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第十一章 動き出した魔神
変貌
目の前に広がる光景を、ルーチェは信じられない思いで見つめていた。
壁も、床も、天井も、室内のありとあらゆるものが凍りつき、ルーチェとミルド以外のもの──ミルドを押さえつけていた騎士も含む──は全て氷漬けとなり、生の息吹を感じられなくなっている。
何故、どうして急にこんなことになったのだろう? まさか、ミルドが何かしたのか?
無論、ただの人間でしかないミルドに、そんなことができるわけないことなど分かりきっている。だが、今この室内にいて無事でいるのはミルドと自分の二人だけだ。
となれば、自分がやったのでない限り、ミルドがやったとしか考えられない。
でも、どうやって?
彼は背中に札を貼り付けられ、苦しんでいた。その上さらに騎士によって身体を押さえつけられ、動きを封じられたことで声を上げることしかできなかったはず。
それなのに、どうしてこんな真似ができた?
「いや、違う……」
たかが人間でしかないミルドに、こんなことができるはずはない。これは魔性の持つ能力であり、氷依が得意としていた系統のものだ。
だからもし、これをやった存在がここにいるとしたら──。
「氷依!」
希望を持って、ルーチェは女魔性の名を呼んだ。
失ったと思ったが、ここへ戻ってきたのか? 攫われた場所から、どうにかして逃げ出してきたのか?
そんな期待をしながら室内を見回し、何度も彼女の名前を呼ぶ。
「氷依! 氷依! どこにいる? 隠れてないで出てきておくれ!」
しかし──。
その声に答えたのは、聞くだけで耳が凍りつくかと思えるほどに冷ややかな声だった。
「……大きな声を出さないでくれませんか? こっちはつい先ほど目覚めたばかりで、頭痛と耳鳴りが大変なことになっているんですから」
「は……?」
聞き覚えがありつつも、その言葉遣いと声の冷ややかさに疑問を感じ、ルーチェはゆっくりと声のした方へ視線を向けた。
これは、この声は──いやだが、まさかそんな。
声の主が誰であるかなど確認するまでもないのだが、普段とあまりにも違う声の様子に、戸惑いを隠せない。
どういうことだ? 札を貼り付けられたせいで気が触れて、おかしくなってしまったのか?
恐る恐るといった体でミルドを見た瞬間、ルーチェは驚愕に目を見張った。
「ミルド……⁉︎ 君、その姿はどうしたんだい?」
頭痛と耳鳴りが酷いと言った言葉を態度でも表しているかのように頭を抱えていたミルドの髪は、うっすらと青色へと変化していた。そしてそんな彼の足元には、背中に貼り付けられていた札が氷漬けの状態で落ちていて。
立ち上がったミルドはそれを何の躊躇いもなく踏みつけると、青と金の混ざり合った瞳でルーチェをまっすぐ睨みつけてきた。
「……よくもこれまで、私をこき使ってくれましたね。私を好きに使っていいのは、この世でただ一人の人しかいないというのに……」
「え……どういうことだい? 君は一体……」
ミルドじゃないのか? とは聞かなかった。
目の前にいる存在は明らかに自分の知っているミルドではなく、別の存在であることが見て取れたから。
実際こうして話している間にも、ミルドの人間としての見た目は見る間に失われ、ルーチェの知らない魔性としての姿へと変貌を遂げていく。魔力を吸収する札がミルドに貼り付きたがったのは、恐らく彼の奥底に眠る魔力を感知していたからだろう。だがそのせいで眠っていた魔性としての本質を呼び起こしてしまったのだから、皮肉なものだ。
「何故君は、人間のふりをしていたんだい?」
何年も自分の手足として、普通の人間であればとっくに死んでいてもおかしくなかったほどに辛く過酷な任務に従事し、且つ本来なら仲間であるはずの氷依を自分に差し出してまで、何故彼は、自分に仕えていたのだろうか。
札を貼り付けられていた今だって、最悪死んでいたかもしれないのに、どうして抵抗しなかったのだろうか。
答えを待つルーチェに、完全に魔性としての姿を取り戻したミルドは、一言だけこう言った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ようやくようやく修正が終わりまして、続きの執筆に取り掛かり始めました!
……が、一から執筆は時間がかかるため、今後は毎日更新はできない……です。ごめんなさい。
仕事がある日は疲れて頭が働かず……どうしても書けないのです(ノω・、`)
なので気長に待っていただけたら嬉しいなっと🎵
恋愛ものも書きたいのですが、そっちに浮気するとまたこっちを放置する可能性が高いので……浮気しないように頑張り……ます。
壁も、床も、天井も、室内のありとあらゆるものが凍りつき、ルーチェとミルド以外のもの──ミルドを押さえつけていた騎士も含む──は全て氷漬けとなり、生の息吹を感じられなくなっている。
何故、どうして急にこんなことになったのだろう? まさか、ミルドが何かしたのか?
無論、ただの人間でしかないミルドに、そんなことができるわけないことなど分かりきっている。だが、今この室内にいて無事でいるのはミルドと自分の二人だけだ。
となれば、自分がやったのでない限り、ミルドがやったとしか考えられない。
でも、どうやって?
彼は背中に札を貼り付けられ、苦しんでいた。その上さらに騎士によって身体を押さえつけられ、動きを封じられたことで声を上げることしかできなかったはず。
それなのに、どうしてこんな真似ができた?
「いや、違う……」
たかが人間でしかないミルドに、こんなことができるはずはない。これは魔性の持つ能力であり、氷依が得意としていた系統のものだ。
だからもし、これをやった存在がここにいるとしたら──。
「氷依!」
希望を持って、ルーチェは女魔性の名を呼んだ。
失ったと思ったが、ここへ戻ってきたのか? 攫われた場所から、どうにかして逃げ出してきたのか?
そんな期待をしながら室内を見回し、何度も彼女の名前を呼ぶ。
「氷依! 氷依! どこにいる? 隠れてないで出てきておくれ!」
しかし──。
その声に答えたのは、聞くだけで耳が凍りつくかと思えるほどに冷ややかな声だった。
「……大きな声を出さないでくれませんか? こっちはつい先ほど目覚めたばかりで、頭痛と耳鳴りが大変なことになっているんですから」
「は……?」
聞き覚えがありつつも、その言葉遣いと声の冷ややかさに疑問を感じ、ルーチェはゆっくりと声のした方へ視線を向けた。
これは、この声は──いやだが、まさかそんな。
声の主が誰であるかなど確認するまでもないのだが、普段とあまりにも違う声の様子に、戸惑いを隠せない。
どういうことだ? 札を貼り付けられたせいで気が触れて、おかしくなってしまったのか?
恐る恐るといった体でミルドを見た瞬間、ルーチェは驚愕に目を見張った。
「ミルド……⁉︎ 君、その姿はどうしたんだい?」
頭痛と耳鳴りが酷いと言った言葉を態度でも表しているかのように頭を抱えていたミルドの髪は、うっすらと青色へと変化していた。そしてそんな彼の足元には、背中に貼り付けられていた札が氷漬けの状態で落ちていて。
立ち上がったミルドはそれを何の躊躇いもなく踏みつけると、青と金の混ざり合った瞳でルーチェをまっすぐ睨みつけてきた。
「……よくもこれまで、私をこき使ってくれましたね。私を好きに使っていいのは、この世でただ一人の人しかいないというのに……」
「え……どういうことだい? 君は一体……」
ミルドじゃないのか? とは聞かなかった。
目の前にいる存在は明らかに自分の知っているミルドではなく、別の存在であることが見て取れたから。
実際こうして話している間にも、ミルドの人間としての見た目は見る間に失われ、ルーチェの知らない魔性としての姿へと変貌を遂げていく。魔力を吸収する札がミルドに貼り付きたがったのは、恐らく彼の奥底に眠る魔力を感知していたからだろう。だがそのせいで眠っていた魔性としての本質を呼び起こしてしまったのだから、皮肉なものだ。
「何故君は、人間のふりをしていたんだい?」
何年も自分の手足として、普通の人間であればとっくに死んでいてもおかしくなかったほどに辛く過酷な任務に従事し、且つ本来なら仲間であるはずの氷依を自分に差し出してまで、何故彼は、自分に仕えていたのだろうか。
札を貼り付けられていた今だって、最悪死んでいたかもしれないのに、どうして抵抗しなかったのだろうか。
答えを待つルーチェに、完全に魔性としての姿を取り戻したミルドは、一言だけこう言った。
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ようやくようやく修正が終わりまして、続きの執筆に取り掛かり始めました!
……が、一から執筆は時間がかかるため、今後は毎日更新はできない……です。ごめんなさい。
仕事がある日は疲れて頭が働かず……どうしても書けないのです(ノω・、`)
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