加護なし少年の魔王譚

ジャック

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1章

第10話 ラルク=ジュード

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Sideラルク
俺の名前はラルク=フォード。

俺は平民だけど父は騎士団に所属してるし、母も魔法師団に所属してる。どこかの戦場で出会ったのが縁で結婚したらしい。

「ラルク!剣の修行しようぜ!!」
「うん!おとうさん!」

「ラルク~、魔法のお勉強しましょう?」
「うん!お母さん!」

だからその2人の元で育てられた俺は幼い頃から剣の修行や魔法の勉強はしていた。それなりに裕福だった俺は学校にも通うことが出来た。両親のおかげもあって成績はトップクラスだった。

だけど……

「ラルク!なんだ!?この成績は!?」
「ご、ごめんなさい…」
「ラルク!あなたはもっとできる子よ!」
「ご、ごめんなさい、母さん」

そこからは試験の度に緊張して怖くなった。試験の度には毎回緊張で震えていた。

「すごいじゃないか!ラルク!」「やっぱりやれば出来る子なんだわ!」

褒められることは嬉しかったので必死に頑張った。おかげでそこらの貴族には負けないぐらいになっていた。

親から期待され続けた俺はとうとうこの国でトップクラスの受験を行うことになった。

「ラルクならできるわ!」「頑張ってこい!絶対に合格をもぎとって来るんだぞ!!」

「う、うん!」

そうして俺はこの国で最難関のレイシェルム学院を受験した。

そこで俺はゼノンと出会った。

いつも通り俺は緊張でガチガチに震えていた。だと言うのに隣のやつは砂いじりをしている始末。最初は自分のことでいっぱいいっぱいだったけど、そいつのことはいやでも目についた。

もしかしてこいつも緊張してるのかな…?って思ってそっちを見たらすぐにあることに気づいた。こいつの右手に紋がない。

魔族や亜人は知らないけど人間は基本的に右手の甲に紋が出ることがほとんどだ。だけど一部は紋が出ない。「無加護」と呼ばれることになる。

そいつらは侮辱される。神から見放されたものとして認識されるからだ。魔法も上手く扱うことが出来ず、なんの才能もない。

俺の学校でも虐めに遭遇して奴隷のような扱いを受けていた。居ないものとして扱われていた。

『いいか、ラルク!出会ったヤツらは大切にしろ!』
『どうして?』
『それはね、人間は出会った人と関わることが大切なの。』
『そうだぞ!出会いは心を満たし、自分の人生を楽しくさせる!』
『そうよ。私とハルクもその出会いを大切にしたから今のような関係になったんだから!』

俺は学校では何も出来なかった。いや、しなかった。だけど…これも何かの出会いの縁かもしれない。

だから話しかけてみた。ほかの受験生はどうやら居ないものとして扱っている。それだけでなく舌打ちも飛んでる。

「お、おいお前!何してんだ!?」

「ん?見て分からないのか?暇つぶしだ」

まじで暇つぶしなのかよ!?

「はぁ…。お前、緊張とかしてないのか?」

「いいや、全く」

つい高圧的な態度をとったけどそうじゃなかったら今度は俺が何されるか分からない。そうなったら親を悲しませる結果になる。


「俺には何としても絶対に叶えたい目標があるんだ。ここはただの通過点だからな」

「ちっ!無加護のくせに!」

「無加護でも意外と努力したら加護持ちエリートにも勝てるかもな?」

「お前良い奴だな。」

「は?何言ってんだよ?」

「普通なら無加護に話しかけるなんてしない。無視するんだよ。それがお前から話しかけただろ?お前、良い奴だよ。頑張れ。ミスっても死ぬわけじゃないからな」

すごいやつだと思った。無加護なのに絶望してなかった。俺の知ってるやつは絶望してたのに。

アホなヤツだと思った。お前を散々バカにしてやったというのに、良い奴だという。見る目が無さすぎる。

良い奴だと思った。敵の俺の事を応援するなんて。

だからこそ可哀想だと思った。

『無加護』でさえなければ……ってな。

でも結果はどうだ?

アイツは俺より強かった。俺より努力していた。

誰にも認められなくても…、誰からも評価されなくても…。

みんなはそんなゼノンをバカにした。…俺もその一員だ。

アイツは多分今も俺のことを友達だと思ってる。

そんなゼノンが今…死にそうになってるって言うのに…!俺は……!!

いつか……父と母に言われたことが頭をよぎる。

俺はゼノンとの出会いを縁をこのまま切りたくない!否定したくない!

このままじゃゼノンが死ぬって言うのに、誰も動きはしない。クソっ!
誰かじゃなくて俺が行けよ!!

怖い……。今行けばこれまでの全てを失うことになる。両親からもガッカリされる。でも…俺は!!


「や、やめろぉぉぉぉ!!!!」

友達を守るために全てを捨てた。







「…どういうつもりですか?ラルク=ジュード君」

(怖い……!なんて圧だよ!!…ゼノンはこんな中戦ってたのかよ!)

ラルクは素直に尊敬の念をゼノンに抱いた。怖さのあまりとんでもないスピードで震えてしまうラルク。それでもゼノンの前からは逃げなかった。

「…無加護……の…俺と…関わるな………。巻き込ま……れる……ぞ……。俺は……大…丈………夫だ…か……ら…」

「う、嘘つけ!!ボロボロじゃねぇか!!!ボロ雑巾の方がまだ綺麗だ!!」

「ジュード君そこをどいてください……」

その冷たい声でラルクは再び意識をファナ先生に集中する。

「せ、先生……。あ、あの……」

「なんですか?」

その冷たく重い声に震えが加速してしまう。それでも泣きながらでも目はファナ先生から離さない。

「ひっ!え、えと……コイツはむ、無加護だけど……何も悪いことはしてないんですよ……」

「だから?」

「だ、だから……その殺すのはどうかと思うんですよ………。それに殺したらレイシェレム学院の評判も落ちるんじゃないかな~って思いまして………」

「引っ込めよ!!今、いいところだろ!!」「そうよ!!」「無加護の味方すんのか!!?」

同じクラスのクラスメイトから責められ続けてもラルクは必死にファナ先生に抗議する。足は常に震えている。いつも周りに怯え、親からの期待を答え続けたラルクが…だ。

「それに……友達なんです!」

「…なるほど……。あなたなら知っているかもしれませんね…あなたを拷問すればそれも吐くかもしれませんし」

「……へ?」

ファナ先生はゆっくりとラルクへと歩みを進める。

しかし……

「や…めろ!!」

「まだ立ちますか……」

「ゼノン!!!」
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