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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて
香港地図
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一時間後のロビーで私は香港の地図を広げながら、殆どネットで知り得る位の情報しか知らない国での捜索に不安をよぎらせていた。
時間通りに石原と東が部屋から降りて来て合流する。
石「お待たせしましたか、染谷様?」
染「いや、少し前に降りて来た所だよ。荷解きはしたのか?」
石「…いえ、まだ。」
染「そうか、私もまだ気持ちがざわついて出来てないんだ。」
東「到着したばっかりですからね。大丈夫、焦らずいきましょう。腹が減っては何とやら!取り敢えず腹ごしらえに行きませんか?」
東は眼鏡をキラリとさせた。
染「そうだな、まだ何処から始めるか決めていないし食事をしながら話そうか。」
私達はホテルから歩いて五分程の場所にある小さなレストランへ入った。ホテルのあるネイザンロード通りは有名らしく、所狭しと飲食店が並んでいる。ネットで事前に調べた東はここのワンタン麺を食べたかったらしいのだ。だからさっき眼を輝かせていたんだな。
こじんまりしたテーブルに白いナイロンのクロスが敷いてあり、メニューを持ったアジア人のウェイトレスが英語でサーブしてくれる。メニューも英語が書いてあるから安心だ。観光客も多いから慣れている様子だったが、東が中国語を話し出すとなんだ喋れるのかと凄い勢いで中国語で話し出した。現地の人達は中国語が喋れると分かると如実に口数が多くなり、東と楽しそうに会話を始める。やはり言葉の壁は大きい。
東はお目当てのワンタン麺を頼み、私と石原もよくわからないので同じ物を頼んだ。
東「ここのワンタン麺相当美味しいらしいんですよねー!トラベルアドバイザーで星四つでした!ホテルがここなら絶対食べたかったんですよ。」
石「おいっ、食べ歩きに来たんじゃないからな。」
東「分かってるわよ。でも自炊施設がないんだから、全部外食になるでしょ?美味しい所早めに見つけとかないと!滞在は長期なんだから。」
染「そうだな、外食中心になるな。東の言う通り美味しい所に越したことはない。食事処まで調べてもらえて助かるよ。」
東「いいえ!お安い御用です。」
彼女は良かったとにこやかに笑った。
食事が来るのを待つ間、地図を再びテーブルに広げる。予習して来たのか、香港の情報を東が地図を指差しながらひとしきり説明してくれた。
東「香港は大きくランタオ島、九龍地区、新界(ニューテリトリー)、香港島の四つに別れます。ランタオ島には私達が到着した国際空港や香港ディズニーランドがあって、そこからMTR(鉄道)で大陸に入った所に私達のホテルが有る九龍地区があります。九龍地区は大陸と陸続きになっていて、九龍地区の南上地域が新界と呼ばれてます。香港島は九龍地区の北対岸に位置する島で香港の経済の中心です。香港には大小合わせて260以上も島があるらしくて、これを全部探し回る事を考えただけでも大分気が遠くなる話ですが…。」
染「ああ、砂丘に落とした指輪を探す様な作業だな。取りあえずはこの九龍地区を捜索しようと思ってるんだが二人はどう思う?九龍地区には日本人が多く住むと観光パンフレットには書いてあったから、日本人が多いなら目撃情報も聞き取りやすいと思うんだが。」
石「私は香港人のベッドタウンと呼ばれる新界エリアが一番日本人が少ないそうだから、海静様が住んでいる可能性が高いのではないかとも思ったのですが、広範囲になるので着いて直ぐで情報も無いし、染谷様の言うようにとりあえず生活基盤となるホテルを中心に香港島や九龍に近い区域から取り掛かりましょうか?」
染「そうしようか。」
東「少しでも何か情報があればいいんですが…。」
染「情報屋みたいな人物と接触できるかな?」
東「それも聞き込みで探しましょう。」
染「そうだな、頼りにしてるよ、東。」
東「はい!」
東は嬉しそうに空港やホテルでと取ってきた無料パンフレットを鞄から取り出して読み始める。
石「情報屋が見つかるといいですね。捜索スピードは格段に上がりますし。」
染「うん、そうだな…。」
東「お、来た来たー!」
ちょうどウェイトレスがトレーに三つのワンタン麺を持ってやってきた。
広げていた地図やパンフレットをそそくさと片付ける。
東「美味しそう!」
石「美味そうですね、染谷様、機内で何も食べられてませんでしたし、お腹空いているでしょう?」
染「あぁ、美味しそうだね。頂こう。」
三人『頂きます。』
二人は同じ様な姿勢で熱い麺をスープから引っ張り出してフゥフゥと息を吹いて冷まし、美味しそうに食べる。もう夫婦のようだ。
出来るだけ元気に過ごそうと私を気遣う二人の為にも早く海静様を見つけたい。石原はこの旅が終わったらプロポーズをすると言っていた。気兼ねなく二人に結婚してもらうには、何らかの進展が欲しい。確かに捜索は大変だが、この二人が居ればきっと何とかなるとそう感じる。
染「二人がいて良かったよ。一緒に来てくれてありがとう。」
お礼を言うのは初めてだっただろうか?二人はびっくりして箸を止めた。
石「染谷様…お礼なんて…。見つけましょう、必ず。」
染「うん。」
東「見つけます。必ず。」
染「うん。」
時間通りに石原と東が部屋から降りて来て合流する。
石「お待たせしましたか、染谷様?」
染「いや、少し前に降りて来た所だよ。荷解きはしたのか?」
石「…いえ、まだ。」
染「そうか、私もまだ気持ちがざわついて出来てないんだ。」
東「到着したばっかりですからね。大丈夫、焦らずいきましょう。腹が減っては何とやら!取り敢えず腹ごしらえに行きませんか?」
東は眼鏡をキラリとさせた。
染「そうだな、まだ何処から始めるか決めていないし食事をしながら話そうか。」
私達はホテルから歩いて五分程の場所にある小さなレストランへ入った。ホテルのあるネイザンロード通りは有名らしく、所狭しと飲食店が並んでいる。ネットで事前に調べた東はここのワンタン麺を食べたかったらしいのだ。だからさっき眼を輝かせていたんだな。
こじんまりしたテーブルに白いナイロンのクロスが敷いてあり、メニューを持ったアジア人のウェイトレスが英語でサーブしてくれる。メニューも英語が書いてあるから安心だ。観光客も多いから慣れている様子だったが、東が中国語を話し出すとなんだ喋れるのかと凄い勢いで中国語で話し出した。現地の人達は中国語が喋れると分かると如実に口数が多くなり、東と楽しそうに会話を始める。やはり言葉の壁は大きい。
東はお目当てのワンタン麺を頼み、私と石原もよくわからないので同じ物を頼んだ。
東「ここのワンタン麺相当美味しいらしいんですよねー!トラベルアドバイザーで星四つでした!ホテルがここなら絶対食べたかったんですよ。」
石「おいっ、食べ歩きに来たんじゃないからな。」
東「分かってるわよ。でも自炊施設がないんだから、全部外食になるでしょ?美味しい所早めに見つけとかないと!滞在は長期なんだから。」
染「そうだな、外食中心になるな。東の言う通り美味しい所に越したことはない。食事処まで調べてもらえて助かるよ。」
東「いいえ!お安い御用です。」
彼女は良かったとにこやかに笑った。
食事が来るのを待つ間、地図を再びテーブルに広げる。予習して来たのか、香港の情報を東が地図を指差しながらひとしきり説明してくれた。
東「香港は大きくランタオ島、九龍地区、新界(ニューテリトリー)、香港島の四つに別れます。ランタオ島には私達が到着した国際空港や香港ディズニーランドがあって、そこからMTR(鉄道)で大陸に入った所に私達のホテルが有る九龍地区があります。九龍地区は大陸と陸続きになっていて、九龍地区の南上地域が新界と呼ばれてます。香港島は九龍地区の北対岸に位置する島で香港の経済の中心です。香港には大小合わせて260以上も島があるらしくて、これを全部探し回る事を考えただけでも大分気が遠くなる話ですが…。」
染「ああ、砂丘に落とした指輪を探す様な作業だな。取りあえずはこの九龍地区を捜索しようと思ってるんだが二人はどう思う?九龍地区には日本人が多く住むと観光パンフレットには書いてあったから、日本人が多いなら目撃情報も聞き取りやすいと思うんだが。」
石「私は香港人のベッドタウンと呼ばれる新界エリアが一番日本人が少ないそうだから、海静様が住んでいる可能性が高いのではないかとも思ったのですが、広範囲になるので着いて直ぐで情報も無いし、染谷様の言うようにとりあえず生活基盤となるホテルを中心に香港島や九龍に近い区域から取り掛かりましょうか?」
染「そうしようか。」
東「少しでも何か情報があればいいんですが…。」
染「情報屋みたいな人物と接触できるかな?」
東「それも聞き込みで探しましょう。」
染「そうだな、頼りにしてるよ、東。」
東「はい!」
東は嬉しそうに空港やホテルでと取ってきた無料パンフレットを鞄から取り出して読み始める。
石「情報屋が見つかるといいですね。捜索スピードは格段に上がりますし。」
染「うん、そうだな…。」
東「お、来た来たー!」
ちょうどウェイトレスがトレーに三つのワンタン麺を持ってやってきた。
広げていた地図やパンフレットをそそくさと片付ける。
東「美味しそう!」
石「美味そうですね、染谷様、機内で何も食べられてませんでしたし、お腹空いているでしょう?」
染「あぁ、美味しそうだね。頂こう。」
三人『頂きます。』
二人は同じ様な姿勢で熱い麺をスープから引っ張り出してフゥフゥと息を吹いて冷まし、美味しそうに食べる。もう夫婦のようだ。
出来るだけ元気に過ごそうと私を気遣う二人の為にも早く海静様を見つけたい。石原はこの旅が終わったらプロポーズをすると言っていた。気兼ねなく二人に結婚してもらうには、何らかの進展が欲しい。確かに捜索は大変だが、この二人が居ればきっと何とかなるとそう感じる。
染「二人がいて良かったよ。一緒に来てくれてありがとう。」
お礼を言うのは初めてだっただろうか?二人はびっくりして箸を止めた。
石「染谷様…お礼なんて…。見つけましょう、必ず。」
染「うん。」
東「見つけます。必ず。」
染「うん。」
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