【完結】恋に夢見て恋をする

五人家族

「美香～早く引っ越しの準備しなさいよ～！」
「はぁい。」
「できた？」
「うん！」
「も～漫画は半分にしなさいって言ったでしょ？」
「え～やだぁ～！」


私高橋美香は小学3年生の時にお姉ちゃんが読んでいた漫画をちらっと初めて見て以来。
徐々にその世界にはまっていき。
今ではどっぷり少女漫画の沼に浸かっています。
もちろん中学2年生の時に今の家に引っ越してきた時も半分になんて減らせるわけもなく。
全部持ってきました！

「ただいま～。美香～ちゃんと勉強してる？」
「わ！お、お母さん！急に入って来ないでよ！」
「今何か机の下に隠したでしょ～。」
「そ、そんなことないよ！」
「も～また漫画？受験生なんだからしっかり勉強しなさいよ！」
「はぁい。」

もうすぐ大学受験。
頭では分かっているんだけど。
どんな時でもどんな状況でも漫画は必須！！
あと食べることも必須！！

「美香ったらまた漫画読んでたのよ。」
「勉強だってしてるもん！」
「美香ねぇってあんだけ漫画読んでるわりにはコイバナ全然ないよね～。」
「う。じゅ、受験生にはそんな暇ないの！最近初めて彼氏ができたからってなにさ～。」
「え？三人目だけど？」
「え！！いつの間に？三人目！？」

妹の香奈は中二なのにおませさん。
私の中学時代なんて…。
皆できゃっきゃ言いながら漫画の中の主人公に憧れたりしてたのに。
ピュアだったなぁ～。

「ただいま～。」
「真美ご飯は？」
「ん～いいや！」
「今日の合コンはどうだったの？」
「まぁまぁかな～。」

姉のまぁちゃんは大学四年生。
大学生活最後の一時を思いっきり満喫中。
高橋家は真美、美香、香奈の三姉妹。

「なんだ～皆集まってるなら呼んでくれよ～。」
「あら。お父さんも食べる？」
「もちろん！」

この女四人の中。我が家の唯一の男がお父さん。
お父さんは食系のライターで日本中を歩き回りながらカキカキしています。

「真美はまた飲んできたのか？お酒臭いぞ！」
「いいじゃん！もう少ししたら社会に揉まれなきゃいけないんだからさ～。その前に楽しんでおかないと！」
「今日はどこ行ったんだ？」

でた！お父さんのお食事チェック！

「恵比寿のロイスっていうお店！」
「お！なかなかいいチョイスじゃないか！」
「そ～なんだけどさ～。ひどいんだよ！」
「ん？」
「相手の男達割り勘って言うの！ありえないよ～！」
「海老入りマッシュポテトは頼んだか！？」
「え？」
「あそこにいったらあれ食べなきゃ！」
「そういうことは先に言ってよ～。」
「あはは！」

お父さんは仕事柄色んなことを知っていて。
のほほんとしていて。
普段は女四人に囲まれてちっちゃくなっているけどステキ。

と、わが家はこんな感じの平和な家族五人暮らしです。