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第13話 バナナケーキとシュークリーム
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階段を上がり、乾の部屋のドアを開ける。10畳という、1人で使うにしてはやや広めの部屋。壁には、乾のお母さんがやったと思われる、クリスマスらしい飾り付け。テレビの脇には、俺の身長ぐらいある大きなクリスマスツリー。中央には、これまた部屋の大きさに比例した、12人ぐらいは余裕で座れる、大きめのコタツが置かれている。コタツを囲んでいるのは乾、雉田、雉田の女友達2人、そしてたった今座ったばかりの後藤さんと熊井。テレビのクリスマス特番から目を離し、俺と晴香にその視線を移す。
「よっ、晴香ちゃん久々。これで全員揃ったな。んじゃ、ケーキ持ってくっから適当にくつろいでてくれよ」
部屋主の乾がニカッと笑って立ち上がった。入れ替わるように俺と晴香は空いたスペース……熊井と後藤さんの隣に座り、冷え切った両足をコタツの中に突っ込み、その暖かさに身も心も癒される。晴香が俺の腕をつつき、耳元に口を近付ける。今度は何だ?
「ねえねえ、あのカッコいい人誰?」
晴香の視線の先には、両手に花状態の雉田がいる。そうか……同級生の女子からは可愛いと評判の雉田も、中学生の晴香から見ればカッコいいになるのか。まったく羨ましいモテっぷりだ。
「後でまとめて自己紹介するだろ。それに、あの2人の女子に睨まれたくなかったら、ここでは大人しくしとけ」
俺が小声でそう返すと、晴香は渋々引き下がった。こいつ、このパーティーの主目的を忘れたわけじゃないだろうな。しっかりしてくれよ頼むから。
数分後、乾がお母さんと共にケーキを次々と持ってきた。軽く見積もっても13台分はある。種類も実に様々だ。これには女性陣全員から感嘆の声が上がる。かくいう俺も、思わずヨダレが出てしまいそうになる。8人がかりでも、とてもじゃないが食べ切れそうにない。正に食べ放題の名に偽りなしだ。
「はい、これで全部よ。無理して全部食べようとしてくれなくても大丈夫だからね。コーヒーもいくらでもあるから、遠慮はしないでいいわよ。それじゃ、ゆっくり楽しんでいってね」
それだけ言い残して、乾のお母さんが可愛く手を振りながら退室した。乾も席に座り、いよいよパーティーの開始となる。
「そんじゃ、始めますか。各自好きなケーキを勝手に小皿に取り分けてくれ。あっ、ちなみにレアチーズケーキとブルーベリーケーキと、あとこっちのファンネルケーキは俺が作ったやつね。もっかい言うわ。お・れ・が作ったやつね!」
乾がやかましいぐらいに強調して言った。特に女子に向かって。何かウザイが、確かに自慢していいぐらいに美味そうに出来ている。
「へえ~、乾君ってケーキ作り上手なんだねぇ。すごーい」
雉田の隣の女子達が感心する。
「いやあ、それほどでもあるけどよ。ナッハッハ!」
何か1つでも秀でたものがあるというのは、こういう時に強いんだなと俺は実感する。俺には特技と言えるものは、これといって無い。せめてスタメンだったら、特技は野球ですと自信を持って言えたんだけどな。
初対面同士も多いので、簡単な自己紹介が始まった。雉田が連れてきた女子の内、細くて背が高い方が鶴岡さん、真逆に小さくてぽっちゃりしている方が烏丸さんだそうだ。2人ともいかにもミーハーな感じで、ジュニアアイドルの追っかけが趣味らしい。確かに雉田ならジュニアアイドルに混じってても違和感はない。
晴香は乾以外は全員初対面で、しかも年上だ。しかし晴香は物怖じする事なく、元気に立ち上がった。
「えっと、猿山晴香です! こっちの猿山浮夫の妹で、中学2年生です。宜しくお願いします!」
「いよっ、よく出来ました!」
乾が盛り立てて指笛を吹いた。他の皆も拍手を送り、晴香は少し照れながら着席した。先ほどのゴリラショックからはすっかり立ち直ったようで安心だ。しかし、相変わらずまだ時々後藤さんの方を気にしている。
その時、後藤さんが晴香の視線に気付き、晴香と目が合った。後藤さんがニコリと微笑むと、晴香が慌てて目を逸らした。これはまずいと思い、俺は晴香に耳打ちした。
「……おい、晴香。あまりジロジロ見るなよ。失礼だろ」
「ご、ごめん。だって、気にするなって言う方が無理じゃん」
まあ確かに、毎日会ってる俺も気になる。後藤さんが真っ先に食べ始めたケーキ。それは、バナナのショートケーキだ。ショートケーキと言えば苺が定番だし、苺のショートケーキも用意されているが、後藤さんは迷わずそれに手を付けたのだ。
結局後藤さんは、バナナケーキをホール1台丸々平らげてしまった。別に独り占めしたわけではない。他の皆が気を遣って、バナナケーキには手を伸ばさなかっただけだ。後藤さんのバナナ好きは周知の事実だし、初対面の晴香もすぐにそれを察したからだ。それにしても、ケーキ1台をペロリと平らげるとは、流石というか何というか。
っと、俺もボーッとはしてられない。時間は限られてるんだ。こうして運良く後藤さんの隣に座れたわけだし、積極的に話し掛けていかないと。
「後藤さん。そういえば、期末テスト全部返ってきたよ。平均83点だった」
「えっ、凄い! 頑張りましたね!」
後藤さんは、まるで自分の事のように喜んでくれた。こんな話を聞いた事がある。他人の不幸を悲しみ、他人の幸福を喜べる人間こそが、この世で最も素晴らしい人間なんだと。後藤さんは正にそれなのだ。
「ふん、あたしは87点だったけどね。あたしの勝ち。そんなんじゃ、門木大なんて夢のまた夢だね。さっさと諦めたら?」
熊井がすかさず割り込んできた。鶴岡さん達の手前、あまり表立って会話の妨害はしてこないと思っていたが、甘かったかもしれない。最悪、レズビアンという事を勘付かれても構わないと思っているのかもしれない。熊井の後藤さんへの想いも本気というわけだ。
「月乃、そんな事言わないの。猿山君いつも頑張ってるじゃない。まだ入試まで時間あるし、可能性はあるよ」
「はいはい、そーだね」
熊井は不機嫌そうにレアチーズケーキを頬張った。それを見た乾が、息を荒げながら飛んできて味の感想を求めたが、「まあまあ」の一言で一蹴されてしまっていた。それでも乾はめげずに、鶴岡さんや烏丸さんに自分の作った分のケーキを勧めていた。あの積極性というかポジティブなところは大いに見習うべきだな。
「さてと、せっかくこうして集まったんだから、腹いっぱいになる前にゲームしようぜ。実はもう既に準備してあるんだ」
そう言って乾が出したのは、一口サイズの小さなシュークリームだ。それが人数分、つまり8個ある。これで何のゲームをするんだ?
「乾君、これってまさか、ロシアン……」
「ピンポーン。雉田君大正解~。この見た目は普通のシュークリーム、8個の内6個の中身は、当店自慢の甘~いクリーム。ただし、2個はワサビたっぷりの、俺オリジナルの特製シュークリームでーす」
「うわ、面白そうじゃん。僕こういうのやった事ないんだよね」
ロシアンシュークリーム……テレビで見た事はある。反応を見る限り、他の女子達からも概ね好評のようだ。確かに、パーティーゲームとしては面白い催しかもしれない。
ただし1つ問題があるとすれば、俺はワサビが大の苦手という点だ。そんな物を食べれば悶絶必至。後藤さんにカッコ悪いところを見せる羽目になる。
「さあ、1人1個好きなのを取ってくれ。俺は最後でいいからよ」
「ずいぶん余裕だな乾。自爆したら笑ってやるよ」
「ケケケ。そう言う奴に限って当たるんだぜ」
見た目からは全く分からない。勘だけを頼りに、俺は1つのシュークリームを手に取った。他の皆も各自順番に取っていく。さて、ワサビシュークリームを手に取った不運な2人は誰なのか……。
「よし。じゃあ、せーので一斉に食べるぞ」
「オッケー」
「はい、せーの!」
合図と共に、一斉にシュークリームを口の中に放り込んだ。そして、意を決して噛み始める。俺のは……。
「……」
おっ、イケるぞ。これは普通の………………っ?
「…………~~~~!! んがああああ!!」
後からやって来た。舌や喉が焼けるように熱くなり、涙が一気に溢れ出てくる。口から火が噴き出そうだ。のたうち回る俺を見て爆笑する乾。他のセーフだった者達も大ウケだ。くそっ、何て事だ。8分の2という、そこまで高い確率ではない物でも当然のように引き当ててしまう。俺は昔からこうなんだ。
「だ、大丈夫!?」
ああ……後藤さんだけは心配してくれるんだな。何て優しい……。
……違った。後藤さんが心配しているのは、俺と同じくワサビシュークリームを引き当てた熊井だった。後藤さんが慌てて注いだオレンジジュースを、熊井は砂漠でオアシスを見つけたかのように貪り飲んだ。熊井も俺同様、辛い物は苦手のようだ。
「はい、猿山君もどうぞ!」
後藤さんは続けて俺の分も注いでくれた。俺はそれを一気に咽に流し込み、更にケーキを口いっぱいに頬張る。そこまでして、ようやく辛さが収まってきた。
はあ……死ぬかと思った。ふと見ると、熊井が涙目になりながらも、勝ち誇った目を俺に向けてきていた。先に介抱してもらった自分の勝ちだと言いたげだ。何かにつけて俺と張り合わないと気が済まないのかこいつは……。
「よっ、晴香ちゃん久々。これで全員揃ったな。んじゃ、ケーキ持ってくっから適当にくつろいでてくれよ」
部屋主の乾がニカッと笑って立ち上がった。入れ替わるように俺と晴香は空いたスペース……熊井と後藤さんの隣に座り、冷え切った両足をコタツの中に突っ込み、その暖かさに身も心も癒される。晴香が俺の腕をつつき、耳元に口を近付ける。今度は何だ?
「ねえねえ、あのカッコいい人誰?」
晴香の視線の先には、両手に花状態の雉田がいる。そうか……同級生の女子からは可愛いと評判の雉田も、中学生の晴香から見ればカッコいいになるのか。まったく羨ましいモテっぷりだ。
「後でまとめて自己紹介するだろ。それに、あの2人の女子に睨まれたくなかったら、ここでは大人しくしとけ」
俺が小声でそう返すと、晴香は渋々引き下がった。こいつ、このパーティーの主目的を忘れたわけじゃないだろうな。しっかりしてくれよ頼むから。
数分後、乾がお母さんと共にケーキを次々と持ってきた。軽く見積もっても13台分はある。種類も実に様々だ。これには女性陣全員から感嘆の声が上がる。かくいう俺も、思わずヨダレが出てしまいそうになる。8人がかりでも、とてもじゃないが食べ切れそうにない。正に食べ放題の名に偽りなしだ。
「はい、これで全部よ。無理して全部食べようとしてくれなくても大丈夫だからね。コーヒーもいくらでもあるから、遠慮はしないでいいわよ。それじゃ、ゆっくり楽しんでいってね」
それだけ言い残して、乾のお母さんが可愛く手を振りながら退室した。乾も席に座り、いよいよパーティーの開始となる。
「そんじゃ、始めますか。各自好きなケーキを勝手に小皿に取り分けてくれ。あっ、ちなみにレアチーズケーキとブルーベリーケーキと、あとこっちのファンネルケーキは俺が作ったやつね。もっかい言うわ。お・れ・が作ったやつね!」
乾がやかましいぐらいに強調して言った。特に女子に向かって。何かウザイが、確かに自慢していいぐらいに美味そうに出来ている。
「へえ~、乾君ってケーキ作り上手なんだねぇ。すごーい」
雉田の隣の女子達が感心する。
「いやあ、それほどでもあるけどよ。ナッハッハ!」
何か1つでも秀でたものがあるというのは、こういう時に強いんだなと俺は実感する。俺には特技と言えるものは、これといって無い。せめてスタメンだったら、特技は野球ですと自信を持って言えたんだけどな。
初対面同士も多いので、簡単な自己紹介が始まった。雉田が連れてきた女子の内、細くて背が高い方が鶴岡さん、真逆に小さくてぽっちゃりしている方が烏丸さんだそうだ。2人ともいかにもミーハーな感じで、ジュニアアイドルの追っかけが趣味らしい。確かに雉田ならジュニアアイドルに混じってても違和感はない。
晴香は乾以外は全員初対面で、しかも年上だ。しかし晴香は物怖じする事なく、元気に立ち上がった。
「えっと、猿山晴香です! こっちの猿山浮夫の妹で、中学2年生です。宜しくお願いします!」
「いよっ、よく出来ました!」
乾が盛り立てて指笛を吹いた。他の皆も拍手を送り、晴香は少し照れながら着席した。先ほどのゴリラショックからはすっかり立ち直ったようで安心だ。しかし、相変わらずまだ時々後藤さんの方を気にしている。
その時、後藤さんが晴香の視線に気付き、晴香と目が合った。後藤さんがニコリと微笑むと、晴香が慌てて目を逸らした。これはまずいと思い、俺は晴香に耳打ちした。
「……おい、晴香。あまりジロジロ見るなよ。失礼だろ」
「ご、ごめん。だって、気にするなって言う方が無理じゃん」
まあ確かに、毎日会ってる俺も気になる。後藤さんが真っ先に食べ始めたケーキ。それは、バナナのショートケーキだ。ショートケーキと言えば苺が定番だし、苺のショートケーキも用意されているが、後藤さんは迷わずそれに手を付けたのだ。
結局後藤さんは、バナナケーキをホール1台丸々平らげてしまった。別に独り占めしたわけではない。他の皆が気を遣って、バナナケーキには手を伸ばさなかっただけだ。後藤さんのバナナ好きは周知の事実だし、初対面の晴香もすぐにそれを察したからだ。それにしても、ケーキ1台をペロリと平らげるとは、流石というか何というか。
っと、俺もボーッとはしてられない。時間は限られてるんだ。こうして運良く後藤さんの隣に座れたわけだし、積極的に話し掛けていかないと。
「後藤さん。そういえば、期末テスト全部返ってきたよ。平均83点だった」
「えっ、凄い! 頑張りましたね!」
後藤さんは、まるで自分の事のように喜んでくれた。こんな話を聞いた事がある。他人の不幸を悲しみ、他人の幸福を喜べる人間こそが、この世で最も素晴らしい人間なんだと。後藤さんは正にそれなのだ。
「ふん、あたしは87点だったけどね。あたしの勝ち。そんなんじゃ、門木大なんて夢のまた夢だね。さっさと諦めたら?」
熊井がすかさず割り込んできた。鶴岡さん達の手前、あまり表立って会話の妨害はしてこないと思っていたが、甘かったかもしれない。最悪、レズビアンという事を勘付かれても構わないと思っているのかもしれない。熊井の後藤さんへの想いも本気というわけだ。
「月乃、そんな事言わないの。猿山君いつも頑張ってるじゃない。まだ入試まで時間あるし、可能性はあるよ」
「はいはい、そーだね」
熊井は不機嫌そうにレアチーズケーキを頬張った。それを見た乾が、息を荒げながら飛んできて味の感想を求めたが、「まあまあ」の一言で一蹴されてしまっていた。それでも乾はめげずに、鶴岡さんや烏丸さんに自分の作った分のケーキを勧めていた。あの積極性というかポジティブなところは大いに見習うべきだな。
「さてと、せっかくこうして集まったんだから、腹いっぱいになる前にゲームしようぜ。実はもう既に準備してあるんだ」
そう言って乾が出したのは、一口サイズの小さなシュークリームだ。それが人数分、つまり8個ある。これで何のゲームをするんだ?
「乾君、これってまさか、ロシアン……」
「ピンポーン。雉田君大正解~。この見た目は普通のシュークリーム、8個の内6個の中身は、当店自慢の甘~いクリーム。ただし、2個はワサビたっぷりの、俺オリジナルの特製シュークリームでーす」
「うわ、面白そうじゃん。僕こういうのやった事ないんだよね」
ロシアンシュークリーム……テレビで見た事はある。反応を見る限り、他の女子達からも概ね好評のようだ。確かに、パーティーゲームとしては面白い催しかもしれない。
ただし1つ問題があるとすれば、俺はワサビが大の苦手という点だ。そんな物を食べれば悶絶必至。後藤さんにカッコ悪いところを見せる羽目になる。
「さあ、1人1個好きなのを取ってくれ。俺は最後でいいからよ」
「ずいぶん余裕だな乾。自爆したら笑ってやるよ」
「ケケケ。そう言う奴に限って当たるんだぜ」
見た目からは全く分からない。勘だけを頼りに、俺は1つのシュークリームを手に取った。他の皆も各自順番に取っていく。さて、ワサビシュークリームを手に取った不運な2人は誰なのか……。
「よし。じゃあ、せーので一斉に食べるぞ」
「オッケー」
「はい、せーの!」
合図と共に、一斉にシュークリームを口の中に放り込んだ。そして、意を決して噛み始める。俺のは……。
「……」
おっ、イケるぞ。これは普通の………………っ?
「…………~~~~!! んがああああ!!」
後からやって来た。舌や喉が焼けるように熱くなり、涙が一気に溢れ出てくる。口から火が噴き出そうだ。のたうち回る俺を見て爆笑する乾。他のセーフだった者達も大ウケだ。くそっ、何て事だ。8分の2という、そこまで高い確率ではない物でも当然のように引き当ててしまう。俺は昔からこうなんだ。
「だ、大丈夫!?」
ああ……後藤さんだけは心配してくれるんだな。何て優しい……。
……違った。後藤さんが心配しているのは、俺と同じくワサビシュークリームを引き当てた熊井だった。後藤さんが慌てて注いだオレンジジュースを、熊井は砂漠でオアシスを見つけたかのように貪り飲んだ。熊井も俺同様、辛い物は苦手のようだ。
「はい、猿山君もどうぞ!」
後藤さんは続けて俺の分も注いでくれた。俺はそれを一気に咽に流し込み、更にケーキを口いっぱいに頬張る。そこまでして、ようやく辛さが収まってきた。
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