束縛行為は強制残業

七瀬蓮

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初対面

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「酒井田社長!ご無沙汰しております。」

と大きく手を振りながら、足早に近づいてくるおじさまが現れた。

「こちらこそご無沙汰しております。寒かったのにわざわざありがとうございます。早く室内へご案内いたします!」

と酒井田が案内するので、無言でついて行こうとしたら、

「僕が先方を部屋まで案内するから、施錠逆のことをすれば、できるから、それで施錠してから追いかけてきてくれるかな。ごめんね。」

と耳打ちをされて、先方が酒井田に案内されて遠くに行ったのを見届けてから、恵美は施錠をした。

「先方は一名様だったな。施錠していいと言われたから、これ以上増えることはないだろう。コーヒーの準備をして持って行った方が後から入りやすいよな。」

と恵美は考え、給湯室でお湯を沸かして、三杯のコーヒーを淹れて、社長室へと持って行った。

コンコンコン


「失礼いたします。」

と社長室へと入り、

「お待たせいたしました。こちらホットコーヒーでございます。ミルクとフレッシュはこちらに置かせていただきますね。」

と言われた通りにやると、

「君はなんかね。初めて見る顔だけど、社長のこれかね?」


と小指を立てて、聞かれたので、きょとんとしてしまった。

「やだなー。社長違いますよ。彼女はうちの社員で、残業かなりしてる子だったんで、僕の残業にも付き合って欲しいって言ってやってもらってるだけです。ほら、社長いつも言うじゃないですか?ここの部屋は男ばっかりでむさ苦しいって。」

と戯けて言うと、

「おぉ。それで可愛いけど、控えめな社員さんをつけてくれたのね。ありがとう。」

と笑顔になった先方を見て、

「岡部さんコーヒーありがとう。岡部さんはこっちかけてね。」

と言われたので、

「?……。失礼いたします。」

と言い席についた。

社長はなんで私の名前を呼び間違えたのかわからなかったが、部屋には3人しかいないし、私の方を向いて、そう言ったからそうした。

そして商談が始まった。

「この間ご提案させていただいた案なのですが、他社の企業でも同じようなものがあると思います。しかし、弊社はこのシステムを使って、他社さんよりも効率的に対応できるかと思います。」

と酒井田がプレゼンをし始めた。

「そうだなー。酒井田くんとは長い付き合いだから酒井田くんのところでお願いしようかと思ってはいるんだけど、なかなか他社のが割引率が良かったりするから、踏み切れないんだよね。小さな金額じゃないし。」

としぶっている先方に、

「それではいつもお世話になっている箕浦様には特別にトライアル期間を設けて弊社のシステムを破格の半額値で1ヶ月使っていただくのはいかがでしょう?」

と言われて、

「んー。酒井田くんがそこまで言うのなら間違いない気がするから、本契約させてもらうよ。改善点があったら報告させてもらうね。」

と渋っていたのが嘘かのように、契約へと進んだ。
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