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1章ラギルダンジョン編
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「ねぇ、今度はどうしてタイチがここにいるのか教えて?」
まぁ、当然だろうな。こんなところを1人でさまよっていたら、何かしらの理由があるとわかるだろう。
「分かった。話す。だけど今日はもう行動する気がないから寝ようと思うんだが…。ルア、土魔法で俺たちを囲ってくれないか?万が一魔物が来ても防げるように」
「分かった!」
そういうとルアは俺の指示通りに魔法を使い、簡単なテントみたいなものができた。
「話す前に聞きたいんだが、ここがどこか知ってるか?」
「え?私は知らないよ?タイチも知らないの?」
まぁ、ルアの話を聞いた時からそうじゃないかと思っていた。別に気にするようなことではないが。
「まぁ、いいか。それじゃあ話すぞ」
そう言って俺は魔物の肉を食いながらここまでで起こったことを話した。俺も人と話すことに飢えていたから、隠すことなく全てを話した。
この世界に急に転移したこと。「無」職でステータスも弱くて馬鹿にされていたこと。それでも役に立とうと知識を蓄えたこと。ラギルダンジョンに、向かって仲間に裏切られて、ここまで落とされたこと。そこでステータスが変化して、ユニーク属性が目覚めたこと。この世界は弱肉強食だと思い、アイツらに復讐するつもりだということ。
それだけ言うと、何故か分からないがまたルアが泣いていた。
「うっうぅ…ずびっ…私だけじゃなくて…タイチにも…そんな辛いことがあったん…だねぇ…すびっ…。」
そうしてまたひとしきり泣き終わるとルアは、俺に尋ねてきた。
「復讐、するつもりなの?」
「あぁ、あいつらを許せないからな。」
すると、ルアは急に真面目な顔になって俺の方を向いた。
「私は…タイチに復讐なんてして欲しくない。」
「なんでだ?」
少し怒気をあらげてしまった。
「勇者も言ってた。復讐は悲しい事だって。それに
タイチは復讐した後どうするの?」
「どうするのって…」
どういうことだ?今までそんなこと考えたこと無かった。
「タイチは復讐した後の自分が想像出来るの?」
「そんなの簡単だろ?アイツらに復讐して気分が晴れるだろ?だってこの力はそのためのものだし。そんでそのあとは………」
あれ?そのあとどうするんだろう?なにもすることがないな。じゃあ、どうするんだろう?
「出来ないでしょ。多分タイチはそれで満足して何もしなくなる。多分自殺とかするんじゃないかな?生きる意味が復讐することで終わるから。」
否定できなかった。でも…、それじゃあ
「じゃあ、この気持ちはどうしたらいいんだよ!?それにこの力はどう使ったらいいんだよ!?それに、この世界の真理は弱肉強食だ!強いものが弱いものを支配する!そうだろう!?」
「それは違うよ、タイチ。強い者の役割は弱い者を守ることだよ。そうじゃなければ今、この世界には人間も動物も生きていないよ。生き物はね生まれた時が1番弱いの。タイチの言う通り弱肉強食だとしたならそこで死んでるよ。でも、私たちは生きてるでしょ?だから違う。強い者の役割は弱い者を支配することじゃない。強い者の役割は自分より弱い者を守ることだよ。人間だって自分より弱い子供や、自分のために動物を狩る。けどその動物も自分の子供は守るように、ね。」
そう言われて初めて気づいた。あぁ、なんで忘れていたんだろう。じいちゃんの最後の言葉を。ルアのこの言葉はじいちゃんの最後の言葉と同じだ。
じいちゃん怒ってるかな?俺もじいちゃんと同じ愚か者になって、そしてじいちゃんが一生をかけて見つけたことを俺が忘れていて。
怒ってるよな。じいちゃんが生きてた価値を下げてしまったから。
不思議とじいちゃんの声が聞こえた気がした。
『人間なら間違えることはある。大事なのはそれに気づけること、そして選択することじゃ。時には間違えか正解かわからんが何かを選択する時もあるだろう。それでも、選択して間違えとったらそれに気づき、そのあとの行動で正解にしたらいい。仲間がいれば、太一の間違いにも気づいてくれるわい。太一にはそんな仲間を増やして欲しい。』
過去に俺にじいちゃんが言ってくれた言葉だ。胸がいっぱいになる。もう出ないと思っていた涙が流れるのを感じる。
「力の使い道だって1つじゃない。タイチが私に言ってくれた。生きる意味は1つじゃないって。ならきっと力の使い道だって1つじゃない。」
俺の耳に優しいルアの声が届く。
そうだ。この力を手にする時だって復讐するためだけに欲しかったんじゃない。
どんなに理不尽からでも俺から何も奪われないような…
そして、全てを失ってドン底にいる俺がこの世界で成り上がれるような…
そんな戦う力が欲しかったんだ。
手に入れたその力は復讐以外にも使う理由があった。そんなこと最初から分かっていた。でも…忘れていた。
「無いなら私はタイチと一緒に探す。タイチは私に太一のために生きろって言った。でも、タイチも私のために生きてよ?それもタイチの生きる意味にしてよ。復讐する気持ちなんて忘れさせてあげるよ?私も生きる意味を探してる。だから、タイチも探そうよ。まだ時間もいっぱいあるんだしさ!私はタイチのものだから、ずっと一緒にいるよ。離れるなんてことしない。だからこのドン底から見つけよう、たくさんの生きる意味を!」
俺は、弱いし情けないな。ルアにあんな説教じみたことしときながら、俺も諭されてる。
でも、不思議と嫌な感じはしない。これがじいちゃんの言ってた"仲間"なんだろうな。
間違った時に気づかせてくれる。俺は最高のパートナーを見つけた。
これだけでこの世界に来て辛い思いをした意味はあったと思えた。
「分かった。アイツらは許せないけど復讐はしない。俺が手に入れた力は、どんな理不尽からでも俺のものを・・ルアを守るために、そしてこのドン底で成り上がるために使う。」
「うん♪それがいいよ。」
「だから、ルア。こんな俺だけどこれからも間違えそうになったら支えて欲しい。そして、俺と一緒に生きる意味を探して欲しい。」
「もちろんだよ。私はタイチのものだからね。どこまでもついていくよ。」
本当に俺は最高のパートナーに、巡り会えた。
「だけど、ルアって確か1000歳超えてたよな?時間あるのか?」
「ふんっ!!!」
全力で殴られた。土のテントから弾け飛んでしまった。
「私は天使族だから大丈夫だもん!!」
「わ、悪い…。軽いジョークのつもりだったんだ。ごめん、この通りだ。許してくれ。」
俺は頭を下げて誠心誠意謝る。うん、間違えたあとは謝ることも大切だよな。心のメモに付け加えておこう。
「今回は許すけど、次言ったら全力で魔法を放つからね!」
そう言って許してくれた。
今日はゆっくりと眠ることが出来そうだ。
ここから俺とルアの本当のスタートが始まる──
後書き
感想お待ちしております!
恋愛作品「君を好きになるなんて絶対にありえない! 」もよろしくお願いします!!
まぁ、当然だろうな。こんなところを1人でさまよっていたら、何かしらの理由があるとわかるだろう。
「分かった。話す。だけど今日はもう行動する気がないから寝ようと思うんだが…。ルア、土魔法で俺たちを囲ってくれないか?万が一魔物が来ても防げるように」
「分かった!」
そういうとルアは俺の指示通りに魔法を使い、簡単なテントみたいなものができた。
「話す前に聞きたいんだが、ここがどこか知ってるか?」
「え?私は知らないよ?タイチも知らないの?」
まぁ、ルアの話を聞いた時からそうじゃないかと思っていた。別に気にするようなことではないが。
「まぁ、いいか。それじゃあ話すぞ」
そう言って俺は魔物の肉を食いながらここまでで起こったことを話した。俺も人と話すことに飢えていたから、隠すことなく全てを話した。
この世界に急に転移したこと。「無」職でステータスも弱くて馬鹿にされていたこと。それでも役に立とうと知識を蓄えたこと。ラギルダンジョンに、向かって仲間に裏切られて、ここまで落とされたこと。そこでステータスが変化して、ユニーク属性が目覚めたこと。この世界は弱肉強食だと思い、アイツらに復讐するつもりだということ。
それだけ言うと、何故か分からないがまたルアが泣いていた。
「うっうぅ…ずびっ…私だけじゃなくて…タイチにも…そんな辛いことがあったん…だねぇ…すびっ…。」
そうしてまたひとしきり泣き終わるとルアは、俺に尋ねてきた。
「復讐、するつもりなの?」
「あぁ、あいつらを許せないからな。」
すると、ルアは急に真面目な顔になって俺の方を向いた。
「私は…タイチに復讐なんてして欲しくない。」
「なんでだ?」
少し怒気をあらげてしまった。
「勇者も言ってた。復讐は悲しい事だって。それに
タイチは復讐した後どうするの?」
「どうするのって…」
どういうことだ?今までそんなこと考えたこと無かった。
「タイチは復讐した後の自分が想像出来るの?」
「そんなの簡単だろ?アイツらに復讐して気分が晴れるだろ?だってこの力はそのためのものだし。そんでそのあとは………」
あれ?そのあとどうするんだろう?なにもすることがないな。じゃあ、どうするんだろう?
「出来ないでしょ。多分タイチはそれで満足して何もしなくなる。多分自殺とかするんじゃないかな?生きる意味が復讐することで終わるから。」
否定できなかった。でも…、それじゃあ
「じゃあ、この気持ちはどうしたらいいんだよ!?それにこの力はどう使ったらいいんだよ!?それに、この世界の真理は弱肉強食だ!強いものが弱いものを支配する!そうだろう!?」
「それは違うよ、タイチ。強い者の役割は弱い者を守ることだよ。そうじゃなければ今、この世界には人間も動物も生きていないよ。生き物はね生まれた時が1番弱いの。タイチの言う通り弱肉強食だとしたならそこで死んでるよ。でも、私たちは生きてるでしょ?だから違う。強い者の役割は弱い者を支配することじゃない。強い者の役割は自分より弱い者を守ることだよ。人間だって自分より弱い子供や、自分のために動物を狩る。けどその動物も自分の子供は守るように、ね。」
そう言われて初めて気づいた。あぁ、なんで忘れていたんだろう。じいちゃんの最後の言葉を。ルアのこの言葉はじいちゃんの最後の言葉と同じだ。
じいちゃん怒ってるかな?俺もじいちゃんと同じ愚か者になって、そしてじいちゃんが一生をかけて見つけたことを俺が忘れていて。
怒ってるよな。じいちゃんが生きてた価値を下げてしまったから。
不思議とじいちゃんの声が聞こえた気がした。
『人間なら間違えることはある。大事なのはそれに気づけること、そして選択することじゃ。時には間違えか正解かわからんが何かを選択する時もあるだろう。それでも、選択して間違えとったらそれに気づき、そのあとの行動で正解にしたらいい。仲間がいれば、太一の間違いにも気づいてくれるわい。太一にはそんな仲間を増やして欲しい。』
過去に俺にじいちゃんが言ってくれた言葉だ。胸がいっぱいになる。もう出ないと思っていた涙が流れるのを感じる。
「力の使い道だって1つじゃない。タイチが私に言ってくれた。生きる意味は1つじゃないって。ならきっと力の使い道だって1つじゃない。」
俺の耳に優しいルアの声が届く。
そうだ。この力を手にする時だって復讐するためだけに欲しかったんじゃない。
どんなに理不尽からでも俺から何も奪われないような…
そして、全てを失ってドン底にいる俺がこの世界で成り上がれるような…
そんな戦う力が欲しかったんだ。
手に入れたその力は復讐以外にも使う理由があった。そんなこと最初から分かっていた。でも…忘れていた。
「無いなら私はタイチと一緒に探す。タイチは私に太一のために生きろって言った。でも、タイチも私のために生きてよ?それもタイチの生きる意味にしてよ。復讐する気持ちなんて忘れさせてあげるよ?私も生きる意味を探してる。だから、タイチも探そうよ。まだ時間もいっぱいあるんだしさ!私はタイチのものだから、ずっと一緒にいるよ。離れるなんてことしない。だからこのドン底から見つけよう、たくさんの生きる意味を!」
俺は、弱いし情けないな。ルアにあんな説教じみたことしときながら、俺も諭されてる。
でも、不思議と嫌な感じはしない。これがじいちゃんの言ってた"仲間"なんだろうな。
間違った時に気づかせてくれる。俺は最高のパートナーを見つけた。
これだけでこの世界に来て辛い思いをした意味はあったと思えた。
「分かった。アイツらは許せないけど復讐はしない。俺が手に入れた力は、どんな理不尽からでも俺のものを・・ルアを守るために、そしてこのドン底で成り上がるために使う。」
「うん♪それがいいよ。」
「だから、ルア。こんな俺だけどこれからも間違えそうになったら支えて欲しい。そして、俺と一緒に生きる意味を探して欲しい。」
「もちろんだよ。私はタイチのものだからね。どこまでもついていくよ。」
本当に俺は最高のパートナーに、巡り会えた。
「だけど、ルアって確か1000歳超えてたよな?時間あるのか?」
「ふんっ!!!」
全力で殴られた。土のテントから弾け飛んでしまった。
「私は天使族だから大丈夫だもん!!」
「わ、悪い…。軽いジョークのつもりだったんだ。ごめん、この通りだ。許してくれ。」
俺は頭を下げて誠心誠意謝る。うん、間違えたあとは謝ることも大切だよな。心のメモに付け加えておこう。
「今回は許すけど、次言ったら全力で魔法を放つからね!」
そう言って許してくれた。
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