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物理攻撃完全回避?

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一緒に屋敷を出た獣人達は北区の門を出た後に別れる事になる、彼らは獣人の国に帰るそうだ。俺達はそこから東へと向かう、そしてオルドラ王国を出て数時間。

直ぐにサリスさんに見付かりました。
場所はミトラ湖の北側です。

・セリス
「姉さん?」

・サリス
「おはようセリス、ちょっと急用が出来たから見送りついでに来ちゃった。少し良いかしら?ライオットさんに話があるという人を連れて来たわ。きっちりを用を済ませてから行きなさい。」

空を飛んできたサリスさん。
そんなサリスさんと共にやってきた人物がいた。

ミミさんだった。
あともう一人は王の間で見掛けた人だな。
ていうかミミさん達も飛んでなかった?

・ミミ
「アタシを置いてくなんて酷い、あたしも一緒に行きたいのに!」

・王の間で見かけた人
「ミミちゃん!ダメだって言ってるでしょ?」

ふむふむ、どういう状況だ?

・サリス
「どなた?と言う顔してるわね。
紹介するわ、ミミさんのお母様ナナさんよ。」

成る程、娘を止める母と出て行きたい娘の言い争いと考えて間違いなさそうですな。

・ナナ
「おいライオット、全部貴様のせいだからな?
とりあえず脱獄の件も含めて一旦私と戦え。」

全力でお断りしたい。
俺にはお母様と戦う理由が無い。

・「えっと、ミミさんのお母様。
申し訳ないけどお断りさせていただきます。
第一、こんな綺麗な方を攻撃したくないし。」

知り合いのお母さんを攻撃など出来ない。

・ナナ
「悪いがお前に拒否権はない。
お前に戦う理由が無いとしてもこっちには大きな理由がある、ミミちゃんとも約束したしな。私が勝ったらミミちゃんは連れ戻す。」

ふむ、どんな理由があるか知らないけど娘を納得させるために俺を倒そうという事なのかな?

・ミミ
「お願いライオット、ママを倒してアタシも連れてって!何でも言うこと聞くから。」

お母様の前で何てこと言うんですか!
これじゃあ俺が悪役に、、、

・ナナ
「テメェ、、、ミミちゃんに何した?」

何もしてないです。

・サリス
「では、私が見届け人となります。」

話が当事者の俺を置いて進んで行く。
俺の意見も尊重してほしい。

セリス
「ちょ、ちょっと待った!」

・マルチ
「ミミも一緒に行きたいの?」

マルチはミミさんと何やら話している。
セリスはサリスさんと話している。
そしてお母様は俺を睨んでいる。

すっごく怖いです。

・ナナ
「悪いが手加減はしねえ。
ミミちゃんから聞いてるぞ?
お前は相当強いらしいな。
ミミちゃんに相応しいかどうか見定めさせて貰う。」

俺はそんなに強くないですよ。
まだレベル上げ前ですし、、、

・ナナ
「確認だ、戦う前に教えろ。
お前のレベルはいくつだ?」

ここは答えておいた方が良いだろう。
レベルの低さで引き下がってくれると嬉しい。

・「えっと、ちょっと待ってくださいね。」

ライオット レベル28 
筋力 159 補正値 70  計 229 
知力 228 補正値 310 計 538
敏捷性163 補正値 60  計 223

スキル
チートマップ・精神自動回復・順応力

魔法
風属性 59 水属性 43 炎属性38
癒しの鼓動

技能(補正値は装備時のみ発動)
剣術 22 補正LV4 筋力8 敏捷性8
杖術 20 補正LV4 知力20
盾術 21 補正LV4 筋力20
槍術 20 補正LV4 筋力12 知力4
体術 20 補正LV4 筋力10 敏捷性12
射撃 31 補正LV6 筋力12 敏捷性12

特殊技能(補正値は常時発動)
採取 31 補正LV6 筋力30 知力30
採掘 11 補正LV2 筋力10 敏捷性10
魔装 54 補正LV9 知力90
操舵 27 補正LV5 敏捷性50

加工技能(補正値は常時発動)
裁縫 42 補正LV8 知力80
鍛冶 19 補正LV3 筋力30
錬金 24 補正LV4 知力40
魔生 39 補正LV7 知力70

こうしてみると結構上がってるな。
やっぱり強くなるのって嬉しいよね。

・「レベルは28ですね。」

・ナナ
「はい?」

聞き返された、、、

・ナナ
「すまん、聞き取れなかった。
もう一度言ってくれ。」

聞こえなかったかな?
もっとしっかり伝えないとな。

・「28になりました。」

胸を張って伝える。
これで伝わったかな?

・ナナ
「そうか、すまんが少し待っててくれ。」

サリスさんとセリスの話している所に歩いて行ったお母様、俺のレベルが想像以上に低かったという感じ?
少しショックです。

・マルチ
「ねぇねぇライオット。
ミミも一緒に行きたいんだって。
一緒に連れて行ってあげる?」

マルチがこちらに戻って来た。

・ミミ
「一緒に行っても良い?」

上目使いは反則です。
断る理由はありません。

・「俺は構わないけどミミさんは大丈夫なの?
お母様が猛反対してるみたいだよ?」

・ミミ
「アタシが決めた事だからママは関係ないよ。でも約束があってアタシが一緒になるって決めた人はママより強い人じゃないと認めないって昔から言われてるの。だからライオットにはママを倒してほしい、そしてアタシを連れてって。」

もの凄い無理難題を言われてる気がします。
これは勝つべきなのか?
それとも負けるのが正しいのか?

・セリス
「どうやらナナさんはヤル気満々だぞ?レベルが低いと渋っていたが姉さんがお前の強さを保障してたからな。」

何てことしてくれるんですか。
出来れば戦わず穏便に済ませたかった。
サリスさんと話し終えたナナさんがやってくる。

・ナナ
「その、、、、なんだ。
レベルで判断して悪かったな。
あんまり低いと殺しかねないからさ。」

気のせいだよな?
物騒な言葉が混じっている気がします。

・ナナ
「レベルが基準とは言えそれが全てじゃない、私がまだひよっ子だった頃を思い出したぞ。」

レベルが全てで良いですよ?

・ナナ
「お前の噂は色々聞いている。ミミちゃんとの約束もあるからな、悪いが全力で阻止させて貰うぞ?」

何故か戦う流れになってるのだが。
マルチとミミさんは既に離れて応援しだしてるし、セリスは俺に色々とアドバイスしてくれてるし。

・セリス
「相手は拳聖と呼ばれる人物、それに彼女の二つ名は『破壊神』。拳一つで全ての物体を壊す事が名前の由来だ。いいか?絶対に攻撃は喰らうなよ。」

無茶苦茶な事を言う、、、
拳聖って何ですの?
破壊神て、、、

・サリス
「では決闘と同じくどちらかが戦闘不能になるかギブアップするかで決着とします。宜しいですか?」

良くないです。
開幕ギブアップとか有効ですか?
まあそんな事は出来ないんだけどね。

・ナナ
「決闘のルールで良いぜ。」

・「マジで戦うんですか?」

セリスは走ってマルチ達の元へ向かう。
俺の意見が全然聞いて貰えない。

・サリス
「見届け人は西区ギルド長サリスが務めます。これはミミさんの結婚相手にふさわしいかを決める戦いですので両方が納得できる様に全力で戦ってください。」

話が見えない。
ミミさんの結婚相手って誰?
俺?
既に可愛い嫁さんと綺麗な嫁さんが居ますよ。
この世界はそんなこと関係ないのかな?

とりあえず全力で避ける努力をしよう。
まだ死にたくないです。

・サリス
「始め!」

サリスさんの号令で戦闘が始まる。
とりあえずサリスさんが離れるまで待つか。
ナナさんも同じ考えのようだし。

・ナナ
「お前の事は色んな奴から聞いている。
ニュート、ミズキ、ライル、ミミちゃん、サリス、セリス、カーティス、ロイヤル、国王。正直凄いと思うぞ、これ程の奴らから一目置かれているなんてな。」

戦闘要員としてはみんなより下な気がします。

・ナナ
「先程も言ったが手加減なしで行く。
せいぜい死なない様に気を付けてくれ。」

殺しに来る気満々じゃないですか。
すっごい逃げ出したい。

・ナナ
「それじゃあ、行くぞ!」

ナナさんの体が光る。
なんだ?魔力を纏ってる?
いや、魔力とは少し違う気がするな。

・ナナ
「っは!」

一瞬でナナさんが消えた。
その瞬間、俺の身体が勝手に動く。

・ナナ
「やるじゃないか。」

そんな言葉か聞こえて来る。
間髪入れずに俺の身体はヌルヌル動く。
勝手に動くのって結構気持ち悪いな。

暫くそんな感じで動かされる。
だめだ、目をつむっておこう。
気持ち悪くて吐きそうだ。

・ナナ
「ほほぅ、この攻撃を躱すとはな。
正直驚いたぞ。」

やっと止まった。
拳の様に『面』で攻撃してくる相手を想定して考えた防御方法、でもこの防御方法は考え物だな。

どんな防御方法かを説明しておこう。
実は戦闘前に風魔法を展開さてせた。

物体が動く時は必ずその場にある大気を押す事になる。気流の変化で引っ張られたり流されたり押されたりする。その微妙な動きを感知して空気が動いた同じ量だけ体を押し流すように仕込んでおいた。言ってみれば蝶々の様に舞う『物理攻撃自動回避』とでも呼べばいいかな?
だがこれには欠点がある。
認識できていない攻撃もかわせるが勝手に体が動くので気持ち悪くなる、あと想定外の動きもするのでたまに逆関節が決まるのだ。
正直怖くて使いたくない。
下手すると折れるよね?

・ナナ
「たまに自爆しそうな動きをしていたが、あんな風に避けられたのは初めてだ。」

そうでしょうね。
しかし不味いな。
このまま続ければ俺がもたない。

・ナナ
「ならこれならどうだ!」

ナナさんの発光現象が強くなる。
すると先程と同じようにナナさんが消える。
そして、、、

・「うぉぉぉぉぉ」

先程よりも早く体が勝手に動く。
ちょっとこれヤバい、、、

・ナナ
「おらぁぁぁぁ」

・「ぬぁぁぁぁぁ」

凄まじいナナの連撃。
凄まじい俺の回避。

・「マジでかぁぁぁ」

勝手に体が動きまくる。

・ナナ
「何故当たらない!」

既に完全に目を瞑っている俺。
そろそろマジでヤバい。

・ナナ
「目を瞑って避けてるだと?
こいつは一体何なんだ!」

やっとナナさんの攻撃が止まった。
あ、、、、でも限界かも。

・ナナ
「貴様、本当にレベル28なのか?」

・「うぷ、、、、」

・ナナ
「うぷ?」

・「おぶえぇぇぇぇ」

盛大に嘔吐してしまいました。

・ナナ
「うぉぉぉぉ!汚ねぇぇぇ。」

ナナに精神的大ダメージを与えた。
しかしライオットは力尽きた。

俺は膝から崩れ落ちた。
だめだ、立ってられない。

・「頭がグワングワンする。」

フラフラしながら四つん這いになる。
それでも倒れそうになる。
寝ころぼう、、、

・ナナ
「おい、大丈夫か?」

・「無理っす。」

その一言を絞りだすので精一杯でした。
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