現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

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 1mサイズのスライム、ヒュージスライムが出現した件で、探索者協会の青笹さんと腹の探り合いをした。

 結果、本来なら出現しない様な格上のモンスターと遭遇した場合は、極力戦闘を避けて退避する、どうしてもやむを得ない場合は戦闘をしても構わない、という方向で話が着いた。

 しかし何か引っかかる・・・。

 協会の2人はまだ何か言いたい事があるように感じるが、ダンジョン探索でお腹が空いていた俺は、一刻も早くこの場を去りたいと思っている。

 それを察したのか、青笹さんがヒュージスライムの魔石の買取金額を提示して来た。

 気になる買取金額は500万円を提示された。

 拳大の魔石は大変貴重で、内包しているエネルギー量が莫大で、魔石エネルギーのエネルギー源としても大変優秀なのだとか。

 そして桜ダンジョンでは現在到達している階層でも、滅多にドロップする事が無いらしく、凄く貴重な存在という事だ。

 なにわともあれ、ダンジョン探索初日で投資金額の全回収が出来た。

 協会の会議室から出る時に、「またお会いしましょう」と言われたのだが、面倒事は嫌なので愛想笑いを返しておいた。

 俺はすぐに帰らず、協会の武器屋に行く事にした。

 もう少しリーチのある武器が欲しかったからだ。

 今の所の最有力候補は[槍]、先端に刃物が付いていて長さもある。

 俺は槍のコーナーで色々と手に取ってみたが、いまいちしっくり来ない。

 思っていたのと違った、柄が細過ぎるのだ。

 突くのには良いかもしれないが、叩く事になった場合、強度に不安がある。

 困った時には専門家に聞くに限る。

 俺は店員のおじさんを捕まえて質問する事にした。

「すいませーん。この槍の柄って強度ありますか?突くのは心配なさそうですが、叩いた時に不安な太さなので・・・」

「良く言われるんだけどね~、槍は突く武器だからね~、そりゃ薙いで斬りつけたりもするけどさ~、基本は刺突武器だから、こいつで叩くのが不安なら別の物にしてみたら?棍とかどうだ?」

 やはり強度に不安はあるらしい・・・、そして棍を提案された。

 でも棍って棒切れでしょ?

 RPGでも最弱武器じゃないですか・・・、そんな武器で戦えるのって今の今まで思ってました。

「棍は突いて良し、叩いてよし、守りも良しの万能な武器だ。見た目が地味なのと、イメージがあまり良くないから人気は無いが、俺的には最強武器の一角だと思っている」
 
 そう言いながらおじさんが持ってきた棍は、直径が3cmくらいの磨きあげられた黒の棍棒だった。

 長さは1m50cm、両端20cmは金属で被われ補強もされている。

 俺はおじさんに棍の基本的な使い方を教わり、教わった通り棍棒を突いたり振ったりしてみた。

 ・・・・・・・・・悪くない、むしろ良い!!

 気になるお値段も不人気武器という事もあってか、かなりリーズナブル!

 俺は協会の入口に設置してあるキャッシュコーナーに急いだ。

 棍を購入する事にしたので、お金を下ろす事にしたのだ。

 それから無事に購入手続きが終わり、棍をお迎えする事が出来た。

 それからマチェットをダンジョンで拾った布袋に入れてからリュックにしまい、棍は剥き出しのまま持って帰る事にした。

 棍は刃物が付いていない棒なので、裸で持ち歩いても問題は無いとの事だったからだ。

 リュックを背負い、棍を抱えてチャリを漕ぐ男性・・・、シュールな絵面だ。

 自宅に帰るまでの道中、駐在に呼び止められ、「物干し竿を持って自転車漕いでるかと思ったよw」と笑われたのは、裸で持っていても問題が無い事の証だろう。

 無事に自宅に帰り、[安達家最凶の魔界]と称される自分の汚部屋に入って、今日一日を振り返った。

 今日の収入は約500万円、一日で親父の年収を超える収入を得た。

 そして協会の偉そうな人の所に連行されて、色々聞かれた。

 濃い・・・、濃すぎる・・・、非常に濃い一日だった。

 運良くヒュージスライムとエンカウントし、その後も難無く戦う事が出来たのは、運が良かったとしかおもえない。

 受けた攻撃は、ヒュージスライムの体当たりと、モンスターハウスでスライムから受けた、足へのツンツンくらいだ。

 軽い疲労はあるが、明日ダンジョンの探索をしても問題無さそうなので、探索の準備をする事にした。

 今日使ったマチェットを洗面所に持って行き、ザザっと洗う。

 途中オカンに、「あんた!そんな物騒な物を持って家の中をウロウロしないで!」と怒られたが、商売道具だ。

 「はいはーい」と適当な返事を返して、水気を飛ばす為にブンブン振りながら部屋に戻った。

 部屋に戻ってからは、ベッドの上に薄汚れた布袋と、虹色の玉を出してから、スマホで虹色の玉の検索をした。

 【ヒュージスライムドロップ品 虹色の玉】と検索エンジンに入力するもヒットせず、出て来たのは【ヒュージスライムのドロップ品:魔石、スライムゼリー】しか出て来なかったので、【ダンジョンドロップ 虹色の玉】で再検索をする事にした。

 【ダンジョンドロップ 虹色の玉:ダンジョン内で発見される虹色の玉は[スキルオーブ]と呼ばれる物です。発見例が少なく、出現する条件も特定には至っていません。
 また、使用するまで内包されるスキルがわからないので、どのようなスキルを獲得出来るかも判明されていない、謎に満ちた物になります。
 過去に1例だけ買取が発生しましたが、その時の買取金額は億を超えたとも言われています。
 使用方法はスキルオーブを握って、スキル取得と念ずるとスキルが取得出来るようですが、こちらも資料が残っておらず伝聞での情報となります。】

 そうか・・・、虹色の玉はスキルオーブだったのか・・・、買取に出さなくて良かった・・・。

 俺はスキルオーブを使うか残すかを暫く考えたが、現状探索者としてやっていくしか自分には道がないので、スキルオーブを使う事にした。

 俺はスキルオーブを手に取り、両手で包むように握り締めた。

 そして『スキル取得』と強く、そして何度も念じる事数分、想像を絶する頭痛が襲って来て、俺の意識はそこで途絶えた。


  
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