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最終章 飛翔
繋がり
札一枚分の魔力を死灰栖に戻したすぐ後、ルーチェは眩暈を起こして近くの椅子を掴んだ。
今まで能力を使った後、こんな風に眩暈を感じたことは、ただの一度もなかったのに。
まだ……新しい能力が身体に馴染んでいないのか?
死灰栖の魔力を宿した札は、もう一枚残っている。できれば早急にその札の魔力も彼へと戻してしまいたいところだが、たった一度使っただけで眩暈を起こすような能力を、そう何度も連続で使うわけにはいかない。
思っていたより面倒だな……。
ルーチェの考えでは、双子の妹の能力を我が身に取り込みさえすれば、すぐさま自由に使えるようになるはずだった。それでも一応休息と称して時間を取ったのは、念には念を入れるため。
結果、その選択は間違っていなかったようだが、如何せん、時間が短すぎたようだ。目を閉じても治らない眩暈に、ルーチェは内心で舌打ちした。
これじゃあ、僕の思う通りにことが運ばない……。
あわよくば、二人の魔性が戦っている最中、どさくさに紛れて赤い髪の魔性に札を貼り付けるか、魅了して動きを止めるつもりだった。けれど眩暈が酷く、まともに目を開けていられない今の状態では、とてもそんなことできそうにない。
「なんとか、札だけでも……あいつに……」
ぐるぐると回る視界に酔いそうになりながら、それでもルーチェは赤い髪の魔性に向かって、真っ新な──死灰栖の魔力が抜けた後の──札を渾身の力で投げつけた!
「ぐあっ……!」
途端に男の身体が弓形に反り、次いでその場に膝をつく。
刹那、死灰栖の攻撃が容赦なく赤い髪の魔性に降り注ぎ──ルーチェは慌てて静止をかけた。
「死灰栖もういい! そいつを殺すな!」
が、一度放った力は止められない。
札一枚分の魔力を取り戻した死灰栖の攻撃は、的確に奏の全身を捉え──室内に、血飛沫による真っ赤な花をいくつも咲かせた……──。
※※※※
「いやああぁぁぁぁぁ‼︎」
奏の全身が死灰栖の攻撃によって切り刻まれた瞬間──ラズリは悲鳴と共に目を覚ましていた。
肩で荒く息を吐きながら室内を見回し、今の自分の状況を思い出しつつ、夢で見たことを考える。
今の夢は一体何? 奏が……奏がやられちゃう夢だった。
奏は強いから大丈夫だと思うけど……だったらこの胸の不安は、なんなんだろう?
心臓が不安に煽られ、大きな音をたてている。
彼と一緒にいるようになって、ここまで不安を感じたことは、これまで一度だってなかった。
なのに……この感じは何? 奏は本当に大丈夫なの……?
居ても立ってもいられなくなり、ラズリはベッドから抜け出し、ドアノブに手をかける。
だけど……ここから何処へ行けばいいの?
考えても答えは出ない。出るわけがない。
何故なら自分は、奏が今いる場所を知らないのだから。
「でも、なんとなく近くにいるような気がするのよね……」
それは予感。
確信でもなんでもなく、ただそんな風に感じるというだけの不確かなもの。
けれどラズリには、どうしてか自信があった。
自分と奏は、何処かできっと繋がっている──そんな自信。
だから自分には奏の危険が分かるし、奏にも自分の危険が分かる。そして、奏が危ない目に遭っているのだとしたら、それを助けるのもまた自分の役目なんだと。
この城へとさらわれてくる前に、奏の発言に対し幻滅した事実など──この時のラズリは綺麗さっぱり忘れ去っていた。
今まで能力を使った後、こんな風に眩暈を感じたことは、ただの一度もなかったのに。
まだ……新しい能力が身体に馴染んでいないのか?
死灰栖の魔力を宿した札は、もう一枚残っている。できれば早急にその札の魔力も彼へと戻してしまいたいところだが、たった一度使っただけで眩暈を起こすような能力を、そう何度も連続で使うわけにはいかない。
思っていたより面倒だな……。
ルーチェの考えでは、双子の妹の能力を我が身に取り込みさえすれば、すぐさま自由に使えるようになるはずだった。それでも一応休息と称して時間を取ったのは、念には念を入れるため。
結果、その選択は間違っていなかったようだが、如何せん、時間が短すぎたようだ。目を閉じても治らない眩暈に、ルーチェは内心で舌打ちした。
これじゃあ、僕の思う通りにことが運ばない……。
あわよくば、二人の魔性が戦っている最中、どさくさに紛れて赤い髪の魔性に札を貼り付けるか、魅了して動きを止めるつもりだった。けれど眩暈が酷く、まともに目を開けていられない今の状態では、とてもそんなことできそうにない。
「なんとか、札だけでも……あいつに……」
ぐるぐると回る視界に酔いそうになりながら、それでもルーチェは赤い髪の魔性に向かって、真っ新な──死灰栖の魔力が抜けた後の──札を渾身の力で投げつけた!
「ぐあっ……!」
途端に男の身体が弓形に反り、次いでその場に膝をつく。
刹那、死灰栖の攻撃が容赦なく赤い髪の魔性に降り注ぎ──ルーチェは慌てて静止をかけた。
「死灰栖もういい! そいつを殺すな!」
が、一度放った力は止められない。
札一枚分の魔力を取り戻した死灰栖の攻撃は、的確に奏の全身を捉え──室内に、血飛沫による真っ赤な花をいくつも咲かせた……──。
※※※※
「いやああぁぁぁぁぁ‼︎」
奏の全身が死灰栖の攻撃によって切り刻まれた瞬間──ラズリは悲鳴と共に目を覚ましていた。
肩で荒く息を吐きながら室内を見回し、今の自分の状況を思い出しつつ、夢で見たことを考える。
今の夢は一体何? 奏が……奏がやられちゃう夢だった。
奏は強いから大丈夫だと思うけど……だったらこの胸の不安は、なんなんだろう?
心臓が不安に煽られ、大きな音をたてている。
彼と一緒にいるようになって、ここまで不安を感じたことは、これまで一度だってなかった。
なのに……この感じは何? 奏は本当に大丈夫なの……?
居ても立ってもいられなくなり、ラズリはベッドから抜け出し、ドアノブに手をかける。
だけど……ここから何処へ行けばいいの?
考えても答えは出ない。出るわけがない。
何故なら自分は、奏が今いる場所を知らないのだから。
「でも、なんとなく近くにいるような気がするのよね……」
それは予感。
確信でもなんでもなく、ただそんな風に感じるというだけの不確かなもの。
けれどラズリには、どうしてか自信があった。
自分と奏は、何処かできっと繋がっている──そんな自信。
だから自分には奏の危険が分かるし、奏にも自分の危険が分かる。そして、奏が危ない目に遭っているのだとしたら、それを助けるのもまた自分の役目なんだと。
この城へとさらわれてくる前に、奏の発言に対し幻滅した事実など──この時のラズリは綺麗さっぱり忘れ去っていた。
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