オッドアイの守り人

小鷹りく

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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて

星のない空

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二人は俺を見る。
「何だよ、たまにはいいだろ?」
俺は大した事じゃないだろうと、言う。

「本当にどうしちゃったの、カイ?」
 ジェスがびっくりしている。

「おい、俺はお前の子供じゃないぞ。」
 フィンもギョッとしている。

 でも二人とも手を振り払わない。

「分かってるよ。」

「私だってカイの子供じゃないもん!」

「俺の子供だったとしてもおかしくない年だけどな。」

「子供じゃないもん!」

「俺の子供じゃなくても、二人が大切なんだ。」

「「・・・・・・・」」

 ジェスは下を向いて黙ってしまった。

 フィンは耳まで真っ赤になりながら顔を逸らしたけれど、手を握ったままだった。

 二人の手が暖かい。この二人は俺の命に代えても守ろう。そう思った。

 親子じゃないけど、親子みたいに、家族じゃないけど、家族みたいに大切だ。

 そう言うとジェスは下を向いたまま、何も言わず少し鼻をすすった。

 フィンは俺を見つめた。

 何だよ、と聞くと、ずっとここに居ろよ、と彼は一言呟いた。

 香港の空は明るくて星は見えない。見えるのはビルの上に忙しく走るレーザービームだ。もう直ぐ八時。どこかの金持ちがビルの上から毎晩この時間にレーザーショーを行う。

 二人が居るならこんな空気の悪い、星の見えない場所でも、居心地が良い事を知った。俺はこの場所が好きだ。本当に会いたい人にはもう会えないけれど。

 守るものが出来た。自分以外に大事にしたいもの。やっと人並みに普通の人と同じ場所に立てた気がする。俺はアパートに着くまで握った二人の手を離さなかった。
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