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第二章 王国動乱
凶弾に倒れる
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「敵軍の将よ!!私はユークレール家筆頭騎士、エクス!!この剣の錆となりたくなければ、今すぐ剣を捨て投降しろ!!」
突然響いたその声に、誰もが驚いた。
何故ならその一瞬前には、声が聞こえたその場所には疎らに生えた草が風に揺れているだけで誰の姿もなかったからだ。
「何だ、どうした?」
無人の野を快調に進み、後は目の前のユークレール家の軍勢を蹴散らしジーク・オブライエンの首を取るだけだと上機嫌だったルーカスは、突然鈍った軍勢の足に不機嫌そうにいぶかしむ。
「敵軍の将よ、聞いているのか!?私は・・・私は無用な争いは好まない!!そちらに投降の意思があるならば、こちらからはこれ以上手を出さないと誓おう!!」
ルーカスはその原因が何かと、軍の前方へと馬を進める。
エクスは敵軍の将、つまりルーカスからの返事がないため再び声を張り上げる。
二人がその距離を徐々に詰めていく中、全く関係ない者達がその間へと割って入っていた。
「へへへ・・・そっちから手を出さねぇってつってもなぁ?」
「こんな綺麗な嬢ちゃんに手を出すなってのが無理ってもんだろぉ!?」
エクスの美しさは、逆に人に畏怖を与え遠ざけてしまうものだ。
しかし中にはそうした感情を知ることなく、単純に劣情だけを催す者もいた。
そしてそうした者は、残念ながら兵士という立場の者には少なくはない。
今、彼らはエクスの周囲を取り囲み、下卑た笑みを浮かべては彼女へと襲い掛かる。
「あれが原因か・・・ん、あの姿はどこかで?そうだ、パトリックが言っていたのは・・・おい、お前たち待て!そいつは―――」
彼らがエクスに襲い掛かるのと、ルーカスが彼女の姿を目にするのはほぼ同時であった。
その姿を目にした瞬間ルーカスは気づいていた、彼女こそがパトリックが忠告した存在であると。
「なっ!?」
警戒の声を上げ兵達を制止しようとするルーカス、しかし全てが遅かった。
彼がその声を上げた時にはもう、彼女はそれを終えた後だったのだから。
ルーカスは信じられないという表情で驚愕の声を上げる、瞬きに満たない間に全て切り伏せられた兵士達の亡骸を目にして。
「な、何だこいつ・・・」
「化け物・・・化け物だー!!?」
人間の域を超えた力を表すには、その言葉しかない。
自らを化け物と呼び、一目散に逃げだしている兵士達の中でエクスは一人、俯いたまま静かに佇んでいた。
◇◆◇◆◇◆
「・・・おかしい」
飛び出していったエクスを追い駆け、慌てて兵を動かしていたヘイニーは、馬上からその光景を目にしてそう呟いていた。
「エクスさんはあんなものじゃ・・・やはりユーリさんの不在で調子が?」
ルーカス率いる兵が化け物だと怯えるエクスの実力、しかしその本当の力を知っているヘイニーからすれば、それは明らかに本調子とは程遠いものであった。
「不味い、このままではエクスさんが!皆、急ぐぞ!!」
不調のエクス、しかしその力はそれでも人の域を超えたものだ。
しかしヘイニーは、そんな彼女の姿に何か胸騒ぎを感じていた。
彼は急ぐ、誰にも傷つけられることのないエクスを助けるために。
それに反対する兵は、彼の下には誰一人存在しなかった。
◇◆◇◆◇◆
「何故だ、どうしてこうなる・・・」
瞬く間に切り捨てられてしまった自らの兵の姿を見下ろし、ルーカスは絶望に顔を覆ってはそう呟いていた。
「貴公が指揮官か?投降すれば命までは取らない、兵士達の身も保証しよう。主君ヘイニー・ユークレールに代わってこのエクスが―――」
周りの兵士達がエクスに怯えて逃げていくのに対して、ルーカスの周りの兵士達は恐怖に顔を引きつらせながらも主君を守ろうとその場に留まっていた。
その様子を目にすれば、顔を知らないエクスでも彼がこの軍の指揮官だと分かる。
僅かに安堵したように表情を緩めたエクスは、再び顔を引き締めると彼に改めて降伏を勧告していた。
「・・・のような、貴様のような小娘などに・・・邪魔されてたまるかぁ!!!」
しかしその言葉は、ルーカスには届かない。
いや届いてはいたかもしれない、ただその効果は彼女が狙ったものとは違っていたが。
度重なる思い描いていたのとは異なる現実、挫折を繰り返す中でとうとう正気を失ったルーカス。
彼は今また立ち塞がった障害であるエクスへと飛び掛かると、その体格に見合った大振りな剣を振り下ろす。
「何?くっ!?」
予想していなかったその動きに、それでもエクスは反応している。
しかし思いの外重かったルーカスの一撃に、エクスは苦悶の声を上げると僅かに押し込まれてしまう。
「ふははははっ!!幾ら腕が立つといっても所詮は女よ!!力で押せばこうも容易く・・・ぐはぁ!?」
立派な体格に筋肉質な身体つきをしているルーカスの体重は、下手すればエクスの数倍に近いだろう。
その重さに任せて叩きつける剣に押し込められるエクス、彼女の姿にルーカスは勝ち誇り笑い声をあげる。
しかしそれもすぐに終わりを迎え、彼は悲鳴と共に弾き飛ばされてしまっていた。
「・・・これで満足したか?分かっただろう、貴方では私に勝てないと。投降しろ、命までは取らない」
弾き飛ばされ地面に情けない姿に横たわるルーカスの下へと歩み寄ったエクスは、その鼻先に剣を突きつけ静かに告げる。
どうにかその場から逃れようとしていたルーカスも、その剣先が喉元に迫れば小さな悲鳴を上げ大人しくなる。
「くそっ!何故だ、何故こうも次々と我の前に立ち塞がるのだ!!先ほどもそうだ!あの忌々しい小娘を助けに来た男、ユーリとか言ったか?奴など、どこにでもいるようなただの男ではないか!?何故あのような者までが、我の前に立ち塞がるのか!?」
何かをやろうとする度に何度も何度も立ち塞がってくる障害、それらにもううんざりだと叫ぶルーカスは、それらに何の関係もないエクスに対してそれをぶちまけていた。
「・・・今、ユーリと言ったか貴様?」
しかし彼が口にしたその名前は、本当に彼女には何の関係もない名前だったか。
違う、それは―――。
「なるほど、主人の名を聞いて固まりますか。これは意外な弱点だ、しっかり記憶させていただきますよ」
もうずっと長い時間傍を離れ、その名を聞くことのなかった主人の名を耳にし思わず固まってしまうエクス。
怒りに飲み込まれ、ただひたすらに喚き散らしているだけのルーカスに彼女の異変に気づくことは出来ないだろう。
であれば、それに気づいたその声は一体誰のものであったか。
「さて、折角の好機だ・・・これを試してみますか」
その声の主、パトリック・ボールドウィンは彼女達から少し離れた場所でその場面を目撃する。
そして彼は、その懐からあるものを取り出していた。
手の平に余るぐらいの大きさの筒状の物体で、表面の光沢からは金属製であることを感じさせるそれは、例えるならば銃のようなものであった。
「これを持ってきた方の話によれば『幻想殺し』だとか。その異名、真かどうか・・・この私が確かめて差し上げましょう」
蛇のような目を細め「幻想殺し」を手にするパトリックが狙うは、伝説に謳われる最強の剣、聖剣エクスカリバー。
その異名、嘘か真か。
パトリックは舌を覗かせ酷薄に嗤うと、引き金を引いた。
「どこだ!?一体どこでその名を・・・っ!?」
エクスが身に纏う服装は普段と大差ない軽装で、その振る舞いは無防備にすら見える。
それは彼女が知っていたからであった、ここにこの身を傷つけられるものなど存在しないと。
その彼女の背中に寒気が奔り、感じた危険に素早く身を躱そうとする。
しかしそれももう遅い、パトリックが撃ち放ったそれは音速を超え、撃たれてから反応したのでは遅いのだ。
それから身を守れるとしたらそれは、撃たれる前からそれに気づき、逃れようと動いた場合のみ。
もしくは―――
「エクスさん、危ない!!」
「・・・え?」
彼のように、その前から彼女を助けようと身を挺した時だけだろう。
騎乗した馬の上から飛び出し、エクスの身体を突き飛ばすヘイニー。
その背中に、凶弾は命中した。
突然響いたその声に、誰もが驚いた。
何故ならその一瞬前には、声が聞こえたその場所には疎らに生えた草が風に揺れているだけで誰の姿もなかったからだ。
「何だ、どうした?」
無人の野を快調に進み、後は目の前のユークレール家の軍勢を蹴散らしジーク・オブライエンの首を取るだけだと上機嫌だったルーカスは、突然鈍った軍勢の足に不機嫌そうにいぶかしむ。
「敵軍の将よ、聞いているのか!?私は・・・私は無用な争いは好まない!!そちらに投降の意思があるならば、こちらからはこれ以上手を出さないと誓おう!!」
ルーカスはその原因が何かと、軍の前方へと馬を進める。
エクスは敵軍の将、つまりルーカスからの返事がないため再び声を張り上げる。
二人がその距離を徐々に詰めていく中、全く関係ない者達がその間へと割って入っていた。
「へへへ・・・そっちから手を出さねぇってつってもなぁ?」
「こんな綺麗な嬢ちゃんに手を出すなってのが無理ってもんだろぉ!?」
エクスの美しさは、逆に人に畏怖を与え遠ざけてしまうものだ。
しかし中にはそうした感情を知ることなく、単純に劣情だけを催す者もいた。
そしてそうした者は、残念ながら兵士という立場の者には少なくはない。
今、彼らはエクスの周囲を取り囲み、下卑た笑みを浮かべては彼女へと襲い掛かる。
「あれが原因か・・・ん、あの姿はどこかで?そうだ、パトリックが言っていたのは・・・おい、お前たち待て!そいつは―――」
彼らがエクスに襲い掛かるのと、ルーカスが彼女の姿を目にするのはほぼ同時であった。
その姿を目にした瞬間ルーカスは気づいていた、彼女こそがパトリックが忠告した存在であると。
「なっ!?」
警戒の声を上げ兵達を制止しようとするルーカス、しかし全てが遅かった。
彼がその声を上げた時にはもう、彼女はそれを終えた後だったのだから。
ルーカスは信じられないという表情で驚愕の声を上げる、瞬きに満たない間に全て切り伏せられた兵士達の亡骸を目にして。
「な、何だこいつ・・・」
「化け物・・・化け物だー!!?」
人間の域を超えた力を表すには、その言葉しかない。
自らを化け物と呼び、一目散に逃げだしている兵士達の中でエクスは一人、俯いたまま静かに佇んでいた。
◇◆◇◆◇◆
「・・・おかしい」
飛び出していったエクスを追い駆け、慌てて兵を動かしていたヘイニーは、馬上からその光景を目にしてそう呟いていた。
「エクスさんはあんなものじゃ・・・やはりユーリさんの不在で調子が?」
ルーカス率いる兵が化け物だと怯えるエクスの実力、しかしその本当の力を知っているヘイニーからすれば、それは明らかに本調子とは程遠いものであった。
「不味い、このままではエクスさんが!皆、急ぐぞ!!」
不調のエクス、しかしその力はそれでも人の域を超えたものだ。
しかしヘイニーは、そんな彼女の姿に何か胸騒ぎを感じていた。
彼は急ぐ、誰にも傷つけられることのないエクスを助けるために。
それに反対する兵は、彼の下には誰一人存在しなかった。
◇◆◇◆◇◆
「何故だ、どうしてこうなる・・・」
瞬く間に切り捨てられてしまった自らの兵の姿を見下ろし、ルーカスは絶望に顔を覆ってはそう呟いていた。
「貴公が指揮官か?投降すれば命までは取らない、兵士達の身も保証しよう。主君ヘイニー・ユークレールに代わってこのエクスが―――」
周りの兵士達がエクスに怯えて逃げていくのに対して、ルーカスの周りの兵士達は恐怖に顔を引きつらせながらも主君を守ろうとその場に留まっていた。
その様子を目にすれば、顔を知らないエクスでも彼がこの軍の指揮官だと分かる。
僅かに安堵したように表情を緩めたエクスは、再び顔を引き締めると彼に改めて降伏を勧告していた。
「・・・のような、貴様のような小娘などに・・・邪魔されてたまるかぁ!!!」
しかしその言葉は、ルーカスには届かない。
いや届いてはいたかもしれない、ただその効果は彼女が狙ったものとは違っていたが。
度重なる思い描いていたのとは異なる現実、挫折を繰り返す中でとうとう正気を失ったルーカス。
彼は今また立ち塞がった障害であるエクスへと飛び掛かると、その体格に見合った大振りな剣を振り下ろす。
「何?くっ!?」
予想していなかったその動きに、それでもエクスは反応している。
しかし思いの外重かったルーカスの一撃に、エクスは苦悶の声を上げると僅かに押し込まれてしまう。
「ふははははっ!!幾ら腕が立つといっても所詮は女よ!!力で押せばこうも容易く・・・ぐはぁ!?」
立派な体格に筋肉質な身体つきをしているルーカスの体重は、下手すればエクスの数倍に近いだろう。
その重さに任せて叩きつける剣に押し込められるエクス、彼女の姿にルーカスは勝ち誇り笑い声をあげる。
しかしそれもすぐに終わりを迎え、彼は悲鳴と共に弾き飛ばされてしまっていた。
「・・・これで満足したか?分かっただろう、貴方では私に勝てないと。投降しろ、命までは取らない」
弾き飛ばされ地面に情けない姿に横たわるルーカスの下へと歩み寄ったエクスは、その鼻先に剣を突きつけ静かに告げる。
どうにかその場から逃れようとしていたルーカスも、その剣先が喉元に迫れば小さな悲鳴を上げ大人しくなる。
「くそっ!何故だ、何故こうも次々と我の前に立ち塞がるのだ!!先ほどもそうだ!あの忌々しい小娘を助けに来た男、ユーリとか言ったか?奴など、どこにでもいるようなただの男ではないか!?何故あのような者までが、我の前に立ち塞がるのか!?」
何かをやろうとする度に何度も何度も立ち塞がってくる障害、それらにもううんざりだと叫ぶルーカスは、それらに何の関係もないエクスに対してそれをぶちまけていた。
「・・・今、ユーリと言ったか貴様?」
しかし彼が口にしたその名前は、本当に彼女には何の関係もない名前だったか。
違う、それは―――。
「なるほど、主人の名を聞いて固まりますか。これは意外な弱点だ、しっかり記憶させていただきますよ」
もうずっと長い時間傍を離れ、その名を聞くことのなかった主人の名を耳にし思わず固まってしまうエクス。
怒りに飲み込まれ、ただひたすらに喚き散らしているだけのルーカスに彼女の異変に気づくことは出来ないだろう。
であれば、それに気づいたその声は一体誰のものであったか。
「さて、折角の好機だ・・・これを試してみますか」
その声の主、パトリック・ボールドウィンは彼女達から少し離れた場所でその場面を目撃する。
そして彼は、その懐からあるものを取り出していた。
手の平に余るぐらいの大きさの筒状の物体で、表面の光沢からは金属製であることを感じさせるそれは、例えるならば銃のようなものであった。
「これを持ってきた方の話によれば『幻想殺し』だとか。その異名、真かどうか・・・この私が確かめて差し上げましょう」
蛇のような目を細め「幻想殺し」を手にするパトリックが狙うは、伝説に謳われる最強の剣、聖剣エクスカリバー。
その異名、嘘か真か。
パトリックは舌を覗かせ酷薄に嗤うと、引き金を引いた。
「どこだ!?一体どこでその名を・・・っ!?」
エクスが身に纏う服装は普段と大差ない軽装で、その振る舞いは無防備にすら見える。
それは彼女が知っていたからであった、ここにこの身を傷つけられるものなど存在しないと。
その彼女の背中に寒気が奔り、感じた危険に素早く身を躱そうとする。
しかしそれももう遅い、パトリックが撃ち放ったそれは音速を超え、撃たれてから反応したのでは遅いのだ。
それから身を守れるとしたらそれは、撃たれる前からそれに気づき、逃れようと動いた場合のみ。
もしくは―――
「エクスさん、危ない!!」
「・・・え?」
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