【完結】お隣さんの恋

あい

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一つ屋根の下

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夏休みに突入したけど、あたしは特になんの予定もなくお家でゴロゴロ。
健斗は中学の時にサッカーをやっていたみたいで、体育祭の後ぐらいからサッカー部に入部して、毎日練習で忙しそう。
翔太君もサッカー部だから、二人は益々仲良くなってるみたい。

果母「果奈~。」
果「なに?」
果母「果奈の旅行用の大きい鞄貸してくれない?」
果「なんで?どこかいくの?」

そういえば今日はお父さんもお母さんも朝からそわそわバタバタしているような?

果母「お父さんちゃんとカメラ入れておいてね!」
果父「もういれた~!」
果母「さっすが~!」
果「ね~どっかいくの?」
果母「あ。鞄ありがとう!これから旅行!」
果「これからって?」
果母「準備でき次第!」
果「え!?」
果母「片山さんが新しい車買ったのよ!」
果父「それで一緒に旅行でもって言うから!」
果「も~勝手に決めないでよ~。そんな急に言われても~。」
果母「ん?果奈はお留守番よ?」
果「え?」
果母「だから鞄かりたんじゃない!」
果「そっか!ってえ!?なんで!?」
果母「だってほら、今日も健斗君練習行っちゃってるし、帰ってきて誰もいなかったらかわいそうでしょ?」
果「でも。」
健母「準備できました~!?」
果母「は~い!」
健母「あ!果奈ちゃん健斗のことよろしくね!」
果「え、あの。」
果父「この荷物車に乗せちゃうぞ
~!」
果母「は~い!」

なんだかまたこの家族についていけない感じになってきたよ?
しかも置いていかれることになってるし。

果母「じゃ~いってきま~す!」

“シーン”

皆行っちゃってすっごく静か。
ま~いっか。
今日は、というか今日ものんびりすごそ~っと。

“ピンポーン”

ん?誰だろ?
気づいたら寝ちゃってた。
いつの間にか外暗くなってる。

果「は~い。」
健「ただいま~!」
果「え?ちょ、ちょっと!家間違えてる!」
健「間違えてないけど!」
果「いやいや、片山家はお隣でしょ?」
健「さっき親から電話きて、鍵閉めて出ちゃったから今日は果奈んちでって!」
果「え~!」
健「ま~ま~そんな意識するなって!」
果「い、意識って!?」
健「いくら男女が一つ屋根の下にいても。」
果「わ~!ダメだよそんなの!ま、窓!窓から健斗の部屋入れるじゃん!」

ありえないよ一つ屋根の下って!!

果「ど~?」
健「さすがうちの親!戸締まり完璧だな!」
果「そんな~。」
健「ま!そ~いうことなんで!」
果「信じらんない~。」
健「一足お先に新婚生活気分でも!」
果「も~!何言ってるの!?」
健「そ~だ俺部活あがりでどろどろだし先風呂借りていい?」
果「あ、うん。」

子どもを置いて親同士で旅行に行っちゃっただけでもおかしいのに、その上健斗とこの家で二人っきりで過ごすなんて…そんなのあり!?なにこのありえない展開!?

健「ふぅ~さっぱりしたぁ~。果奈も入ってくれば?」
果「入ってくればってここうちなんですけ…きゃ!」
健「…なに?」
果「ちょ、ちょっと!ちゃんと服着てから来て!」
健「へ?」
果「も~!」
健「…なに?俺の肉体美にやられちゃった!?」
果「ば、ばか!」

しんじられない!ここはあたしんちだよ?
なんで人ん家でパンツ一枚でうろうろするのさ~!
…でも。
筋肉すごかった。
男の子の身体だった。かっこよかったょ。
あ~も~あたし何言ってるの!?
ダメダメ!
気分転換にあたしもお風呂入ろう!

果「ん?いい匂い~。」
健「だろ?」

お風呂上がったら美味しいにおいが!

果「これ健斗が作ったの?」
健「ま~な!」
果「すご~い!美味しそう!!食べていい?」
健「ど~ぞ!」
果「やったぁ!いっただっきま~す!…おいし~い!!」
健「姫のお口にあって良かったです!」

健斗にこんな才能があったなんて!
走るのも早いし、サッカーもできて、なんかすごいなぁ。
あたしなんてなんの取り柄もない凡人だもん。
今日は早く寝ようっと。

果「おやすみぃ。」
健「え?もう寝るの?」
果「うん。今健斗の分のお布団出すね!」
健「え~俺ここの果奈のベッドで寝る~。」
果「じゃ~あたしが一階で寝るよ。」
健「ちょっと待った~!」
果「わ~!」

いきなりベッドに引き寄せられたの!

果「ちょ、ちょっと~!」
健「いいじゃん!ここ二人でも全然寝れるじゃん!」
果「無理無理!」
健「あ~もしかしていびきうるさいとか!?」
果「そんなんじゃないけど!」
健「じゃ~いいじゃん!」
果「…や、やっぱり下で寝る!おやすみ!」

“バタン!”

あたし慌てて部屋を出て一階へ。
一緒に寝るなんてそんなことできるわけないじゃん!
ちょっとベッドに引き込まれただけでも、こんなに心臓バクバクしちゃってるのに。
はぁ~。
健斗はなんにも考えずに言ってるかもしれないけど、あたし完全に意識しちゃってるもん。

“ガタガタ”

果「ん~。」

夜中に目が覚めたらなんだか今日風が強いなぁ。
一人で一階で寝るの初めてだしちょっと怖いかも。
健斗寝てるよね。
静かに自分の部屋のドアを開けたら健斗がベッドで寝てる。
あたしのベッドに健斗が寝てるなんてなんか不思議。
怖いから来ちゃったけど、さすがに一緒になんて寝れないから床で寝よう。

健「そこで寝る気?」
果「起きてたの?」
健「まぁ。」
果「なんかガタガタ風がすごくて。」
健「こっちこいよ。」
果「でも。」
健「なんもしね~し。」
果「ん。」

健斗と同じお布団に入っちゃった。
あたしバカだ。
これじゃ余計寝れないじゃん!
けどあったかいしなんか安心するぅ…。
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