この世界の攻略本を拾った俺、この世界のモブな事を知る〜ヒロイン?の自由と幸せの為に最強を目指そうと思う〜

シャルねる

文字の大きさ
27 / 30
2人目のヒロイン:シャネル・ノビリス様編

第27話

しおりを挟む
 ナナミがいるんだ。
 弱気なところなんて見せられない。

「え?」

 そう思っていると、俺はいつの間にか目の前に立っていたナナミに抱きしめられた。

「な、ナナミ……?」

「……私、家族。……お兄ちゃん、1人で抱え込まないで」

「ッ」

 そしてそのまま、慣れない感じではあるけど、頭を撫でてきた。
 家族……家族……そうだな。ナナミがそう言ってくれるのなら、俺たちは本当に家族だ。

「……ナナミ、ありがとう。でも、本当に大丈夫だから」

 今度は強がりなんかじゃない。
 心の底から、本当に大丈夫だと思ったから、俺はそう言った。
 ナナミだってこうやって俺を家族と言ってくれて、頑張ってるんだ。俺が頑張らない訳にはいかないだろ。
 
 すると、腕はそのままで、少しだけ体を離して、ナナミは俺の目を相変わらずまだ少しだけ濁ってしまっている瞳で見てきた。

「良かった。……何に、悩んでたの?」

 信じてくれたのか、そう聞いてくるナナミ。
 ……信じてくれたことは良かったんだが、これは……どう答えような。
 お金……は言えないよな。ナナミに無駄な心配をかけさせてしまうだけだ。
 普通の奴隷だったら、主人が死ねば奴隷は解放されるし、お金のことなんて特に気にしないかもだけど、ナナミは今日1日少し絡んだだけでも分かる通り、凄く優しい子だから。

 そして、シャネル様のことはもっと言えない。
 これに関しては、なんで俺が貴族様のことを……しかも襲われることを知ってるんだって話になってしまう。

「……その、お小遣い稼ぎにギルドの討伐依頼でも受けようと思ってるんだよ」

「……一緒?」

「え? あっ、うん。もちろん、ナナミが嫌でさえなければ、一緒のつもりだよ」

 こくりと満足そうに頷いてくるナナミ。
 心做しか嬉しそうな気がする。

「それでさ……その、俺、少し前に狼に思いっきり噛まれててさ、それが少しトラウマ……みたいになりかけてたんだよね。もちろん、今はもう大丈夫だよ。ありがとね、ナナミ」

「……大丈夫、ほんと?」

「うん。ほんとだよ」

「良かった。……でも、なんで、それなのに、討伐? お兄ちゃん、治癒士、じゃない?」

 知ってたのか。
 ……まぁ、そりゃ、分かるか。耳につけてるんだからな。
 俺みたいな田舎者でも、治癒士の存在は知ってるし、分からないわけないよな。

「……少しでも、強くなっておきたくてさ」

「なんで?」

 シャネル様のことを話す訳にはいかない。

「ナナミのことを守りたいから」

 だから、俺はそう言った。
 当たり前だけど、別に嘘ってわけじゃない。
 シャネル様のことももちろんあるが、ナナミの存在だって、俺にとって強くなりたい理由の一つなんだから。

「ッ……お兄ちゃん……お兄ちゃん……お兄ちゃん……」

 すると、ナナミは小さく何かをブツブツと言い始めたかと思うと、また俺の事を抱きしめてくれた。

「ナナミ? 俺はもう本当に大丈夫だよ?」

 さっき信じてくれてたはずなのに、なんで? と思いつつも、ナナミの気遣いに嬉しくなりながら、俺はそう言った。

「……うん。……お兄ちゃん、ありがとう。……私も、お兄ちゃんのこと、守る」

「え?」

「私、獣人。強い」

 ぁ、そっか。
 言われてみれば、俺はナナミのことを最初の印象や本に書かれていた情報のせいで守るべき子って思ってたけど、獣人だから、力が無い訳では無いのか。
 いや、だからってナナミが守るべき対象であることに変わりはないし、なるべく戦わせたりなんかしたくないんだけどさ。
 それでも、自衛くらいは出来る方がいいか。……明日はナナミの武器を買いに行ってから、依頼を受けよう。

 というか、こんなに自信満々に言うってことは、もしかして戦闘経験とか、あったりするのかな。
 そう思った俺は、素直にそう聞いた。

「……スライム、倒したことある」

 すると、返ってきたのはそんな言葉だった。
 俺はあの日のトラウマがあるっていうのと、スライムでそんなに自信満々だったのか、という2つの気持ちが合わさって、多分相当変な顔をしていたと思う。
 
 ……取り敢えず、やっぱり基本的に戦うのは俺だな。うん。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

処理中です...