俺の好きだった姉ちゃんのような幼馴染と俺のことを好きだと言っていた妹みたいな幼馴染の体が入れ替わってから始まるラブコメ

シュウ

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2.デート編

15.トマト……だと!?

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「あ~~~ん!」

「こっ、こっちも! あ~ん!」

有里香《ゆりか》と凛津《りつ》が、弁当の中からそれぞれおかずを箸で摘んで、俺の左右から呼びかけてくる。

「ちょ! ちょっと待てっ! そんな同時に言われても! 1人ずつ! 1人ずつな!!」

2人とも練習だってのに張り切りすぎだろ!
さぞかし2人の彼氏になる男は幸せだろうな……くっ!
羨ましくなんてないんだからねっ!
はっ?! 俺もしかしてツンデレ……ツンデレだったのか?!なんてアホなことを考えていると、

「じゃあ、私から!」

「いや、私からっ!」

再び2人が俺の方へと近づいてくる。

「だから!! 一旦落ち着け! ジャンケン……そう! ジャンケンで決めよう!」

「はぁ……仕方ないわね……」

「えぇーっ! ……まぁ仕方ないか~!」

意外にもあっさりと2人とも大人しくなったところで、

「じゃあ行くよっ!」

凛津の声が響いた。

「「じゃんけーん」」

「ぐ……ちょきっ!」

「ぱーー」

「えっ?」

俺の見間違いじゃなければ今、凛津……後出し……したよな?

「あぁ~っ! ゆ、凛津!! 今、後出ししたでしょ?!」

「えっ……えぇ?! …………してない」

凛津はたっぷり間を開けて、目をキョロキョロしながらそう言った。

「いや……俺も見てたけど、後出し……してたぞ?」

流石に凛津の態度が白々しすぎて、俺も口を挟まずにはいられなかった。

「っ! ばっ、バレたもんは仕方ないっ! でも! そもそもジャンケンしようって言ったのはお兄ちゃんだしっ!」

私は悪くない!みたいな感じで有里香は言い切る。

いや、どう考えても後出しした方が悪いよ!
てか、地味に俺の方に責任を押し付けてくるんじゃないっ!
俺は大声でそう言いたかったけれど、今日はデートの練習らしいし、有里香も頑張ろうと必死なのだろうと思い、辛うじて口に出さずに耐えた。

「じゃ、じゃあ私からっ!」

凛津はそう言いながら箸で何かを掴んで俺の口に寄せてくる。

そして、その何かとは……

「いや!! またトマトかよっ!!」

思わず突っ込んでしまった。

「えっ? さっきトマト食べた時、美味しい美味しいって、まるで数日ぶりにエサを与えた豚みたいに食べてたじゃん?」

全く悪気がない様子で、有里香が俺に向かって首を傾げながら言う。

おいっ!!

こいつ今めちゃくちゃ失礼なこと言わなかったか?! 

誰が豚だよっ!! 

俺怒っていいよな? 

くぅっ! 

誰だよ! さっきまで

「笑顔で喜んでる有里姉ちゃんが可愛いすぎて、そんな些細なことどうでも良くなったからだ」

とか思ってたクソ野郎は!!

「はぁーっ、はぁーっ」

俺は怒りを収めようと必死に深呼吸を繰り返した。

有里香はそんな俺を不思議そうにみていたが、しばらくしてから……

「あっ、もしかして豚みたいって言ったの怒ってた? それじゃあ牛みた……」

「ちがぁ~~~うっ!」

俺の叫びが遠い山の方まで響き渡っていった。

――それから数分して

ようやく俺は落ち着いて、今度は凛津が箸で摘んだ唐揚げをパクっと食べる。

もぐもぐ……

「うん。美味いな…… これは有里香じゃないんなら凛津が作ったんだよな?」

「そうだよっ? お兄ちゃんが美味しいって言ってくれて私も嬉しい!!」

キラキラする笑顔をこちらに向けてきて、とても嬉しそうだ。

うっ! 練習なのに、不覚にも可愛いと思ってしまった。そう、可愛い……可愛いのだが……一つ引っかかることがあるとすれば、

「うん……あのさ、そのお兄ちゃんって呼び方どうにかならないのか?」

「今日はデートなんだからっ!! これだけは譲らないよ!」

そう言って凛津は断固として譲る気はないという意思表示からか、腕を組んで仁王立ちになる。

……なんでデートだからなんだよ?!普通逆だろ!
せめてデートの時以外にしてくれ! 俺は、仁王立ちになった凛津を見て、溜息を吐きながらそう思うのだった。


それからおおよそ20分近く、凛津と有里香による あ~~ん が続き――

「はぁ~~っ! もうお腹いっぱいだ!」

やっとこさ弁当を完食した。

お腹だけじゃなくて、もう色々どうにかなりそうだ……。

凛津も有里香もちょくちょく食べてはいたが、2人はほとんどの食べ物を俺の口へと入れてきたので実質1人で完食したようなものだった。


はぁ~~。なんだか……メシを食ったら眠たくなってきた。
「ふぁ~~っ」

「ん? どうしたの優太? もしかして眠たいの?」

凛津がそう聞いてきたので俺は

「んー。結構運動してからメシ食ったからちょっと眠たい。少し寝てもいいか?」

と答えた。

すると、凛津は

「じゃあ~私が膝枕してあげる!」

なんてとんでもない事を言い始めた。

「お断りだ!!」

俺がそう言おうとしたとき突然横に座っていた有里香が俺の方を向いて立ち上がった。

「あのっ……お詫びも……かねて、私が……その……膝枕してあげるっ!」

有里香はそう一息に言い放った。

当然俺は

「いや! お詫びなんていいからっ!」

と言うも、

「そうしないと私の気がすまないの! さっきも怒らせちゃったみたいだし……。それとも……私の膝枕……そんなに嫌だった?」

なんて凛津が顔を真っ赤にしながら言うものだから、断り切れるはずもなく、俺はそのまま有里香の太ももの上に頭を乗っけた。

ちなみにそのやりとりを見ている間、凛津はというと……

「くーっ! 失敗を逆に利用してイチャイチャするなんて!!」

とずっと訳の分からない事を言っていた。 
てかイチャイチャってなんだよ!? 有里香もそういうつもりでやってる訳じゃないだろ!!

「どっ……どう?」

すると、俺の頭上から有里香の声がした。

俺は膝枕なんて当然された事もないので良くわからないが……これはちょっと違うんじゃないのか?

「……あの」

「さっきから、何がとは言わないけどその……俺の頭の上に何か当たってるんだけど……」

なんて言えるはずもなく(またぶっ飛ばされるかもしれないし)

「あっ、あぁ! 良い感じ……だ!」

俺は上下からの柔らかい感触にドキドキするのを必死に堪えながら、そんな無難な言葉を返すので精一杯だった。

ちなみに、さっきから有里姉ちゃんのことをずっと有里香、と急に名前で呼び始めたのは、昨日の夜、寝る前になぜか凛津が有里香を指差して、

「デートの時は、有里姉ちゃんのことをちゃんと名前で呼んであげてよっ? 有里香って! さぁ! 言ってみて! さんはいっ!」

「ゆっ、有里香……」

そんな、初めて俺が有里姉ちゃんと出会った時のようなやりとりを凛津にさせられていたからであった。

なぜか俺が名前を呼んだ後、凛津はたいそう嬉しそうにしていた。

くそっ!からかいやがって!

そんな経緯で、「デートするときはそう呼んでね!」と凛津から、半ば強制的に(ほとんど命令に近かったけれど!)言いくるめられた俺は、従わざるを得なかったというわけだ。









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