現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

文字の大きさ
70 / 96

59

しおりを挟む
 魔導拳銃の射撃でご機嫌斜めになり、俺へと向かって来た鮫人を迎え撃つ為に、霊刀ヨコワを構えて、鮫人へと駆け寄って行く俺。

 鮫人と俺の距離が近くなり、鮫人は口を開いて俺へと襲い掛かって来る。

 口が開いたのを見た俺は、魔導拳銃を抜いて鮫人の口内へ射撃をした。

 弾丸は鮫人の口内にダメージを与える事に成功するも、鮫人の頭部を破壊するには至らず、鮫人は口から血を流しながら立ち止まった。

 立ち止まり隙を見せた鮫人の足に向かって、ヨコワの鋭い刃を走らせる。

 ヨコワの刃は鮫人の左足を大きく切り裂くも、切断には至らない。

 だが、鮫人の機動力を大きく削る事は出来たはずだ。

 反撃を警戒しすぐに鮫人から距離を取りながら、魔導拳銃を切り裂いた左足の傷に向けて射撃する。

 弾丸は鮫人の傷に着弾し、ヨコワで切り裂かれた傷を中心に足を破壊していく。

 だが俺は射撃の手を止めない。

 何発も撃ち込むと、魔導拳銃の弾丸の威力に耐えきれなくなった左足足は、弾丸の運動エネルギーにより完全に破壊され、さらに襲い掛かる弾丸で無惨に千切り飛ばされた。

 片足を失い怒り狂った鮫人は、『ギシャアーーーッ』と咆哮を上げると、姿を変えていく。

 手足は胴体に吸収され、体は流線型へと変わり、その姿は鮫と同じ形へとに変わったが、フライングシャークよりも小型で体長は4m程度だが、モンスターハウスで戦った巨大フライングシャークよりも圧が強い。

 鮫人は明らかに強者の放つ圧と、息苦しさを覚えるほどの殺気を放って来る。

 俺は右手に霊刀ヨコワを、左手に魔導拳銃を持ち、鮫人と向かい合った。

 鮫型に変身した鮫人は、口を開かずに猛スピードで俺へと向かって来た。

 俺は鮫人を躱すも、手鰭が体を掠めてしまい、掠った手鰭で左の上腕を浅く切られてしまう。

 傷から出血しているが、鮫人鮫の攻撃は激しさを増し、治療や痛みを感じる暇を与えてはくれない。

 噛み付き、体当たり、尾での打撃、様々な攻撃をして来たが、運良く躱したり、浅く傷を負う程度でなんとかやり過ごし、合間でこちらも攻撃を加える。

 魔導拳銃で怯ませてからのヨコワでの斬撃、切り付けた傷を狙っての射撃、俺と鮫人鮫は一進一退の攻防をし、互いに傷を負い、出血箇所も少なくない状況だ。

 そんな攻防を繰り返していると、不意に鮫人鮫は俺から距離を取り、全身に水を纏っていく。

 水を纏ったまま頭を持ち上げて、俺の方へ振り下ろすと、纏った水が円錐状へと形を変え、俺に向かって飛んで来た。

 地球上で最も威力のある物。

 それは水だ。

 圧倒的な水量で襲い掛かる水は、大きな建物を破壊し、高い圧力をかけられた水は、ダイヤモンドですら切断する。

 そんな水の塊が、円錐状になって猛スピードで俺に向かって来る。

 俺はその水の塊を避ける事に成功したが、水がぶつかった階段室の壁は、不壊と言われているダンジョンオブジェクトにも関わらず、大きく破壊されてしまった。

 もし当たっていたら、ひとたまりもなかっただろう・・・。

 次の攻撃をさせない為にも反撃に転じる為、鮫人鮫に切りかかろうと近付いていくと、鮫人鮫は大量に拳大の水玉を体の周りに浮かばせて、それを俺目掛けて飛ばして来た。

 避けるには数が多過ぎる!

 俺は左腕に装備したシールドガントレットからシールドを展開させ、そのシールドで身を守ろうとシールドの陰に隠れるが、水玉・・・ウォーターボールの威力は凄まじかった。

 シールドは十発程度の攻撃には耐えたのだが、耐えた次のウォーターボールでシールドが破壊され、次のシールド展開が間に合わずに、俺はウォーターボールで全身を滅多打ちにされてしまった。

 全身を激痛が駆け巡る。

 骨は折れてはいなさそうだが、ヒビくらいは入っているだろう。

 口の中は血の味が広がっており、口の端からは血が流れている。

 痛む体を無理矢理起こし、力を振り絞って鮫人鮫を睨むと、鮫人鮫は俺の顔を暫く見てから、勝ち誇った様に階段室内を悠然と泳ぎ始めた。

 その隙に中級回復薬を取り出して、急いで飲み干したが、全身を駆け巡る痛みが激痛から鈍痛に変わってくれたが、完治は出来なかった。

 鮫人鮫に、回復薬を飲んだ事に気付かれてしまい、さらなる回復する隙は無い。

 全身が鈍く痛むが俺は立ち上がり、トドメを刺そうと口を開いて向かって来る鮫人鮫の口内に、魔導拳銃を全弾撃ち込んだ。

 鮫人鮫は流石にそこそこのダメージを負った様で、その場に落下すると痛そうにもがいている。

 俺はすぐに魔導拳銃をチャージさせ、魔刃を発動させながら霊刀ヨコワで鮫人鮫に切り掛った。

 霊刀ヨコワは魔力で鋭さを増し、さらに魔力で出来た刃で長さも増した状態で、鮫人鮫の頭を目掛けて振り下ろされた。

 だが鮫人鮫は刃が当たる直前に体を捻り、回避行動を取ってきた。

 だが振り下ろされる剣速の方が僅かに早く、完全に避ける軌道に入る前に刃が鮫人鮫の上顎と下顎の一部を切断する事に成功し、鮫人鮫は弱点になる柔らかい口内を剥き出しの状態になってしまった。

 そのチャンスを見逃さず、俺は剥き出しの口内に魔導拳銃ごと左手を突っ込み、ゼロ距離での射撃を繰り返した。

 チャージされた魔力が尽きるまで魔導拳銃の射撃は続き、口内や頭部を内側から破壊された鮫人鮫は地面に落下し、痙攣をしている。

 これが最後のチャンス!

 これを見逃して、もし回復されたら、もうこちらに勝機は無い・・・。

 魔導拳銃を手放して両手でヨコワを持ち、魔刃を発動させながら鮫人鮫の頭部を切断する為に、ヨコワを振り下ろした。

 全力で振り下ろされたヨコワは、鮫人鮫の頭部を切断する事に成功したが、その威力は衰える事なくダンジョンの床に深い切り込みを入れて止まった。

 すぐにヨコワを床から抜くと、魔刃を発動させながら鮫人鮫を何度も光の粒子に変わるまで切り付けた。

 鮫人鮫はドロップ品に姿を変え、消えていった。

 限界を超える戦いを、俺が制したのだ。

 ドロップ品が気になるが、流石に疲れた。

 俺はその場に座り込み、中級回復薬を取り出して飲み干した。

 それでも疲れが癒える事は無く、全身は猛烈な怠さに支配されていたが、ダンジョンの探索記録を更新出来た為、どこか晴れやかな気分だ。

 少しの間、その場に座り込み休憩をしていたが、ドロップ品の確認と回収をしてしまおうと思い、立ち上がってドロップ品の落ちている場所へと移動する。

 気になるドロップ品は、バスケットボール大の魔石が一つ、拳大のマーブル模様の石が一つ、スキルオーブが一つ、豪華な装飾の宝箱が一つ、そして鮫人が横たわっているのだが、これもドロップ品になるのだろうか?

 踏破の証明として全て回収し、手放しはしないが協会への報告用として持って帰る事にした。

 そして俺は階段を降り、桜ダンジョン史上初の10階層へと足を踏み入れた。

 10階層からは未到達階層なので地図も情報は無いのだが、階段を降りてすぐに巨大な扉が有った。

 その扉が気にはなるが、今は一旦地上に戻る事にし、俺は1階層のゲート近くまで転移をしてからゲートを通って地上へと戻った。

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

東京ダンジョン物語

さきがけ
ファンタジー
10年前、世界中に突如として出現したダンジョン。 大学3年生の平山悠真は、幼馴染の綾瀬美琴と共に、新宿中央公園ダンジョンで探索者として活動していた。 ある日、ダンジョン10階層の隠し部屋で発見した七色に輝く特殊なスキルストーン。 絶体絶命の危機の中で発動したそれは、前代未聞のスキル『無限複製』だった。 あらゆる物を完全に複製できるこの力は、悠真たちの運命を大きく変えていく。 やがて妹の病を治すために孤独な戦いを続ける剣士・朝霧紗夜が仲間に加わり、3人は『無限複製』の真の可能性に気づき始める。 スキルを駆使して想像を超える強化を実現した彼らは、誰も到達できなかった未踏の階層へと挑んでいく。 無限の可能性を秘めた最強スキルを手に、若き探索者たちが紡ぐ現代ダンジョンファンタジー、ここに開幕!

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
――自由を手に入れるために、なにがあっても金は稼ぎます―― 金さえあれば人生はどうにでもなる―― そう信じている守銭奴、鏡谷知里(28)。 交通事故で死んだはずの彼が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 しかもなぜか、規格外のチート魔力を手に入れていた。 だがその力は、本来存在してはいけないものだった。 知里の魔力は、封印されていた伝説の冒険者の魔力と重なったことで生まれた世界のバランスを崩す力。 その異常な魔力に目を付けたのは、この世界を裏から支配する存在―― 「世界を束ねる管理者」 神にも等しい力を持つ彼らは、知里を危険視し始める。 巻き込まれたくない。 戦いたくもない。 知里が望むのはただ一つ。 金を稼いで楽して生きること。 しかし純粋すぎる仲間に振り回され、事件に巻き込まれ、気付けば世界の管理者と敵対する羽目に――。 守銭奴のチート魔力持ち冒険者 VS 世界を支配する管理者。 金のために生きる男が、望まぬまま世界の頂点と戦うことになる 巻き込まれ系異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

処理中です...