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第十一章 動き出した魔神
現れた人物
「実はですね……ラズリ殿の肩に乗った〝黒い鳥”を一時的に貸していただきたいと思っているのですが……それは可能ですか?」
「えっ……この鳥を?」
予想外のことを闇に尋ねられ、ラズリは思わず動きを止める。
先ほどの何事かを言い争う闇と奏の様子から、面倒そうなことを話しているんだろうな──と思ってはいたけれど、まさか自分の武器兼ペット? になったカラスについて話していたとは夢にも思っていなかった。
「貸す……とは言っても、その理由を教えてもらわないことには返答できかねるんだけど」
貸したところで戻ってこなければ大問題だ。
闇にとっては単なる鳥一羽。何かあったところで大したことはないだろうが、ラズリにとっては武器をも兼ねる大切な一羽。これを貸すという名目で闇に持っていかれ、失いでもしようものなら、また別の武器を探さなければいけなくなる。
そんなことをするのは正直面倒くさいし、なにより次が簡単に見つかるとも限らない。そのため闇がカラスを借りたい理由を聞いて、納得できなければ断ろうと心に決めて返事をしたのだけれど──。
「その鳥を犠牲にすることによって、奏が助かると言ったら……どうしますか?」
そう闇に問われ、ラズリは言葉に詰まってしまった。
奏が助かると言われても、特に今、彼が危険に曝されているようには見えない。だけどもしかしたら自分が知らないだけで、危ない目に遭っているのかもしれない。実際そのせいで、自分が目覚めてすぐは宿屋にやって来られなかったようだし。
でも、だとしたら、奏はどうしてそのことを自分自身の口で伝えないんだろう?
不思議に思い奏へと目を向ければ、彼はなにやら懸命に何かを訴えようと、口をぱくぱく動かしていた。なのにどういうわけか声は聞こえず、ラズリは眉をひそめて彼に近づく。
「奏? 一体どうし──」
しかし、その瞬間。
一瞬にして視界が真っ青に塗りつぶされ、驚きのあまりラズリは飛ぶようにして、そこから離れた。
「な、なに……?」
改めて先ほど視界を覆い尽くしたものを確認しようとすると、そこには真っ青な髪を足首まで伸ばした人物──どうやら、先ほど視界が青く塗りつぶされたように思えたのは、至近距離に突然その人物が現れたからだと分かった──が、こちらに背を向けた状態で立っており、しかもその人物は奏に用事があったらしく、彼の胸ぐらをつかんで激しく揺さぶっていた。
「おい貴様! 貴様、青麻になにをした? 答えろ!」
「…………! ……っ、……!」
対する奏は未だ声を発することができないらしく、揺さぶられながらもぱくぱくと口を動かしている。
「貴様! 余を馬鹿にするのもいい加減に──」
「馬鹿になどしていませんよ」
不条理に責められる奏へと助け舟を出したのは、やはりというかなんというか──闇だった。
「そ、そなたは……」
ぱああ──と明るい効果音が聞こえてきそうなほど、一瞬で青い髪の人物の表情が明るくなる。
この人はなんなんだろう? 闇の知り合いとか、そういった感じの人なんだろうか。その割に、闇との温度差が激しすぎるような気もするけれど。
極力自分の気配を消しつつラズリが様子を伺っていると、次の刹那、闇の口から驚くべき一言が発せられた。
「えっ……この鳥を?」
予想外のことを闇に尋ねられ、ラズリは思わず動きを止める。
先ほどの何事かを言い争う闇と奏の様子から、面倒そうなことを話しているんだろうな──と思ってはいたけれど、まさか自分の武器兼ペット? になったカラスについて話していたとは夢にも思っていなかった。
「貸す……とは言っても、その理由を教えてもらわないことには返答できかねるんだけど」
貸したところで戻ってこなければ大問題だ。
闇にとっては単なる鳥一羽。何かあったところで大したことはないだろうが、ラズリにとっては武器をも兼ねる大切な一羽。これを貸すという名目で闇に持っていかれ、失いでもしようものなら、また別の武器を探さなければいけなくなる。
そんなことをするのは正直面倒くさいし、なにより次が簡単に見つかるとも限らない。そのため闇がカラスを借りたい理由を聞いて、納得できなければ断ろうと心に決めて返事をしたのだけれど──。
「その鳥を犠牲にすることによって、奏が助かると言ったら……どうしますか?」
そう闇に問われ、ラズリは言葉に詰まってしまった。
奏が助かると言われても、特に今、彼が危険に曝されているようには見えない。だけどもしかしたら自分が知らないだけで、危ない目に遭っているのかもしれない。実際そのせいで、自分が目覚めてすぐは宿屋にやって来られなかったようだし。
でも、だとしたら、奏はどうしてそのことを自分自身の口で伝えないんだろう?
不思議に思い奏へと目を向ければ、彼はなにやら懸命に何かを訴えようと、口をぱくぱく動かしていた。なのにどういうわけか声は聞こえず、ラズリは眉をひそめて彼に近づく。
「奏? 一体どうし──」
しかし、その瞬間。
一瞬にして視界が真っ青に塗りつぶされ、驚きのあまりラズリは飛ぶようにして、そこから離れた。
「な、なに……?」
改めて先ほど視界を覆い尽くしたものを確認しようとすると、そこには真っ青な髪を足首まで伸ばした人物──どうやら、先ほど視界が青く塗りつぶされたように思えたのは、至近距離に突然その人物が現れたからだと分かった──が、こちらに背を向けた状態で立っており、しかもその人物は奏に用事があったらしく、彼の胸ぐらをつかんで激しく揺さぶっていた。
「おい貴様! 貴様、青麻になにをした? 答えろ!」
「…………! ……っ、……!」
対する奏は未だ声を発することができないらしく、揺さぶられながらもぱくぱくと口を動かしている。
「貴様! 余を馬鹿にするのもいい加減に──」
「馬鹿になどしていませんよ」
不条理に責められる奏へと助け舟を出したのは、やはりというかなんというか──闇だった。
「そ、そなたは……」
ぱああ──と明るい効果音が聞こえてきそうなほど、一瞬で青い髪の人物の表情が明るくなる。
この人はなんなんだろう? 闇の知り合いとか、そういった感じの人なんだろうか。その割に、闇との温度差が激しすぎるような気もするけれど。
極力自分の気配を消しつつラズリが様子を伺っていると、次の刹那、闇の口から驚くべき一言が発せられた。
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