【完結】不器用な恋

あい

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これはデート?

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彩ねぇさんのお家にお泊まりしてからの帰宅。
部屋に入ろうとしたら部屋の前の廊下で桐山君が、寝てるの。
なんでこんな所で?
もうすぐそこがお部屋なのに力尽きたの?
あれ?でも部屋着着てる。
酔っぱらって寝ぼけてここに?
どっちにしろこんな所で寝てたら風邪ひいちゃうよ?
部屋に帰って膝掛けをとってきてぱさっと掛けてみる。
恋なんて落ちるときは一瞬。
そ~なの?恋なの?

颯「ん~。」

うわ!起きた!

恵「ひ、人の部屋の前で寝ないでよね!」
颯「今帰ってきたのかよ。」
恵「そ~だけど。」
颯「朝帰り。」
恵「ま~一応。」
颯「…。門限あるくせに。」
恵「届け出だしておいたもん。」
颯「え?」
恵「桐山君のも歓迎会だし遅くなると思ったから届け出しておいたけど?」
颯「あっそ。」
恵「もしかして22時に帰ってきたの?」
颯「…。」
恵「なんだ~てっきりみんなとカラオケで盛り上がってるのかと思ってた!」
颯「そっちはどこ行ってたの?カラオケ来なかったしいつの間にか消えてた。」
恵「あたしカラオケ苦手だから。」
颯「男?」
恵「え!?」

なんかあたしが軽い女みたいな言い方!やな感じ!

颯「…。」
恵「まぁ確かに男の人もいたけど。部長のお家。」
颯「部長の?」
恵「そう。部長の家で部長と部長の旦那様と。も~起きたなら部屋入りなよ。じゃ~ね。」
颯「…。こっちにきて最初の休み。」
恵「うん。ごゆっくり~。」
颯「どっか連れてって。」
恵「え?」
颯「観光。」
恵「え~!?」
颯「30分後に玄関集合で。じゃ。」
恵「ちょっと待ってよ~!」

行っちゃった。なんなの!?
強引じゃなくて自己中な男!
とか言いつつもあたしちゃっかり準備しちゃってるし。

恵「お待たせ。」
颯「おう!」

ついさっきまでのねむねむだらだらな姿から一変!
急に爽やかになっちゃってる。
部屋着以外の私服初めて見るけど…かっこいい。
悔しい!見とれてしまった。

颯「どこ連れてってくれんの?」
恵「ん~丁度今の時期いいと思うんだよね!」
颯「え?どこどこ?」

無邪気についてくるのがまたにくめない。

恵「ここです!」
颯「わぁ~!すっげ~!」
恵「桜の名所!井の頭公園!」
颯「満開じゃん!」
恵「だね!きれ~!」
颯「ホント。」

そのまましばらく園内を散策。
桐山君は、やっぱりかっこいいから一目を惹く。
こうして並んで歩いているとカップルっぽく見えるのかなぁ?
いやいや!見えちゃ困る!
絶対あんな女釣り合わないって思われるもん!
ってその前にカップルになんかみられっこないか。
せいぜい姉弟?にしても顔の作りに差がありすぎるか。

颯「めぐさん?」
恵「ん?」
颯「何さっきからぼ~っとしてるの?」
恵「え?べ、別に。ただ桜綺麗だなぁって!あ。お団子屋さん!行こう!」
颯「おう!」
恵「ん~桜の木の下でお団子!美味しい!最高だね!」
颯「花より団子?」
恵「ううん!お花もお団子も!」
颯「あはは!」
恵「う。」
颯「大丈夫?お茶お茶!」
恵「あ、ありがとう。」

ダメだ~。今の笑顔にまたキュンとしてしまった。
そ~いうのはダメなのにぃ~!そのかっこよさ反則だょ~。

「すみません!写真撮ってもらってもいいですか?」
颯「はい!いきますよ~はいチーズ!」
「ありがとうございます!」
颯「あ!こっちも撮ってもらってもいいですか?」
「はい!」
颯「めぐさん撮るよ!」
恵「え?あたしも一緒に?」
颯「もちろん!」
「いきま~す!はいチーズ!」
颯「ありがとうございました。お!結構いい感じに撮れてる!」
恵「…。」
颯「見る?」
恵「いい。」
颯「え。なんで?」
恵「食べ終わったし行こう。」
颯「…なんだよ。」

そりゃ~写真撮るからちょっと近寄るのは分かるけど、なんで肩に手回してくるの!?
桐山君にとってはなんでもないことかもしれないけど。
長年そういうことから離れてるあたしには…。

颯「あ!ボートだ!めぐさんあれ乗ろうよ!」
恵「え~。」
颯「いいじゃん!行こう!」

ボートとかカップルの定番って感じ。
よくあたしと乗ろうなんて思えるよね。

颯「お~結構すいすい進むね!」
恵「きもち~!けど気をつけてょ!」
颯「わかってるって!」

また無邪気にはしゃいでる。
周りの本物のカップルさんたち幸せそう。
そういえば昔、あっくんとここのじゃないけどお花見に行って白鳥のボートコギコギしたっけ。

颯「ね!」
恵「へ?」
颯「も~。」

しまった!昔のこと思い出してて全く聞いてなかった!

恵「何?」
颯「なんかカップルのデートって感じでいいね!」
恵「そ~だね。けど、ここのボートカップルで乗ると別れるって噂あるんだよね~。」
颯「へ~。じゃ~さ!ここで俺がプロポーズして成功したらきっと、このボートに乗ったカップルは永遠に結ばれるって噂になるね!」
恵「え?」
颯「噂なんてそんなもんでしょ!」
恵「ま~そ~かもね。」

そういう考え方もあるか。今までそんな風に考えあこと無かったなぁ。

「到着です。気をつけてお降りください。」
颯「大丈夫?気をつけて。」
恵「あ。うん。」

ボートから降りるとき手をひいてくれたの。
ぎゅって力強かった。
また、キュンってした。 
っていうかそういえば手!つなぎっぱなし!!
なんで!?
今どういう気持ちでこうしてるの?
あたしダメ!すっごいドキドキしちゃってる!
意識し出したら緊張して手に汗かいてきた!
恥ずかしい!!

颯「ね~。」
恵「あ!そ~だ!あっち有名な焼き鳥屋さんあるんだょ!行ってみよう!」
颯「…おう。」

話しかけられた瞬間焦って慌てて手を離しちゃった。
あ~も~あたしってば何一人でどぎまぎしちゃってるんだろう!
別に向こうだって特に深い意味はないだろうに。

恵「何にする?」
颯「…。」
恵「ど~したの?」
颯「別に。適当にめぐさんの好きなのでいいよ。」
恵「あ。うん。じゃ~あっちで待ってて。」

なんだろう。なんか変な空気だった。
もしかしてあたしの汗ばんだ手のせい?
やっぱりおかしいって思ったよね。
28にもなってちょっと男の人と手つないだだけで緊張しちゃうなんて。
引かれたかな。

恵「おまたせ…。」

女の子と話してる。
知り合い?じゃないよね。
ナンパだよねあの雰囲気って。

颯「あ。めぐさん!」
恵「あの、お待たせ。」
颯「おう!」

ナンパされたから?今度はなんかテンションあがってる?ナンパされて嬉しかったのかなぁ。

颯「うまい!」
恵「でしょ?」

あたしがいちいち気にすることじゃない。

颯「焼きたてだし最高!」
恵「うん!」

結局その後夜ご飯も一緒に食べて帰宅。

恵「なんだか食べ歩きツアーみたいになっちゃっあね!」
颯「あ~すっげ~楽しかった!」
恵「楽しんでもらえたなら良かった!じゃ~ね。」

なんだか色々心かき乱されて、というかかってに色々考え過ぎちゃって疲れたなぁ。
まぁ楽しんでもらえて良かったかな。
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