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第六章 因縁
見つけた少女
なんとはなしに気の向くまま、心の赴くままにそこら辺を好き勝手散歩していた奏は、ある日突然それを感じた。
今までに感じたことのない、初めての何か。それを不意に感じて、吸い寄せられるようにしてその在処へと行ってみれば、そこには一人の幼い少女がいた。
狭く暗い部屋に閉じ込められ、大声を上げて泣いていた少女は、全身傷だらけで、生きているのが不思議なほどだった。それでも幼いながらに精一杯、それこそ自らの生命を燃やすようにして、必死に声を上げていた。
奏が惹きつけられたのは、そんな少女の消えかかった生命の最期の輝きだったのか、それとも──。
しかし、その原因を突き止める前に、奏は少女の中に何とも言えない嫌なものがあるのを感じた。
それは、少女の負の感情の昂ぶりに呼応するかのように蠢き、徐々に大きく育っていくようで。
野放しにするべきではない──と即座に判断した。
これは駄目だ。何者かに植え付けられた種なんだと瞬時に悟った。
これを育てさせてはいけない。種に餌をやってはいけない。何とかしてこれを抑えなければ。
少女の奥底にある何かに自分と同じように魅せられ、先に手を付けた何者か。その者に仕掛けられたそれは、少女の心の奥底にあり、今の奏では到底取り除くことは不可能で。
逆に言えば、そんな部分に種を植え付けられるような厄介な存在に、目を付けられたということだ。
「面白いじゃねぇか……」
その時不意に奏の口から漏れたのは、そんな一言だった。
「取り除けないんなら、危なくなるたび俺が抑え込めば問題ないよな。だったらやってやろうじゃねぇか」
幸いにも、少女は種を植え付けられたこと以外には、何もされた様子が見受けられなかった。
それでも万が一を考え、わざわざ闇を呼び、少女の身体を懇切丁寧に調べてもらった結果、種以外の残滓は見つからないと言われ、奏は心を決めた。
人間の一生なんて、何千年もの時を生きる魔性にとっては、ほんの一瞬。そのたった一瞬でも、退屈せず、最高に楽しく過ごすことができるのならば、人間の子供に付き合うのも悪くないと。
しかし、今のままの環境に置いておくのは良くないと闇に言われ、辺鄙な場所にある村のすぐそばに、奏は少女を移動させたのだ。
上手い具合にその村の人間が少女を拾ってくれたから、夢か現か判断を迷うぐらいの状態で村長を脅し、村を外界から隔離するよう強要した後、外から勘付かれることのないよう駄目押しとばかりに結界まで施した。
そこまでやって、ある程度少女が大きくなるまでは放置でいいやと、奏はそれまでの暇潰しを求めるべく、そこを離れたのだが。
まさかそれにより、村へと張っていた結界をいつの間にか破られ、王宮騎士達に少女を連れ去られることになるなど、思いもしていなかった。
「辛うじてラズリは手に入れられたけど、あの時俺の結界を壊したのも、もしかしたら……」
どこまで自分の邪魔をするんだと、奏は苦い気持ちを噛み締める。
それはもしかしたら、相手にとっても同じなのかもしれないが。
「ラズリは……俺のものだ」
誰にも渡さない。俺からラズリを奪おうとするなら、その時は……──。
奏の瞳が、燃え盛る炎のように赤く煌めく。
「……いい加減、鬱陶しいな」
短い呟きと共に、奏は目を閉じた。
次の刹那、カッと目を見開くと同時に、眼下の騎士達が馬ごと吹き飛ぶ!
「これで漸く静かになったな」
声は聞こえていなくとも、存在自体が煩わしいと思っていた者達を一掃し、奏はスッキリとした笑みを浮かべた。
そうして地面に降り立った彼の周りには、草花一つ残されてはいなかった──。
今までに感じたことのない、初めての何か。それを不意に感じて、吸い寄せられるようにしてその在処へと行ってみれば、そこには一人の幼い少女がいた。
狭く暗い部屋に閉じ込められ、大声を上げて泣いていた少女は、全身傷だらけで、生きているのが不思議なほどだった。それでも幼いながらに精一杯、それこそ自らの生命を燃やすようにして、必死に声を上げていた。
奏が惹きつけられたのは、そんな少女の消えかかった生命の最期の輝きだったのか、それとも──。
しかし、その原因を突き止める前に、奏は少女の中に何とも言えない嫌なものがあるのを感じた。
それは、少女の負の感情の昂ぶりに呼応するかのように蠢き、徐々に大きく育っていくようで。
野放しにするべきではない──と即座に判断した。
これは駄目だ。何者かに植え付けられた種なんだと瞬時に悟った。
これを育てさせてはいけない。種に餌をやってはいけない。何とかしてこれを抑えなければ。
少女の奥底にある何かに自分と同じように魅せられ、先に手を付けた何者か。その者に仕掛けられたそれは、少女の心の奥底にあり、今の奏では到底取り除くことは不可能で。
逆に言えば、そんな部分に種を植え付けられるような厄介な存在に、目を付けられたということだ。
「面白いじゃねぇか……」
その時不意に奏の口から漏れたのは、そんな一言だった。
「取り除けないんなら、危なくなるたび俺が抑え込めば問題ないよな。だったらやってやろうじゃねぇか」
幸いにも、少女は種を植え付けられたこと以外には、何もされた様子が見受けられなかった。
それでも万が一を考え、わざわざ闇を呼び、少女の身体を懇切丁寧に調べてもらった結果、種以外の残滓は見つからないと言われ、奏は心を決めた。
人間の一生なんて、何千年もの時を生きる魔性にとっては、ほんの一瞬。そのたった一瞬でも、退屈せず、最高に楽しく過ごすことができるのならば、人間の子供に付き合うのも悪くないと。
しかし、今のままの環境に置いておくのは良くないと闇に言われ、辺鄙な場所にある村のすぐそばに、奏は少女を移動させたのだ。
上手い具合にその村の人間が少女を拾ってくれたから、夢か現か判断を迷うぐらいの状態で村長を脅し、村を外界から隔離するよう強要した後、外から勘付かれることのないよう駄目押しとばかりに結界まで施した。
そこまでやって、ある程度少女が大きくなるまでは放置でいいやと、奏はそれまでの暇潰しを求めるべく、そこを離れたのだが。
まさかそれにより、村へと張っていた結界をいつの間にか破られ、王宮騎士達に少女を連れ去られることになるなど、思いもしていなかった。
「辛うじてラズリは手に入れられたけど、あの時俺の結界を壊したのも、もしかしたら……」
どこまで自分の邪魔をするんだと、奏は苦い気持ちを噛み締める。
それはもしかしたら、相手にとっても同じなのかもしれないが。
「ラズリは……俺のものだ」
誰にも渡さない。俺からラズリを奪おうとするなら、その時は……──。
奏の瞳が、燃え盛る炎のように赤く煌めく。
「……いい加減、鬱陶しいな」
短い呟きと共に、奏は目を閉じた。
次の刹那、カッと目を見開くと同時に、眼下の騎士達が馬ごと吹き飛ぶ!
「これで漸く静かになったな」
声は聞こえていなくとも、存在自体が煩わしいと思っていた者達を一掃し、奏はスッキリとした笑みを浮かべた。
そうして地面に降り立った彼の周りには、草花一つ残されてはいなかった──。
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