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最終話 青い花
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皇帝レクサンドが暗殺されたその後のこと。
*
『レクサンドの』ベレスティグ帝国は世界から無くなった。
皇帝レクサンドが「死去」したからだ。王妃と、後継の皇太子と次男は処刑された。幼い末王子だけが残された。
実は三男の末王子だけはレクサンドの実子ではない。王妃とその愛人の間に生まれた子だった。
愛人の男は平民で、王も周囲も公認の愛人。
ベレスティグ帝国の宰相は、スハウィンに対して「前皇帝の三男を形だけの皇帝として上に戴き、院政を敷いてそちらの国の摂政にわが国を導いていただきたい。
ベレスティグのような大国が体制崩壊したとなれば各国のパワーバランスが崩れるのは必至。しばらくは皇帝レクサンドの死去は公にせずに、わが国の形は存続させたいが協議させていただきたい」というような内容の書簡を秘密裡に送ってきた。
間諜によれば、ベレスティグ国内でクーデターが起こって皇帝と側近が殺害されたのは確かなようだ。
ベレスティグとスハウィンの二国が一緒になって出来た大国は、他国にも緊張を強いることにもなる。
かくして大国ベレスティグ帝国は、かつての自国の領だったスハウィンの者が実質的な権力を握る傀儡政権として国家運営をしていくこととなった。
『レクサンドの』侵略国家・ベレスティグ帝国は消滅したが、『レクサンド後の』新たなベレスティグ帝国は存続していく。その帝国を実質的に治めるのはスハウィン王国の者だというだけだ。
幼い末王子を担ぎ上げる勢力はもういない。
スハウィンの王、シュマシュザドには同腹の弟がいて既に妃も娶っていたため
その弟夫婦に、ベレスティグを治めてもらう形となった。弟のシュマシュビーは事実上の賢王となり、妃のフレンダはそれを支える良き王妃となるだろう。
新たな王が決まった後
レクサンド体制下で宰相を務めていたマンテナと、騎士団長を務めていたルロースが自刃して亡くなったと、諜報部からの報告が届いた。
それを知ったシュマシュザド王らは、心の中でそっと騎士団長の冥福を祈った。
◆
その後のレクサンドは、監獄の島ルカトラジ島に流されたとも、魔術師の人体実験として長いこと酷使されたとも言われていた。
が
実はあの時執務室にいた治癒師アクリーゾによって構成された、誰も体験したことのないような無間地獄を6回ターンしたあたりで息絶えたのだった。狂うことも許されず、最期まで意識は保ったままで。
当然、レクサンドの魂は天上へは行けない。
あんなにも夢見た大ベレスティグ帝国の皇帝としてベレスティグ正教の廟にも祀られず、永遠に最下層を彷徨う下級の魂となった。もう毛ほどの力もない。
◆
スハウィン国も、ベレスティグ国も、二度とレクサンドのような暴君が出現しないように隣国と魔術で不可侵の条約を結んだ。破れば神霊からの罰がくだる。
レクサンドの時代は、魔術文書の合意は避けていたのだ。レクサンドには、大ベレスティグ帝国の夢物語があったからだ。
◆
スハウィンの国土もベレスティグの国土も、徐々に復興しつつある。
春、草原には水色の小さな花が一面に咲いている。
この小さな花は、どちらの国にも咲いている。花は、どちらの国かなどと考えずにただ、季節が来ればそこで咲く。
皇帝に最初の一撃を加えたあの女官は、事件の後に毒を煽って自死しているのを部屋で発見された。その手には、青い花の刺繍が入った手巾が握られていた。
手先の器用な息子が、入院中に刺繍して送ってくれたものだ。
女官は、息子のもとへ旅立ったのだ。遺体の脇に立って、死んだ女の冷たい肩をさすりながら、女官長は咽び泣いた。
◆
皇帝への復讐の無間地獄の陣を構成した治癒師のアクリーゾは、仕事の合間に時折神殿に行って戦没者の冥福を祈っている。
(ベレスティグ帝国に咲いた青い花も、スハウィン王国に咲いた青い花も、これからもどうか平和な国土に咲き続けますように。
今回の戦争で天上に昇っていった数万の魂よ、どうか安らかに ────)
ー 完 ー
お読みいただきありがとうございました。
◆
◆
◆
◆
◆
【雑感】
この作品は、既にお分かりだとは思いますが
ロシアによるウクライナ侵攻で始まった宇露戦争と露の「暴君」がモデルです。作中では『成敗』されている暴君ですが現実世界の暴君は そんな簡単にやられません。
以下、ニュースを見て作者が考えたことを少し書き連ねてみます。物語の番外編の追加ではありません。更新でもありません。
また、露の横暴さだけでなく米国の横暴さについてもずっと考え続けていて 例えば『大量破壊兵器があるだろ』という難癖で始まったイラク戦争では大量破壊兵器は存在しませんでした。日本も「出兵」しました。
自分はミリヲタでも歴史好きでもなく単に日本のいち生活者として国際ニュースにあれこれ考えるだけの人間ですが 戦争というものは、決して遠い国の出来事ではないと思ってます。
しかしまあ日本に原爆を落とした国であるアメリカに、隷属するしかない(?)どころか、喜んで腹を撫でさせている日本ってのは、歴史の中で後世の者たちからどう評価され、どう書かれるんでしょうか。
国際法を破りまくりの露の言動を、なし崩しに許容してしまった後の世界が『武力さえあれば』価値観に染まるのはどうなんだ、と危惧もしてしまいます。
「こんなもんTwitterに書かんかい」というお叱りもあろうかとは思いますが、ご容赦下さい。
※2022年4月23日時点
●ロシア軍の中央軍管区の高官がウクライナ南部の完全掌握を目指すなどと発言したことを受け モルドバ政府は22日、モルドバ駐在のロシア大使を呼び出し深い懸念を表明
・ロシア軍の中央軍管区の高官「ウクライナ南部の完全掌握を目指しているとしたうえで「沿ドニエストル地方に新たにアクセスする方法を得ることになる」
(沿ドニエストル地方はウクライナの西部国境に接し、1990年にモルドバから一方的に分離独立を宣言し、ロシア軍が駐留している)
・モルドバ政府は22日に発表した声明で「発言は根拠がなく、国際的に認められた国境内でのモルドバの主権と領土保全を支持するロシアの立場と矛盾している」と発言を批判
モルドバ「モルドバは憲法にそって中立国 この原則はロシアを含むすべての国際社会によって尊重されなければならない」と、ロシア大使に懸念を示す
⇧
もうね 中立国モルドバに「おたくんとこのドニストルからアクセスして攻めちゃうかもよー」って堂々と言っちゃうロシアのこの態度ですよ……
◇
●ロシア国防省 旗艦「モスクワ」沈没で死者や行方不明者を初公表
・巡洋艦「モスクワ」は今月13日に起きた火災によって艦内の弾薬が爆発して大破、乗組員が消火を試みたものの、失敗
・兵士1人が死亡、27人が行方不明 残りの乗組員396人は別の船で避難
ロシアが一方的に併合した南部クリミアの軍港セバストポリに戻ったと説明
・ロシア国防省はこれまで「乗組員は完全に避難した」として 死者が出ているかどうかを明らかにしていなかった
⇧
世界中からすんごい注目されて、後から発表を(正しいものに?)変えざるを得なかったロシア側のアタフタやゴタゴタも気になります。
・ウクライナ側『「モスクワ」は、対艦ミサイル「ネプチューン」で攻撃した』
・アメリカ国防総省『ウクライナ軍による攻撃を確認した』
・ロシア国防省 → ウクライナ軍から攻撃を受けたかどうかは言及していない
⇧
どうあっても撃沈された事を認めたくないロシア側。
●IAEAの専門家チーム チョルノービリ原発 来週訪問へ
・ロシア軍に一時占拠されたウクライナ北部のチョルノービリ原子力発電所、ロシア語でチェルノブイリ原発をめぐり、IAEA=国際原子力機関は22日、グロッシ事務局長率いる専門家チームが26日から現地を訪れて安全の確保への支援を行うと表明
・専門家チームは原発に関わる重要な機器を届けると共に原発の状況の調査などを行う
・侵攻後に途絶えてしまった原発からIAEAの本部にデータを送るシステムの復旧作業にもあたる
・チョルノービリ原発は2月にロシアの軍事侵攻が始まった直後から先月末までロシア軍に占拠され、IAEAは繰り返し原発の安全への懸念を示していた
⇧
日本でも自国に結びつけて非常に話題になった、戦争と原発と放射線物質の関係。今のところ最悪のシナリオは避けられていますが 赤の森を掘ったロシア兵が~というあの話題も気になります。
それにしても何故これを知っても、日本で原発再稼働議論が再燃するんでしょうかね。もし原発再稼働されたとして…電気代は安くならないと思います(むしろ上げられるかと)。今までの政治を見てたらそう思わざるを得ません。
◇
●台湾閣僚とキーウ市長がオンラインで会談
・呉外交部長「ロシア軍の侵攻はウクライナの人たちにきわめて大きな損害をもたらしただけでなく、国際秩序への深刻な脅威となっている」
・「台湾は海峡の対岸の権威主義政権の重大な脅威に直面しているため、ウクライナの現在の境遇はひと事ではない」と述べ、中国への警戒感をあらわに。
・日本円でおよそ10億円を提供すると表明
・ウクライナは台湾と外交関係がなく、キーウには台湾の出先機関もない
⇧
同じ民族(と言っていいのかは微妙なところではありますが)同士で争うという視点で見る中国本土と台湾の関係性。
外交関係のない国に、10億円拠出する台湾の姿勢は凄い。
◇
●EU ロシア首脳が電話で会談
・ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって22日、EUのミシェル大統領とロシアのプーチン大統領が電話で会談
・会談はおよそ1時間半
・ミシェル大統領は正教会の復活祭にあわせて停戦を求めると共に マリウポリなどから市民が避難できるよう「人道回廊」の必要性も強調
・プーチン大統領に対し、ゼレンスキー大統領と直接、対話するよう促した
・ロシア大統領府&プーチン大統領「首脳間の直接対話は停戦交渉の進展しだいだ」「ウクライナ側の姿勢には一貫性がなく、双方が受け入れられる解決策を模索する用意がない」
↑
「ロシア正教会の復活祭のタイミングでなんとかアンタもいったん矛をおさめてくれないかねえ」的なEUの仲裁に対して
《大ロシア帝国の復権》をお題目に掲げているプーチンに効き目があるか…などと思っていたら
ロシア側「停戦なんかするかボケ 向こうがスジ通すまでは折れねえよ」という全否定。
一体どっちが一貫性がないんでしょうか、というツッコミを入れたいです。30年前の不可侵の合意を反故にして100年前を持ち出すプーチンに。
◇
●ウクライナ 2435人の市民が死亡 国連人権高等弁務官事務所
・国連人権高等弁務官事務所 ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月21日までに、ウクライナで少なくとも2435人の市民が死亡したと発表 このうち184人は子ども
・地域別
◆キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州 → 1423人
◆東部のドネツク州とルハンシク州 →1012人
けがをした市民は2946人
※集計が遅れや未確認など実際の死傷者の数はこれを大きく上回る可能性
↑
「ひとり殺せば殺人者 百万人殺せば英雄」というチャップリン映画「殺人狂」の言葉がありますが、むろんあれは強烈な皮肉を込めた言葉です。近代では様々な条約や合意によって回避されてきた戦争。開戦したプーチンとロシア政府を、肯定したくないです。
◇
●ロシアの専門家「一日で自給自足に」
・欧米などがロシアに科している厳しい経済制裁の影響、専門家「2、3か月後か、秋ごろには影響を感じられるようになる」
・ロシアへの輸出規制によって今後、電化製品や自動車などの耐久消費財をはじめとした多くの製品の供給が途絶え
輸送コストの上昇も相まって価格の高騰を招くおそれがあると指摘
・「さまざまな輸入部品や原料がなければ何も製造できない」
・半導体や機械設備など、ロシアが輸入に頼っている製品が調達できないことで、ロシアの製造業に大きな影響が出るという見通し
↑
世界はお互いに繋がっていろいろ融通しあってモノを作ってるんだなあ、と改めて思う。いかにエネルギーで優位に立っているロシアといえども、繋がりなしには無理なのか。
●モフチャン氏「問題は、国際的な協力の枠組みの中で正常に発展させてきた国の経済を、たった一日で自給自足に変えてしまったことだ」と表現
・ロシア軍による侵攻開始を境にプーチン政権は、これまでの経済政策を大きく変更することを余儀なくされていると指摘
「ロシア経済にとって最も恐ろしいのは、ヨーロッパが『この供給国とは関係を持ってはいけない』と永遠に考えることだ」
「いまロシアが軍を撤退させて『以前と同じようにしよう』と言ったとしても、もう元には戻せない」
・プーチン政権と欧米との関係が回復できないレベルにまで悪化したことで、ロシアが経済の回復を目指す機会は、失われている、という見解
↑
侵攻開始から一週間経ち二週間経ち…とうとう二ヶ月。
あまたの死者を出し非戦闘員をも大量虐殺し、ショッピングモールにも産院も病院も学校にもミサイルをブチこみ、ロシア兵は掠奪し、住民の遺体を隠すように焼いたり埋めたりしたロシア政府は、確かにいまやめても信用ガタ落ちどころのレベルじゃない。
◆
お読みいただきありがとうございました。
戦争反対。
*
『レクサンドの』ベレスティグ帝国は世界から無くなった。
皇帝レクサンドが「死去」したからだ。王妃と、後継の皇太子と次男は処刑された。幼い末王子だけが残された。
実は三男の末王子だけはレクサンドの実子ではない。王妃とその愛人の間に生まれた子だった。
愛人の男は平民で、王も周囲も公認の愛人。
ベレスティグ帝国の宰相は、スハウィンに対して「前皇帝の三男を形だけの皇帝として上に戴き、院政を敷いてそちらの国の摂政にわが国を導いていただきたい。
ベレスティグのような大国が体制崩壊したとなれば各国のパワーバランスが崩れるのは必至。しばらくは皇帝レクサンドの死去は公にせずに、わが国の形は存続させたいが協議させていただきたい」というような内容の書簡を秘密裡に送ってきた。
間諜によれば、ベレスティグ国内でクーデターが起こって皇帝と側近が殺害されたのは確かなようだ。
ベレスティグとスハウィンの二国が一緒になって出来た大国は、他国にも緊張を強いることにもなる。
かくして大国ベレスティグ帝国は、かつての自国の領だったスハウィンの者が実質的な権力を握る傀儡政権として国家運営をしていくこととなった。
『レクサンドの』侵略国家・ベレスティグ帝国は消滅したが、『レクサンド後の』新たなベレスティグ帝国は存続していく。その帝国を実質的に治めるのはスハウィン王国の者だというだけだ。
幼い末王子を担ぎ上げる勢力はもういない。
スハウィンの王、シュマシュザドには同腹の弟がいて既に妃も娶っていたため
その弟夫婦に、ベレスティグを治めてもらう形となった。弟のシュマシュビーは事実上の賢王となり、妃のフレンダはそれを支える良き王妃となるだろう。
新たな王が決まった後
レクサンド体制下で宰相を務めていたマンテナと、騎士団長を務めていたルロースが自刃して亡くなったと、諜報部からの報告が届いた。
それを知ったシュマシュザド王らは、心の中でそっと騎士団長の冥福を祈った。
◆
その後のレクサンドは、監獄の島ルカトラジ島に流されたとも、魔術師の人体実験として長いこと酷使されたとも言われていた。
が
実はあの時執務室にいた治癒師アクリーゾによって構成された、誰も体験したことのないような無間地獄を6回ターンしたあたりで息絶えたのだった。狂うことも許されず、最期まで意識は保ったままで。
当然、レクサンドの魂は天上へは行けない。
あんなにも夢見た大ベレスティグ帝国の皇帝としてベレスティグ正教の廟にも祀られず、永遠に最下層を彷徨う下級の魂となった。もう毛ほどの力もない。
◆
スハウィン国も、ベレスティグ国も、二度とレクサンドのような暴君が出現しないように隣国と魔術で不可侵の条約を結んだ。破れば神霊からの罰がくだる。
レクサンドの時代は、魔術文書の合意は避けていたのだ。レクサンドには、大ベレスティグ帝国の夢物語があったからだ。
◆
スハウィンの国土もベレスティグの国土も、徐々に復興しつつある。
春、草原には水色の小さな花が一面に咲いている。
この小さな花は、どちらの国にも咲いている。花は、どちらの国かなどと考えずにただ、季節が来ればそこで咲く。
皇帝に最初の一撃を加えたあの女官は、事件の後に毒を煽って自死しているのを部屋で発見された。その手には、青い花の刺繍が入った手巾が握られていた。
手先の器用な息子が、入院中に刺繍して送ってくれたものだ。
女官は、息子のもとへ旅立ったのだ。遺体の脇に立って、死んだ女の冷たい肩をさすりながら、女官長は咽び泣いた。
◆
皇帝への復讐の無間地獄の陣を構成した治癒師のアクリーゾは、仕事の合間に時折神殿に行って戦没者の冥福を祈っている。
(ベレスティグ帝国に咲いた青い花も、スハウィン王国に咲いた青い花も、これからもどうか平和な国土に咲き続けますように。
今回の戦争で天上に昇っていった数万の魂よ、どうか安らかに ────)
ー 完 ー
お読みいただきありがとうございました。
◆
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【雑感】
この作品は、既にお分かりだとは思いますが
ロシアによるウクライナ侵攻で始まった宇露戦争と露の「暴君」がモデルです。作中では『成敗』されている暴君ですが現実世界の暴君は そんな簡単にやられません。
以下、ニュースを見て作者が考えたことを少し書き連ねてみます。物語の番外編の追加ではありません。更新でもありません。
また、露の横暴さだけでなく米国の横暴さについてもずっと考え続けていて 例えば『大量破壊兵器があるだろ』という難癖で始まったイラク戦争では大量破壊兵器は存在しませんでした。日本も「出兵」しました。
自分はミリヲタでも歴史好きでもなく単に日本のいち生活者として国際ニュースにあれこれ考えるだけの人間ですが 戦争というものは、決して遠い国の出来事ではないと思ってます。
しかしまあ日本に原爆を落とした国であるアメリカに、隷属するしかない(?)どころか、喜んで腹を撫でさせている日本ってのは、歴史の中で後世の者たちからどう評価され、どう書かれるんでしょうか。
国際法を破りまくりの露の言動を、なし崩しに許容してしまった後の世界が『武力さえあれば』価値観に染まるのはどうなんだ、と危惧もしてしまいます。
「こんなもんTwitterに書かんかい」というお叱りもあろうかとは思いますが、ご容赦下さい。
※2022年4月23日時点
●ロシア軍の中央軍管区の高官がウクライナ南部の完全掌握を目指すなどと発言したことを受け モルドバ政府は22日、モルドバ駐在のロシア大使を呼び出し深い懸念を表明
・ロシア軍の中央軍管区の高官「ウクライナ南部の完全掌握を目指しているとしたうえで「沿ドニエストル地方に新たにアクセスする方法を得ることになる」
(沿ドニエストル地方はウクライナの西部国境に接し、1990年にモルドバから一方的に分離独立を宣言し、ロシア軍が駐留している)
・モルドバ政府は22日に発表した声明で「発言は根拠がなく、国際的に認められた国境内でのモルドバの主権と領土保全を支持するロシアの立場と矛盾している」と発言を批判
モルドバ「モルドバは憲法にそって中立国 この原則はロシアを含むすべての国際社会によって尊重されなければならない」と、ロシア大使に懸念を示す
⇧
もうね 中立国モルドバに「おたくんとこのドニストルからアクセスして攻めちゃうかもよー」って堂々と言っちゃうロシアのこの態度ですよ……
◇
●ロシア国防省 旗艦「モスクワ」沈没で死者や行方不明者を初公表
・巡洋艦「モスクワ」は今月13日に起きた火災によって艦内の弾薬が爆発して大破、乗組員が消火を試みたものの、失敗
・兵士1人が死亡、27人が行方不明 残りの乗組員396人は別の船で避難
ロシアが一方的に併合した南部クリミアの軍港セバストポリに戻ったと説明
・ロシア国防省はこれまで「乗組員は完全に避難した」として 死者が出ているかどうかを明らかにしていなかった
⇧
世界中からすんごい注目されて、後から発表を(正しいものに?)変えざるを得なかったロシア側のアタフタやゴタゴタも気になります。
・ウクライナ側『「モスクワ」は、対艦ミサイル「ネプチューン」で攻撃した』
・アメリカ国防総省『ウクライナ軍による攻撃を確認した』
・ロシア国防省 → ウクライナ軍から攻撃を受けたかどうかは言及していない
⇧
どうあっても撃沈された事を認めたくないロシア側。
●IAEAの専門家チーム チョルノービリ原発 来週訪問へ
・ロシア軍に一時占拠されたウクライナ北部のチョルノービリ原子力発電所、ロシア語でチェルノブイリ原発をめぐり、IAEA=国際原子力機関は22日、グロッシ事務局長率いる専門家チームが26日から現地を訪れて安全の確保への支援を行うと表明
・専門家チームは原発に関わる重要な機器を届けると共に原発の状況の調査などを行う
・侵攻後に途絶えてしまった原発からIAEAの本部にデータを送るシステムの復旧作業にもあたる
・チョルノービリ原発は2月にロシアの軍事侵攻が始まった直後から先月末までロシア軍に占拠され、IAEAは繰り返し原発の安全への懸念を示していた
⇧
日本でも自国に結びつけて非常に話題になった、戦争と原発と放射線物質の関係。今のところ最悪のシナリオは避けられていますが 赤の森を掘ったロシア兵が~というあの話題も気になります。
それにしても何故これを知っても、日本で原発再稼働議論が再燃するんでしょうかね。もし原発再稼働されたとして…電気代は安くならないと思います(むしろ上げられるかと)。今までの政治を見てたらそう思わざるを得ません。
◇
●台湾閣僚とキーウ市長がオンラインで会談
・呉外交部長「ロシア軍の侵攻はウクライナの人たちにきわめて大きな損害をもたらしただけでなく、国際秩序への深刻な脅威となっている」
・「台湾は海峡の対岸の権威主義政権の重大な脅威に直面しているため、ウクライナの現在の境遇はひと事ではない」と述べ、中国への警戒感をあらわに。
・日本円でおよそ10億円を提供すると表明
・ウクライナは台湾と外交関係がなく、キーウには台湾の出先機関もない
⇧
同じ民族(と言っていいのかは微妙なところではありますが)同士で争うという視点で見る中国本土と台湾の関係性。
外交関係のない国に、10億円拠出する台湾の姿勢は凄い。
◇
●EU ロシア首脳が電話で会談
・ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって22日、EUのミシェル大統領とロシアのプーチン大統領が電話で会談
・会談はおよそ1時間半
・ミシェル大統領は正教会の復活祭にあわせて停戦を求めると共に マリウポリなどから市民が避難できるよう「人道回廊」の必要性も強調
・プーチン大統領に対し、ゼレンスキー大統領と直接、対話するよう促した
・ロシア大統領府&プーチン大統領「首脳間の直接対話は停戦交渉の進展しだいだ」「ウクライナ側の姿勢には一貫性がなく、双方が受け入れられる解決策を模索する用意がない」
↑
「ロシア正教会の復活祭のタイミングでなんとかアンタもいったん矛をおさめてくれないかねえ」的なEUの仲裁に対して
《大ロシア帝国の復権》をお題目に掲げているプーチンに効き目があるか…などと思っていたら
ロシア側「停戦なんかするかボケ 向こうがスジ通すまでは折れねえよ」という全否定。
一体どっちが一貫性がないんでしょうか、というツッコミを入れたいです。30年前の不可侵の合意を反故にして100年前を持ち出すプーチンに。
◇
●ウクライナ 2435人の市民が死亡 国連人権高等弁務官事務所
・国連人権高等弁務官事務所 ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月21日までに、ウクライナで少なくとも2435人の市民が死亡したと発表 このうち184人は子ども
・地域別
◆キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州 → 1423人
◆東部のドネツク州とルハンシク州 →1012人
けがをした市民は2946人
※集計が遅れや未確認など実際の死傷者の数はこれを大きく上回る可能性
↑
「ひとり殺せば殺人者 百万人殺せば英雄」というチャップリン映画「殺人狂」の言葉がありますが、むろんあれは強烈な皮肉を込めた言葉です。近代では様々な条約や合意によって回避されてきた戦争。開戦したプーチンとロシア政府を、肯定したくないです。
◇
●ロシアの専門家「一日で自給自足に」
・欧米などがロシアに科している厳しい経済制裁の影響、専門家「2、3か月後か、秋ごろには影響を感じられるようになる」
・ロシアへの輸出規制によって今後、電化製品や自動車などの耐久消費財をはじめとした多くの製品の供給が途絶え
輸送コストの上昇も相まって価格の高騰を招くおそれがあると指摘
・「さまざまな輸入部品や原料がなければ何も製造できない」
・半導体や機械設備など、ロシアが輸入に頼っている製品が調達できないことで、ロシアの製造業に大きな影響が出るという見通し
↑
世界はお互いに繋がっていろいろ融通しあってモノを作ってるんだなあ、と改めて思う。いかにエネルギーで優位に立っているロシアといえども、繋がりなしには無理なのか。
●モフチャン氏「問題は、国際的な協力の枠組みの中で正常に発展させてきた国の経済を、たった一日で自給自足に変えてしまったことだ」と表現
・ロシア軍による侵攻開始を境にプーチン政権は、これまでの経済政策を大きく変更することを余儀なくされていると指摘
「ロシア経済にとって最も恐ろしいのは、ヨーロッパが『この供給国とは関係を持ってはいけない』と永遠に考えることだ」
「いまロシアが軍を撤退させて『以前と同じようにしよう』と言ったとしても、もう元には戻せない」
・プーチン政権と欧米との関係が回復できないレベルにまで悪化したことで、ロシアが経済の回復を目指す機会は、失われている、という見解
↑
侵攻開始から一週間経ち二週間経ち…とうとう二ヶ月。
あまたの死者を出し非戦闘員をも大量虐殺し、ショッピングモールにも産院も病院も学校にもミサイルをブチこみ、ロシア兵は掠奪し、住民の遺体を隠すように焼いたり埋めたりしたロシア政府は、確かにいまやめても信用ガタ落ちどころのレベルじゃない。
◆
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裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
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冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
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アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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