【完結】不器用な恋

あい

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彩の作戦

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そんなドキドキな週末を経て、仕事におわれて濃厚な一週間を過ごす。
あの週末が嘘だったかのような日々。
嘘だったんだよきっと。
何もかも。
だってありえないもん。
あたしと桐山君の間で恋愛的な何かが生まれるなんて…きっとない。
こんなおばちゃん相手にされるわけないよね。

恵「ちょっと資料室行ってきます。」
「は~い。」

やっぱりあたしには仕事しかない!
仕事頑張ろう!!
って気持ちを決めた瞬間に桐山君を見つけちゃう。
咲と何か話してる。
なぜかとっさに隠れちゃった。

咲「ね!この前言ってた合コンいつにする?」
颯「今週金曜日皆空いてるみたいなんすけど、さすがに急ですよね?」
咲「ううん!全然平気!っていうかむしろ優先してあけちゃう!」
颯「じゃ、金曜日でお願いします!」
咲「わぁい!楽しみにしてるね!時間とかまた決めよう!」
颯「はい!」

咲達と合コンするんだ…。

彩「あれ?めぐちゃん戻り早かったね~。」
恵「へ?あ。ちょっともう一回行ってきます。」
彩「ん?」

あたしってば資料室行こうとしてたのに何もせずに帰ってきちゃうなんて。
あ~も~ちゃんと仕事に集中しなきゃ!!
とにかく仕事!仕事!仕事!

小「お疲れ様です!」
恵「お疲れ様!」
小「めぐさん今日も残業ですか?」
恵「もうちょっとでこれ終わりそうだからやっちゃいたくて!」
小「じゃぁお先に失礼します!」
恵「お疲れ様!」

今週はひたすら朝から晩まで仕事漬け。

彩「めぐちゃんちょっと。」
恵「あ。はい。」
彩「…。」
恵「どうしたんですか?何かありましたか?」
彩「それはこっちのセリフ。何かあったの?」
恵「え?」
彩「だって~。まるで何かを考えないようにするかのようにがむしゃらに仕事してる感じ。」
恵「そ、そんなことないですよ。」
彩「っていうか颯大君のこと考えないようにか。颯大君も颯大君で変にめぐちゃんのこと意識して避けてる感じだし。」
恵「え?そ~ですか?」

あたし自分のことでいっぱいいっぱいで避けられてただなんて気がつかなかった。

彩「二人とも怪しすぎ。っで今度は何があったの?」
恵「合コンって行ったことあります?」
彩「合コン?昔はよく行ってたけど?」
恵「合コンってどんな感じなんですかね?」
彩「めぐちゃん行ったことないの?」
恵「ないです。」
彩「もしかして誘われたの?」
恵「はい。あっと言ってもあたしじゃないんですけど。」
彩「颯大君?」
恵「はい。」
彩「まぁ~合コンっていうのはお互いに出会いを求めに行く所だからねぇ。」
恵「そうですよね。」
彩「心配?」
恵「え?」
彩「そりゃ~心配だよね。もしその合コンで颯大君が誰かといい感じになっちゃったりしたら。」
恵「べ、別に心配とかそ~いうんじゃないんですけど。」
彩「颯大君なら間違いなくその気になればすぐ彼女できちゃうだろうしね!」
恵「ですよね…。」

やっぱりそうだよね。そうだと思う。
どういう子が好みかは知らないけど、その気になればすぐに彼女出来ると思う。
そしたらあたしは…。



そして金曜日の夜がきてしまった。

祐「お待たせ!」
恵「こんばんは!」
祐「三人で外で食事なんて珍しいね!」
恵「そうですね!」
彩「まぁたまにはいいじゃない!今日は金曜日の夜だしぱぁっとね!」

今日は彩ねぇさんと旦那様の祐介さんと三人でご飯。
きっとあたしのもやもやぶりを気遣って彩ねぇさんが連れ出してくれたんだと思う。
合コンのことは忘れて楽しもう!

恵「ここのお店おしゃれですね!」
彩「いい感じでしょ!?」
恵「はい!」
祐「俺ともきたことないよな?いつの間に?」
彩「ちょっとね~!」
「きゃはは!」
祐「ん?なんだか隣盛り上がってんなぁ~合コンか?」
「きゃ~!颯大君すごぉい!かっこいい!!」

ん?颯大君?
まぁ颯大なんて名前よくいるよね?
あたしってばホント考え過ぎ。

「じゃ~英語とかペラペラなんだぁ~!」

英語ペラペラ?そんな颯大君も世の中には沢山いるよね?

「この前のお休みは何してたの?」
「お花見。」
「え~!なんかいいね!おしゃれな休日って感じ!」

この前の休日にお花見しに行った颯大君もいるよね?っている?こんな偶然続くことある???

「今はゴールデンウィークのイベント企画してて。」

偶然じゃない!これ完全に本人だょ!!
ってことはもしかして咲との合コンが隣の席でひらかれてるってこと!?

彩「めぐちゃんやっと気づいた?」
恵「え?」
祐「彩?何の話だよ?」
恵「あ、あたし帰ります!」
彩「も~待ってよ~。気になってるんでしょ?」
祐「なになに?」
彩「隣にいるの!例のめぐちゃんのお相手の颯大君!」
祐「え~!!」
彩「し~!」
祐「ごめん!けど隣って合コン。」
彩「だから探りに来てるんじゃない!」
祐「なるほど。」
彩「予想通り颯大君大人気!」
恵「もう帰りましょう。」
彩「だ~め!だって今料理頼んじゃったもん!」
恵「じゃぁお二人でごゆっくり。」
祐「めぐちゃんってホント颯大君のこと好きなんだね!」
恵「え?ゆ、祐介さん?きゅ、急に何言い出すんですかぁ?」
祐「わかりやすい!」
彩「でしょ~?」
恵「え、な、なんなんですか?あたしそんなんじゃ。」
祐「かわいいなぁ~。」
恵「や、やめてください!」
彩「もっと素直になればいいのに!」
恵「む、無理です!っていうか違います!あ、あたしちょっとトイレ行ってきます。」

あ~も~ど~なっちゃってるの?
彩ねぇさんのバカぁ。
なんでこんな所に連れてくるのよ~!
祐介さんも、ホント颯大君のこと好きなんだねって、あたしそんなこといってないのに!
素直にって、あたしにどうしろって言うのよぉ。
もんもんとしながらトイレから出てきたら。

恵「きゃ!」
颯「…。」

桐山君がトイレの前に立ってたの。
ど、ど~しよう!!

恵「こ、こんばんは。」
颯「…。」
恵「き、桐山君もこのお店に来てたんだぁ。」

うわ。白々しい言い方だったかなぁ?
何もしゃべらないしどうしよう?
もしかして合コン見に来たってバレて怒ってるのかなぁ?

颯「もしかして合コン気になって見に来たの?」

うわ!どうしよう!やっぱりバレてる!?

恵「そ、そんなんじゃないよ!あ、あたしはただ、ご飯を食べに。」
颯「誰と?」
恵「部長夫婦と。」
颯「へ~。」
恵「じゃ、じゃ~ね!」
颯「ど~せなら一緒に飲もうよ!」
恵「へ?」
颯「席も隣だし。」
恵「え。」

席までバレてる!!
ど、どうしよう!!

彩「めぐちゃんおかえ…り。」
恵「あ、あの!部長!トイレでたまたまばったり会いまして。」
颯「せっかくなんで一緒に飲みましょうよ!」
彩「え?」
颯「あ!初めまして!いつも部長にはお世話になっております。同じ部の桐山颯大と申します!」
祐「ども!こちらこそいつも妻がお世話になっています!」
颯「あの~よろしかったら一緒に飲みませんか?人数多い方が楽しいと思いますし!」
祐「え。あ~。俺は別に構わないけど。」
颯「咲さん!隣に偶然部長夫妻とめぐさんがいたんですけど、一緒に飲んでもいいですよね?」
咲「え~!あ!恵!すっごい偶然!ビックリ!」
恵「ど、ども。」
颯「すみません!この仕切りってはずしてもらってもいいですか?」
「はい!かしこまりました!」
咲「やだぁ~恵ビックリ!」
恵「そ、そ~だね!」

どうしよう。咲達的にはすごく微妙だよね…。

颯「今の部署の部長夫妻と、めぐさん!」
「へ~ども!俺たち颯大の大学時代の仲間っす!」
恵「は、はじめまして。月野恵です。」

すっごくぎこちなく合流。
桐山君一体何考えてるの!?
この会ど~なっていくの?
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