いつだってキミが世界の真ん中だ!

憚 岩三

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第2章「あかんのや、平和を夢見ちゃ、あかんのや」

第13話

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「ずいぶんと物騒な顔しとるやん、牢君」

いつの間にか、ニヤニヤとした笑い顔になった七が言った。

牢は黙っている。

黙って七を睨みつけている。

鼻息をひとつ吐いてから口を開いた。

「秋葉ぁ…。お前、秋葉九八の関係者か?」

七の表情からニヤけやものが無くなった。

真剣な表情で牢に答えた。

「うちの、保護者や」

「親類か?」

「父親の、弟や」

「そうか。思ったより近いな」

そう言うと、牢は立ち上がり、帰り支度を始めた。

「なんだよ、話はまだ途中だろ?それに、俺たちにもわかるように説明してくれよ」

そう言ったのは米助だった。

牢は、荷物をまとめながら、面倒臭がってる表情を米助に返した。

「大体わかったから、俺はもういい。あとは繰り返しか、確認だろ?」

そう言いながら、牢は顔を七の方に向けた。

「おもろいのは、これからやねんけどな」

七は腕を組み、不機嫌そうにしながらも口元には笑みが浮かんでいた。

「そりゃそうだ、面白いのは、これからだ。たしかに」

牢は、不気味な風体に似つかわしくない、さわやかな笑顔を見せた。

いずれにせよ、七は不気味な笑顔だと感じたようで、顔をのけぞらせた。

米助を指さしながら、牢は言葉を続けた。

「六釣、とりあえず秋葉の話を聴いておけ。俺は俺で、お前に話があるから、後で時間をよこせ」

「今じゃダメなのかよ」

「焦りなさんな、慌てても良いことはない」

「男からの誘いは断ることにしてるんだが」

「喜べよ、女好きなお前にとっておきの話だ、楽しみにしておけ」

「なんだよそれ、むしろ、今すぐ言ってくれよ」

「だから慌てんなって…」

そう言うと、牢は、何かを指し示すように、アゴを軽く動かした。

牢が示した方向では、運子や誓ら、女子が気まずそうな表情になっていた。

女子たちの引いているような様子に気付いた米助も、気まずそうな表情になった。

「わ、わかった」

そう言うと、それ以上は牢に追及をしようとしなかった。

「誤解のないように言っておくと、人助けの話だから。変に勘繰らなくて大丈夫だから」

人助け。

素敵な響きである。

その言葉を聴いた運子と誓は、尊敬の眼差しを牢に向けていた。


帰り支度も済み、教室を立ち去ろうとする牢は、七に声を掛けた。

「お前の叔父さん、有名人なんだから、自分でやれよって話じゃね?」

そう言うと、牢は悪そうな笑顔を七に見せた。

牢の言葉を聴いた七は、額に手を当て、顔を伏せた。

伏せた顔は、苦々しい笑顔だった。

「嫌やねんて」

「うん?」

「有名になんのは、絶対に嫌やねんて」

七は顔を伏せたまま、苦笑いのまま答えた。

七の言葉を聴いた牢は、今日イチの笑い声をあげた。

「よく言うぜ、まったく」

そう言うと、牢は教壇の上に置いてあった電子機器に目をやった。

小型の集音器である。

七が、話を始める前に置いたものだ。

会話の内容を録音し、文字に残すことが目的だった。

「そいつで録音したことを、文章にしてネットに晒すんだったよな」

「人聞きの悪い言い方やな、情報を共有するんやで」

「今日ここに来てない連中はもちろん、世界中のネットユーザーに向けて発信するんだったな」

「そうや」

「反応されると思うか?」

「わからんけど、期待しとらん。まずは、始めることと、継続することが、重要や」

「なるほど、悪くない」

「最後まで残っとったらええやん。急ぎの用事か?」

「まぁ、そんなところだ」

「そうか」

「俺の名前、ちゃんと『匿名』にしておいてくれよ」

「牢君にピッタリの名前を付けたるから、楽しみにしといてや」


牢を見送った七は、再び教壇の前に立った。

「ほな、さっきの話の続きをしよか」

そう言うと、下を向いたまま黙ってしまった。

どうやら、何の話をしていたのか忘れてしまっているようである。

「七ちゃん、『人類なんとか計画』って言ってたよ」

運子が助け舟を出した。

七は「それや」と言わんばかりに運子を指さし、親指を立て、両手を合わせて一礼した。

礼をしたタイミングで目を閉じていた。

再び目を開くと、中空を睨みつけた。

先ほど牢から向けられたような、鋭い視線であった。

教室内の誰とも目を合わせていない。

そのまま喋り始めた。


「『人類成長計画』。

それが、うちらが平和を目指すための計画や。

残念ながら、現時点の人類では、世界平和を目指すこと自体が困難や。

そもそも、世界を平和にしようっちゅう発想がない。

誰しもが、世界が平和になるわけなんかない、っちゅう常識に縛られとる。

世界は平和じゃないのが当たり前、そういう幻想の中に生きとる。

平和の方がいいけど、無理に決まってる。

そういうことを言う奴がおる。

やかましいわ。

無理と決めとるのは、己やと気付いとらん。

挙句、世界平和を願ったら変人扱いや。

ほんま腹立つ。

正直、どいつもこいつもアホばっかりやって思っとるよ。

なんで、誰も、世界を平和にせんのやって。

けどな、アホなんは、うちも一緒や。

いや、むしろ、うちがアホや。

世の中には、賢い人らがぎょうさんおるやんか。

うちなんかとは比べものにならん、『かしこ』がおるやろ。

なんで誰も世界を平和にしようって言ってくれんのや。

なんで誰も世界を平和にしてくれへんのや。

皆、自分勝手や。

ズルいわ。

自分が良ければそれでいい。

今が良ければそれでいい。

ホンマにそれでええのかって。

ちゃうやろ。

そんなん、アカンやん。

全然おもんないやん。

いつまで、殺し合うねん。

いつまで、暴力で解決すんねん。

いつまで、本当は生き続けたい人が、自分の意思で死ななあかんねん。

もうええやろって。

もうええやろって。

ほんまに。

もう、ええやろ。

勉強しようや。

人類。

成長しようや。

人類。

心の底から、今のままで問題ない、人類はすでに最高地点に到達した、人類は完成された、って思ってる人間はどれくらいいんのや?

本気でこのままでええと思ってるから人類は変わらんのか?

人類はアホだから仕方ないって諦めてんのか?

ええかげんにせえや!!」

突然、七が大声で叫んだことで誓は驚きビクッとなった。

七は相変わらず虚空を睨んでいる。

瞳孔が開き、光は無く、真っ黒の瞳になっていた。

「わかる。

気持ちはわかる。

でもな、認めたらあかんねん。

今のままでええとか、ありえへんのや。

うちが生きていながら、今のまま終わるとか考えられへんのや。

何もしないで生き続けても、死ぬ時に絶対に後悔する。

だから、やったんねん。

それが、うちにとっての『人類成長計画』や。

今は、世界平和を夢見ることもできない人類やけど、その人類が、世界平和の実現に向けて動くことができるようにする。

これが『人類成長計画』の目的や。

平和を願えるようになることが人類にとっての成長かどうか。

そんな議論を交わすつもりはあれへん。

面倒臭い。

異論があるなら、その人は、その人で、好きにしたらええ。

うちの目的は、世界平和や。

今の人類では、目的を果たすどころか、願うことすら許されへん。

だから、まず世界平和を願うことが悪いことでなく、当たり前のことであるという風潮、常識を作りたい。

うちはそれを人類の成長、そのひとつの形であると定義しただけの話や。

考えが違う人がいてるのは当然のことや。

当然、異論は認める。

人の思考は、人の数だけあって当たり前や。

せやけど、目的が同じであれば、考えが違って、意見がぶつかることはあっても、話し合いで解決できるやろ。

目的が同じやねんから。

ましてや、その目的は、世界平和やねんから。

他者の考えを否定したり、排除して目指す世界平和なんてありえへん。

それは世界平和ちゃう。

世界征服や。

しょうもない。

けったくそ悪い。

何がおもろいねん。

おもろいの、自分たちだけやん。

アホちゃうか。


いや、別にええんやで?

世界征服したいなら、好きにせえや。

やりたいこと、やったらええ。

うちかて同じや、やりたいことをやる。

おんなじや。

その代わり、言えよ?っちゅう話やねん。

言わんやん、誰も。

『俺は世界征服を目指すぞ!』って、誰も言わんやん。

そりゃ言わんよな。

言ったら、どうかしてると思われるわ。

言わないじゃなくて、言えないんや。

言ったら、社会や世間から、爪弾きになるからな。

そういう意味じゃ、平和も征服も似たようなもんかもしれん。

ただ、うちは言えるで。

うちは世界平和を目指すぞ。

言えるもんなら、言ってみろや。

国際社会に向けて、発信してみろや。

世界征服を目指してますって。

言えんやろ。

言えんから、裏でコソコソやっとる連中がいる。

バレてないと思って、世界征服を目指しとる連中がおる。

うちらにとっての、明確な敵や。

迷惑な、邪魔者や。

世界平和を脅かす、危険な存在や。

見過ごすことも、寛容になることも、困難な対象や。

対策は、無い。

ほんま不愉快やわ。

せやから、無視する。

気にせんでおこう。

気にしとったら話が先に進まん。

とりあえず、気にせんで活動できるような対策をする。

それが『匿名』の利用や。

まぁ、完全でも絶対でもないんやけどな。

本名を隠すだけやから、バレるときはバレる。

国や地方自治体、有名な大企業でも、個人情報の保護やとか、プライバシーの管理徹底やとか、偉そうなこと言っても、あっさり漏洩したり、流出するからな。

漏洩しても大して謝らんし。

流出しても大して謝らんでええ法律みたいやし。

ひと昔前は、これからは情報化社会やー、なんて言っとったみたいやけどな。

ガバガバや。

ガバガバガバナンスや。

ホンマは、ネット上で活動しとる、どこぞの匿名集団みたいに、ガチガチに正体隠して動ければええんやけど、そんな技術ないしな。

まぁ、勉強せえ、って話やねんけど。

どんだけ時間掛かんねんって話にもなるんや。

せやから、技術では勝負せん。

うちらは数で勝負する。

人海戦術や。

特定の個人ではなく、匿名の大人数で活動する。

大人数どころやない。

超大人数や。

具体的に目指すのは、過半数以上、ざっくりと、人類の3分の2以上やな。

今が70億人くらいやから…40とか50億人くらいかな?

まぁ、そこは大体でもええわ。

仮に、低く見積もって、40億の人類が、世界平和を願えるようになったとしようや。

そしたら、願うだけじゃ済まん。

人類は、世界平和の実現に向けて動き出すはずや。


もちろん、様々な問題がある。

今の段階で、世界中には、とんでもない数の問題がある。

簡単やない。

世界平和は、簡単やない。

せやけど、人類の過半数以上が世界平和を目指すようになれば、どんな様々な問題にも立ち向かおうという姿勢になれるはずや。

解決に向けて動いたり、協力できるようになるはずや。

今できないことも、できるようになるはずや。

それこそが、人類の成長であり、それを目指すのが『人類成長計画』やねん」

七は、そこまで喋ると、視線を正面に戻した。

瞳には光が戻っていた。

恐る恐る、少しずつ右手を挙手する姿があった。

道上野運子である。

目にはうっすらと涙が溜まっているようである。

七は、恋人に向けるような優しい眼差しで運子を見つめながら右手を差し出し、発言を促した。

「あの…秋葉さんが、どういうことを考えているのか、よくわかりました」

「やめてや、そんな他人行儀な。七、って呼んでくれてええんやで?」

「だって、なんだか話が大きすぎて…。でも、じゃあ、七ちゃん」

「なぁに?」

「40億人て、凄い人数だけど…。本当に、できるのかな…?」

「うーん。正直、無理やろねw」

「え?」

「40億どころか、ほとんど見向きもされん、っちゅう結果が現実やと思うよ」

「そんな…」

悲し気な声を出し、悲し気な表情をする運子に対し、七は右手を差し出し、手のひらを見せた。

それ以上、喋らなくても大丈夫。

そういう表情をしながら、運子に代わるように七は喋り始めた。

「今はな。

今はそんなもんや。

今は、無理やと思う。

大きな話をしたけど、所詮は理想や。

幻想、妄想と言われてもしゃあない話や。

せやけど、目標であり、うちらの夢を実現するために目指すべきことに違いはあれへん。

焦らんでもええ。

ちょっとずつでもええねん。

少しずつでも、やっていく。

少しずつでも、成長したらええねん。

それに、実際問題、やってみなわからんっちゅう話でもある。

正直、人類次第や。

変わらなあかん、のか。

今のままでええ、のか。

話は、70億人に聞いてからや。

フタを開けてみたら、思ってより反応が得られて、参加する人数もいるかもしれんしな。


方法は、さっきと同じ説明になるけど、まずはネット上に匿名の架空のキャラクターを作る。

そいつに『人類成長計画』について説明させる。

要は、ここまでの会話を文章にして、ネット上で公開するっていう流れや。

どういう風に公開するってのも選択肢は色々あるんやけど、なるべく多くの人の目に触れる場所がええんやろな。

とりあえず、これは担当者が決まっとるから、できたら教えるわ。

ここまでが計画の第一段階や。


次に、匿名の架空のキャラを量産する。

というか、計画に参加する人間全員が、ネット上で匿名のアカウントを作る。

架空の存在としてのキャラクターや。

まぁ、正直ここは本人が本名でもええっちゅうんやったら、それでもええと思う。

匿名とするか、架空とするかは、本人の判断や。

さっきも言ったけど、個人情報を隠し通すのは難しいしな。

この件については最低でも何人必要とかっちゅう話でもないし、参加人数は多ければ多いほどええわけや。

まずは、今日集まってくれたみんなで始めよう。

40億人、集まるかな。

そんで、人数がどれくらい集まりそうかって見当するための目安として、まずはアンケートをしたい。

これもさっき話した、平和と滅亡、繁栄と衰退、どっちがええ、ってやつや。

どうせなら、ある程度の人数に参加してもらった方が見栄えがええから、できれば一人、それなりに有名になったキャラクターでアンケートを募るか、あるいは、宣伝させるか。

後者の方が都合ええかな。

それに国外の言語でもアンケート実施したいとこやな。

まぁ、この辺の話は、後でもええか。

やりたい人がおったら、勝手にやってくれてええんやで?

うちは世界が平和になってくれればええし、人類が成長してくれたら満足や。

他人に迷惑を掛けるより、世のため人のために活動して歴史に名を残すチャンスやと思うよ?


そんで、このアンケートの結果がどうなるかは興味深いところやけど、過度な期待は禁物や。

すぐに実施しても、誰の目にも止まらず、投票数ひとケタっちゅうオチが見えとる。

せやから、まずは有名人キャラを作ろう。

それなりに影響力、知名度のある存在を作って、それからアンケートを実施して、そいつに宣伝させんねん」

そんな存在を作れなかったらどうするのか。

億獣は現実的な問題を想定したが、何も問わなかった。

愚問。

作るまでやる。

必ず作る。

秋葉七は、そう回答すると予想ができたのだ。

そのため、傾聴を継続することにした。

「まぁ、有名になるようなキャラを作れなかったどうするんだ!って思っとる人もおるやろう。

そりゃそうやな。

有名になりたくても、なれない人はいくらでもおる。

せやけど、なんでこの人は有名なん?っていう有名人もおるやん。

正直、ぶっちゃけた話。

ようわからんのや。

誰が、何で、有名になるのかなんて。

せやから、有名になる。

有名になるまで、やる。

簡単な話や。

必ず有名なキャラクターは作る。

うん。

約束は、せんでおくw

わからんもん。

ただ、策はある。

迷惑とか、炎上とか、カスみたいなやり方ちゃうで。

あんなションベンたれの鼻クソみたいなやり方がまかり通っとるから社会はアホやと思われて舐められんねん。

まぁ、それはええわ。

うちらは、正攻法の、筋の通ったやり方で有名になる。

ただし、悪いけど、何をするかは、今は秘密や。

隠すような話でもないんやけど、これは真似するより、自分で考えた方がええんや。

真っ当な方法で、有名になる。

それだけのことや。

個人々々、好き嫌いや趣味嗜好、得手不得手は異なるやろ。

つまり、そういうことや。

みんな、思い思いに好きなようにやったらええ。

やれることをやったらええ。

他人に迷惑を掛けたり、邪魔しないやり方や。

世のため、人のためになる活動をして、有名になったらええ。

そんで有名になったら、人類に問う。

平和か、滅亡か。

繁栄か、衰退か。

やな。


結果について、今いろいろと考えても、埒が明かない話や。

今の予定じゃ、まだまだ先の話やしな。

せやから、できる話をしとく。

滅亡やら衰退を望む人類が多数派やとしたら、そん時はそん時や。

それはそれで、社会がどんな反応すんのかを観てみたい気もするしなw

まぁ、知らんわ。

うちらは平和・繁栄派や。

アンケート後、平和・繁栄派がどれくらいいるかわからんが、やりたいことがある。

それが『世界多発同時笑い』や。


難しい話やない。

あるどっかのタイミングで、平和・繁栄派に参加する人類が、一斉に、同時に、笑うねん。

それだけのことや。


よう考えて欲しい。

同じ時間に、同じ目的を目指す人たちが、同じように考えて、同じように笑う。

それがもし、人類の、全員が同時に実施したら、その瞬間のことは、世界平和と呼んでええ気がすんねん。


困難なのは認める。

ただ、絶対に無理やとか、不可能やとは、うちは思えん。

まぁ、状況的に笑うのが辛いって人がいるのは、避けられん。

悲しい気持ちでいる人に、無理に笑ってくれとは言えん。

せやけど、3分の2の人数、40億人ぐらいでええなら、話は別や。

人類が、ホンマにアホやなければ、明日にでも実現できる話やと思っとる。

実現可能な環境は、整ってると思う。

やるか、やらないか。

それだけの話やとうちは思うんやけど、みんなはどう思う?」

七は教室内の生徒に問うた。

誰も、何も答えなかった。

否。

答えられなかった。

だが、それぞれ何かを言おうとしている様子であった。

何か言いたいが、何を言えばいいのか、迷っていた。

皆、迷っているようであるが、その表情は好奇に満ちていた。

七は、その様子を嬉しそうに、眺めていると、1人の女子生徒と目が合った。

舵浜 命である。

命は、以前から七が話した内容を理解していたらしく、満足そうな表情をした七と目が合うと、黙って頷いた。

いつもの厳しい表情のように見えたが、心なしか柔らかさを感じる顔だった。



その後、『世界同時多発笑い』は『人類成長計画』の成果を見極める作戦であると七は付け加えた。

また、計画とは名ばかりで、その他に具体的に何をするか、決まっている話は一切ないと伝えた。

「世界平和のことは、世界平和を目指す人間全員で考えればええ」

そう言うと、他に言いたいことは「今のところは無い」と話を終えた。


牢と七の会話を聴いて気になっていたのか、七の保護者について誓が訊ねた。

「あぁ、八ちゃんな。

牢君に言った通り、秋葉九八は、今の、うちの保護者やねん。

うちのお父ちゃんの弟や。

この八ちゃんが、うちの世界平和に関する考え方の、師匠みたいな人や。

そんで、有名って話してたけど、いわゆる有名人とはちょっと違うかな。

昔、何かやらかしたことがあるらしくて、知ってる人は知ってるっていう程度の話や。

牢君みたいなモノ好きにとっては、有名人らしい。

で、お父ちゃんは行方不明で、お母ちゃんは、うちがちっさい頃に死んでもうてる」

父親が行方不明。

母親はすでに故人。

さらっと話すなよ。

米助は心の中でツッコんだ。

両親が健在である生徒たちにとっては、ショッキングな話だ。

七が、あっけらかんと話したことで、なおさら戸惑っているようである。

だが、七本人はそのことを気にしていない様子で、父親は旅に出たまま連絡が取れず、事実上の行方不明となっているが、そのうち帰ってくると信じていること、母親との別れは辛く悲しいものだったが、すでに乗り越えていること、世界平和を願うようになったのは母親の影響が大きいこと、そんな話をした。

「そしたら、今日はこれくらいで解散しよか」

七は、架空の存在をネット上に作成する方法については、後日に説明すると話した。

億獣は、パソコンやネットの話に詳しいらしく、計画への参加を自分の知識内で試してみるようだ。

誓が七に握手を求めた後、七はそれに応じ、ハグする流れでどさくさに紛れて尻を撫でようとしたところ松と命に見つかり、二人から同時に立ち関節を極められていた。
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