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2人目のヒロイン:シャネル・ノビリス様編
第27話
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ナナミがいるんだ。
弱気なところなんて見せられない。
「え?」
そう思っていると、俺はいつの間にか目の前に立っていたナナミに抱きしめられた。
「な、ナナミ……?」
「……私、家族。……お兄ちゃん、1人で抱え込まないで」
「ッ」
そしてそのまま、慣れない感じではあるけど、頭を撫でてきた。
家族……家族……そうだな。ナナミがそう言ってくれるのなら、俺たちは本当に家族だ。
「……ナナミ、ありがとう。でも、本当に大丈夫だから」
今度は強がりなんかじゃない。
心の底から、本当に大丈夫だと思ったから、俺はそう言った。
ナナミだってこうやって俺を家族と言ってくれて、頑張ってるんだ。俺が頑張らない訳にはいかないだろ。
すると、腕はそのままで、少しだけ体を離して、ナナミは俺の目を相変わらずまだ少しだけ濁ってしまっている瞳で見てきた。
「良かった。……何に、悩んでたの?」
信じてくれたのか、そう聞いてくるナナミ。
……信じてくれたことは良かったんだが、これは……どう答えような。
お金……は言えないよな。ナナミに無駄な心配をかけさせてしまうだけだ。
普通の奴隷だったら、主人が死ねば奴隷は解放されるし、お金のことなんて特に気にしないかもだけど、ナナミは今日1日少し絡んだだけでも分かる通り、凄く優しい子だから。
そして、シャネル様のことはもっと言えない。
これに関しては、なんで俺が貴族様のことを……しかも襲われることを知ってるんだって話になってしまう。
「……その、お小遣い稼ぎにギルドの討伐依頼でも受けようと思ってるんだよ」
「……一緒?」
「え? あっ、うん。もちろん、ナナミが嫌でさえなければ、一緒のつもりだよ」
こくりと満足そうに頷いてくるナナミ。
心做しか嬉しそうな気がする。
「それでさ……その、俺、少し前に狼に思いっきり噛まれててさ、それが少しトラウマ……みたいになりかけてたんだよね。もちろん、今はもう大丈夫だよ。ありがとね、ナナミ」
「……大丈夫、ほんと?」
「うん。ほんとだよ」
「良かった。……でも、なんで、それなのに、討伐? お兄ちゃん、治癒士、じゃない?」
知ってたのか。
……まぁ、そりゃ、分かるか。耳につけてるんだからな。
俺みたいな田舎者でも、治癒士の存在は知ってるし、分からないわけないよな。
「……少しでも、強くなっておきたくてさ」
「なんで?」
シャネル様のことを話す訳にはいかない。
「ナナミのことを守りたいから」
だから、俺はそう言った。
当たり前だけど、別に嘘ってわけじゃない。
シャネル様のことももちろんあるが、ナナミの存在だって、俺にとって強くなりたい理由の一つなんだから。
「ッ……お兄ちゃん……お兄ちゃん……お兄ちゃん……」
すると、ナナミは小さく何かをブツブツと言い始めたかと思うと、また俺の事を抱きしめてくれた。
「ナナミ? 俺はもう本当に大丈夫だよ?」
さっき信じてくれてたはずなのに、なんで? と思いつつも、ナナミの気遣いに嬉しくなりながら、俺はそう言った。
「……うん。……お兄ちゃん、ありがとう。……私も、お兄ちゃんのこと、守る」
「え?」
「私、獣人。強い」
ぁ、そっか。
言われてみれば、俺はナナミのことを最初の印象や本に書かれていた情報のせいで守るべき子って思ってたけど、獣人だから、力が無い訳では無いのか。
いや、だからってナナミが守るべき対象であることに変わりはないし、なるべく戦わせたりなんかしたくないんだけどさ。
それでも、自衛くらいは出来る方がいいか。……明日はナナミの武器を買いに行ってから、依頼を受けよう。
というか、こんなに自信満々に言うってことは、もしかして戦闘経験とか、あったりするのかな。
そう思った俺は、素直にそう聞いた。
「……スライム、倒したことある」
すると、返ってきたのはそんな言葉だった。
俺はあの日のトラウマがあるっていうのと、スライムでそんなに自信満々だったのか、という2つの気持ちが合わさって、多分相当変な顔をしていたと思う。
……取り敢えず、やっぱり基本的に戦うのは俺だな。うん。
弱気なところなんて見せられない。
「え?」
そう思っていると、俺はいつの間にか目の前に立っていたナナミに抱きしめられた。
「な、ナナミ……?」
「……私、家族。……お兄ちゃん、1人で抱え込まないで」
「ッ」
そしてそのまま、慣れない感じではあるけど、頭を撫でてきた。
家族……家族……そうだな。ナナミがそう言ってくれるのなら、俺たちは本当に家族だ。
「……ナナミ、ありがとう。でも、本当に大丈夫だから」
今度は強がりなんかじゃない。
心の底から、本当に大丈夫だと思ったから、俺はそう言った。
ナナミだってこうやって俺を家族と言ってくれて、頑張ってるんだ。俺が頑張らない訳にはいかないだろ。
すると、腕はそのままで、少しだけ体を離して、ナナミは俺の目を相変わらずまだ少しだけ濁ってしまっている瞳で見てきた。
「良かった。……何に、悩んでたの?」
信じてくれたのか、そう聞いてくるナナミ。
……信じてくれたことは良かったんだが、これは……どう答えような。
お金……は言えないよな。ナナミに無駄な心配をかけさせてしまうだけだ。
普通の奴隷だったら、主人が死ねば奴隷は解放されるし、お金のことなんて特に気にしないかもだけど、ナナミは今日1日少し絡んだだけでも分かる通り、凄く優しい子だから。
そして、シャネル様のことはもっと言えない。
これに関しては、なんで俺が貴族様のことを……しかも襲われることを知ってるんだって話になってしまう。
「……その、お小遣い稼ぎにギルドの討伐依頼でも受けようと思ってるんだよ」
「……一緒?」
「え? あっ、うん。もちろん、ナナミが嫌でさえなければ、一緒のつもりだよ」
こくりと満足そうに頷いてくるナナミ。
心做しか嬉しそうな気がする。
「それでさ……その、俺、少し前に狼に思いっきり噛まれててさ、それが少しトラウマ……みたいになりかけてたんだよね。もちろん、今はもう大丈夫だよ。ありがとね、ナナミ」
「……大丈夫、ほんと?」
「うん。ほんとだよ」
「良かった。……でも、なんで、それなのに、討伐? お兄ちゃん、治癒士、じゃない?」
知ってたのか。
……まぁ、そりゃ、分かるか。耳につけてるんだからな。
俺みたいな田舎者でも、治癒士の存在は知ってるし、分からないわけないよな。
「……少しでも、強くなっておきたくてさ」
「なんで?」
シャネル様のことを話す訳にはいかない。
「ナナミのことを守りたいから」
だから、俺はそう言った。
当たり前だけど、別に嘘ってわけじゃない。
シャネル様のことももちろんあるが、ナナミの存在だって、俺にとって強くなりたい理由の一つなんだから。
「ッ……お兄ちゃん……お兄ちゃん……お兄ちゃん……」
すると、ナナミは小さく何かをブツブツと言い始めたかと思うと、また俺の事を抱きしめてくれた。
「ナナミ? 俺はもう本当に大丈夫だよ?」
さっき信じてくれてたはずなのに、なんで? と思いつつも、ナナミの気遣いに嬉しくなりながら、俺はそう言った。
「……うん。……お兄ちゃん、ありがとう。……私も、お兄ちゃんのこと、守る」
「え?」
「私、獣人。強い」
ぁ、そっか。
言われてみれば、俺はナナミのことを最初の印象や本に書かれていた情報のせいで守るべき子って思ってたけど、獣人だから、力が無い訳では無いのか。
いや、だからってナナミが守るべき対象であることに変わりはないし、なるべく戦わせたりなんかしたくないんだけどさ。
それでも、自衛くらいは出来る方がいいか。……明日はナナミの武器を買いに行ってから、依頼を受けよう。
というか、こんなに自信満々に言うってことは、もしかして戦闘経験とか、あったりするのかな。
そう思った俺は、素直にそう聞いた。
「……スライム、倒したことある」
すると、返ってきたのはそんな言葉だった。
俺はあの日のトラウマがあるっていうのと、スライムでそんなに自信満々だったのか、という2つの気持ちが合わさって、多分相当変な顔をしていたと思う。
……取り敢えず、やっぱり基本的に戦うのは俺だな。うん。
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