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特訓初日 マーダーの過去

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特訓初日後半、、、

・「ではスプラッシュニードルを教えますね。」

・マーダー
「はい、お願いします。」

凄い素直な生徒が出来た感じ。
さて、どうやって説明するかな。
ビニール袋とか無いしな。
ん~、困ったな。

・マーダー
「ライオットさん?」

・「はっ!ごめんなさい、ちょっと考え事をしてました。えっと、とりあえず水を作ります。」

・マーダー
「はい。」

・「それで、水を勢いよく発射させるのです。」

・マーダー
「わかりません。」

・「ですよね~。」

さて、どうしたのもかな。

・「圧縮って知ってます?」

・マーダー
「解りません。」

・「水圧ってわかります?」

・マーダー
「解りません。」

・「困りましたね。」

・マーダー
「困りました。」

・「どうしますかね。」

・マーダー
「どうしましょう。」

2人は見つめ合う。
そして笑い始めた。

・マーダー
「フフフ、変なやり取り。
ライオットさんって面白い。」

マーダーさんの笑顔が見れたので良しとしよう。

・「そうだ、水鉄砲ってご存知ですか?」

・マーダー
「いえ、それも知らない。」

俺は水を作成して両手で抱える。

・「えっとですね。両手でこんな感じで水を包んで、手をしぼめると水が勢いよく飛び出すんです。」

・マーダー
「わぁー、何これ。
凄いね、楽しいね。
教えて、教えて。」

興味津々のマーダーさん。

・「こうやって、水を包んで。
手をしぼめる。」

・マーダー
「出来た。飛んだ。楽しい。」

普通に楽しんでるな。

・「これで圧縮と水圧が説明できます。」

・マーダー
「ふむふむ。」

・「手をしぼませるのが圧縮。
水を潰して押し出す行為ですね。」

・マーダー
「ふむふむ」

・「水が飛び出る強さを水圧と言います。」

違う気もするが、まあ良いや。
適当だ。

・マーダー
「成る程。」

・「スプラッシュニードルは水鉄砲の要領によく似ています。水を凄い勢いで圧縮して、細く、限りなく速く水を飛び出させる魔法
それがスプラッシュニードルです。」

・マーダー
「何となく理解。」

・「良いですか?
イメージ内でやる事を見える様にやりますね。
まず魔力で水を包む、発射させたい方向に水の出口を作っておく。この時、少しずつ細くして行くと良いですね。」

俺はゆっくりと見える様に魔法を展開。
解説しながら進めていく。

・マーダー
「はい。」

・「そして魔力で包んだ水を一気に圧縮する。」

シュン

・マーダー
「あ、わかったかも。
やってみたい。」

・「良いですよ。
ではあの岩をターゲットにして下さい。」

・マーダー
「うん。魔力で水を包む。
水の出口、だんだん細く
一気に水を潰す、行きます。」

『スプラッシュニードル』

シュン、、、ズパーン。

・マーダー
「出来た、、、出来たー!
やったー、出来たー。」

おいおい、向こうで爆発したぞ?
凄い威力だ。
やっぱり魔力の操作が上手いと威力も段違いだな

・マーダー
「ライオットさん、出来たよ
私、強くなれるかな?
魔物倒せるかな?
レベル上げられるのかな?」

マーダーさんがめちゃくちゃはしゃいでる。
とりあえず癒しの鼓動で魔力回復しておくか。

『癒しの鼓動』

・マーダー
「はぅ!」

あ、おとなしくなった。

・マーダー
「急にやるの、反則。
でも、ちょっと気持ちいい。
ありがとう。」

・「どういたしまして。とりあえず考えてた事は成功しましたので野営の準備をしましょうか。」

・マーダー
「はい!何でもやる。」

マーダーさんのテンションが見た事ない程高い。
余程嬉しかったんだな。
一緒に強くなりましょうね。
野営の準備が出来たら、、、ね。
2人は野営の準備をするが新しい魔法を覚えるよりも時間が掛かってしまった、

・「はぁはぁはぁ、
野営の準備って大変なんですね。」

・マーダー
「そうね。凄く、疲れた。
でも、ちょっと楽しいかも。」

そう言って貰えると嬉しいです。

・「少し時間があるからレベル上げしようか?
まだ動けますか?」

・マーダー
「行く!レベル上げたい。」

おー、食い付きが凄いな。

・「使う魔法は水炎属性でいきましょう。
水と水炎、どちらもレベルが上がると思うから。もしも片方しか上がらなかったら水属性でお願いします。」

・「わかった。
数体倒したら確認してみる。
数体も倒せるかな?いっぱい倒したいな。」

いつになく燃えてるな。

・「癒しの鼓動がありますので、
ガンガン行きますか。
マップオープン、、、
ん~、こっちですね。」

・マーダー
「スカウトも出来るの?
ライオットさん万能。本当に何者?」

ただの雑魚ですよー。
たまたまスキルがあるだけですよー。

・「じゃあ、行きますか。」

俺はマップの赤点に向かう。
見た事ない敵だな。

・「居ましたね。見掛けたらドンドン魔法を撃ち込みましょう、俺は敵の所まで連れて行くので。」

・マーダー
「任せて、水炎魔法」

『フレイムアロー!』

・甲虫を倒しました。

凄いな一撃でいける。
問題は素材が取れない程に消炭になってる事。
まあ、時間の節約になるから良いか。
それにしてもいきなりなのに水炎魔法を使って攻撃魔法を唱えたな。しかも既に魔法の名前まで考えてたんですね。
この世界の火魔法があんな感じなのかな?

マーダーさんはやる気満々だ!
ならば俺も本気で敵の場所に連れて行こう。

・「素材は気にしないでドンドン行きます。
あ、魔法石を見かけた時だけ取りましょうか。」

・マーダー
「うん。ドンドン行く。」

その後、2人は野営地周辺を駆け回りつつ
辺りが暗くなるまで魔物を倒し続けた。


~少し前の時間、ギルドにて~

・セリス
「サリス。」

・サリス
「なーに?セリス。」

・セリス
「納品の為にマーダーの部屋に行ったら樽が9つもあったぞ?しかも全部満タンだ。ライオット達はいつ来た?」

・サリス
「あら、ライオットさんなら早朝に来て3日分の仕事を全て終わらせて出て行ったわよ。」

・セリス
「本当か?相変わらず規格外だな。
いつ頃戻るか知ってるか?」

・サリス
「何か用事でもあった?」

・セリス
「いや、用事は無いが。
ちゃんと特訓してるか気になってさ。」

サリスが悪い顔になる。
からかう気満々だ。

・サリス
「ライオットさんなら今頃、マーダーさんと2人きりで野営地でも探してるんじゃないかな?」

・セリス
「野営地?どう言う事だ?」

・サリス
「3日間、泊まりがけで特訓するらしいわよ。
2人っきりで。
そう言えば、テント一つしかなかった気がしたけど、寝る時はどうするのかしら?寄り添って寝れば大丈夫な大きさだけど。」

・セリス
「な、な、な、な、2人きりで泊まり込み?しかも3日だって?何でテントひとつなんだ?」

・サリス
「さあ、在庫に一つしか残って無かったからじゃないかしら。昼に一つ返ってきたんだけどね。ライオットさんは朝出発したから。」

・セリス
「サリス、2人は何処にいるか分かるか?」

・サリス
「知ってるわよ。」

サリスは楽しんでいる。

・セリス
「教えろ、テント持って行ってやる。
全く世話のやける奴だ。」

・サリス
「セリスも行きたいの?」

・セリス
「ち、違う。疲れてるのにゆっくり寝られないと困るだろ?それに万が一魔物に襲われて怪我しても困るし。2人は低レベルだから引率がいるだろうし、それに、」

・サリス
「それに~?」

・セリス
「だぁぁ、もう、姉さん!」

セリスが怒りサリスが声を上げて笑う。

・サリス
「あー、楽しい。ごめんなさいセリス。こんな貴方を見る事なんて出来ないと思ってたからつい。
安心して、テントは2つ持たせてあるわ。それと、地図に2人の向かった場所を記して置いたから持って行きなさい。この周辺にいるでしょう。」

・セリス
「良いのか?」

・サリス
「行きたいんでしょ?
ライオットさんの所に。
3日後の決闘迄に魔物に倒されたらギルドとしても困りますから、ギルド長の貴方が行って守ってあげなさい。」

・セリス
「姉さん、、、ありがとう。」

セリスは地図を受け取ると、場所を確認しつつ走って行く。

・サリス
「あらあら、自分のテント忘れてるけど、余程気になっていたのね。しかし、本当に可愛い反応してくれたわね。
セリス、頑張ってね。」

妹をからかいながらも応援する。
微笑ましい姉妹の愛がそのにはあった。

・セリス
「待ってろよ、ライオット。
2人きりなど絶対に許さん。」

盛大にヤキモチを焼きながら走るセリスだった。


・「マーダーさんお疲れ様。
どうですか、レベルは上がってますか?」

俺はマーダーさんに問い掛ける。
するとマーダーさんは少しフリーズ。
ステータス確認してるのかな?

・マーダー
「いっぱい上がった。8になったよ?
1日で8になれた!嬉しい。」

・「良かったですね。
俺もレベルが2つ上がりました。
この調子で上げていきましょうね。」

・マーダー
「うん。」

渾身の笑顔が飛んだきた。
マーダーさん可愛いな。
いや、どちらかと言うと綺麗かな?
幼さも残ってるから不思議な感じ。

・「では体を洗ってから夕飯にしましょう。木枠でお風呂を作りますので、先に入って下さい。」

・マーダー
「外でお風呂?ちょっと怖い。
誰か来たら嫌だな。」

・「ずっとマップで見てますから大丈夫ですよ。」

・マーダー
「ずっと見てる?、、、エッチ!」

・「いや、そうじゃなくて、
誰も居ないか確認してだけですので。」

・マーダー
「フフフ、わかってる。
ちょっとからかってみた。」

マーダーさんにからかわれた。
でも、なんか明るくなったよな。

・マーダー
「じゃあ、お願いしても良い?」

・「勿論ですよ。すぐにお風呂沸かして呼びますので、着替えの準備だけしておいて下さい。」

俺は風魔法で木枠を作り、水、火の魔法を駆使してお風呂を完成させる。

・「よし、露天風呂完成。」

・マーダー
「ライオットさんは何でも出来るね。」

作る間、ずっと側で観察していたマーダーさん。俺はお風呂から見えないところまで行ってマップを開く。

・「よし、誰もいないな。」

マーダーさんが出て来るまでマップと睨めっこ、見落としがないようにずっと見ていた。ついでにスープを作っていた。

・「この周辺は魔物を狩り尽くしたからな。
明日はもっと奥に行くか。」

暫くするとマーダーさんが帰ってきた。
可愛らしいパジャマみたいな格好だな。
いつものフードは無かった。

・「可愛らしいですね。
よく似合ってますよ。」

・マーダー
「う、、あ、ありがとう。」

ちょっと顔を赤くしながら照れるマーダーさん。

・「んじゃ俺も入っていますね。焚き火でスープ温めてますので適当に食べてて下さい。」

俺はお風呂に向かう。
湯に浸かりながら考える。

・「この調子で行けばかなり強くなれるな。どうしようかな、明日はもう一つの可能性を試してみるのも良いかも。とりあえずステータスだ。」

レベル10 所持金 3309c

筋力 59 +20(特  +20(加
知力 75 +20(特 +40(加
敏捷性 59 +10(特

・スキル
自動マーカー、マップ、精神自動回復、順応力 

・魔法
癒しの鼓動
風魔法 レベル11
炎魔法 レベル13
水属性 レベル18

・技能
剣術レベル8 補正レベル1  筋力 2 敏捷生 2
杖術レベル1
盾術レベル1
体術レベル9 補正レベル1 筋力 2 俊敏性 3
射撃レベル9  補正レベル1 筋力 2 俊敏性 2

・特殊技能 補正値パッシブ(特
採取レベル12 補正レベル2 筋力 10 知力 10
採掘レベル11 補正レベル2 筋力 10 敏捷性 10
魔装術レベル7 補正値レベル1 知力 10

・加工技能 補正値パッシブ(加
裁縫レベル10 補正レベル2 知力 20
鍛治レベル10 補正レベル2 筋力 20
錬金レベル10 補正レベル2 知力 20

魔法レベルは上がっているな。
基本値が上がってないか。
マーダーさんに全部任せてたしなぁ。
まあ、今回はマーダーさん中心で良いか。
また今度スキル上げとかしよう。

俺はお風呂を出て焚き火まで戻るとマーダーさんはご飯を食べずに待っていたみたいだった。その後、夕飯を食べてから暫くボーッとしていたが、マーダーさんが話しかけて来た。

・マーダー
「ねえ、ライオットさん。」

・「はい?」

・マーダー
「ライオットさんは何も言わなんだね。
気にならないの?」

ちょっとビクビクしながら聞いてくる。
何をだろう?
2人っきりの事か?

・「気にならないと言えば嘘になりますが。」

マーダーさんがビクッとなる。

・「マーダーさん綺麗だから2人っきりだとやっぱり緊張しますね。でも特訓しなきゃ行けないし、そこは理性を全開にして特訓に集中してますよ。」

マーダーさんがこちらを見る。

・マーダー
「なんの話ししてるの?」

・「へ?いや、、、
2人きりだから気になっちゃうって事ですよね?」

・マーダー
「ふふ、ふふふふ。
あはははは。」

マーダーさんが盛大に笑う。
あれ?何か違ったか?

・マーダー
「私の耳、人と違うでしょ?」

・「あ、はい。
ちょっと尖ってますね。」

・マーダー
「私は人とエルフのハーフなの。」

・「そう言えば、あの薄らバカが言ってましたね。ハーフエルフって事はマーダーさんにはエルフの血が流れてるんですね。
だから可愛いよりも綺麗って感じなのかな?」

マーダーさんが驚い後、ちょっと赤くなる。

・マーダー
「ちょっと照れます。
でも、ありがとう。」

マーダーさんは暫く考えていた。
そして、

・マーダー
「ライオットさん。
聞いて欲しい事があるの。」

・「ん?どうしました?」

・マーダー
「タスラーは、元々私の教官だった。
私は軍の訓練所に行ってた事があるの。
タダで行けるから孤児は多い。
入れればご飯が食べれる。
でも、孤児で入るには条件があるの、
それは、水属性である事。」

・「ふむふむ」

・マーダー
「訓練所は主にレベルを上げて将来軍に入る事を目的としている。他にも貴族の箔が付くとかで貴族の子供が来ることが多い。
そして、主に貴族の血筋は火属性が多い。
火属性は強いというのが常識だったから他の属性に対しての偏見が凄いの。特に貴族の子供は人を見下して人とも思わない。」

マーダーさんは深呼吸をしてから続けた。

・マーダー
「訓練所では、暫くは勉強をする。
座学、薬学、野営地選出方法、戦略。
色々学ぶ。
そして、2年目の実習から地獄が始まる。」

・「地獄?」

・マーダー
「うん、、、レベル上げでダンジョンに入るのだけど、6人で1つのパーティーになる。そして1パーティに必ず水属性が1人以上入る。
水の確保の為。
良いパーティーは少しずつ順調に上げて行く。
水属性の人のレベル上げるようにゆっくりと。
でも、私のパーティーは酷かった。」

マーダーさんは昔を思い出しように話している。

・マーダー
「リーダーが貴族だったわ。
パーティーメンバーも全員貴族。
私だけが違った。
だから凄い虐められた。
エルフは元々人間に迫害を受けている事があった
私はハーフエルフ。
虐めは壮絶だったわ。
戦闘は私のいない所でやってワザと私のレベルを上げないようにしてたわね、それに貴族の人達は見栄が凄くて禁止されている階層まで潜って行った。
私も荷物持ちで付いて行かされたわ。
だけど、、、
禁止なのは本当に危険だから。
禁止の階層で強敵と遭遇してしまったの。
貴族達は一目散に逃げたわ。
でもすぐに2人、死んだ。
権力の弱い2人が盾にされて死んだの。
残りの4人は、、、」

マーダーさんが震え始めた。
泣いているのか?
俺はマーダーさんの隣に座って手を握った。

・「無理して話さなくても大丈夫だよ。」

俺は出来るだけ優しく話しかける。

・マーダー
「ライオットさんには聞いて欲しいの。
ごめんね。」

・「謝らなくても良いよ。
ここにいるから、ゆっくり話して。」

暫く手を握っていた。
するとマーダーさんがまた語り始めた。

・マーダー
「貴族の4人は、私を魔物の目の前に投げ飛ばしたわ。無能なんだから、囮くらい、務めろって」

マーダーさんは涙を流し始めた。

・マーダー
「水属性の孤児が優先的に訓練所に入れるのは貴族が囮にする為なんだと。私は、魔物に食べられて死ぬんだと思った。
本当に怖かった。
もうダメかと思った。
でも、生きてた。
魔物は私を見た後、何故か去って行ったの。
その後、私は必死にダンジョンから脱出した。
何とか脱出した時、
そこに居たのはタスラー教官と4人の貴族。
4人の貴族は私が勝手に禁止階層に行ったと告げたわ。それを追いかけて、魔物に遭遇して、
2人は死んだと報告した。
私はタスラー教官に真実を話した。
でも、誰も信じなかった。
本当は教官は分かっていたのだと後になって知ったわ。その時に無能は無能なりに役に立てと教官に言われただけだった。
最初は意味がわからなかった。
でも、後日貴族の家族が訓練所に来て。
私は謝らされたわ。
違うと言っても、真実話しても、
誰も信じてくれなかった。
いっぱい殴られたわ。
いっぱい叩かれたわ。
いっぱい蹴られたわ。
いっぱい、、いっぱい、、、」

マーダーさんは大量の涙を流した。
俺は優しく抱きしめるしか無かった。
俺の腕の中で泣き続けるマーダーさん。
暫く泣いた後、少し落ち着いたのか、
ゆっくり頭を上げて、さらに続けた。

・マーダー
「それから、、、私はボロボロの状態で訓練所から放り出された。
街をふらふらと歩いていたわ。
死にたいと、心から願った。
そこで、セリスとサリスに逢ったの。
2人は私を優しくギルドに迎え入れてくれたわ。
傷の治療をしてくれて、水属性程必要な人材は居ないと言ってギルドに入れてくれた。
嬉しかった。
強くなりたかったけど、2人と一緒に魔物を倒してもレベルは上がらなかった。だから、私はギルドの錬金術をする事にしたの。
2人に恩返しがしたかったから。」

大きく深呼吸をして話すマーダーさん。

・マーダー
「昨日、タスラー教官を見た時は本当に怖かった。昔の事を思い出したから。決闘になってしまったとき、私の命で許して貰おうとさえ思ったわ。
でも、貴方は私を庇ってくれた。
逃げずに私を守ってくれた。
本当に嬉しかった。」

そして、マーダーさんは涙を脱ぐってから
俺をジッと見つめて来た。

・マーダー
「ねえ、ライオット、、、
私と、、、」

ゆっくり近づいてくるマーダーさんの顔。
あれ?この流れってひょっとして。

・セリス
「やたらと近くねーかな?」

・「うぉぉぉぉ」

・マーダー
「ひっ!」

俺とマーダーさんはビックリしながら離れた。

・「せ、セリス?」

・セリス
「おうおう、心配して来てみりゃ2人してイチャイチャと。アタシがどれだけここを探す為に走った事か。全く、アタシの気も知らないで、えぇ?おい、ライオット!」

セリスさんが怖い。
めちゃくちゃ怖いぞ。
魔力が渦巻いてるのですか?

・「いや、あの、セリス。
聞いてくれ、これには訳が。」

・セリス
「うるせえ、私の怒りの魔法でも食いやがれ。覚悟は良いかぁぁぁ!」

・マーダー
「セリス、ダメ。」

マーダーさんの制止も虚しく、
セリスの『氷塊』が発動した。
ああ、決闘前に、、、
無念です。

ドコーン!

背後で氷塊の炸裂音がした。

・セリス
「とまあ、冗談だ。
実は途中から話が聞こえちまっててよ。
盗み聞きする訳じゃ無かったんだが、、、
マーダー、すまん。
そんな経緯があったんだな。
辛かったな。」

・マーダー
「セリス。ありがとう。
私は貴方と貴方のお姉様に助けてもらった。
あの時は辛かったけど。
今は幸せ。
貴方達姉妹に逢えたから。」

セリスとマーダーさんが抱き合う。
良い場面だな。
良い場面なんだけどなぁ。

・「セリスさん、セリスさん。
冗談の割にはそれなりの大きさの氷が俺に直撃しているのですが?」

結構な大きさの氷が顔面にヒット。

・セリス
「はん、イラッとしたのは事実だ。
それくらい喰らっとけよ。」

・「む、無念、、、」

ドサッ

セリスはライオットを倒した。

・セリス
「あ、やべっ、やり過ぎたか?」

・マーダー
「ら、ライオットさぁぁぁん」

特訓1日目終了。

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