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おまけ:俺がお前に朝メシを作る理由
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※気を付けてください、仙くんがゲテモノを食べていたことを白状し始めます。
「──そういやお前、普段朝メシ何食ってんの?」
それは何気ない疑問から始まった。
というのも、以前この家に来たときから思っていたことだ。そういえば仙は、何かを食べているような姿を見せないなと。
「……普段?」
「いや……なんか、台所に生活感が無いから気になってさ」
「……」
台所をぐるりと見渡しても、どうしてもそこに生活感を見いだせない。全体的にのっぺりとした印象で、新築の室内のようだという感想が真っ先に思い浮かんだ。
でもそれは無いだろう。彼が広島に赴任してきたのは去年の六月だという。それから既に半年以上が経過しているのだから、全体的にいい加減生活感が出てきても良い頃合いなのに。
どうしてか、いつまで経っても生活感が湧き出てくる気配が無いのだ。さすがにこれはおかしいと思って良いだろう。
「……………………………………」
「……おい、まさか」
いやな沈黙。それと“ぷい”っとそっぽを向く態度。
これはもしや……仙は、朝御飯を食べてないのでは? という疑念を抱かせるのに十分だった。
「おーい」
「……最近は食べてる」
「ふーん……何を?」
その質問には答えずに、仙は零士の右手にあった戸棚を指差す。
中を開けてみると、中には食パンが一斤。
「……」
「……なんだよ。何か言いたいことがあるなら言えよ」
「うん……ちょっと無いわ」
ハッキリ言うと引いた。なぜ、これを朝メシだと言い張れるのだろうかと。
あと「最近は」って何だ。今までは食べていなかったのか。
「じゃあ、晩飯は? 昼は軍の方で出てるんだろ」
「ほとんど外食。それか食わん」
「……」
まあ、予想はしていたが……彼は家に他人を入れることが心理的に嫌という潔癖性のきらいがあるため、もちろんだが女中など雇っていない。そしてこの家も、元々は彼の大叔父兼養父の持ち家だったのを相続したものなので、当然ながら大家もいない。
それだけの条件が揃っている独身男の家の台所事情などお察しというやつだが、それでもこれはさすがに酷すぎるだろう。
「だって面倒くさいから」
「おまっ」
付け足すような一言だった。が、フォローになっていない。それどころか余計な一言になってしまったようだ。
あからさまに引いたような零士の視線が痛かったらしく、仙が物陰にそっと身を隠す。
「隠れるなよ」
「うるさいなぁ……食べるときはちゃんと食べてるよ。自分で調理して」
「えっ」
予想を遥か斜め上に行く返答が帰ってきたことにより、零士は鳩が豆鉄砲喰らったような間抜け面を晒して硬直した。
この時代は「男が台所に立つなんて……」と、いう価値観がまかり通っていた時代だ。それ以前に彼は華族のボンボンであるため、水仕事などとは縁遠い存在のはず。
どうしても言動と背景が合致せずに混乱してしまうのは仕方の無いことだろう。
「な、なに食ってんだ?」
生活感が無い台所には当然ながら食材など無い。なお、あの食パン一斤は論外だ。
では、何を調理して食べているのだ。その答えは他ならぬ仙本人の口から出されることとなる。
……零士に、これ以上無い驚愕を与えながら。
「……お前も食べるか─────ザリガニ」
衝撃が、走り抜ける。
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。が、滑舌の良い彼の口から出された単語は嫌でも耳で拾えてしまう。
ザリガニ、と口の中で復唱した。ザリガニ、ザリガニ……あの、蟹の爪をつけた赤い海老みたいなの。淡水にいて、水草を切ってくる……そういえば最近、何かの餌として亜米利加から輸入されたザリガニが脱走したとかいう話を聞いたことがあるなという現実逃避をしそうになった。
「もうすぐ冬眠から目覚めて活動が活発になる頃だからな。夏になったら聯隊の池を浚えばいくらでも捕れる」
「待て、待て待て待てちょっと待て、待って」
手で制しながら情報を整理しようと零士は必死だ。
確かにフランス料理などではザリガニのスープが出てくることもあるが、あれは養殖された高級で安全なものを使っているはず。
仙の話から察すれば、どう考えても彼はその辺の池で捕まえてきた野生のザリガニを使って調理しているとしか思えない。
「安心しろ、ザリガニだけじゃない。ちゃんと他のも食べる」
「え……な、何を……?」
「蛙」
ビシッと、音を立てて固まった。
蛙……蛙……あの、春になると冬眠から目覚めてゲコゲコうるさい黄緑色の両生類…………を、食す……? あの、仙が……?
「亜米利加で牛蛙をご馳走になったんだが、同じような物だし良いだろうと思ってな。その辺を掘っていたら見付けた殿様蛙を絞めて食べようと思ったんだが……やはり可食部が少ない。最近、牛蛙が輸入されたと聞いたのだが入手は困難だから、それまで代用品にしようかと思ったが……」
「…………」
なんでわざわざ冬眠中の蛙を掘ってきて食べようとするんだ、とか。寄生虫が危ないだろ、とか。言いたいことは色々あったが、ありすぎて逆に言い出せなかった。
「な、なんでまた、お前はザリガニやら蛙やらを食い始めるんだ……?」
「ん……いや。亜米利加にいた頃、上官になったフォルト・デュポンの中隊長の奥方がルイジアナ州出身だったからな。私が瑞典系だと知った中隊長がザリガニ・パーティーに呼んでくださったんだ」
「ザリガニ、」
ザリガニ・パーティー、とは。耳慣れない単語に目を白黒させる。
「瑞典では夏になると茹でたザリガニをアクアビットを飲み物にして食べる風習があるそうだ」
「へ、へえ」
「ルイジアナは瑞典系が多いからな。今でも夏になるとザリガニ・パーティーが各家庭で催されていると言われたよ」
「……」
もしかしたら、と考える。彼の実母は瑞典人を父親に持っていた。そしてその血は彼にも流れている。
自分のルーツである遠い国で、静かに受け継がれてきた食文化の欠片。
二十数年生きてきて、ようやくそれに触れられたのだとうと思うと「止めろ」だなんて軽々しく言えない。
(だとしたら、こいつにとってザリガニは大切なものなんだろうな)
遥か北の果てにある国の、ほんの一時の夏のお祭り。自身の祖父が飲んでいたかもしれない酒、食べていたかもしれない料理。
彼本人はきっと否定するだろうけど、それに何も思わないほど心が死んでいるわけではないのだ。彼が大切にしているから、零士もそれを大切にしたいと気を引き締める。
「あと、中隊長が仔犬くらい大きな牛蛙を捕まえてな。それを絞めて腿の肉を剥ぎ取って……お前、知らないだろ。皮を剥いだ蛙の脚に塩をかけるとな、死んでいるはずなのに筋肉がピクピク動くんだ」
「ああ、そうかい。今後一生役に立ちそうにない情報をありがとさん」
そんな巨大な蛙がこの日本に溢れたら、生態系の終了だ。仔犬ほどの大きさの蛙だなんて、何を食べていたらそんな大きさになれるんだというのが零士の素直な感想だった。
(あれ……そういえばこいつ、牛蛙が最近日本に輸入されたとか言ってなかったっけ)
「食べられればそれで良いだろうに、何をそんなに忌避するんだ。戦場では好き嫌いなどしている余裕など無いのに」
「あのな。今は平時。判る? そしてここは戦場じゃなくて内地。金さえ出せば食材は買えるんだから、拾い食いなんざするんじゃねーよ。寄生虫とかいたらどうすんだ」
野生の蝸牛にはほぼ確実に寄生虫が潜んでいるそうだし、野生の猪や鹿にしたって寄生虫と同居しているのが標準装備だろう。
人間の管理下で養殖されたものならまだしも、その辺りで拾った何を食べてどこを歩いてきたか判らないブツを態々手間暇かけて食べようとしなくて良いのに……と、控え目に言っておいた。
「……判った、その辺りで拾ったものじゃなければ良いんだな」
「ああ、そうだよ。判ってくれたら良いんだ」
判ってくれたか、と思ってホッとした。しかしそれも束の間。
「じゃあ、今度養殖でザリガニを売っている所を探すか」
「えっ」
「養殖だったら良いんだろう?」
その言葉で、零士は自分がとんでもないドツボに嵌まったことに気付いた。おそらく仙は、零士をザリガニ・パーティーとやらに引っ張り込もうとしていたのだと。
それは恐らく──本人にとっては単なる嫌がらせ。
艦の中でいつも良いものを食べている海軍士官という身分の瀧本に対して、ちょっとした憂さ晴らしをしようとしていたのだろう。
しかし、当の瀧本はそれを好意だと解釈してしまった。自分が食べているものを瀧本と共有したいという……まあ、可愛らしい感情で動いたのだと勝手に解釈しなければやっていけないから。
「夏になるのが楽しみだな、零士」
「あ、うん……」
スッと物陰に引っ込んで向こうに行ってしまった仙を見送り、零士は決意する。
──主計長に、ザリガニの安全な調理法を聞こう。
主計長がザリガニの調理法を知っているかどうかは知らないが、零士の周りで料理に一番詳しいのは彼しかいない。
仙の前では常に余裕でありたい零士にとっては、この辺りは死活問題だった。
いやそれ以前に、壊滅的な味覚を持つ仙が出した料理がどのようなものになるかなど、誰もが想像できてしまう。
その日、零士は誓った。あいつに、食材を買ってくるという癖を付けさせよう……と。
Q.なぜお前はこの家に来る度に食事を作っていくんだ
A.お前が目を離した隙に拾い食いをしていたからだよ
「──そういやお前、普段朝メシ何食ってんの?」
それは何気ない疑問から始まった。
というのも、以前この家に来たときから思っていたことだ。そういえば仙は、何かを食べているような姿を見せないなと。
「……普段?」
「いや……なんか、台所に生活感が無いから気になってさ」
「……」
台所をぐるりと見渡しても、どうしてもそこに生活感を見いだせない。全体的にのっぺりとした印象で、新築の室内のようだという感想が真っ先に思い浮かんだ。
でもそれは無いだろう。彼が広島に赴任してきたのは去年の六月だという。それから既に半年以上が経過しているのだから、全体的にいい加減生活感が出てきても良い頃合いなのに。
どうしてか、いつまで経っても生活感が湧き出てくる気配が無いのだ。さすがにこれはおかしいと思って良いだろう。
「……………………………………」
「……おい、まさか」
いやな沈黙。それと“ぷい”っとそっぽを向く態度。
これはもしや……仙は、朝御飯を食べてないのでは? という疑念を抱かせるのに十分だった。
「おーい」
「……最近は食べてる」
「ふーん……何を?」
その質問には答えずに、仙は零士の右手にあった戸棚を指差す。
中を開けてみると、中には食パンが一斤。
「……」
「……なんだよ。何か言いたいことがあるなら言えよ」
「うん……ちょっと無いわ」
ハッキリ言うと引いた。なぜ、これを朝メシだと言い張れるのだろうかと。
あと「最近は」って何だ。今までは食べていなかったのか。
「じゃあ、晩飯は? 昼は軍の方で出てるんだろ」
「ほとんど外食。それか食わん」
「……」
まあ、予想はしていたが……彼は家に他人を入れることが心理的に嫌という潔癖性のきらいがあるため、もちろんだが女中など雇っていない。そしてこの家も、元々は彼の大叔父兼養父の持ち家だったのを相続したものなので、当然ながら大家もいない。
それだけの条件が揃っている独身男の家の台所事情などお察しというやつだが、それでもこれはさすがに酷すぎるだろう。
「だって面倒くさいから」
「おまっ」
付け足すような一言だった。が、フォローになっていない。それどころか余計な一言になってしまったようだ。
あからさまに引いたような零士の視線が痛かったらしく、仙が物陰にそっと身を隠す。
「隠れるなよ」
「うるさいなぁ……食べるときはちゃんと食べてるよ。自分で調理して」
「えっ」
予想を遥か斜め上に行く返答が帰ってきたことにより、零士は鳩が豆鉄砲喰らったような間抜け面を晒して硬直した。
この時代は「男が台所に立つなんて……」と、いう価値観がまかり通っていた時代だ。それ以前に彼は華族のボンボンであるため、水仕事などとは縁遠い存在のはず。
どうしても言動と背景が合致せずに混乱してしまうのは仕方の無いことだろう。
「な、なに食ってんだ?」
生活感が無い台所には当然ながら食材など無い。なお、あの食パン一斤は論外だ。
では、何を調理して食べているのだ。その答えは他ならぬ仙本人の口から出されることとなる。
……零士に、これ以上無い驚愕を与えながら。
「……お前も食べるか─────ザリガニ」
衝撃が、走り抜ける。
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。が、滑舌の良い彼の口から出された単語は嫌でも耳で拾えてしまう。
ザリガニ、と口の中で復唱した。ザリガニ、ザリガニ……あの、蟹の爪をつけた赤い海老みたいなの。淡水にいて、水草を切ってくる……そういえば最近、何かの餌として亜米利加から輸入されたザリガニが脱走したとかいう話を聞いたことがあるなという現実逃避をしそうになった。
「もうすぐ冬眠から目覚めて活動が活発になる頃だからな。夏になったら聯隊の池を浚えばいくらでも捕れる」
「待て、待て待て待てちょっと待て、待って」
手で制しながら情報を整理しようと零士は必死だ。
確かにフランス料理などではザリガニのスープが出てくることもあるが、あれは養殖された高級で安全なものを使っているはず。
仙の話から察すれば、どう考えても彼はその辺の池で捕まえてきた野生のザリガニを使って調理しているとしか思えない。
「安心しろ、ザリガニだけじゃない。ちゃんと他のも食べる」
「え……な、何を……?」
「蛙」
ビシッと、音を立てて固まった。
蛙……蛙……あの、春になると冬眠から目覚めてゲコゲコうるさい黄緑色の両生類…………を、食す……? あの、仙が……?
「亜米利加で牛蛙をご馳走になったんだが、同じような物だし良いだろうと思ってな。その辺を掘っていたら見付けた殿様蛙を絞めて食べようと思ったんだが……やはり可食部が少ない。最近、牛蛙が輸入されたと聞いたのだが入手は困難だから、それまで代用品にしようかと思ったが……」
「…………」
なんでわざわざ冬眠中の蛙を掘ってきて食べようとするんだ、とか。寄生虫が危ないだろ、とか。言いたいことは色々あったが、ありすぎて逆に言い出せなかった。
「な、なんでまた、お前はザリガニやら蛙やらを食い始めるんだ……?」
「ん……いや。亜米利加にいた頃、上官になったフォルト・デュポンの中隊長の奥方がルイジアナ州出身だったからな。私が瑞典系だと知った中隊長がザリガニ・パーティーに呼んでくださったんだ」
「ザリガニ、」
ザリガニ・パーティー、とは。耳慣れない単語に目を白黒させる。
「瑞典では夏になると茹でたザリガニをアクアビットを飲み物にして食べる風習があるそうだ」
「へ、へえ」
「ルイジアナは瑞典系が多いからな。今でも夏になるとザリガニ・パーティーが各家庭で催されていると言われたよ」
「……」
もしかしたら、と考える。彼の実母は瑞典人を父親に持っていた。そしてその血は彼にも流れている。
自分のルーツである遠い国で、静かに受け継がれてきた食文化の欠片。
二十数年生きてきて、ようやくそれに触れられたのだとうと思うと「止めろ」だなんて軽々しく言えない。
(だとしたら、こいつにとってザリガニは大切なものなんだろうな)
遥か北の果てにある国の、ほんの一時の夏のお祭り。自身の祖父が飲んでいたかもしれない酒、食べていたかもしれない料理。
彼本人はきっと否定するだろうけど、それに何も思わないほど心が死んでいるわけではないのだ。彼が大切にしているから、零士もそれを大切にしたいと気を引き締める。
「あと、中隊長が仔犬くらい大きな牛蛙を捕まえてな。それを絞めて腿の肉を剥ぎ取って……お前、知らないだろ。皮を剥いだ蛙の脚に塩をかけるとな、死んでいるはずなのに筋肉がピクピク動くんだ」
「ああ、そうかい。今後一生役に立ちそうにない情報をありがとさん」
そんな巨大な蛙がこの日本に溢れたら、生態系の終了だ。仔犬ほどの大きさの蛙だなんて、何を食べていたらそんな大きさになれるんだというのが零士の素直な感想だった。
(あれ……そういえばこいつ、牛蛙が最近日本に輸入されたとか言ってなかったっけ)
「食べられればそれで良いだろうに、何をそんなに忌避するんだ。戦場では好き嫌いなどしている余裕など無いのに」
「あのな。今は平時。判る? そしてここは戦場じゃなくて内地。金さえ出せば食材は買えるんだから、拾い食いなんざするんじゃねーよ。寄生虫とかいたらどうすんだ」
野生の蝸牛にはほぼ確実に寄生虫が潜んでいるそうだし、野生の猪や鹿にしたって寄生虫と同居しているのが標準装備だろう。
人間の管理下で養殖されたものならまだしも、その辺りで拾った何を食べてどこを歩いてきたか判らないブツを態々手間暇かけて食べようとしなくて良いのに……と、控え目に言っておいた。
「……判った、その辺りで拾ったものじゃなければ良いんだな」
「ああ、そうだよ。判ってくれたら良いんだ」
判ってくれたか、と思ってホッとした。しかしそれも束の間。
「じゃあ、今度養殖でザリガニを売っている所を探すか」
「えっ」
「養殖だったら良いんだろう?」
その言葉で、零士は自分がとんでもないドツボに嵌まったことに気付いた。おそらく仙は、零士をザリガニ・パーティーとやらに引っ張り込もうとしていたのだと。
それは恐らく──本人にとっては単なる嫌がらせ。
艦の中でいつも良いものを食べている海軍士官という身分の瀧本に対して、ちょっとした憂さ晴らしをしようとしていたのだろう。
しかし、当の瀧本はそれを好意だと解釈してしまった。自分が食べているものを瀧本と共有したいという……まあ、可愛らしい感情で動いたのだと勝手に解釈しなければやっていけないから。
「夏になるのが楽しみだな、零士」
「あ、うん……」
スッと物陰に引っ込んで向こうに行ってしまった仙を見送り、零士は決意する。
──主計長に、ザリガニの安全な調理法を聞こう。
主計長がザリガニの調理法を知っているかどうかは知らないが、零士の周りで料理に一番詳しいのは彼しかいない。
仙の前では常に余裕でありたい零士にとっては、この辺りは死活問題だった。
いやそれ以前に、壊滅的な味覚を持つ仙が出した料理がどのようなものになるかなど、誰もが想像できてしまう。
その日、零士は誓った。あいつに、食材を買ってくるという癖を付けさせよう……と。
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