この世界の攻略本を拾った俺、この世界のモブな事を知る〜ヒロイン?の自由と幸せの為に最強を目指そうと思う〜

シャルねる

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出会い編

第21話

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「美味しかった。……ありがとね。紹介してくれた訳じゃないってのはもちろん分かってるけど、ナナミのおかげで知れたから」

 食べ終わった俺の言葉にこくりと頷いてくるナナミ。
 
「おかわりとか、食べたかったら、遠慮しなくても大丈夫だけど……」

 俺はもうお腹いっぱいだけど、ナナミは獣人だし、俺よりも年下とはいえ、まだ食べれそうだったからそう言ったんだけど、少し前の時と同じようにナナミはフルフルと首を横に振ってきた。

 遠慮してる……って感じには見えないな。
 本当にもう必要ないのか。

 それなら……どうしようかな。
 店を出るのはそうなんだけど……そこからどうしよう。
 宿に戻る? ……いや、でも、宿に戻って、どうするんだよ。
 ……もう一部屋取って、ナナミに一人の時間を作ってあげるのも大事、か?
 そうするか。
 ……一応奴隷だけど、大丈夫……だよな?

 本で調べたいところだけど、さっきとは違って、今はナナミが対面にいる状態だし、いくら声を小さくしても、怪しまれる……というか、変に思われるよなぁ。
 せっかくほんの少しだろうけど、仲良く? なれてきてるんだから、変に思われるようなことはなるべくしたくない。

 仕方ない。
 宿に帰って、宿の人に聞いてみるか。
 
「それじゃあ、取ってある宿に戻ろうと思うんだけど……大丈夫?」

 ナナミがこくりと頷いてくれたのを確認して、俺はお金を払って店を出た。
 まだお金には余裕があるし、少なくとも今日は治癒士としての活動はしなくても平気だろうけど、もしも奴隷一人の為に部屋を貸すことは出来ないと言われた場合は、ナナミに一人の時間を作るために、ギルドにでも行って働こうかな。
 お金は正直どれだけあっても困らないと思うし。
 普通に俺は田舎者だし、必要なものとかも少ないと思うし、お金の消費が激しい方だとは思わないけど、今日からはナナミもしばらくは一緒だしな。

「魚以外には、何か好きな物とか、あるの?」

 宿に向かって歩いている途中、何か心境の変化があったのか、単純にそういう気分なだけなのかは分からないけど、さっきまでとは違って俺の隣を歩いてくれているナナミに向かって、俺はそう聞いた。

「…………お肉」

「なら、夜はお肉にしようか」

 歩きながらも、俺の方をちゃんと見て、こくりと頷いてくるナナミ。
 耳もちょっとだけ動いてる。……可愛い。

 そして、あっという間に部屋を借りてある宿についたから、俺は早速宿の人にもう一部屋奴隷の為に部屋を借りられるかということを一応小声で聞いたのだが​──

「申し訳ありませんが、奴隷に部屋を貸すことは出来ません。主人も一緒なのなら、話は別なのですが」
 
「……そうですか」

 まぁ、無理なものは仕方ない。
 考えていた通り、俺が借りている部屋にナナミを一人にさせてあげて、俺は治癒士として働きにギルドにでも行こうか。
 
「えっと、ここが俺の借りてる部屋だから、好きにしてていいよ」

 そして、部屋までナナミを連れてきた俺はそう言った。

「俺はギルドにでも行ってくるから、一人で​──」

「……一人?」

「ッ……もしかして、一人は嫌?」

 変化が乏しい表情だけど、悲しそうな顔をしていた気がしたから、俺はゆっくりとそう聞いた。

「……家族……言って、くれた、から……一緒がいい……です。……お、お兄ちゃん」

 すると、ナナミは不安そうにそう言ってきた。
 多分……というか、確実に、完全に心を開いてくれているわけでないのは瞳を見たら分かる。
 でも、今はナナミが一番辛いはずなのに、寄り添おうとしてくれている。
 それだけで、この子がどれだけいい子なのかなんて手に取るように分かった。
 だって、普通、出来るか? 親に売られたんだぞ? そんな中、また人のことを信用するなんてさ。……無理だろ。……少なくとも、俺だったら無理だ。
 だからこそ、この子を売り払ったという親に行き場のない苛立ちが湧いてくる。
 
「……そうだよね。一人は嫌、だよね。……ナナミがいいのなら、俺もここにいるよ」

 こくりと頷いてくるナナミ。
 それを見た俺は、本当はナナミの傍に行きたかったけど、それが良いのか悪いのかが分からなかったから、ナナミから少し離れたベッドの上にこしを下ろした。
 すると、ナナミは俺の隣に人一人分位の間を空けて、腰を下ろしてきた。
 
「……」

「……」

 相変わらず会話は無い。
 でも、今度は何かを話さないと、という気まずい雰囲気では無い気がした。
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