【完結】秘め事

あい

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じゅう

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魚。
私は餌に飢えた魚なの?

「あれ?彩音食べないの?」
「Aランチにすれば良かったかも。」
「ん?」
「魚。やだ。見たくない。」
「なんの話?」
「あ。ごめん。なんでもない。」

ダメだ重症。
釣った魚に餌をあげなかったら。
その魚はどうなるでしょう?
衰弱していきます。

「ね!例のメガネ男子。」
「え?」
「ほらあそこ!」
「うん。」
「最近なんかいい感じじゃない?」
「え!?」
「なんか一皮向けた気がするんだよね。」
「な、なんで?」
「ありゃ~女出来たかな?」
「そ、そ~?」

智子にはまだなんとなくホントのことを言えずにいる。
だって。私に彼氏ができただなんて。
しかもその相手が例のメガネ男子だなんて。
5歳も年下に迫られて付き合うことになったなんて。
…言えない。

「あの子か?」
「え?」
「距離近くない?」
「そ、そ~かなぁ?」
「女のほうは確実に気があるな。」

え。
そうなの?
確かに距離近い。
スキンシップも。
私なんか最近触れてもいないのに。
上目遣いで里中君を見つめてのボディータッチ。
いかにも守ってあげたいような男心をくすぐりそうな女の子。
私とは真逆なタイプだなぁ。
でもきっと世の中の男性はああいう子に惹かれるもの。

「ちょっと用事思い出したから先行くね!」
「彩音?」
「またね!」

ダメだ。
見ていられないし。魚食べられない。
おかしいなぁ。
恋愛に左右されないタイプなはずなんだけど。
あまりにも恋愛が久しぶり過ぎておかしくなってしまったのかもしれない。
平常心。
いつもの自分でいよう。

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