オッドアイの守り人

小鷹りく

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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて

独占欲 R18

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 *強いBLの性描写があります。苦手な方は読まずにレーティングマークなしの次エピソードへどうぞ。話はスキップしてもわかるように執筆致します。十八歳未満の方はスキップ下さい。







 _________





 布が脚の傷に当たらぬ様にゆっくりと気遣いながら染谷が俺のズボンを脱がして行く…。

 服を引っぱっていく指が俺の肌に直接当たると、ただそれだけなのに触れた部分がじりっと火傷したように熱かった。

 染谷のホテルに泊まるようになってから毎晩の様に触れられるのに、体は未だに初めての時のように彼の指に敏感に反応する。

 怪我をしている所為もあり、まるでガラス細工でも扱う様に俺を触る染谷の指は、いつも優しく僅かながら震えていて、もどかしさを抱えながらも俺が果てるまでゆっくりと快感を紡ぐ彼の優しさが嬉しくて愛しくて堪まらなかった。

 今、目の前にいる染谷は嫉妬と情欲の色を交互に発し、怒りに堪えながら恥ずかしい程濡れている俺を凝視している。

 ギリっと歯ぎしりして少しだけ昂ぶっている俺自身を傷つけない様、そっと下着を引っ張り脱がす仕草がいつもよりイヤらしいものに感じ、普段と違う荒々しい息遣いの前に裏切りの証とも取れる恥辱を晒すと何故か興奮を覚えた。

 手首のハンカチ以外何も身に纏わない俺の中心は誰も触っていないのに視線だけで透明な涙を流している。


「キスだけでこんなに濡らして…そして見られるだけでこんなに泣いて…貴方は何てやらしい人だ…。」

「…っ…。」

 眉根を寄せ悔しさを含んだ瞳で揶揄されると反論できない。黙る俺の体を眺め、綺麗な目がギラギラ光るのが見えると体の奥がズキンと疼いた。

「あんまり…見るな…。」

「…フィンには唇が赤くなる程のキスを許して私には見るなと言うのですか?酷いですね…。」

 切なそうに呟く。

「そんな…」
 
 そんなつもりはない。今から起こるだろう罰という名を借りた愛の行為に期待して俺は身体を熱くしていた。

 欲しがる身体をこれ以上見つめられたらふしだらだと思われはしないか…。全てを見透かす彼の視線に怯えるように俺は中心を隠した。


 呼吸を整えようと何度も深く息をする染谷が自分の服をあっという間に脱いで一糸纏わぬ姿になると、彼の憤りと興奮が露わになる。
 怒りを抑えて上下する肩、嫉妬に震える筋肉、興奮する荒い息遣いに獲物を見据える獣の様な目。そして全ての感情の昂りを一点に集めて張り詰めた象徴。

 毎日見ていてもドキドキするその逞しい裸体に俺は見惚れる。こんなに綺麗な体に俺は毎日触れられ愛されている。それだけで幸せなのにいつからこんなに欲張りになってしまったんだ。

 足先から上へと舌を這わせながら染谷は聞く。舌が肌を撫でる度に体が感じて声を抑えられなかった。

「……ッ……ンッ。」

「海静様…どこを触られたんですか?」

「…んっ…んなの……わからっ…なぃ…。」

「分からない位長い間触られていたんですか?」

 隙間なく舐めていく舌は俺の答えが気に入らないと時々噛み跡を残す。

「知らない…寝てた…んだ…よ…んんっ!」
 
「本当に…?本当に私だと思って身を委ねていたのですか?胸のキスマークも全部上書きされている…。私への挑戦状ではないですか…。」

 猜疑心を隠さずに問い詰める彼が愛しい。どこまで追い詰めればお前はその理性のタガを外してくれる…?

「あいつは…最後のキスにするって…前に進むって言ったんだ。だからきっと俺の事…諦めるつもりで…ッぁ。」

「…悲しそうな顔をするのですね。フィンを手元に置いておきたいですか?」

「三年一緒に居たんだ。友人だった…傍に居ない寂しさは…あるっ…んんッ…アッ!」

 更に眉間に皺を寄せて苦渋の顔で俺を見る。人差し指で輪を作り、括れに嵌めるとぎゅっと先端まで先走りと一緒に強い刺激が与えられて俺は喘いだ。

「…友人は貴方のここをベトベトにする様なキスはしないのですよ。
 私の気も知らないで更に嫉妬心を煽るだなんて、どこでそんな悪い事を覚えたのですか…とっくに私の頭は貴方でいっぱいだと言うのに…。

 いいでしょう…私でなければ満たされない体にして差し上げます…。」


 独占欲を顕わにして怒りの言葉が耳から入ると心が嬉しさに震えた。俺を独り占めしたい、そう思われていることに恍惚となる。嫉妬を隠さず俺にぶつける染谷が好きだ。彼に触れてほしい、熱を奪い去ってほしい、そう願っている事も見抜かれていた…。


 縛られた手で染谷の顎を捕まえて、俺は彼に甘く縋る。


「あぁ、もうお前だけのものにしてくれ…何も考えられない位に」


 俺はずっとこうなる事望んでいた。俺の怪我を気遣い我慢して来た彼を嫉妬心で追い詰めてやっと忍耐の絶壁に立たせた事に征服感を感じる。

 彼はとっくに俺のものなのに、望めばそうなる事は簡単だったはずなのに、自分からそれ以上を求める事が出来なかった。この欲望は自分の過去から来るものなのか、何度も奪われた体がただその傷を埋めたがっているだけなのか、懐疑心が払拭出来ずに自分から求めることは卑しいのだとそう思わずには居られなかった。

 傷を気遣う彼の言葉を覆してまで淫卑な妄想に耽る自分を見せたくない、淫らな自分が現れるのが恥ずかしくて言えない。毎晩彼の手から流れ込む渇望の未来に翻弄され身体は燻り続けていた。

 だがその燻りは今から烈火へと変わる。そう感じると心臓は鼓動を早めた。

 染谷は苦しそうな顔で自分の硬い塊の先端を俺に押し当ててゆっくりと縦の線を描く様に上下に何度も擦って押し付けた。彼の硬さを自身で感じると卑猥な願望が脳裏をよぎる。

「…アッ……熱い…。」

 溢れる透明な液体は欲棒同士の摩擦を卑猥に助け、彼のものとも俺のものとも判別の付かない体液が纏わり付く。

 下から擦り上げる彼の先端がずれて足の付け根に当たり、そのまま蕾を掠めるとその度にドキンと心臓が一瞬止まるようだった。

 わざと何度もずらした先端が当たると奥が疼き出し、切なさが押し寄せて俺はその度に染谷の目を見つめた。けれどこれも罰だと言いたげに俺の意図する視線をそのままにして、彼はキスの雨を降らせる。

 脚の付け根を吸うと、舌の感覚を期待して自身が膨らむ。しかし期待が裏切られ背中に愛撫され、首筋にキスされ耳を甘噛みされるとぞくぞくする震えが止まらなかった。胸の突起を指で弄ばれそこだけ執拗に何度も何度も舐められると乳首から溶けてしまいそうだった。

 知らずに腰が動き自分を染谷に押し付けてしまう。恥ずかしいのに触って欲しい、怖いのに繋がりたい。それでもまた指で作られたリングを俺に装着して、籠もる熱を出させまいときつく締め付けられて俺は知らずに懇願していた。

「…ぁッ…もぅ…もぅ…イき…たぃ…お願い…。」

「まだダメです。もっと私を感じてから…貴方をもっと気持ちよくしたい…我慢して下さい。」

 耳元で低く囁かれるとお腹からせり上がる快感が肩へ移り、竦めた肩では抑えきれず俺の口から甘い吐息となって渇望の音が漏れた。

「…っあ……ふぁ…ぁ…アアッ。」

 声と一緒にぶるぶると震える体の中心から少し濁った色の愛液が滲み出る。

「…抑えてるのに少しだけイってしまいましたね…。そんなに私の声が好きですか…海静様?」

 また耳元で声が響くと欲望がせり上がってくる。この声が好きだ。染谷の声が俺の名を呼ぶ度、俺の心の一部が温かくなって何かが満たされる。出会った頃から変わらぬ優しさで俺を包むその声を、いつから好きになったのだったのだろう…。

 お尻の下にクッションを敷き入れ俺の腰の位置をあげ、自分では見た事のない部分が染谷の前に晒されると恥ずかしさで顔から火が出そうだった。しかもベッドサイドの電気が点いててはっきりと見えてしまう。

「やっめっ…何してんだ! こんな格好嫌だ!」

「綺麗です。見ているだけでイってしまいそうな程…こんな所も美しいなんて、貴方の身体は一体どうなっているんですか…。あの時は真っ暗でちゃんと見えなかったから…。」

 うっとりしながら俺の秘部の周りを両手で広げて視姦しながら染谷が喋る。

「はっ、恥ずかしいから見るな!」

「今からもっと恥ずかしいところを見せてあげます。だから安心して身を委ねて下さい。フィンのフの字も思い出せない程貴方を私で埋め尽くす。」

 染谷は躊躇せずに顔を埋めようとした。

「ひぁっ…!…止めろ!汚い…。」

「貴方の体で汚い所など存在しません。ほら…。」

 そういうと後ろまでドロドロに垂らしていた透明な液体を指に絡ませて、つぷっと少しずつ指と一緒に舌を入れると抽送を繰り返した。引きつれる肉襞は唾液と垂れ流れる先走りでいとも簡単にほぐれていく。

「…アッ…ヤダッ!この格好嫌だ!全部見えて…アッ…。」

「見えるから良いんです。ほら私の中指が半分入りました。美しい敏感な所が指を咥えて恥じ入る顔が丸見えです。美しい…貴方はこんな姿でさえ美しい…。」

 うっとりとそこを見つめる染谷が指を動かすとあられもなく声が出る。俺は何てふしだらなんだ。後孔に指を咥え、自由を奪われた手首が目に入り非日常な光景に興奮してこれが俺が発する声なのかと思うほどの甘い呻きが零れ出た。

「んんッ…ァッ…イっあァッ!」

 俺の声に体を反応させて染谷が中に埋めた指をくいっと折り曲げると、頭の中がスパークする快感が走った。

「…ひっ…あああっ…」

「…ここ、ですね…。」

 確認するようにまた指を擦られると激しい快感に襲われて俺はもうイきたいと何度も懇願せずには居られなかった。その度に染谷は嬉しそうに愛おしく俺を撫で回し、それでもまだ果てる事を許されず自分で触る事も許されず今度は俺の体をお姫様抱っこする様に持ち上げ、ベッド端に座った。

「何するんだ?」

 俺は戸惑った。やっと一つになれると思ったのに裸の染谷の膝の上でお姫様抱っこは無いだろ…。

「…しーっ、大丈夫です…。」

 そういうと自分の体制を整えて俺の膝裏に手の平を一つずつ入れて、股を割り開くと俺を彼の上に座らせた。恥ずかしさに振り向くと、ふっと優しく笑う。ドキンと胸が鳴った。整った顔がキスしそうに目を細めて俺を愛おしそうに見る。

「この体勢がきっと一番貴方の傷に障らない。力を抜いてくださいね…呼吸し続けて…。」

 ハァッと興奮した息遣いが耳元で聞こえ、後ろから軽々と俺の体を少しもちあげると、ほぐれた蕾に彼の熱いものをあてがわれ、ゆっくりとその一番大きな楔の先端を埋めて行く。怖い…怖いのに嬉しい…。やっと一つに…やっと染谷と繋がれる…。

「今から一番気持ちいい所を…突いて…差し上げます…からっ!」

「アァァッ!!」

 何度も舌と指で広げられた秘部はいとも簡単に彼の先端を飲み込み、俺の入り口でその大きさを主張する。

 …良臣が俺の中に…入っている…。

 そう思うと胸がドキドキして痛い。

「ハァッ、海静様、少し力を抜いて下さい…このままでは…動けません…。」

「っ…うん…」

 嬉しさの余りに力み過ぎているのに気付かず俺は息を吐いた。

「…ん…はっ…ぁっ…。」

 力を抜こうと意識すると尚更恥ずかしい。ゆっくりそこを緩めると自重で簡単に奥へ奥へと染谷が入る。
その圧迫感から逃げたくて自然と腰を浮かせてしまうが、染谷はそれを許さなかった。

「逃げないで…ずっと貴方とこうしたかった。繋がりたかった…。もっと深く感じてください…私を…。」

 そういうと後ろから俺の両手を抑え込んで下から腰を一度グイッと打込んだ。

「…ヒァッ…アッ!ヤッ!…これ…ふかっ…ぃ…アァ…。」

 物凄い圧迫感と同時にいっぱいにされている満足感を得て、ヒクつく中の粘膜が彼の形を感じてうねる。あぁ、繋がっている、心も体も…。そう思うと至福感に襲われて涙が流れる。自由にならない手がもどかしくて染谷に言った。

「…ッ…手…解けよ…。」

 染谷が縛っていたハンカチを取ると俺は染谷に後ろから抱かれている状態で両方の手の平を握った。触れた所から彼の心が流れてくる。

『愛しています…海静様…こんなにも愛しい…誰にも触らせない…あぁ…なんて美しい…なんてイヤらしい…私のものだ…私の…。』

「あぁお前のものだ…だから好きにしていい…めちゃくちゃにして良い…。俺をお前でいっぱいにしてくれ。」

 心の声に答えると染谷は目を見開き、そして幸せそうに目を細めてキスをした。


「お望みのままに…。」


 座ったまま俺の腰を掴み、入り口の浅い所を何度もゆっくりと突かれ、ギリギリまで引き抜いては一気に奥へと突かれ、止めどなく生まれる快感に俺は何度も前の床を汚した。それでも自身を抜かず、今度はゆっくりと腰を廻して中を深く蹂躙されて俺は咽び泣いた。


「ぁぁぁあああッ…やっ…やだ…ソコはもっぅ…。」

「嫌じゃないですよね…イッ…イイの間違いでは?ほら、また締まって…はぁっ…。好きです、海静様!」

 そう言って突かれるとまた気持ちのイイ所を擦って声が出る。

「ヒアァッ…イイ…もっと…突いて良いから…。もっと…繋がって…。俺も…好き…だッ…あっ…お前を…。」

「海静様!海静様!…愛しています。愛しているという言葉では足りない程に貴方を…もう誰にも触らせないで…。」

「あぁ…約束する…もぅお前だけのもの…だ…から…あっ…また…アアッ!」

 繋がる事の幸せと快感が体を追い詰め、肉と肉がぶつかる卑猥な水音が部屋中に響くと何も考えられなくなって俺は喘いだ。

 染谷は一晩中俺の中で何度も果て、言葉通り俺の中を彼でいっぱいにし、何週間も我慢した体を爆発させた。俺は何度イったのか分からないまま意識を手放し、今まで感じた事のない快感と安堵を得て、彼の胸に抱かれて眠った。

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