いや、一応苦労してますけども。

GURA

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:冒険を始めましょう

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うわぁー、本当によく食べるな。

調理している間の前菜にと思ってポーチから出したべアールシチューと自家製サラダはあっという間に無くなった。


いまはウビット肉の煮込みとバードリで作る焼き鳥、スナークの蒲焼きを作ってる。


この世界の料理ってレシピに書いてる必要な材料を一気に鍋に入れて、かき混ぜて魔力を注ぐだけしか調理工程がない。

これって錬金で薬草からポーション作った時と一緒だよね?


何故こんな所がゲーム仕様なんだか理由は判らない。
この世界の人達はこれが当たり前だから調理の仕方に対して何も疑問に思ってはいないみたいだけど。


元の世界のように調味料で下味を付けたりして料理を作ったりしてみたけど何故か全く美味しくなかった。
一応形にはなるもののランクも最低のDランクだったし。

焼いて塩を振って食べる分には大差は無かった。

街にいた数週間で調理スキルについて分かったのは3種類以上の材料を使う時には、普通に調理するよりも調理用の鍋に素材を入れて魔力を注いだ方が美味しくなるということだ。


例えば肉を焼いて塩を振って食べるってのは普通に焼いたのと鍋に入れて魔力を注いで作るのとはランクにほぼ変わりはない(この場合料理自体がDランクとかになる)。


ただ、肉の味付けを調味料を合わせて作ったタレにして直接焼いて食べると一気に不味くDランクなってしまう。
これが鍋で作ると使う調味料によってはランクBまで上がることもある。


一体どうなってるんだ?
これはこの世界のルールか何かに関係するのかな?




まぁ、今の所は料理スキルが高いおかげで魔力を使ってランクも安定するし、時間短縮も出来るから次から次へと早く作ることは出来るけど。

それすらも出来た傍から無くなっていくから食べ盛りの男の子って凄いよね。




戦闘の練習がてらに街で狩っていたモンスター素材は、解体してもらったのがまだまだあるから消費してくれるのはある意味助かる。

そのまま売っても安いから暇な時に調理して売ろうかと思ってたけど残しててよかった。



「おいしぃ~」

「美味い!久しぶりのまともな食事!」


ペルとルーイは静かに行儀よく食べているが、トムとマイクはさっきからこの調子で時々料理の取り合いをしている。

慌てなくてもまだまだあるのに。


特にトムはどこに入るの? って勢いでマイクに負けずに食べている。
見た目からの裏切りがすごい。




携帯調理セットで作ってはいるけど、スキルのおかげでランクB位はあるから割と美味しいとは思う。

材料が多くなるほど調理難易度は上がるから調理道具によってもランクに影響が出るんだよね。


ひと通り食べると満足したのか、トムは欠伸をして眠たそうだったから簡易テントを設置してあげた。



4人とも初めて簡易テントを見たんだろう。

魔力を注いで大きくなるのにも驚いていたし、完成するとテントを触ってみたり、恐る恐る中に入ってみたりと見てて面白かった。

なんか可愛いな。



しばらく観察したあとにトムとマイクは横になって爆睡。
街を出てからよっぽど疲れてたんだろうな。




「メグルさんは料理まで出来るんですね! 」

2人と焚き火を囲むと、ペルのキラキラした眼差しがより一層強くなって私を見てる。


今まで自炊と言ったら【始まりの草原】で狩ったウビットやバードリをギルドで解体してもらったあとに、そのまま焼いて食べていたようだ。

確かにそれが毎日だと飽きる。



やっぱり新人の時は何かとお金って貯まらないよね。

そういう意味では始めに青炎石を売ってある程度の資金を持ってた私は運が良かったんだろう。


「ありがとう。ペル達も【サトゥの街】を目指してるの?」

「はい!街に着いたらそこでクエストを受けて、しばらくはレベル上げする予定です」


褒め言葉は照れるけど表情には出さないように問いかける。


街によってクエストの難易度は違って来るし、モンスターも土地によって変わる。

だいたい次の街に着くとクエストを受けながらレベル上げをするのが基本だ。



ゲームだとメインストーリーがあって、街のイベントやお使いクエストをこなしながらレベルを上げていく事になる。


私の目的はレベル上げじゃなくて冒険だから、その後の行動は街に着いてから決める予定だけど。

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