【完結】恋に夢見て恋をする

あい

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女の子未満

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「今日から強化日だ。集中してやるぞ!」
「はい!!」

今日からの三日間は強化日。
来週からのリーグ戦に向けて最終調整。
1ヶ月以上やってきた夏練の集大成。

「皆気合い入ってるね!」
「うん!」

ほとんどが実践のゲーム形式だからマネージャーのお仕事はそんなにバタバタすることなく観戦中心。

「ふふ。目で追いすぎ~。」
「えっ。」
「あはは。」
「も~さっちゃんやめてよ~。」
「いいんじゃない!?恋する乙女!」
「も~!」

相変わらずさっちゃんはからかってくる。
木村良太とはあれからもなんにも進展なし。
今はリーグ戦前で皆集中して練習しているし。
私も浮わついてばかりもいられないよね!
とりあえず目で追うぐらいはいいよね?

「もうちょい高く投げて。」
「あ。うん!」

進展ではないけれど。
最近やっている公園での二人きりの秘密の特訓。

「あ~ダメだぁ。」
「そんなにヘディングして痛くないの?」
「変な風に当たるとちょい痛い。」
「あはは!」
「笑ってねぇで次出せ。」
「はぁい。いくよ~!」

一年生でレギュラーになるっていうことはこんなに大変なことなんだね。
練習の前後も一日中サッカー漬け。

「さんきゅ。」
「お疲れさま!」
「ふぅ。」
「さすがに疲れた?」
「まぁな。」
「今日は練習も結構ハードだったもんね。」
「おう。」
「強化日の時ぐらい自主練お休みにしたら?」
「いや。あ。もしかして美香キツイ?」
「ううん!私は全然だけど。」
「じゃぁ。やる。」

大丈夫なのかなぁ。
なんか心配。
心配って私…なんか自分の木村良太への気持ちを自覚するたび恥ずかしい!

“TLLL”

「携帯鳴ってるぞ。」
「あ。ホントだ!」

わっ。そうだストラップ!
今電話に出たらこの前の色違いのストラップつけてるのバレちゃう!
恥ずかしい!!

「でないの?」
「ちょ、ちょっとあっちで話してくる!」
「…。」

少し離れた所に移動して。ストラップも握って隠しながら電話にでる。

「もしもし。」
「美香~見たよ~!」
「ん?まぁちゃん?」
「二人で公園デート!?やるじゃん!」
「え!?」
「いつの間にかラブラブじゃん!」
「そ、そんなんじゃないよ!」
「いいじゃんいいじゃん!お母さんに帰り遅くなるって言っておこうか?」
「いい!もう帰るから!」
「そ~?じゃ~ごゆっくり~!」

いつの間に見られた?

「ご、ごめんね!おねえちゃんからだった。」
「真美さん?」
「うん。」
「なんだって?」
「あ。ううん!特に大した用事じゃなかったから!」

とても言えるような内容じゃないよ~!!

「…。」
「帰ろっか。」

早く帰らないとお母さんに変な風に伝えられたらまた大変なことになりそうだし。

「…。どっかでご飯でも食べてく?」
「え!?」
「いつも練習付き合ってもらってるし。おごる。」
「そ、そんないいよ!私もサッカーのこと色々教えてもらったりしてるし!」
「いこ。」
「えっ。わ~ちょっと待ってよ~!」

急にスタスタ歩き出すから思わずついてきちゃったけど。
男の人と二人っきりで食事なんて初めてなんですけど!

「何にする?」
「えっと。」

どうしよう!
こういう時って女の子ってどういうもの頼むんだろ?
女子といえばサラダ?サラダだ!

「さ、サラダにしようかな!」
「それだけ?」
「うん!私そんなにお腹すいてないし!」

“ぎゅるる~”

う~。なんでこんな時にお腹鳴るのよ~。

「これ美味しそうだけど?」
「ホントだ!」
「じゃ~決まりな!」
「え。あ。でも。」
「すいません!これとこれ。あ。こっちはライス大盛で。」
「はい。かしこまりました。」
「あ。サラダだけのほうがよかった?」
「う~いじわる~。」
「あはは!何遠慮してんだよ。」
「だって。女の子っていったらサラダだしぃ。」
「何それ。」
「皆少食じゃん?」
「美香は美香だろ。」
「え?」

そんな優しいこと言ってくれるの?

「別に美香にこういう所で女らしさとか求めてねぇし。」
「う。あ~そうですか~。じゃ~ドンドン食べちゃうもんね~!いっただっきま~す!」

はぁ。結局普通に食べてしまったぁ。

「ドリンクバーおかわりしてこよっと!」
「ど~ぞ。」

そうだよね。
私に女なんて求めてないよね。
え。ちょっと待って!
それってつまり今私ふられた!?
女として見られてないってことだよね!?
うわ。うわわわ。

「お客様?あふれてますけど…!?」
「きゃ!わ!すみません!」
「ったく。何やってんだよ。」
「あは。なんかぼ~っとしちゃってたら溢れてた。」
「バーカ。」
「あはは。あ。そ、そういえばご飯いらないって家に連絡してなかった。ちょっと連絡してくるね。」
「…おう。」

キツイ。
こんなにショック受けると思わなかった。
木村良太は人気あるし。
最初から付き合えるとか思ってなかったけど。
もしかしたらどこかで少し期待してしまってた所もあったのかも。
私のバカ。
…ふぅ~!
気持ち切り替えて戻らなきゃ。
好きになる前の。意識する前の。普通に戻らなきゃ。
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