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痩せたいのに、パン屋やケーキ屋で働きたい理由
しおりを挟む卒業・入学の時期ということで。
以前、新小学1年生を対象にした「将来なりたい職業」のアンケート結果というのを見て、こんな文章を書いたことがある。
男の子の第1位が「スポーツ選手」なのに対し、女の子の1位は「パン屋・ケーキ屋・お菓子屋」。
まだまだ根源的欲求中心に生きている時期だから、ここには、男女の欲望の本質が垣間見える、ということも可能だ。
つまり、男の子にとっては「戦うこと」が、女の子にとっては「食べること(もしくは、食に関わること)」が、それぞれ重要な意味を持ち、欲望の対象になるのではと。
食べ物は、女性にとっての一大関心事。
と同時に「太りたくない」「やせていたい」という願望が強い現代日本の若い女性にとっては、食べ物との付き合い方は、じつにややこしい問題でもある。
パン・ケーキ・お菓子はいずれも、多くの女性が好む食べ物だが、そのうち、パン以外のふたつは、高カロリー高脂肪だし。
ケーキやお菓子をいっぱい食べて、体型を維持、あるいはもっとやせようとすれば、他のものを減らすしかない・・・
というわけで、かなり不健康な食生活に陥ってしまうケースも、よく見かける。
もっとも、そんな不健康な食生活が可能なのも、飽食の世の中だから。
たとえば、フランス革命前夜、家臣から「庶民は困窮し、パンも食べられません」と聞かされたマリー・アントワネットが、
「パンがないなら、お菓子を食べればいいじゃないの」
と言ったという、有名なエピソードがある。
(実際には、彼女の発言ではないとか。
ただし、パンよりお菓子が大好きだったのは、事実のようだ)
そんな王妃くらいにしか不可能だった食生活を、庶民でもできてしまうのが、今の日本なのだ。
さらに、摂食障害との関連で考えれば、子供時代への回帰願望が潜むといわれるこの病気において、パンやケーキ、お菓子というのは、まさに、その時代を象徴する食べ物であり、単なる満腹感を超えた、心地よい幸福感をもたらしてくれるのだろう。
一方、米や肉といった食べ物は「成長」のシンボルであり、それゆえ、この病気において、忌避されることが多いとも考えられる。
森鴎外を父に持ち「少女の心を持ったオバサン」的なキャラで、独自の世界を切り開いた、森茉莉という作家をご存知だろうか。
彼女は、自身の子供時代をテーマとした小説に「甘い蜜の部屋」という表題をつけた。
パンやケーキ、お菓子といったものは、さまざまな現実的葛藤に苦悩する現代日本の女性たちを「甘い蜜の部屋」へといざなってくれるのかもしれない。
そういえば、痩せ姫の人が、パン屋とかお菓子職人になりたいと思ったりするケース、少なくないようだ。
そこまで直接的でなくとも、食べ物に関係する職業を目指したり・・・。
それは「食べること」への欲望を、社会的な自己実現に結びつけたいという、意識のあらわれなのだろう。
じつは、男の子の場合も「戦うこと」への欲望を、スポーツ選手になりたい、という夢に置き換えたりしてるわけだ。
以上「なりたい職業」アンケートからの雑感を、述べてみた。
あ、この記事を読んでしまったことで、パンやケーキ、お菓子を食べたくなっちゃった方、どうもすみません。
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