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0章
第5話祭り
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トレーニングを初めて半月が立った。
この頃には少しだけだが、ゼノンの体に変化が生じ始めていた。トレーニングを行う時間が少しづつ短くなってきたのがいい例である。それに筋肉も少しづつだが目に見えて変化してきた。
最初はこんなことで強くなれるのか不安だったゼノンだが、変化が見えてくればやる気も出てくるもの。今ではトレーニングもそこまで苦しくなかった。
「あら、ゼノン。おかえりなさい」「おぉ!ゼノン!よく帰ったな」
「うん!ただいま!」
そしてゼノンの周りにも新たな変化が生じていた。
「ゼノンおにぃちゃん!おかえりなさい、です!」
「ただいま、ソティー」
そう施設に新たな家族が増えたのだ。ソティーは施設に預けられた5歳の女の子である。幼いうちに両親が病でなくなってしまった。
今ではこの4人で暮らすことが当たり前になってしまった。アルスたちがいなくなって無くなってしまった騒がしさを取り戻しつつある。
「ゼノン、悪いとは思うんじゃが、今日もソツ芋の収穫を手伝ってくれんかのう?」
今日はソツ芋の収穫祭でこの施設で育てているソツ芋もこの時期に収穫する。昨日もソツ芋の収穫を手伝っていた。
「うん!もちろん。今日のトレーニングはあと少しだしね」
「そついも!そついも!」
ソティーもソツ芋が大好物なようで収穫するということで興奮している。そんなソティーの頭をリルが撫でながらゼノンに尋ねる。
「ゼノン、体調とか大丈夫?……無理しなくてもいいのよ?」
「大丈夫だよ。リル先生!」
「……そう。なら良かった……。最近は夜、うなされることも少ないみたいだから安心だけど……」
リルはアルスたちが旅立って今まで以上にゼノンのことを気にかけていた。1人残されたゼノンの気持ちを考えるとどうしても心配だった。それにリルは知っていたのだ。ゼノンが最初にトレーニングをしたことで発熱した夜。ゼノンがうなされていたことを。
それを知ってから毎夜ではないがたまにうなされている姿を見ていた。
しかし、最近では夢を見ることは多くても最後が地獄ということが少なくなってきた。瞑想を繰り返し、精神を高めたことも大きな要因かもしれない。
お昼時なので家族でご飯を食べ、午後はソツ芋の収穫を手伝った。
「おぉ!ゼノンはすごいのぉ。お主からこの村1番のソツ芋農家になれるわ!」
「だから俺は農家にはならないよ!ソツ芋好きだけどさ!俺はアルス達に追いつくの!」
「そうかそうか!」
ゼノンがこういうと大抵の村人は笑って済ます。それが不可能だとわかっているからだ。こんな辺境…しかも無加護者が王都に行けるはずがないと。
今日のソツ芋の収穫が終わったら、ゼノンは再びトレーニングに励み始めた。みんなが村で祭りをしている最中も続けていた。祭りには最低限顔を出し、残りはトレーニングだ。
ここまでで新たにわかったことがあった。
それは精神を鍛えると魔力も同時に増加するということである。1番効率のいい魔力の上げ方は魔力枯渇になるだが、魔力枯渇にはとんでもない苦痛を伴うので一日2回が今のゼノンの限界だったのだ。
成長魔法について色々なことがわかっていく反面未だに分からないことがある。
それは血液魔法…。
血液魔法に関してはどうやって使えばいいのか、そもそもどうすれば発動するのか未だに分からなかった。ゼノンはこの半年、1度も血液魔法を使うことができなかった。能力も何もかも分からない。成長魔法と違い、生まれ持った能力じゃないということが大きいのだ。
村の人から魔法を教わることは未だにできず、血液魔法を誰にも見せる訳にも行かないので練習場所も限られる。ゼノンの今の最も大きな悩みの種だった。
(せめてどうやったら発動するのかが分かればなぁ……)
それさえ分かればあとはなんとかなると思っていた。未だにキーとなるのは『初代勇者の英雄譚』の絵本…これのみである。
「おにぃちゃん!おにぃちゃん!そついも!そついも!」
「あぁ!そうだな!ソツ芋パーティーだ!」
「ふふ。そうねぇ。そんなに喜んで貰えたなら私も料理したかいがあるわ」
ゼノンたちが収穫したばかりのソツ芋を調理した料理が村中に並ぶ。リルもソツ芋の調理に加わった。ポテトソテー、ポテトサラダ、ソツ芋の丸焼き……たくさんのソツ芋とその近くの大量の水を見て、ゼノンとソティーはヨダレが止まらなかった。
そうこうしているうちにソツ村の住人が全員集まり、村長からの挨拶が始まった。
「今年もたくさんのソツ芋の収穫が終わり、無事冬を越すこともできそうだ。今年はたくさんのことがあった。アルス、そしてミオはこの村を出ていってしまったが、この村にはゼノンがいる!その村の将来の安寧を願おって乾杯!!」
「「「「乾杯!!!」」」」
ゼノンとソティーにはアンネイという言葉が難しくてよく分からなかった。
村中が大きく乾杯する中ゼノン、リル、ソティーの3人で小さく乾杯した。
バクバクバク!
ゼノンとソティーはひたすらに何も飲まずにソツ芋料理を胃にかきこむ。その結果……
「み、みず………を……」
「………み……ず……」
身体中の水分が持っていかれ、軽い脱水症状に陥った。それほどまでにソツ芋とは強力なのだ。水なしで食べそうものなら毒芋にも化けるのだ。
「こら!ゼノン!ソティー!ちゃんと水を飲みなさいって言ったでしょう!?」
リルが大量の水を持ってきてくれたことで一命を取り留めた。
「おい、ゼノン!ソティー!こっちに来なさい。村のイベントが始まるぞ。2人ともこっちに来なさい」
アズレに促されて2人は食べることを中断して、村の広場へと向かう。この村では年2回の祭りがあるのだ。ひとつは成人の儀式。成人した者が獲物を仕留め、それを振る舞う。2つ目が収穫祭。ここでは収穫した作物(ソツ芋以外にもある)が出され、子供たちが村の前で魔法を披露するのだ。
「おお!ゼノンだ!がんばれよー!」
ゼノンは持ってきた土が入った植木鉢に植物の種をまく。そして…
「成長魔法!」
そのバケツに魔法をかけた。すると……
「おぉ!」「これは!」
「……芽が出たな……」
バケツの中からさっき植えたばかりの種が発芽したのだ。周りから見ればしょぼい能力で、盛り下がるだろうがこの村では違う。
「あっはっは!ゼノンも成長したなー!去年は芽も出なかったのに!」
「おぉ!そうだったな!しかしこの力を使えばゼノンは立派な農家になれるに違ぇねぇ!」
この村にはゼノンをバカにするようなものはいなかった。それはゼノンが努力していることをよく知っているからだ。そうでなくとも周りの反応は変わらないだろうが。
「次はソティー!」
ソティーが前に出て、魔法を使う。
「精霊さん……力を貸して……」
その瞬間に村全体に風が吹いた。ソティーは風属性だったのだ。村には「おぉ…!」という感嘆の声が上がる。
「ソティー、すごいなぁ!どうやったら魔法を使えるんだ?」
ゼノンは誰にも魔法を教えて貰えなかったので、ソティーに教えてもらおうと考えたのだ。
「おにぃちゃん!えっとね…そこら辺にせいれいさんがいて、せいれいさんの力を借りるの!」
「??」
ゼノンにはソティーの説明が全くわからなかった。そもそもゼノンの目には精霊なんてものは見えていない。ソティーが指さす方向を見てもなにも見えず、空気を刺しているようにしか思えなかった。
「ソ、ソティー、こっちにソツ芋のソテーがあるわよー」
「わーい!」
リルの声でソティーはそちらへ向かってしまった。ゼノンはソティーにはついて行かず、村長の方へと向かったのだった。
「はは!今年も安泰だな!」
「村長!」
「お、どうした?ゼノン」
「精霊って何?」
「ぶふぅ!」
村長は口に含んでいたものを全て出してしまった。
精霊というのは村長がゼノンに隠していた魔法についての事だったからだ。
「そ、それはだなぁ…。あ、あれだ!絵本の中に出てくるものでな!初代勇者様が使役していたんだ!」
「そうなんだ!」
これは嘘ではなかった。ゼノンがこの真実を知るのはさらに先の話であるが……。
「じゃあ、俺の頭の中で聞こえる声は精霊かな!?」
「声……?」
「うん!時々聞こえるんだ!何言ってるか分からないけど!」
村長はゼノンの言葉に頭を抱えた。「精霊の声を聞く」そんな事例はなかった。
「そうなのか…。よし!今度ゼノンにも簡単な魔法を教えてやろう!」
「本当!?村長!」
「あぁ。身体能力を強化する魔法なんだが…、今のゼノンにならふさわしいだろう」
「やったー!」
ゼノンは今度ようやく魔法を教えて貰えるということで舞い上がった。ゼノンは『成長止めぬ者へ』を除けばグロースという成長魔法しか使えなかった。グロースは自分の魔力を対象物にふりかけることで対象物の成長が早くなるというゼノンが幼い頃から使えた現在でも唯一の魔法である。
「あ!おにぃちゃん!」
「ソティー、どうしたの?」
「見つけたわよ~、ゼノン」
「リル先生まで!」
「アズレ先生も戻ってきたから4人でお祭りを回りましょ」
「ゼノンー!今年の魔法も良かったぞー!ソティーも初めて披露したのによく出来たのー!」
アズレはゼノンとソティーの頭を撫でて、大変ご満悦な表情である。
「そうだ!俺からみんなにプレゼントがあるんだ!」
ゼノンは施設で大切に育てていた花を3人にプレゼントした。
「おぉ、忘れるところじゃった!ありがとのぉ、ゼノン」「まぁ!今回も綺麗ねぇ。大切にするわ」「おにぃちゃん、ありがとう!」
「どういたしまして!」
ゼノンは笑顔で3人に礼を言い返す。
ゼノンが成長魔法を使って花壇の世話をしてからというもの年2回しかない祭りでは施設のみんなに花を送ることが恒例となっていた。前回まではアルスとミオにも渡していた。
(ミオにも…渡したかったな……)
今回はトレーニングのおかげでたくさんの花が咲き、綺麗に育った。今までで1番の出来だっただけに、大事な人に渡せなかったのが残念なようだ。
こうしてソツ村の夜は更けていった。
この頃には少しだけだが、ゼノンの体に変化が生じ始めていた。トレーニングを行う時間が少しづつ短くなってきたのがいい例である。それに筋肉も少しづつだが目に見えて変化してきた。
最初はこんなことで強くなれるのか不安だったゼノンだが、変化が見えてくればやる気も出てくるもの。今ではトレーニングもそこまで苦しくなかった。
「あら、ゼノン。おかえりなさい」「おぉ!ゼノン!よく帰ったな」
「うん!ただいま!」
そしてゼノンの周りにも新たな変化が生じていた。
「ゼノンおにぃちゃん!おかえりなさい、です!」
「ただいま、ソティー」
そう施設に新たな家族が増えたのだ。ソティーは施設に預けられた5歳の女の子である。幼いうちに両親が病でなくなってしまった。
今ではこの4人で暮らすことが当たり前になってしまった。アルスたちがいなくなって無くなってしまった騒がしさを取り戻しつつある。
「ゼノン、悪いとは思うんじゃが、今日もソツ芋の収穫を手伝ってくれんかのう?」
今日はソツ芋の収穫祭でこの施設で育てているソツ芋もこの時期に収穫する。昨日もソツ芋の収穫を手伝っていた。
「うん!もちろん。今日のトレーニングはあと少しだしね」
「そついも!そついも!」
ソティーもソツ芋が大好物なようで収穫するということで興奮している。そんなソティーの頭をリルが撫でながらゼノンに尋ねる。
「ゼノン、体調とか大丈夫?……無理しなくてもいいのよ?」
「大丈夫だよ。リル先生!」
「……そう。なら良かった……。最近は夜、うなされることも少ないみたいだから安心だけど……」
リルはアルスたちが旅立って今まで以上にゼノンのことを気にかけていた。1人残されたゼノンの気持ちを考えるとどうしても心配だった。それにリルは知っていたのだ。ゼノンが最初にトレーニングをしたことで発熱した夜。ゼノンがうなされていたことを。
それを知ってから毎夜ではないがたまにうなされている姿を見ていた。
しかし、最近では夢を見ることは多くても最後が地獄ということが少なくなってきた。瞑想を繰り返し、精神を高めたことも大きな要因かもしれない。
お昼時なので家族でご飯を食べ、午後はソツ芋の収穫を手伝った。
「おぉ!ゼノンはすごいのぉ。お主からこの村1番のソツ芋農家になれるわ!」
「だから俺は農家にはならないよ!ソツ芋好きだけどさ!俺はアルス達に追いつくの!」
「そうかそうか!」
ゼノンがこういうと大抵の村人は笑って済ます。それが不可能だとわかっているからだ。こんな辺境…しかも無加護者が王都に行けるはずがないと。
今日のソツ芋の収穫が終わったら、ゼノンは再びトレーニングに励み始めた。みんなが村で祭りをしている最中も続けていた。祭りには最低限顔を出し、残りはトレーニングだ。
ここまでで新たにわかったことがあった。
それは精神を鍛えると魔力も同時に増加するということである。1番効率のいい魔力の上げ方は魔力枯渇になるだが、魔力枯渇にはとんでもない苦痛を伴うので一日2回が今のゼノンの限界だったのだ。
成長魔法について色々なことがわかっていく反面未だに分からないことがある。
それは血液魔法…。
血液魔法に関してはどうやって使えばいいのか、そもそもどうすれば発動するのか未だに分からなかった。ゼノンはこの半年、1度も血液魔法を使うことができなかった。能力も何もかも分からない。成長魔法と違い、生まれ持った能力じゃないということが大きいのだ。
村の人から魔法を教わることは未だにできず、血液魔法を誰にも見せる訳にも行かないので練習場所も限られる。ゼノンの今の最も大きな悩みの種だった。
(せめてどうやったら発動するのかが分かればなぁ……)
それさえ分かればあとはなんとかなると思っていた。未だにキーとなるのは『初代勇者の英雄譚』の絵本…これのみである。
「おにぃちゃん!おにぃちゃん!そついも!そついも!」
「あぁ!そうだな!ソツ芋パーティーだ!」
「ふふ。そうねぇ。そんなに喜んで貰えたなら私も料理したかいがあるわ」
ゼノンたちが収穫したばかりのソツ芋を調理した料理が村中に並ぶ。リルもソツ芋の調理に加わった。ポテトソテー、ポテトサラダ、ソツ芋の丸焼き……たくさんのソツ芋とその近くの大量の水を見て、ゼノンとソティーはヨダレが止まらなかった。
そうこうしているうちにソツ村の住人が全員集まり、村長からの挨拶が始まった。
「今年もたくさんのソツ芋の収穫が終わり、無事冬を越すこともできそうだ。今年はたくさんのことがあった。アルス、そしてミオはこの村を出ていってしまったが、この村にはゼノンがいる!その村の将来の安寧を願おって乾杯!!」
「「「「乾杯!!!」」」」
ゼノンとソティーにはアンネイという言葉が難しくてよく分からなかった。
村中が大きく乾杯する中ゼノン、リル、ソティーの3人で小さく乾杯した。
バクバクバク!
ゼノンとソティーはひたすらに何も飲まずにソツ芋料理を胃にかきこむ。その結果……
「み、みず………を……」
「………み……ず……」
身体中の水分が持っていかれ、軽い脱水症状に陥った。それほどまでにソツ芋とは強力なのだ。水なしで食べそうものなら毒芋にも化けるのだ。
「こら!ゼノン!ソティー!ちゃんと水を飲みなさいって言ったでしょう!?」
リルが大量の水を持ってきてくれたことで一命を取り留めた。
「おい、ゼノン!ソティー!こっちに来なさい。村のイベントが始まるぞ。2人ともこっちに来なさい」
アズレに促されて2人は食べることを中断して、村の広場へと向かう。この村では年2回の祭りがあるのだ。ひとつは成人の儀式。成人した者が獲物を仕留め、それを振る舞う。2つ目が収穫祭。ここでは収穫した作物(ソツ芋以外にもある)が出され、子供たちが村の前で魔法を披露するのだ。
「おお!ゼノンだ!がんばれよー!」
ゼノンは持ってきた土が入った植木鉢に植物の種をまく。そして…
「成長魔法!」
そのバケツに魔法をかけた。すると……
「おぉ!」「これは!」
「……芽が出たな……」
バケツの中からさっき植えたばかりの種が発芽したのだ。周りから見ればしょぼい能力で、盛り下がるだろうがこの村では違う。
「あっはっは!ゼノンも成長したなー!去年は芽も出なかったのに!」
「おぉ!そうだったな!しかしこの力を使えばゼノンは立派な農家になれるに違ぇねぇ!」
この村にはゼノンをバカにするようなものはいなかった。それはゼノンが努力していることをよく知っているからだ。そうでなくとも周りの反応は変わらないだろうが。
「次はソティー!」
ソティーが前に出て、魔法を使う。
「精霊さん……力を貸して……」
その瞬間に村全体に風が吹いた。ソティーは風属性だったのだ。村には「おぉ…!」という感嘆の声が上がる。
「ソティー、すごいなぁ!どうやったら魔法を使えるんだ?」
ゼノンは誰にも魔法を教えて貰えなかったので、ソティーに教えてもらおうと考えたのだ。
「おにぃちゃん!えっとね…そこら辺にせいれいさんがいて、せいれいさんの力を借りるの!」
「??」
ゼノンにはソティーの説明が全くわからなかった。そもそもゼノンの目には精霊なんてものは見えていない。ソティーが指さす方向を見てもなにも見えず、空気を刺しているようにしか思えなかった。
「ソ、ソティー、こっちにソツ芋のソテーがあるわよー」
「わーい!」
リルの声でソティーはそちらへ向かってしまった。ゼノンはソティーにはついて行かず、村長の方へと向かったのだった。
「はは!今年も安泰だな!」
「村長!」
「お、どうした?ゼノン」
「精霊って何?」
「ぶふぅ!」
村長は口に含んでいたものを全て出してしまった。
精霊というのは村長がゼノンに隠していた魔法についての事だったからだ。
「そ、それはだなぁ…。あ、あれだ!絵本の中に出てくるものでな!初代勇者様が使役していたんだ!」
「そうなんだ!」
これは嘘ではなかった。ゼノンがこの真実を知るのはさらに先の話であるが……。
「じゃあ、俺の頭の中で聞こえる声は精霊かな!?」
「声……?」
「うん!時々聞こえるんだ!何言ってるか分からないけど!」
村長はゼノンの言葉に頭を抱えた。「精霊の声を聞く」そんな事例はなかった。
「そうなのか…。よし!今度ゼノンにも簡単な魔法を教えてやろう!」
「本当!?村長!」
「あぁ。身体能力を強化する魔法なんだが…、今のゼノンにならふさわしいだろう」
「やったー!」
ゼノンは今度ようやく魔法を教えて貰えるということで舞い上がった。ゼノンは『成長止めぬ者へ』を除けばグロースという成長魔法しか使えなかった。グロースは自分の魔力を対象物にふりかけることで対象物の成長が早くなるというゼノンが幼い頃から使えた現在でも唯一の魔法である。
「あ!おにぃちゃん!」
「ソティー、どうしたの?」
「見つけたわよ~、ゼノン」
「リル先生まで!」
「アズレ先生も戻ってきたから4人でお祭りを回りましょ」
「ゼノンー!今年の魔法も良かったぞー!ソティーも初めて披露したのによく出来たのー!」
アズレはゼノンとソティーの頭を撫でて、大変ご満悦な表情である。
「そうだ!俺からみんなにプレゼントがあるんだ!」
ゼノンは施設で大切に育てていた花を3人にプレゼントした。
「おぉ、忘れるところじゃった!ありがとのぉ、ゼノン」「まぁ!今回も綺麗ねぇ。大切にするわ」「おにぃちゃん、ありがとう!」
「どういたしまして!」
ゼノンは笑顔で3人に礼を言い返す。
ゼノンが成長魔法を使って花壇の世話をしてからというもの年2回しかない祭りでは施設のみんなに花を送ることが恒例となっていた。前回まではアルスとミオにも渡していた。
(ミオにも…渡したかったな……)
今回はトレーニングのおかげでたくさんの花が咲き、綺麗に育った。今までで1番の出来だっただけに、大事な人に渡せなかったのが残念なようだ。
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