花魁紫吹の門出

七瀬蓮

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噂について

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いとは先ほど聞いたわたげ姐さんの噂について考えた。わたげ姐さんは、計算高い方だった。遣手になったのも計算のうちだろう。年季が明けた遊女の道は、

というのになり、花魁の雑用をすること、

吉原のすぐ外にある河岸見世かしみせと言う安いお店に移籍する、


岡場所や宿場の女郎屋などで色を売る、

「夜鷹」と呼ばれる傘で1本を広げて体を隠し、体を売るという最下級の街娼となる、

の道がある。夜鷹は掛けそば一杯の値段で体を売る事になるし、客層が悪い為、梅毒にかかり、体が腐っていくことが多い。

お店に売られる原因になった家の借金の他にお店にいた頃に着ていた着物や髪飾り、化粧品、付き人の着物まで自分の借金としてのしかかってくる。そのため、わたげ姐さんは監視役という今の花魁になるべく迷惑をかけぬところに行ったのであろう。何ともわたげ姐さんらしいと思ういとであった。しばらくして、また違う噂が耳に入った。
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