまくいかず、永遠と頭を捻っていた記憶がカイにはあった。
それは彼らをダンジョンに所属する魔物として登録することで事なきを得たが、クリス達がダンジョン内にいる今は、それが不可能な事には変わりはない。
「まぁいい。それよりもヴェロニカ、私はあまりそういう事はしたくないんだ。彼らにはこのダンジョンを楽しんで帰って欲しい。閉じ込めるというのはあまり、な・・・」
ダンジョンの構造を弄るのは不可能でも、クリス達がいないエリアに魔物を配置するのは可能だった筈。
それを確認するためにマニュアルを探していたカイは、中々見つからないそれに諦めを口にすると、ヴェロニカに語り掛ける。
カイの目的はあくまで、クリス達にこのダンジョン探索を楽しんでもらう事だ。
それを考えれば、ヴェロニカの案は彼の意図に完全に反したものであろう。
それでもその案が自らの事を思ってのものだと分かっている彼は、優しい口調で彼女に苦言を呈していた。
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