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第十三章 双子
不完全
「……死灰栖、来い」
ラズリが意識を失った後、ルーチェは早速とばかりに死灰栖を呼び出した。
「……我なら、此処に」
まるで呼ばれることが分かっていたかのように、すぐさま姿を現した死灰栖に、ルーチェは息つく間もなく次々に指示を出す。
「彼女をどこか別の部屋へ。念のため拘束しておくことも忘れないで。それから、他の魔性が居場所を知ることができないような措置も施しておいてくれるかな」
できる、できないは関係ない。だから「できるよね?」なんて、無駄なことは聞きもしない。
ルーチェが『やれ』と命令したなら、彼の部下である以上、それがどんなことであれ必ず実現しなければならないのだ。
「……御意」
しかし死灰栖は幸いにもミルドなんかと違い、下手な言い訳や誤魔化しをする気はないようで、了承の言葉を口にすると同時にルーチェの前から姿を消した。無論、くだんの少女を連れていくことも忘れずに。
「……さて、これからどうしようかな?」
死灰栖によって破壊し尽くされた室内に残っていた札を拾い集めたルーチェは、部屋を移動しながら今後のことについて考えを巡らせる。
これで問題の少女の能力は手に入れた。とはいえそれが自分に馴染むまでは暫く時間がかかるだろうから、自由に使いこなせるようになるのは、もう少し先のことになるだろう。そうしている間に、能力を抜き取られ、抜け殻となった少女の処遇について決めねばならない。
まずは彼女の持つ能力が、もれなく全て自分に吸収されたかを確認することからだ。もし少しでも取りこぼしがあれば、自分は完全体と言えなくなってしまう。
ルーチェ自身が目指しているのは、あくまで自分が〝完全体”となることであり、今までのように中途半端な状態では決してない。
むしろ中途半端な状態で納得できるぐらいなら、最初からラズリを探すことなどしなかった。
苦労に苦労を重ね、半端としかいえないような自分の能力を使わねばならないことを悔しく思いながら、それでもルーチェがそんな状態の力を駆使してまでもラズリを探し続けていたのは、ひとえに彼女が彼の半身であったからだ。
本来であれば一人で全ての能力を受け継ぐはずだったところを双子として生まれてしまったために、能力が中途半端に分かれてしまった自分達。そのため彼の能力は完全ではなく、母親と共に隠れ住んでいた場所が魔性に見つけられた時、自分一人だけしか逃げることができなかったのだ。
最初から完全体として生まれていれば──双子にさえ生まれていなければ、今も母と暮らせていたかもしれないと思うと、ルーチェはなんともいえない気持ちになる。いや、魔性に住処を見つけられた際、母は既にかなり弱っていたから、もし彼が完全体であったとしても、母は助からなかったかもしれないが。
それでも『もし、あの時』と考えずにはいられない時がある。
過去を振り返っても仕方がないのは分かっているが、それでも──と思ってしまう時があるのだ。
物心ついた時、ラズリは既に母とルーチェとは共にいなかった。父親が連れ去っていたのか──はたまた、別の理由があったのかは分からない。
母は死に際に「貴方には双子の妹がいるのよ……」ということしか言い残してくれなかったから、なぜ妹が共にいないのか、どこにいるのかなど、何一つ知る術はなかった。
そこから知り得たことは、ただ一つ。
物心ついた時からなんとなく感じるようになっていた喪失感。それは己が半身を失ったままでいることと関係があり、本来あるべき能力が双子の片割れへと分散され、そのせいで自分が未完であるために感じるものなのだということだった。
ラズリが意識を失った後、ルーチェは早速とばかりに死灰栖を呼び出した。
「……我なら、此処に」
まるで呼ばれることが分かっていたかのように、すぐさま姿を現した死灰栖に、ルーチェは息つく間もなく次々に指示を出す。
「彼女をどこか別の部屋へ。念のため拘束しておくことも忘れないで。それから、他の魔性が居場所を知ることができないような措置も施しておいてくれるかな」
できる、できないは関係ない。だから「できるよね?」なんて、無駄なことは聞きもしない。
ルーチェが『やれ』と命令したなら、彼の部下である以上、それがどんなことであれ必ず実現しなければならないのだ。
「……御意」
しかし死灰栖は幸いにもミルドなんかと違い、下手な言い訳や誤魔化しをする気はないようで、了承の言葉を口にすると同時にルーチェの前から姿を消した。無論、くだんの少女を連れていくことも忘れずに。
「……さて、これからどうしようかな?」
死灰栖によって破壊し尽くされた室内に残っていた札を拾い集めたルーチェは、部屋を移動しながら今後のことについて考えを巡らせる。
これで問題の少女の能力は手に入れた。とはいえそれが自分に馴染むまでは暫く時間がかかるだろうから、自由に使いこなせるようになるのは、もう少し先のことになるだろう。そうしている間に、能力を抜き取られ、抜け殻となった少女の処遇について決めねばならない。
まずは彼女の持つ能力が、もれなく全て自分に吸収されたかを確認することからだ。もし少しでも取りこぼしがあれば、自分は完全体と言えなくなってしまう。
ルーチェ自身が目指しているのは、あくまで自分が〝完全体”となることであり、今までのように中途半端な状態では決してない。
むしろ中途半端な状態で納得できるぐらいなら、最初からラズリを探すことなどしなかった。
苦労に苦労を重ね、半端としかいえないような自分の能力を使わねばならないことを悔しく思いながら、それでもルーチェがそんな状態の力を駆使してまでもラズリを探し続けていたのは、ひとえに彼女が彼の半身であったからだ。
本来であれば一人で全ての能力を受け継ぐはずだったところを双子として生まれてしまったために、能力が中途半端に分かれてしまった自分達。そのため彼の能力は完全ではなく、母親と共に隠れ住んでいた場所が魔性に見つけられた時、自分一人だけしか逃げることができなかったのだ。
最初から完全体として生まれていれば──双子にさえ生まれていなければ、今も母と暮らせていたかもしれないと思うと、ルーチェはなんともいえない気持ちになる。いや、魔性に住処を見つけられた際、母は既にかなり弱っていたから、もし彼が完全体であったとしても、母は助からなかったかもしれないが。
それでも『もし、あの時』と考えずにはいられない時がある。
過去を振り返っても仕方がないのは分かっているが、それでも──と思ってしまう時があるのだ。
物心ついた時、ラズリは既に母とルーチェとは共にいなかった。父親が連れ去っていたのか──はたまた、別の理由があったのかは分からない。
母は死に際に「貴方には双子の妹がいるのよ……」ということしか言い残してくれなかったから、なぜ妹が共にいないのか、どこにいるのかなど、何一つ知る術はなかった。
そこから知り得たことは、ただ一つ。
物心ついた時からなんとなく感じるようになっていた喪失感。それは己が半身を失ったままでいることと関係があり、本来あるべき能力が双子の片割れへと分散され、そのせいで自分が未完であるために感じるものなのだということだった。
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