21 / 30
出会い編
第21話
しおりを挟む
「美味しかった。……ありがとね。紹介してくれた訳じゃないってのはもちろん分かってるけど、ナナミのおかげで知れたから」
食べ終わった俺の言葉にこくりと頷いてくるナナミ。
「おかわりとか、食べたかったら、遠慮しなくても大丈夫だけど……」
俺はもうお腹いっぱいだけど、ナナミは獣人だし、俺よりも年下とはいえ、まだ食べれそうだったからそう言ったんだけど、少し前の時と同じようにナナミはフルフルと首を横に振ってきた。
遠慮してる……って感じには見えないな。
本当にもう必要ないのか。
それなら……どうしようかな。
店を出るのはそうなんだけど……そこからどうしよう。
宿に戻る? ……いや、でも、宿に戻って、どうするんだよ。
……もう一部屋取って、ナナミに一人の時間を作ってあげるのも大事、か?
そうするか。
……一応奴隷だけど、大丈夫……だよな?
本で調べたいところだけど、さっきとは違って、今はナナミが対面にいる状態だし、いくら声を小さくしても、怪しまれる……というか、変に思われるよなぁ。
せっかくほんの少しだろうけど、仲良く? なれてきてるんだから、変に思われるようなことはなるべくしたくない。
仕方ない。
宿に帰って、宿の人に聞いてみるか。
「それじゃあ、取ってある宿に戻ろうと思うんだけど……大丈夫?」
ナナミがこくりと頷いてくれたのを確認して、俺はお金を払って店を出た。
まだお金には余裕があるし、少なくとも今日は治癒士としての活動はしなくても平気だろうけど、もしも奴隷一人の為に部屋を貸すことは出来ないと言われた場合は、ナナミに一人の時間を作るために、ギルドにでも行って働こうかな。
お金は正直どれだけあっても困らないと思うし。
普通に俺は田舎者だし、必要なものとかも少ないと思うし、お金の消費が激しい方だとは思わないけど、今日からはナナミもしばらくは一緒だしな。
「魚以外には、何か好きな物とか、あるの?」
宿に向かって歩いている途中、何か心境の変化があったのか、単純にそういう気分なだけなのかは分からないけど、さっきまでとは違って俺の隣を歩いてくれているナナミに向かって、俺はそう聞いた。
「…………お肉」
「なら、夜はお肉にしようか」
歩きながらも、俺の方をちゃんと見て、こくりと頷いてくるナナミ。
耳もちょっとだけ動いてる。……可愛い。
そして、あっという間に部屋を借りてある宿についたから、俺は早速宿の人にもう一部屋奴隷の為に部屋を借りられるかということを一応小声で聞いたのだが──
「申し訳ありませんが、奴隷に部屋を貸すことは出来ません。主人も一緒なのなら、話は別なのですが」
「……そうですか」
まぁ、無理なものは仕方ない。
考えていた通り、俺が借りている部屋にナナミを一人にさせてあげて、俺は治癒士として働きにギルドにでも行こうか。
「えっと、ここが俺の借りてる部屋だから、好きにしてていいよ」
そして、部屋までナナミを連れてきた俺はそう言った。
「俺はギルドにでも行ってくるから、一人で──」
「……一人?」
「ッ……もしかして、一人は嫌?」
変化が乏しい表情だけど、悲しそうな顔をしていた気がしたから、俺はゆっくりとそう聞いた。
「……家族……言って、くれた、から……一緒がいい……です。……お、お兄ちゃん」
すると、ナナミは不安そうにそう言ってきた。
多分……というか、確実に、完全に心を開いてくれているわけでないのは瞳を見たら分かる。
でも、今はナナミが一番辛いはずなのに、寄り添おうとしてくれている。
それだけで、この子がどれだけいい子なのかなんて手に取るように分かった。
だって、普通、出来るか? 親に売られたんだぞ? そんな中、また人のことを信用するなんてさ。……無理だろ。……少なくとも、俺だったら無理だ。
だからこそ、この子を売り払ったという親に行き場のない苛立ちが湧いてくる。
「……そうだよね。一人は嫌、だよね。……ナナミがいいのなら、俺もここにいるよ」
こくりと頷いてくるナナミ。
それを見た俺は、本当はナナミの傍に行きたかったけど、それが良いのか悪いのかが分からなかったから、ナナミから少し離れたベッドの上にこしを下ろした。
すると、ナナミは俺の隣に人一人分位の間を空けて、腰を下ろしてきた。
「……」
「……」
相変わらず会話は無い。
でも、今度は何かを話さないと、という気まずい雰囲気では無い気がした。
食べ終わった俺の言葉にこくりと頷いてくるナナミ。
「おかわりとか、食べたかったら、遠慮しなくても大丈夫だけど……」
俺はもうお腹いっぱいだけど、ナナミは獣人だし、俺よりも年下とはいえ、まだ食べれそうだったからそう言ったんだけど、少し前の時と同じようにナナミはフルフルと首を横に振ってきた。
遠慮してる……って感じには見えないな。
本当にもう必要ないのか。
それなら……どうしようかな。
店を出るのはそうなんだけど……そこからどうしよう。
宿に戻る? ……いや、でも、宿に戻って、どうするんだよ。
……もう一部屋取って、ナナミに一人の時間を作ってあげるのも大事、か?
そうするか。
……一応奴隷だけど、大丈夫……だよな?
本で調べたいところだけど、さっきとは違って、今はナナミが対面にいる状態だし、いくら声を小さくしても、怪しまれる……というか、変に思われるよなぁ。
せっかくほんの少しだろうけど、仲良く? なれてきてるんだから、変に思われるようなことはなるべくしたくない。
仕方ない。
宿に帰って、宿の人に聞いてみるか。
「それじゃあ、取ってある宿に戻ろうと思うんだけど……大丈夫?」
ナナミがこくりと頷いてくれたのを確認して、俺はお金を払って店を出た。
まだお金には余裕があるし、少なくとも今日は治癒士としての活動はしなくても平気だろうけど、もしも奴隷一人の為に部屋を貸すことは出来ないと言われた場合は、ナナミに一人の時間を作るために、ギルドにでも行って働こうかな。
お金は正直どれだけあっても困らないと思うし。
普通に俺は田舎者だし、必要なものとかも少ないと思うし、お金の消費が激しい方だとは思わないけど、今日からはナナミもしばらくは一緒だしな。
「魚以外には、何か好きな物とか、あるの?」
宿に向かって歩いている途中、何か心境の変化があったのか、単純にそういう気分なだけなのかは分からないけど、さっきまでとは違って俺の隣を歩いてくれているナナミに向かって、俺はそう聞いた。
「…………お肉」
「なら、夜はお肉にしようか」
歩きながらも、俺の方をちゃんと見て、こくりと頷いてくるナナミ。
耳もちょっとだけ動いてる。……可愛い。
そして、あっという間に部屋を借りてある宿についたから、俺は早速宿の人にもう一部屋奴隷の為に部屋を借りられるかということを一応小声で聞いたのだが──
「申し訳ありませんが、奴隷に部屋を貸すことは出来ません。主人も一緒なのなら、話は別なのですが」
「……そうですか」
まぁ、無理なものは仕方ない。
考えていた通り、俺が借りている部屋にナナミを一人にさせてあげて、俺は治癒士として働きにギルドにでも行こうか。
「えっと、ここが俺の借りてる部屋だから、好きにしてていいよ」
そして、部屋までナナミを連れてきた俺はそう言った。
「俺はギルドにでも行ってくるから、一人で──」
「……一人?」
「ッ……もしかして、一人は嫌?」
変化が乏しい表情だけど、悲しそうな顔をしていた気がしたから、俺はゆっくりとそう聞いた。
「……家族……言って、くれた、から……一緒がいい……です。……お、お兄ちゃん」
すると、ナナミは不安そうにそう言ってきた。
多分……というか、確実に、完全に心を開いてくれているわけでないのは瞳を見たら分かる。
でも、今はナナミが一番辛いはずなのに、寄り添おうとしてくれている。
それだけで、この子がどれだけいい子なのかなんて手に取るように分かった。
だって、普通、出来るか? 親に売られたんだぞ? そんな中、また人のことを信用するなんてさ。……無理だろ。……少なくとも、俺だったら無理だ。
だからこそ、この子を売り払ったという親に行き場のない苛立ちが湧いてくる。
「……そうだよね。一人は嫌、だよね。……ナナミがいいのなら、俺もここにいるよ」
こくりと頷いてくるナナミ。
それを見た俺は、本当はナナミの傍に行きたかったけど、それが良いのか悪いのかが分からなかったから、ナナミから少し離れたベッドの上にこしを下ろした。
すると、ナナミは俺の隣に人一人分位の間を空けて、腰を下ろしてきた。
「……」
「……」
相変わらず会話は無い。
でも、今度は何かを話さないと、という気まずい雰囲気では無い気がした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。
彼はその日から探索者――シーカーを目指した。
そして遂に訪れた覚醒の日。
「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」
スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。
「幸運の強化って……」
幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。
そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。
そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。
だが彼は知らない。
ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。
しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。
これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」
「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」
「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる